AWS と Amazon EC2 スポットインスタンスを使用することにより、Fugro Roames は、Ergon Energy が植物管理に要する年間コストを 1 億 AUD から 6,000 万 AUD に削減できました。 
Josh Passenger 氏 Fugro Roames のテクニカルアーキテクト

Fugro Roames は Ergon Energy 内の一事業部門 (クイーンズランドを拠点とする電力分配網の運営および小売業) として設立され、顧客が架空送電線網の状況と性能をネット経由で調査できるようにする資産管理サービスを提供しています。Ergon Energy は、オーストラリアで最も地理的に分散した電力網を管理するというユニークな課題のために Fugro Roames を設立しました。150,000km 以上に分散した架空送電線が 115 億 AUD (88 億 USD) の資産基盤となっており、この送電線はブリスベン北部からパプアニューギニア近辺の島まで広がっています。ビジネス事例としては、植生と架空線の間に距離があることを保証し、サービスの停止、感電事故、火災などのリスクを最小限にすることです。

Ergon Energy は、世界中の電力会社にこのサービスを提供するために、2014 年 3 月にオランダに拠点を置く Fugro に Roames を売却しました。Fugro Roames は現在カメラとレーザーセンサーを装備した飛行機を運行し、顧客の電力網の上空を飛行して、電線と周りの環境の詳細な 3D モデルを構築するためのデータを収集しています。そして分析を行い、ネットワーク資産を顧客のルールに従って運営し、レポートを提出します。このレポートを利用して、チームは優先順位をつけ、保全と植生の整理などの予防活動を遂行するのです。

Fugro Roames は、当初オンプレミスのデータセンターでサーバー、ストレージ、ネットワーク、および関連システムを稼働させていました。しかし、Fugro Roames のテクニカルアーキテクトを務める Josh Passenger 氏が「かなり伝統的なスーパーコンピュータのツールを利用したスーパーコンピュータに適した環境」と表現する環境を構築し始めると、断続的に空調が停止したり、ストレージ入出力動作の速度が不十分であったり、といったインフラストラクチャの制約がすぐに明らかになりました。

「我々にはビルのメンテナンススケジュールが付きまとっていたので、システムを冷却するためだけに、時間外に仕事をしなければならない時もありました」と Passenger 氏は語ります。「さらに、オンプレミスのストレージクラスターの容量を増やせば増やすほど、冷却を強くする必要がありました。我々は数カ月でオンプレミスのデータセンターの処理能力を超えてしまいました。」

Fugro Roames は、増大するデータの流入を取り込み、処理を引き受け、分析の結果を保持するために、ストレージとバックアップシステムを拡大し、その際に厳しい課題を経験しました。

「実際に当社のインフラストラクチャで処理能力の 2 倍、3 倍が必要となる需要のピーク時間帯には特に苦労しました。」と Passenger 氏は語ります。「当社には月曜日の朝一番に用意されるデータを必要とする下流のプロセッサーがありましたが、当社のインフラストラクチャでは配信できませんでした。需要のピーク時間帯に対応する物理的なインフラストラクチャに十分な余裕を追加するコストはかなり法外な金額となり、当社では手詰まりとなりました。」

オンプレミスのデータセンターで 1 年が経つと、Fugro Roames 氏は、データの取り込み、分析、およびレポーティングのシステムのために、代わりとなるインフラストラクチャの選択肢を探し始めました。クラウドサービスを詳しく検討した結果、アマゾン ウェブ サービス (AWS) を利用するという提案に至りました。

「AWS によって柔軟性が得られ、異なるオペレーティングシステムで処理するさまざまなワークロードが単一アーキテクチャに変わるのです」と Passenger 氏は語ります。Fugro Roames は、AWS API (アプリケーションプログラミングインターフェイス) の成熟度、AWS から提供される詳細なマニュアル、短時間でプロトタイプを動かして何らかの成果を早い段階で得る能力にも感銘を受けました。そしてこれが、パブリッククラウド環境への移行に不安を感じていた保守的なチームメンバーを動かすことになりました。

移行期間中の通常業務活動とのバランスをとって、Fugro Roames は、2012 年にクラウドへの移行を開始しました。現在はすべてのワークロードを Amazon アジアパシフィック (シドニー) リージョンの AWS インフラストラクチャで実行しています。

不正アクセスや破壊からデータを保護するために、数多くのソースから入ってくる未加工データはサーバーにロードされると、10GB/秒 の AWS Direct Connect リンクで、Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC) で稼働している AWS アーキテクチャに送られます。未加工データと加工データは共に Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) に保存されます。一方、コンピュータの処理能力の大きさを変更するのは、Windows または Linux オペレーティングシステムで実行しているオンデマンドおよび予約済みの Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンスを組み合わせることで対応します。

Amazon EC2 Spot Instances をうまく計算して使用することで (AWS クラウドで使用可能な EC2 の処理能力が使用されなければオンデマンド価格の最大 90% 引きで提供される)、Fugro Roames は Passenger 氏が「重労働のコンピュータ処理」と表現していたワークロードのコストをオンデマンド Amazon EC2 インスタンスの使用コストの 1/8 まで削減できました。Amazon DynamoDB で実行するデータベースは Amazon EC2 スポットインスタンスからの同時アクセスをサポートしていますが、加工されたデータはアーカイブするために Amazon Glacier に送信されます。メッセージは Amazon Simple Queue Service (Amazon SQS) を使用して AWS アーキテクチャのさまざまなコンポーネント間で配信されます。Amazon Redshift データウェアハウスは、クライアントの情報をまとめてモデル化します。Amazon CloudFront は VPC とエンドユーザー間のコンテンツデリバリネットワークとして使用され、一方 Elastic Load Balancing はトラフィックをバランスよく振り分けるのに使用されます。 

「AWS アーキテクチャに移行したことで私の肩の荷が下りました」と Passenger 氏は語ります。「当社はローカルインフラストラクチャの制約から抜け出すことができた一方で、無制限のストレージの恩恵を享受しています。」

Fugro Roames は AWS サポート によって提供される企業レベルの専門知識を活用し、あらゆる技術的な問題を克服しています。「AWS サポートは極めて信頼性が高く非常に知識が豊富であることが分かりました」と Passenger 氏は語ります。「こちらがいくつかの技術的な質問をしてサポートデスクが回答できない場合は、非常に詳細かつ有益な回答が返せるレベルまで、あっという間にエスカレーションされます。」

Fugro Roames のチームメンバーは AWS のスキルを身につけることに熱心で、オンライントレーニングングのコースや関連するリソースだけでなくアーキテクチャコースも受講しました。「当社には月に 1 度 AWS のテクニカルアーキテクトの訪問があり、今後の開発の要点を説明し、私たちの質問に答えてくれます」と Passenger 氏は語ります。

下図は AWS における Fugro Roames の環境を示したものです。

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AWS のサービスとツールを使うことで、Fugro Roames は Ergon Energy の電力網に近接している 1 億本の樹木の詳細といった粒度の細かい大量のデータを取り込み、電線の保護を担当する現場のチームに対してタイムリーに正確なレポートを作成できます。

「AWS と Amazon EC2 スポットインスタンスを使用することにより、Fugro Roames は、Ergon Energy が植物管理に要する年間コストを 1 億 AUD から 6千万 AUD に削減することができました。」と Passenger 氏は語りました。Fugro Roames 社内では、技術的な設備投資コストが 95 パーセント近く削減でき、インフラストラクチャ管理専門の 常勤社員 5 人のチームは不要になりました。AWS では、99.999 パーセント以上のインフラストラクチャの可用性も提供されます。

Fugro Roames の顧客ニーズへの対応は大幅に改善されました。2015 年 2 月には、サイクロン Marcia (米国のハリケーン Katrina と同じランクに分類された事象) による被害を視察するため、Fugro Roames の飛行機がクイーンズランド北部に飛行しました。

「当社の飛行機がデータを収集し、私たちがそれを処理して加工し、災害復旧センターへ送信しました。」と Passenger 氏は語ります。「AWS に感謝します。Ergon Energy で使用できる、詳細な Google Earth の画像を入手し、翌朝までに緊急サービスを受けました。これによって、被災地に必要な発電機の供給やできる限り早い電力の復旧など、電力網の復旧の優先順位を付けることができました。最大 70,000 人が停電の影響を受けましたが、Ergon Energy はこれまでの記録を短縮し、10 日以内にすべてを復旧することができました。」

過去のデータも簡単にアクセスできます。「当社はお客様にわずか数分で 3 年前までのデータを提供できます。」と Passenger 氏は語ります。

Fugro Roames はまた、より迅速かつ精力的に、顧客の要求に合ったサービスをカスタマイズできるようになりました。こうしたことが数週間ではなく数時間で着手できます。「開発者は今では複数のコンピュータにまたがる巨大なデータセット上のアルゴリズムを実行できるようになっています。開発者は 1 週間に 3、4 回のシナリオテストを行っていたのが、1 週間に 100 回のテストが行えるまでになりました。」と Passenger 氏は語ります。「結果的にフィードバックがはるかに速くなり、サービス提供の対応時間がかなり短くなります。デスクトップで実行に 1 年はかかるアルゴリズムの中には、AWS のインフラストラクチャでは 2 時間しかかからないものもあります。」

このビジネスは現在、英国への展開に成功し、アイルランドの AWS で存在感を確立させた後、他の市場での機会を探っているところです。

Passenger 氏は、Fugro Roames は AWS に非常に満足している、と言います。「AWS のイノベーションと改善の速度は、Fugro Roames がフォローするモデルとぴったり合っています。」と Passenger 氏は語ります。「当社は AWS による変化の割合が非常に高いことが分かっています。つまり当社は分析やサービスを実施する際に新しい方法を活用できるということです。」  

AWS のビッグデータと分析、および IT コスト削減のために Amazon EC2 スポットインスタンスを利用する方法についての詳細。