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週刊生成AI with AWS – 2024/7/15週

みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの小林です。

本日 7 月 22 日に、 2つのウェブサイトを公開しました。

  • 日本の生成AI活用を支援
    このウェブサイトは、生成AIの利活用に取り組む方のための情報ポータルで、日本国内の事例やユースケース、サービスアップデート情報、ベストプラクティスなどをまとめます。生成AIに関するワンストップの情報源としてご利用頂けるものです。
  • AWSジャパン生成AI実用化推進プログラム
    こちらは 6 月 20 日、21 日に開催した AWS Summit Japan の基調講演で予告した、生成AIによってビジネス課題解決に取り組むお客様を支援するためのプログラムのサイトです。プログラム概要とともに、参加希望を表明するためのフォームもご用意していますのでぜひご覧ください。

また、AWS ブログでは 7 月 10 日、11 日に開催した AWS Summit New York のアップデートに関するブログ記事の翻訳が各種出そろっています。先週概要をご紹介したので改めてピックアップするのはやめておきますが、「AWS Summit New York」のカテゴリで絞り込んでいただくと一覧できますので、こちらもあわせてどうぞ。

それでは、7 月 15 日週の生成AI with AWS界隈のニュースを見ていきましょう。

さまざまなニュース

    • AWS生成AI国内事例ブログ: 丸紅株式会社様、社内生成AIプラットフォームアプリで業務時間削減と業務高度化を実現
      丸紅株式会社様は、社内生成AIプラットフォームアプリ(Marubeni Chatbot)を展開しています。Marubeni Chatbotはファイルチャットアプリ、音声認識チャットアプリ、カスタムボットアプリなど複数の機能を提供し、社内で既に7,500名以上のユーザが利用しているそうです。内部的にRAG(検索拡張生成)を活用しているのですが、精度や一貫性を保つための工夫として、WordやPDFで記載された文書をMarkdown形式に自動変換する工夫をしていることや、LangChainを利用せず自社開発の抽象化レイヤーを用いている点がユニークです。導入効果については、業務ごとにばらつきはありますが25%-65%の時間削減効果があり、業務の内容が高度化したというフィードバックが得られています。今後、経営判断の高度化に活用することを目指した機能拡充を進めているとともに、AIを使い倒す企業文化の醸成をすすめているそうです。
    • AWS生成AI国内事例ブログ: jinjer株式会社様、ユーザ体験向上のための人事問い合わせAI機能を3ヶ月で開発
      jinjer株式会社様は、人事関連業務の効率化を支援する「ジンジャー」というSaaSサービスを展開しています。カスタマーサクセスのチームがお客様からヒアリングしたところ、従業員が必要な情報を探す手間がかかる、情報が見つからない場合は人事担当者が対応するがその工数が少なくない、という課題があることがわかりました。その解決のため、生成AIによる問い合わせ対応機能の開発を決断されました。Amazon BedrockとAmazon KendraによるRAG(検索拡張生成)の仕組みですが、3ヶ月という短期間での開発に成功し、AIによる問い合わせ対応機能により80%の工数削減を見込んでいます。また、フルマネージドサービスの活用による保守運用負荷の軽減もひとつのポイントです。今後の計画として、マルチモーダルなモデルを活用した新機能の開発に取り組んでいらっしゃるとのことです。
    • ブログ記事「生成AIアプリケーションのデータベース選択における重要な考慮事項」を公開
      生成AIを搭載したアプリケーション、特に検索拡張生成(RAG)を活用する場合は、何らかのデータベースが必要不可欠です。AWSでは様々なデータベースサービスでベクトル検索の機能をご提供しています。この記事では、今現在AWSでご利用可能なベクトル検索機能を備えたデータベースサービス群について、動作とパフォーマンスの差異を整理することで、お客様のワークロードに最適なサービスを選択するための情報を提供しています。
    • ブログ記事「製造イノベーションの強化:AI と生成 AI の Centers of Excellence (CoE) がモダナイゼーションを推進する方法」を公開
      製造業のお客様向けの翻訳記事を公開しました。製造業におけるAI導入への課題を整理し、AIによってビジネスの変革を導くためにリーダーシップチームに求められる役割、AI CoE(AI導入の推進チーム)がいかにして組織としてのAI活用に貢献できるかをご説明しています。
    • ブログ記事「GENIAC における計算リソース提供者として AWS が選定されました」を公開
      7月16日に公募が開始された、経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)が推進するGENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)のリソース提供者としてAWSが選定されました。今回の選定についてのAWSの思いや、AWSに対して頂いたコメントを掲載しています。

サービスアップデート

    • Amazon SageMaker Canvasでファインチューニングした基盤モデルを本番環境で活用可能に
      Amazon SageMaker Canvasはコーディング不要で、機械学習による正確な予測や生成AIの機能を活用できるサービスです。SageMaker CanvasではAmazon Titan ExpressやFalcon-7B-Instructなどのモデルに対して、Amazon BedrockとAmazon SageMaker JumpStartを介した基盤モデルのファインチューニングができるようになっています。今回、SageMaker Canvasでファインチューニングを行った基盤モデルについて、SageMakerの推論エンドポイントにデプロイができるようになりました。これによりSageMaker Canvasで作業した成果を、他のサービスで実行されるアプリケーションに組み込むことが容易になりました。
    • AWS IAM Identity CenterでAmazon Q Developerのセッション時間を他と独立した値に設定可能に
      AWS IAM Identity CenterでAmazon Q Developerのユーザ認証に適用されるセッションの持続時間を、他のサービスからのセッション持続時間とは独立して設定できるようになりました。例えば、Amazon Q Developerには90日間のセッション持続時間を、他のサービスには15分間を、という個別の設定ができるようになり、ユーザ体験の最適化が可能です。

著者について

Masato Kobayashi

小林 正人(Masato Kobayashi)

2013年からAWS Japanのソリューションアーキテクト(SA)として、お客様のクラウド活用を技術的な側面・ビジネス的な側面の双方から支援してきました。2024年からは特定のお客様を担当するチームを離れ、技術領域やサービスを担当するスペシャリストSAチームをリードする役割に変わりました。好きな温泉の泉質は、酸性-カルシウム-硫酸塩泉です。