2024
日本ペイントホールディングス株式会社

日本ペイントグループ、AWS
Enterprise Support を活用し、
オンプレミス環境の主要システム群を
1 年 8 か月で AWS に移行

約 1 年 8 か月

AWS への移行期間

15.9 %

MAP 等を活用した AWS 利用料の削減率

20 ~ 30 ポイント

セキュリティ改善 プログラムによるセキュリティスコアの 改善値

IaC によるプロセスや作業の自動化

概要

総合塗料メーカーとして、自動車、建物、大型機械、船舶など、幅広い領域で事業を展開する日本ペイントグループ。同グループは、主要システムが稼働する共通サーバーのサポート終了を機にアマゾン ウェブ サービス(AWS)への移行を開始。AWS Enterprise Support の技術支援を受けながら、1 年 8 か月で約 30 システム、約 100 台のサーバーを移行しました。移行後には、AWS のコスト最適化プログラムを活用し、15.9 % の AWS 利用料のコスト削減を実現しています。

日本ペイントホールディングス株式会社

ビジネスの課題 | 事業の成長に合わせたリソースの拡張を目指してクラウド移行を決断

100 社を超える国内外のグループ会社で構成される日本ペイントグループ。その中で、国内グループの情報システムの開発・運用・保守を担当しているのが、2021 年に設立された日本ペイントコーポレートソリューションズです。同社はグループの財務、人事、総務、ICT インフラ構築、情報システムなど幅広い業務を担っています。

日本ペイントグループの国内システムは、オンプレミス環境で運用してきました。その中で、クラウド移行のきっかけとなったのが、主要システムを運用していた共通サーバー(Oracle SuperCluster)のハードウェア保守終了です。2017 年に導入した共通サーバー SuperCluster のサポート終了が、再々延長を含めて 2022 年 12 月末に迫っていました。新たなインフラを検討した同社は、クラウドへの移行を決断しました。IT&ソリューション部 ビジネスアプリケーション室の山中敏嗣氏は次のように語ります。

「従来の IT インフラは柔軟性に課題があり、事業の成長に合わせてリソースをスケールさせたり、検証環境を立ち上げたりすることができませんでした。そこでハードウェア依存から脱却し、利便性の向上、運用保守の効率化、ライフサイクル管理の高度化、BCP 対策の強化を図ることにしました」

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AWS へのリフト&シフトはスタートに過ぎません。自社のクラウド活用レベルを上げることで、その価値を最大化させて事業貢献をしていきたいと思います”

石野 普之 氏
日本ペイントコーポレートソリューションズ株式会社 常務執行役員
日本グループ CIO(最高情報責任者)

ソリューション | IaC 化により自動化。少人数でコア領域を内製開発

同社は、複数のクラウドサービスを検討した結果、AWS への移行を決めました。その理由は、ビジネススピードへの対応です。IT&ソリューション部 システム基盤統括室の川口真氏は「容易にスケールできる拡張性、データ分析機能の充実、東京・大阪リージョンによる BCP 対策が可能なことなどを評価しました。国内外に多くのユーザーがいるクラウドのトップランナーで、私たちが参考になる導入事例が数多く存在することも採用の決め手となりました」と語ります。

プロジェクトは 2021 年 3 月よりスタートし、2022 年 11 月までに 共通サーバー上の人事システム、技術系システム、販売・在庫系の基幹システム、BI ツール、会計システムの SAP ERP などを移行しました。約 1 年 8 か月で移行したシステム数は約 30、サーバーは約 100 台、データ量は約 61TB にのぼります。

アーキテクチャとして、サーバーは Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)、データベースは Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) を採用し、基本的に既存システムに大きな変更を加えることなく、マネージドサービスの恩恵を受けながら移行しました。AWS Organizations によるアカウント統合管理基盤を構築し、システム別、ステージ別に約 20 のアカウントで分離するマルチアカウント構成としています。各アカウントのログ情報は共通のアカウントに集約し、高水準のモニタリングとセキュリティ管理を実現しました。IT&ソリューション部 ビジネスアプリケーション室の岩﨑由祐氏は「アーキテクチャはベストプラクティスの AWS Well-Architected に則る形で設計し、単一障害点がない構成としました」と語ります。サービスのデプロイは、再現性を高めるために AWS CloudFormation などを活用してコード化(IaC 化)し、プロセスや作業を自動化しています。

これらの開発は、外部のパートナーに頼ることなく、2 名の AWS 技術者を中心に内製開発で進め、構築時は AWS Enterprise Support のサービスであるインフラストラクチャイベント管理(IEM)等のサポートを活用しました。

「コアの技術領域だけは自社でコントロールすることを重視し、内製開発に強くこだわりました。設計・移行の段階では AWS Enterprise Support からの洞察の深いアドバイスが大変参考になりました。SAP 移行時にパフォーマンス低下の問題に直面しましたが、アカウントチームからの迅速なサポートにより、効果的に問題を解決することができました」(岩﨑氏)

導入効果 | MAP プログラムを活用し、前年比で 15.9 % の利用料を削減

AWS への移行により、リソースの柔軟性が向上し、パフォーマンスを低下させることなくユーザーに快適な環境を提供することが可能になりました。

コストについてもサービスの使用状況を定期的に見直し、不要なリソースを削除またはスケールダウンすることでコストを最適化しています。2022 年には、AWS の移行促進プログラム(MAP)により 15.9 % の AWS 利用料の削減を実現しています。

「気付かないうちに上がっているコストについても、テクニカルアカウントマネージャーから指摘をいただけたりするので、非常に助かっています。おかげさまでコストマネジメントの精度が年々向上しています」(川口氏)

その他、サーバー運用の負荷軽減、運用工数の削減が実現したほか、セキュリティレベルも向上しました。

「AWS Enterprise Support のセキュリティ改善プログラムを受けたところ、改善点が見つかりました。提案を受けて実施した対策により、セキュリティスコアは 20 ~ 30 ポイント向上しました」(岩﨑氏)

開発体制としては、AWS のアカウントチームからの定期的な情報提供やハンズオンにより、技術習得・最新情報へのキャッチアップが容易になっています。2023 年には AWS から紹介を受けた現場向け集中講座『DX 人材育成道場』に若手社員が参加してスキルアップを図るなど、積極的な人材育成を行っています。

ビジネス面でのメリットも大きく、グループからのインフラの短期構築や最新テクノロジーの導入要請に対して、的確な回答ができるようになりました。山中氏は「国内グループの IT 環境を支援する会社として、システムの保守運用だけでなく、ビジネスのトップラインを伸ばすことにも貢献ができるようになり、“守り”から“攻め”に転じるステージに踏み出すことができました」と語ります。

現在は、オンプレミス資産のクラウド化に向けて、データセンターの縮小などを進めながら、IT インフラ全体の運用自動化などに取り組んでいます。別プロジェクトでは、工場のビッグデータ活用に向けて、AWS IoTAmazon Simple Storage Service (Amazon S3)、Amazon Redshift などによるデータマネジメントプラットフォームを構築中で、自動車塗料事業の一部工場で AWS に移行したシステムとのデータ連携を開始しました。岩﨑氏は「今後はさらにサーバレスアーキテクチャやコンテナサービスといった技術を中心に設計し、将来的には Amazon Redshift ML や生成 AI の Amazon Bedrock など、AWS の AI/MLサービスの活用も検討していきます」と語ります。

AWS に対してはサービスのさらなる安定化とコストの最適化、新サービスのリリース、ライフサイクル管理の高度化などに期待を寄せています。

「クラウド化の目的の 1 つは、アプリケーションライフサイクルのマネジメントにもあります。AWS には、ライフサイクル管理の負荷を軽減するサービスの提供についても期待しています」(山中氏) 

企業概要 : 日本ペイントホールディングス株式会社

1881 年の創業から 140 年以上の歴史を誇る総合塗料メーカーとして、自動車、ビルや戸建て住宅などの建物、橋梁などの大型構造物、新幹線や大型機械、船舶、オフィス用品に至るまで、さまざまな塗料製品の製造・販売を手掛ける。2014 年に持株会社体制へ移行して日本ペイントから日本ペイントホールディングスに商号変更。

山中 敏嗣 氏

山中 敏嗣 氏

川口 真 氏

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岩﨑 由祐 氏

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