AWS でデータベースを使うなら、Amazon Aurora を選択しない理由はないと思います。
会員システムでは多い時で秒間 250 を超える API アクセスがありますが、そのような処理が発生しても全く問題は出ていません。
また、フルマネージドの仕組みなので、運用管理は AWS にお任せし、サービス開発に人的リソースを注力することができています。
酒井 修平 氏 株式会社レコチョク 事業システム推進部 システム・アーキテクトグループ

2001 年に創業、昨年 15 周年を迎えた株式会社レコチョクは、携帯電話向けに世界初となる「着うた®」「着うたフル®」といった音楽配信サービスを展開、以来、国内の音楽配信サービスを牽引してきました。現在は、様々なデバイスでダウンロードが行える「レコチョク」、定額制聴き放題サービスの「レコチョクBest」、NTTドコモと協業で提供する「dヒッツ powered by レコチョク」をはじめ、B to B のサービスまで多様なサービスを次々と展開しています。また、最近では、アーティストのクリエイティブな企画と共感したファンをつなぎ、実現へサポートする共創・体験型プラットフォーム「WIZY」など、⾳楽を聴いてもらうだけでなく、体験やプラス α の付加価値をつけた新たな試みなどを提案して音楽市場の活性化や発展に貢献、注力しています。

レコチョクは今後も多様化するユーザーのニーズに応えるべく、多様なエンターテインメントコンテンツの提供に積極に取り組み、新たな提案を行う総合エンターテインメント企業を目指しています。

多様なサービスを展開するレコチョクにとって、もっとも重要となるのが楽曲データです。「楽曲数の増加や、動画、ハイレゾ音源などによるデータサイズの増加により、データ総量の正確な予測が難しくなってきました。」と⾔うのは、株式会社レコチョク 事業システム推進部 システム・アーキテクトグループの酒井 修平氏です。新しいサービスが立ち上がりさらに楽曲を増やしていく中で、ビジネスを拡張させるためには楽曲を蓄積するためのインフラを迅速に確保することが求められます。

また、多くのパートナー企業と⼀緒にサービスを立ち上げており、社内外のさまざまな要素が関係しているため、楽曲配信のための適切なインフラリソース容量を予測するのが難しいことも課題となっていました。

さらにサービスが増えたことで、サービスごとのコスト管理も課題の 1 つでした。これまではシステム単位で管理がなされており、どのサービスにどれくらいのインフラコストが発⽣しているかが分かりにくい仕組みとなっていました。レコチョクでは、これらビジネス上の課題を解決できる柔軟で堅牢なサービスインフラの調達が必要不可欠でした。

柔軟で拡張性にも優れたインフラを調達するため、レコチョクでは 2013 年頃からクラウドの利用を開始しました。まずはオンプレミスで開発、構築してきたサービスインフラのシステムを適宜クラウドへ移行することから始め、その際に選んだクラウドサービスが、AWS でした。「いくつかのクラウドサービスを検討した結果、サービスの数や新サービスの開発スピードなどの面で、AWS は圧倒的なものがありました。」(酒井氏)

レコチョクでは、システムの AWS への全面移行を決定し、まず Amazon EC2 や Amazon S3 、Amazon RDS などを中心とした環境へ、既存のオンプレミスシステムの移行を開始し、移行初期はオンプレミスとのハイブリッド環境で運用していました。

いくつかのサービスを AWS に移行し、安定性、柔軟性が⼗分であることを確認できたことで、その後新しく立ち上げるサービスについては AWS 環境で開発が行われています。その際にはシステム担当者が必要と判断したサービスを積極的に導入し、現在では 30 以上の AWS サービスを利用しています。

AWS への移行を進めていく中で、レコチョクで 1 つの課題となっていたのが顧客情報を管理する会員システムの移行でした。ビジネス上極めて重要となる顧客情報の管理では、システムの高い信頼性と可用性が求められます。そのためレコチョクでは、Oracle Database と Oracle Real Application Clusters(RAC)を組み合わせた構成でデータベースシステムを運用していました。これを AWS 化するため、Amazon EC2 の上に Oracle Database を導入する方法や Amazon RDS for Oracle を活⽤する⽅法が当初検討されました。「この方法では、高い可用性をどのように確保するか、さらに変更にどの程度の⼯数がかかるか検討する必要がありました。せっかく移行を行うのであれば、これまでのインフラで必要とされた運⽤管理を AWS に任せられる仕組みにしたいとも考えました。」(酒井氏)

これらの課題を解決するデータベースとしてレコチョクが選択したのが、Amazon Aurora でした。「会員システムでは、約 8 年間ほどの運用で約 1,000 万ユーザーの情報を管理しています。Oracle から MySQL へ移行する方法を採用したため、まず SQL の違いを吸収し Amazon Aurora で⼗分な性能を確保するためのチューニングなどを、1 ヶ月ほどで行いました。」(酒井氏)

その後はデータの移行を行い、並行運用によるテスト期間を経て、トータル 3 ヶ⽉ほどで Oracle RAC から Amazon Aurora への移⾏が完了しました。

この会員システムのデータベースを移行できたことで、レコチョクでは 2016 年 4 月までにはコアとなるシステムの AWS への移⾏が完了し、2017 年 3 月には、すべてのシステムの AWS 移行が完了する予定です。

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AWS への移行を行ったことで、サービスごとに利⽤しているインフラが明確化できたのは大きなメリットとなりました。また、「オンプレミスではある程度余剰を抱える必要がありましたが、AWS に移行してその余剰を抱える必要がなくなりました。オンプレミスの頃と比べるとマシンリソースの利⽤が 30% 程度に抑えられました。」(酒井氏)

レコチョクでは、サービスインフラの調達や管理は、基本的にサービス開発を行うチームが行っています。インフラチームから運用ルールの決め方などある程度のスキルトランスファーは受けたものの、その後は開発チームのメンバーだけで AWS 環境の日常的な運用管理を行うことができています。 これにより、簡単にインフラを⼿配できるため調達時間を⼤幅に短縮できるだけでなく、マネージドサービスの活用により運用負荷も軽減ができ、大きなメリットとなっています。「Amazon Aurora がフルマネージドの仕組みなので、運用管理を AWS にお任せし、開発チームはサービス開発に⼈的リソースを注⼒することができています。」(酒井氏)

さらに Amazon Aurora であれば、メンテナンスの際にも基本的には⽌まることがないため、パートナーと⼀緒にサービスを提供するレコチョクにとって大きなメリットとなっています。また、Amazon Aurora により、Oracle RAC で複数ノードを利用していた際のデータベースソフトウェアのライセンス費⽤も、⼤きく削減することができています。

会員システムでは、ユーザー ID の管理やサービスへのログイン、ログアウトの管理だけでなく、登録端末数の管理や好きなアーティストを登録する『My アーティスト』情報の管理など多様な機能を担っていますが、アーティストや楽曲が TV などで話題になり、お客様が一気にダウンロードしようとすると、レコチョクの会員システムへのアクセスも集中し、負荷が急増することがあります。「会員シテムには各種サービスから API でアクセスします。多い時には秒間で 250 を超える API アクセスがありますが、Amazon Aurora では全く問題は出ていません。レスポンス遅延なども全くありませんし、問題なくアクセスを捌くことができています。」(酒井氏)

レコチョクでは、今後サーバーレスの仕組みを構築できる AWS Lambda の導入が検討されています。「AWS Lambda はシステム間の連携などで使えば、かなり便利になるだろうと考えています。AWS のサービスは、信頼性の⾯などを細かくチェックする必要がないところがとても使いやすいです。さらに、各種セキュリティ認証なども取得しており、安全性の面でも不安はありません。」(酒井⽒)

また、レコチョクでは、現在 PostgreSQL で動いているデータベースシステムについて、PostgreSQL 互換の Amazon Aurora のサービスが本格展開され次第順次置き換えを実施していく予定です。「今回 Amazon Aurora を使ってみて、そのメリットを強く感じています。」(酒井氏)

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- 株式会社レコチョク 事業システム推進部 システム・アーキテクトグループ
酒井 修平 氏

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