SSV データウェアハウスを AWS で運用すると、従来のテクノロジーでデータウェアハウスをホストしてライセンスを利用する場合に比べて、TCO が約 3 分の 1 になると試算しました。
Glen Yarwood 氏 IT 運用責任者

ナショナルトラストは英国で最大の会員制組織です。会員数は 400 万人を超え、管理する資産には毎年 2,000 万人を超える人々が訪れます。主な目的は、"歴史的な場所や空間を、永遠に、あらゆる人のために保護する" ことで、1895 年に設立されて以来、歴史的な建物、景観、庭園の保存に注力し、その目的のために活動してきました。ナショナルトラストは、約 6 万 7,000 人のボランティアのネットワークと最大 1 万 5,000 人の従業員 (時期によって変動する) に支えられて、広範囲な運営をスムーズに維持し、英国中の会員と訪問者にすばらしいサービスを提供しています。

ナショナルトラストは、シングルサポータービュー (SSV) とも呼ばれるデータウェアハウスを作成して、CRM、イベント予約、オンラインショップのデータを含む、複数のオペレーティングシステムから取得したデータを保持することを検討していました。目的は、会員やその他の支援者が組織内のさまざまな部門とやり取りする時間や場所など、あらゆる情報を把握することです。支援者とナショナルトラストとのやり取りについてのこのような情報は、マーケティング面の可能性という意味では画期的なものであり、最終的には、英国のこの著名な慈善団体による、国の遺産を保護する活動を継続させることにつながります。

ナショナルトラストの IT 運用責任者である Glen Yarwood 氏は、「会員や訪問者の住所、訪問パターン、ナショナルトラストの利用方法など、情報をもっと把握したいと考えていました。すべての情報は保存されていましたが、いくつかのシステムに分散していました。このようなデータすべてにアクセスできるようにすれば、ターゲットを絞ったプロモーションをより効果的に行い、マーケティングキャンペーンの効果を向上させることができます」と言います。

ナショナルトラストの課題は 2 つありました。1 つ目は、SSV を立ち上げて運用するための適切な IT ソリューションを見つけることです。2 つ目は、組織の戦略的な取り組みが拡大した場合にテクノロジーも進化できるように、しかもコスト効率が良くビジネスを中断せずにすむ方法でこれを実現することです。

Sirocco Systems (ナショナルトラストの主要な IT プログラムのいくつかで協力関係にあるマネージドサービスプロバイダー) の責任者である Martin Brambley 氏は、「SSV を実現する最適な方法はナショナルトラストの IT 運用をクラウドに移行することだというのは明白でした。AWS のテクノロジーとナショナルトラストのニーズは、両方とも理解していました。特に、ナショナルトラスト全体にわたるカスタマーチャネルすべてのあらゆる情報を把握できるようにするには、Amazon Redshift が適切な製品だと考えました」と言います。

Yarwood 氏はさらに、「プロジェクトの開始時に、Amazon Redshift はリリースされたばかりでした。画期的なテクノロジーであることは明白で、SSV のビジョンを実現するためにまさに必要としていたものでした」と言います。

Sirocco Systems では、データウェアハウスとして機能する Amazon Redshift に加え、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)、Amazon Simple Storage Service (Amazon S3)、Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC) を使用して環境を構築しました。Brambley 氏は、「Oracle Data Integrator (ODI) を実行する EC2 Linux サーバーを数台運用しています。これは、抽出、変換、ロード (ETL) のプロセスを実行するための主要なツールであり、使用するすべてのシステムがこのツールとシームレスに相互運用できるようにすることが不可欠でした」と言います。

ナショナルトラストのさまざまなソースシステムから取得したデータは Amazon EC2 に取り込まれ、暗号化されてから、Amazon S3 にロードされます。データはそこから Amazon Redshift に転送されます。この後、ODI からプロセスがトリガーされ、データが単一のビューにマージされます。

会員と支援者の膨大な量のデータを処理するため、セキュリティが重要な要件になります。「当社のデータは欧州で保存されており、これはセキュリティの観点から重要です。AWS を使うことで、データを保存する場所と方法、およびユーザーごとのアクセス権限を完全に管理できます。このようにデータを管理でき、暗号化も徹底しているため、ナショナルトラストのデータが保護されているという安心感を持てます」と Brambley 氏は言います。

次の図は、ナショナルトラストのデータウェアハウスと分析のアーキテクチャを表しています。

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SSV はナショナルトラストが支援者の行動をより詳しく把握するうえで中心となるツールです。Yarwood 氏は、「常に組織として成長し、活動の幅を広げていきたいと考えていますが、取り組みの内容と同時に、コストに注意する必要があります。プロジェクトの開始時に Sirocco Systems のスタッフと話し合った際、SSV データウェアハウスを AWS で運用すると、従来のテクノロジーでデータウェアハウスをホストしてライセンスを利用する場合に比べて、TCO が約 3 分の 1 になると試算しました。基本的には、SSV のビジョンを実現できたのは、ソリューション、特に Amazon Redshift が手頃な価格であったためです」と言います。

Brambley 氏はさらに、「従来の設定では、プロジェクトを進めるだけでも多額の CapEx が必要になりました。しかし、AWS を使うと、全体的な総所有コスト (TCO) が削減されるだけでなく、多額の先行投資も不要になりました」と言います。

また、システムのキャパシティーが大きく、スケールできるため、現在 3 TB であるデータを簡単に 2 倍、3 倍に増やせます。ただし、増やした分のコストがそのまま発生するわけではありません。「このシステムを AWS で構築することの利点は、取り込むデータの量を 2 倍にした場合でも、料金は 20% しか増加しない点です。しかし、従来のテクノロジーを使用してシステムを構築した場合、ハードウェア全体を変更する必要があり、コストは少なくとも 2 倍になります」と Brambley 氏は言います。

Yarwood 氏は、「より規模の大きな SSV に向けて動き始めたばかりですが、AWS を使うと、支援者に関する詳細な情報を確認できるようになります。どの会員がナショナルトラストで祝日の予定も予約したか、どの会員がオンラインショップを利用したかを初めて確認できるようになります。これは大きな変革です。支援者の情報をより詳細に把握すると、より効果的にニーズを予想できるようになります。Redshift の機能によって、分析結果を個々の資産に帰属できるため、訪問者の数を増やすための地域ごとのマーケティングキャンペーンを実施できます。AWS のテクノロジーは、部門レベルの作業を変えるだけでなく、組織全体を大きく変えるものとなりました」と言います。

ナショナルトラストでは、今後実施するプロジェクトの 1 つとして、SSV を主要なマーケティングツールとリンクさせることを検討しています。Yarwood 氏は、「データの完全な整合性と可視性によって、高度にカスタマイズしたマーケティングを実施し、より優れたサービスを支援者に提供できます。これにより、ロイヤルティを高め、ナショナルトラストの活動を拡大していくことができます」と言います。

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AWS パートナーネットワーク (APN) のスタンダードパートナー。Sirocco Systems は英国を拠点とする企業で、エンタープライズ情報システムの設計、構築、管理を行っています。

Sirocco Systems による AWS クラウド運用サポートの詳細については、AWS パートナーディレクトリSirocco Systems の情報をご覧ください。

データウェアハウスのニーズを満たすうえで AWS がどのように役立つかについては、Amazon Redshift の詳細ページをご覧ください。