National Rail Enquiries (NRE) は、英国内の鉄道運営会社 (TOC) に中央集中型のオンラインサービスを提供しています。NRE は、1996 年、複数の鉄道運営会社によって設立されました。業界が民営化を始めたころのことです。当初は主に電話業務で、年間 6,200 万件の電話を受けていました。現在はほぼ完全なオンラインプロビジョンに移行し、旅行者はより簡単に旅行を計画したり、旅行のアドバイスを受けたりできるようになりました。NRE は複数の TOC が所有する民間企業です。毎年、NRE から TOC に移行されるチケット売り上げは約 2 億 5,000 万ポンドです。デジタルチャネルへの平日のアクセス数は 100 万件を超え、iPad、iPhone、Android 搭載端末へのアプリケーションのダウンロード件数は 500 万件を超えます。

NRE サイトでは、チケットを購入するための他のサイトへのパススルーを含め、総合的なオンライン旅行計画機能を提供しています。お客様が気軽に鉄道を利用できるようにすることに取り組む企業として、モバイルサイトにおける一貫性のあるサービスは不可欠でした。アマゾン ウェブ サービス (AWS) と契約する前は、NRE では 2 つの従来型のデータセンターを運用し、それぞれのデータセンターで 100 台を超える物理サーバーをホストしていました。一貫性のあるサービスを維持するため、NRE では、サイトが通常の日の 3~4 倍の負荷にいつでも対応できるよう十分な台数のサーバーを確保していました。豪雪など、鉄道のダイヤの乱れたときに生じる高い負荷に対応できるソリューションが必要でした。

この過剰な処理能力は、ルールではなく、例外だったため、使用率はアーキテクチャの能力の 10% ほどの低さでした。「鉄道ダイヤが乱れた場合に処理能力を即座に追加する必要があったことから、所有していた物理ハードウェアを活用しきれていませんでした。柔軟に追加できなかったため、初めから設定しておく必要があったのです」と NRE のオンライン部門トップである Jason Webb 氏は述べています。

データセンターのソリューションの契約が終了し、ホスティング戦略リーダー Gary Ashby 氏は新しい戦略、つまり、柔軟性、効率性に優れ、高性能で、コスト効率の良い戦略の決定に取りかかりました。NRE は 1 つのサービスプロバイダーで、アプリケーションからホストまで、サービスのすべての要素をまかなっていたので、より柔軟性に優れた、商品として普及しているモデルを必要としていました。「これは、NRE がどうすればマルチソースアプローチに移行できるかを検討すること、つまり、サプライチェーンを壊し、商品サプライヤーを検討して、効率性を高める一方でそのサプライチェーンも無駄なく活用できる最適な方法を把握することでした」と Ashby 氏は述べています。

NRE では、インフラストラクチャプロバイダーと IT コンサルタントの両方を同時に検討し、最終的に Amazon Partner Network (APN) のプレミアコンサルティングパートナーである KCOM をコンサルタントとして選び、商品化インフラストラクチャのプロビジョンに AWS を選びました。「これは多様性に優れたサービスで、当社では二重のアベイラビリティゾーンにまたがってセットアップしました。サービスにリンクする方法についても高度なメカニズムを採用しています。インターネットを通して直接接続するだけでなく、AWS Direct Connect を使用して幅広い仮想プライベートネットワーク (VPN) や固定回線オプションも取り入れています」と Ashby 氏は述べています。

NRE では、オンラインアプリケーションにサービスを使用し、複雑で、使用頻度の高い計算アプリケーションをバックグラウンドに置いて、データベースと高負荷の計算エンジンを実行することで、経路とチケットオプションを計算しています。サーバーの数は 200 台から 140 台ほどの仮想インスタンスに削減されました。ソリューションには、Amazon EC2Elastic Load Balancing、マルチ AZ デプロイの Amazon RDS が含まれます。Windows Server の実行には SQL Server を使用しています。

Level 3 Communications を使用して通信アーキテクチャを補完し、インターネットや VPN を通して接続するだけでなく、携帯電話や携帯端末からも接続できるようしています。以下にこのシステムの図を示します。図 1 では、Common Interface Environment (CIE) によって、AWS Direct Connect、VPN、安全な接続から NRE システムへのすべてのトラフィックと通信を制御しています。

nre-arch-diag

図 1: Common Interface Enviornment (CIE)

新しいサービスのテスト環境とともに、2013 年 1 月に導入が開始されました。最初のテスト環境が本稼働になったのは 3 月のことです。その時点から 2013 年 10 月まで、NRE では、通信アーキテクチャが正しく稼働するようシステムの移行準備に取り組みました。「実際のアプリケーションを AWS で実行することを思いつくのに時間はかかりませんでした。きわめて単純なことでしたよ。時間がかかる処理に対応するものがすべてそろっていたのですから。例えば、従来よりホストされている、鉄道業界の中心の全英予約システム (NRS) への接続には、安全な固定リンクの接続が必要ですし、NRE サービスを使用する TOC やパートナー組織への、幅広い固定リンクや VPN を通した接続も必要です」と Ashby 氏は述べています。

KCOM は、AWS に移行する NRE にサービスを提供するアプリケーションプロバイダーをサポートしました。また、このコンサルタント会社は、AWS の各種サービスの最適な使い方に関する詳細な分析情報も紹介し、NRE に統合サービスデスクとサポートを提供しています。「KCOM がなかったら、本当に苦労したと思います。優秀なパートナー、つまりこの仕組みと実行すべきことを理解している人が必要ですね」と Ashby 氏は述べています。

導入で問題が発生したときに NRE が利用したのが、AWS サポートと、AWS アカウントマネージャーからのアドバイスです。「プロセスに沿ってサポートしてくれましたし、必要とする支援を常に受けられるようにしてくれました。問題をじっくりと考えられるようにサポートしてくれました」と Ashby 氏は言います。NRE の IT プロフェッショナルは、Ashby 氏いわく、「何ができるか、どうすれば短時間で物事を順調に進められるようになるか、といったことを含め、AWS とは何か、AWS の仕組み、商品プロビジョンの本来の意図を理解することに役立つ」トレーニングにも参加しました。

AWS を使用して、NRE はインフラストラクチャのコストを約 20% 削減できました。この移行は、長期的な CAPEX モデルから OPEX モデルへの NRE の移行にも役立ちました。「これにより、柔軟性とこうしたコストの管理を非常に向上させることができました」と Ashby 氏は述べています。AWS の従量課金制のモデルも会社にとってプラスとなり、コストに細心の注意を払い、可能な限りコスト効率を高められるようになりました。

また、AWS を使用することでプロビジョニングと変更も簡単になりました。「AWS を使用することでセットアップの柔軟性が非常に高くなりました。俊敏性の点で、そして迅速に対応できるようになったことは大きなメリットですね」と Ashby 氏は述べています。
このソリューションは NRE にとって新しいものではありますが、既にそのソリューションを新しい機能のテストに使用しています。「NRE はデータ管理などの領域におけるチャンスと進化を有効に活用しています」と Ashby 氏は述べています。

NRE は、AWS ソリューションを、特にお客様に対する可用性の点で非常に成功を収めていると評価しています。NRE が新しいシステムを立ち上げたその日、英国は 30 年間で一番激しい嵐に見舞われました。負荷は以前の非常に多忙な日より 60% 増加しましたが、サービスはほぼ利用可能な状態を保ち、サイトユーザーは嵐の間もシステムにアクセスできました。NRE での商品化インフラストラクチャの採用は成功を収め、今では鉄道業界の他の企業も同じ戦略の一部をどう採用できるかを検討しています。

「AWS を使用することで、インフラストラクチャのコストを 20% 削減できただけでなく、需要に動的に対応する柔軟性も手に入れることができました」と Ashby 氏は述べています。

AWS がクラウドプラットフォームのニーズにどう対応できるかの詳細については、クラウドコンピューティングとはをご覧ください。

KCOM による AWS クラウド実行のサポートの詳細については、AWS パートナーディレクトリKCOM 社の情報をご覧ください。