World Fuel Services が 2 年で 20 のデータセンターを AWS に移行し、コストを 50% 削減

2021 年

2018 年までに、世界的な燃料プロバイダーである World Fuel Services (WFS) は、事業買収により 22 のデータセンターを有するようになり、その多くで Windows や Microsoft SQL Server のワークロードが稼働していました。これらの自律的なレガシーシステムの運用には高いコストがかかっており、テクノロジーのモダナイゼーション、データセンターの統合、およびコスト削減の必要性が指摘されていました。

WFS は、すべてのワークロードをクラウドに移行する取り組みを開始し、その幅広いサービスとグローバルフットプリントを理由に Amazon Web Services (AWS) を選びました。WFS は AWS Migration Acceleration Program (AWS MAP) for Windows を利用してこの取り組みを開始することにしました。その目的は、AWS のツール、パートナーエコシステム、および組織のクラウドへの移行をサポートしてきた 11 年間の経験から恩恵を受けることにありました。移行コストを抑えるために、WFS はクラウドエコノミクスチームを設けるとともに、AWS アドバンストコンサルティングパートナーである Kinect Consulting の専門知識を活用しました。その結果、2019 年に、WFS はわずか 2 年間で 20 のデータセンターを AWS に移行し、7 桁のコスト削減を実現しました。

Big gas-tank goes on highway
kr_quotemark

 AWS Application Migration Service のおかげで、移行が迅速に行われ、プログラム全体をスムーズにリリースすることができました” 

Jason Astacio 氏
World Fuel Services、Vice President of Cloud Infrastructure

AWS でグローバルリソースとクラウド文化を追求する

WFS は、航空、海上、陸上輸送業界に対して、エネルギー調達アドバイザリーサービス、サプライフルフィルメント、取引および支払い管理ソリューションを提供しています。1984 年の設立以来、WFS は組織的拡大と戦略的買収を通じて成長してきました。22 のデータセンターの独立したシステムの運用に多くの人員リソースを割かなければならなかったため、包括的なビジネス戦略を実行することはほぼ不可能でした。WFS は、コストと人員の効率を最適化し、成長に合わせたスケーラビリティを実現するためにデータセンターを統合する必要がありました。

2018 年に WFS は複数のクラウドプロバイダーを評価した結果、グローバルフットプリント、セキュリティとコンプライアンスの能力、サービス改善のための研究開発に 226 億 USD を投資したことを理由に AWS を選びました。「AWS は世界各地に拠点を有しているため、当社はコンピューティングを各地に分散できるとともに、チームメンバーが以前の役割で確立したパートナーシップを活用できました」と WFS のクラウドエンジニアリング担当ディレクターである Avi Boru 氏は述べています。「当社のリーダーシップチームとエンジニアリングチームはどちらも AWS との連携を望んでいたので、容易にコンセンサスが得られました」

2 年間で 20 のデータセンターを AWS に移行する

WFS 内の IT スタッフとエンジニアリングスタッフはクラウドの専門知識が必要だったため、チームが AWS のアプローチを採り入れるための取り組みを開始しました。同社は、2021 年末までに IT スタッフの 85% が AWS 認定クラウドプラクティショナー以上の資格を取得することを計画しました。目標は、従来のエンジニアを、スクリプティングと Infrastructure as Code に重点を置いたクラウドエンジニアリングチームに変革することでした。WFS はまた、AWS トレーニングと認定を利用して、クラウドサービスエンジニアリングチームに採用された最近の新卒者の学習曲線を平準化しました。「クラウドエコノミクスチームのメンバーとして、新鮮な視点を持つ新しい人材、つまり AWS を利用したことのない新卒レベルのエンジニアを選びました」と WFS のクラウドインフラストラクチャ担当バイスプレジデントの Jason Astacio 氏は述べています。「私たちは達成したい成果をメンバーに示し、メンバーはゼロから始めました。その際には、稼働率とコストを削減するために、AWS が提示した成功パターンに添いました」

クラウドエコノミクスチームは、コストを 3 倍増にするであろう移行バブル (データセンターとクラウドの冗長インフラストラクチャ) を特定しました。クラウドエコノミクスプログラムはコスト管理戦略に焦点を当て、移行バブルを軽減するのに役立つ AWS トレーニングと認定リソースを使用しました。迅速な移行のために、WFS は、AWS MAP と、クラウド移行を簡素化、迅速化、低コスト化する自動リフトアンドシフトソリューションである AWS Application Migration Service (CloudEndure Migration) を使用しました。「AWS Application Migration Service のおかげで、移行が迅速に行われ、プログラム全体をスムーズにリリースすることができました」と Astacio 氏は述べています。

同社はアプリケーションポートフォリオから移行を開始し、最初の四半期に 10 個のアプリケーション、次の四半期に 40 個、その次の四半期に 60 個のアプリケーションを移行しました。2020 年末までに、WFS は四半期ごとに 100 個のアプリケーションを移行しました。その後、WFS は、フルマネージドのコンテナオーケストレーションサービスである Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS) の使用を開始しました。WFS は AWS Lambda を利用することで、サーバーのプロビジョニングや管理を行うことなくコードを実行できるようになり、インフラストラクチャのメンテナンスについてのスタッフの責任が軽減されました。「AWS Lambda はいつでも頼りになる存在です。利用できる適切な AWS のサービスがない場合は、コードを記述して、それを既存のサービスの拡張機能とするだけで済むからです」と Boru 氏は述べています。同社は、高速コンテンツ配信ネットワークサービスである Amazon CloudFront と一緒に使用するカスタムリソースを作成してデプロイしました。

クラウドエコノミクスチームは移行全体を通じてプロセスをモニタリングし、コストのショーバックとチャージバックを注視する製品チームとなりました。チームは、企業がインタラクティブなダッシュボードを作成して共有できるようにするフルマネージド型ビジネスインテリジェンスサービスである Amazon QuickSight などのツールを使用して、支出に関するインサイトを得ました。その結果、WFS は 2020 年に、月々のコストを 50% 削減し、支出のさらなる増加を回避しました。「Amazon QuickSight は、すべてのリージョンと AWS アカウントにわたるグローバルなコストに関するコンテキストを提供するのに役立ちます」と Boru 氏は説明します。「使用状況は整っており、コストは急増していません」。

AWS で最適化を続ける

WFS は、考えられる将来的な収益を実現するために、再生可能エネルギーへの投資を評価しています。同社は気象パターンと市場予測を分析して、風力発電所への投資をヘッジするか、または投資を実行するかを決定しようとしています。こうした取り組みのため、同社は、デベロッパーが機械学習モデルを構築、トレーニング、デプロイするのをサポートするフルマネージドサービスである Amazon SageMaker を選択しました。

WFS は現在、エンタープライズリソースプランニングに Oracle E-Business Suite ソリューションを実行していますが、このソリューションと関連アプリケーションを AWS に移行する予定です。WFS は、サイズ変更可能なコンピューティングキャパシティを提供する Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) における統合の機会も模索しています。WFS は、Amazon EC2 インスタンスを Amazon ECS 上で実行するコンテナ用に変換することを希望しており、2021 年には残り 2 つのデータセンターに取り組む予定です。「当社は 1 つのサービスだけを利用しているのではなく、フリート全体を利用しています」と Astacio 氏は述べています。「これらのサービスが連携して機能すること、そして AWS がサービス内容のイノベーションを継続していることを理解しておくのは、当社にとって重要です」


World Fuel Services について

フロリダ州マイアミに本社を置く World Fuel Services は、200 を超える国と地域の航空、海洋、陸上輸送業界の商工業企業にエネルギーソリューションを提供しています。

AWS の利点

  • 月々のコストを 50% 削減
  • コストの大幅な増加を回避するためにクラウドエコノミクスプログラムを作成
  • 2 年間で 20 のデータセンターを AWS に移行
  • 2021 年に IT スタッフの 85% が AWS 認定クラウドプラクティショナーになるための取り組みを推進
  • 2020 年の各四半期において、その前の四半期よりも多くのアプリケーションを移行

使用されている AWS のサービス

AWS Migration Acceleration Program (MAP) for Windows

既存の AWS MAP プログラムの拡張である AWS Migration Acceleration Program (MAP) for Windows は、AWS のサービス、ベストプラクティス、ツール、およびインセンティブを利用して、組織が移行目標をより迅速に達成するのに役立つように設計されています。

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AWS Application Migration Service

CloudEndure Migration ベースの AWS Application Migration Service (AWS MGN) を使用すると、変更を加えることなく、最小限のダウンタイムで、アプリケーションをクラウドに移行するメリットをすばやく実現できます。

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Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS)

Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS) はフルマネージドのコンテナオーケストレーションサービスであり、コンテナ化されたアプリケーションを簡単にデプロイ、管理、スケールするのに役立ちます。 

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AWS Lambda

AWS Lambda はサーバーレスコンピューティングサービスで、サーバーのプロビジョニングや管理、ワークロード対応のクラスタースケーリングロジックの作成、イベント統合の維持、ランタイムの管理を行わずにコードを実行できます。 

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開始方法

あらゆる業界のさまざまな規模のお客様が、AWS を活用してビジネスを日々変革しています。AWS のエキスパートにお問い合わせのうえ、今すぐ AWS クラウドジャーニーを開始しましょう。