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AWS Machine Learning Research Awards の発表

AWS Machine Learning Research Awards の発表です。この新しいプログラムでは、Machine Learning (ML) の斬新な研究に取り組む大学の学部、教授、博士課程の学生、および博士号取得後の研究者に資金援助を行います。このプログラムに基づいて、現在、カーネギーメロン大学、カリフォルニア工科大学 (Caltech)、ハーバードメディカルスクール、ワシントン大学、およびカリフォルニア大学バークレー校との提携を進めています。

AWS クラウドのスケールおよびパフォーマンスを、Apache MXNet、Tensorflow、Caffe2、Microsoft Cognitive Toolkit (CNTK)、Pytorch などの強力なフレームワークと組み合わせると、Machine Learning の研究が躍進する空前の機会となります。このプログラムの目標は、多種多様な Machine Learning アプリケーションおよびフォーカスエリアにわたって、研究者による革新的なアルゴリズム、文献出版、ソースコードの開発を促進することにあります。受賞者は、資金提供を受けるだけでなく、Amazon のサイエンティストやエンジニアからコンピューティングリソース、トレーニング、メンターシップを受け、さらにシアトルの AWS 本部で開催されるリサーチセミナーに参加する機会が与えられます。

AWS Machine Learning Research Awards プログラムの特徴

このプログラムで研究者が得られる利点は以下のとおりです。

  1. 資金提供 – 学部およびプロジェクトレベルで配布され、学術機関に対するワンタイムの無制限のギフトとして設定されます。
  2. AWS クレジット – 賞には AWS クレジットが含まれ、このクレジットを EC2 P3 インスタンスタイプや Deep Learning AMI などの任意のサービスに使用できます。
  3. トレーニング – AWS で Machine Learning を実行する方法のチュートリアルや、Amazon サイエンティストやエンジニアによるハンズオンセッションなど、トレーニングリソースを大学に提供します。
  4. リサーチセミナー – 受賞者はシアトルの AWS 本部で開催されるリサーチセミナーに招待され、Amazon サイエンティストと研究内容について話し合い、交流することができます。
  5. 強力な ML ツール – 研究者は強力なインフラストラクチャおよびツールを使用して各自の研究を促進できます。たとえば、EC2 P3 インスタンスタイプは Machine Learning 用に最適化されており、NVIDIA Tesla V100 GPU の最先端のパフォーマンスを活用することで、モデルトレーニングの所要時間を大幅に短縮できます。研究者が迅速に開始できるように、Deep Learning AMI には多くの代表的なディープラーニングフレームワークがプロビジョンされています。各フレームワークには、適切なインストール、設定、およびモデル精度を示すための簡単に開始できるチュートリアルが備わっています。

学部研究者からの事前フィードバック

カーネギーメロン大学

「今日 AWS クラウドを通じて学生がすぐに使える機能は充実しており、Apache MXNet などの高度なフレームワークツールを使えることは素晴らしいことです」と Andrew Moore 氏 (カーネギーメロン大学コンピュータサイエンス学部長)。「次世代の Machine Learning 利用者や研究者に、これらのツールを最大限に活用する機会を与えられたら素晴らしいことです。それがこの資金援助プログラムを通じて、他では見られない方法で達成されます。開始が楽しみです。」

カリフォルニア工科大学

「Caltech では、Machine Learning などの最新のイノベーションに学生が触れて学ぶ機会を創り出すために多大な投資を行っています」と Adam Wierman 氏 (カリフォルニア工科大学 Computing and Mathematical Sciences 教授兼学部長)。「AWS とのパートナーシップにより、これらの投資を継続できます。今後、多くの飛躍的な進歩につながるものと信じています。」

ハーバードメディカルスクール

「新しい AWS ML Research Awards プログラムには期待しています。世界の何千万という人々に影響する神経学的発話障害の分野で新しい AI 研究に AWS クレジットを利用する機会があることも魅力です」と Kristina Simonyan 氏 (ハーバードメディカルスクールのティーチングホスピタル、マサチューセッツ眼科耳科病院の喉頭学研究所長)。「今日、これらの障害の大半の診断精度は信頼性が低く、一般的に医学者間のコンセンサスを得るのが困難な状況です。神経学的発話障害の ML ベースの客観的診断が開発されれば、医学者の誤診や不十分な診断の率を大幅に下げ、患者の生活の質を向上させ、これらの障害の遅延治療に伴うコスト全体を大きく削減できます。AWS クラウドの計算能力は、このような研究を実現する上で、空前の威力を発揮するでしょう。」

ワシントン大学

「UW のリサーチの最前線で仕事をすることには、とても大きな刺激があります。脳の機能的ネットワークの研究では、ディープラーニングが非線形力学のモデリングの重要なツールです」と Emily Fox 氏 (ワシントン大学、Paul G. Allen School of Computer Science & Engineering、Machine Learning 担当 Amazon 教授)。「新しい AWS ML Research Awards プログラムに期待しています。これにより、ワシントン大学は AWS クラウドと Apache MXNet を組み合わせることで、Machine Learning の先端技術と脳の理解を大きく促進させることができます。」

カリフォルニア大学バークレー校

「AWS を Machine Learning に使うことの最大の魅力は、AWS で一貫して定期的に増強される計算能力にあります」と Ben Recht 氏 (カリフォルニア大学バークレー校、Department of Electrical Engineering and Computer Science、准教授)。「AWS で新しいサービス、機能、またはインスタンスタイプが提供開始されるたびに、大学院生達は各自の研究プロジェクトの合理化に利用できないかとすぐに検討を始めます。新しい GPU アーキテクチャを備えた超高速の P3 インスタンスでモデルをトレーニングすることに特に期待しています。反復処理を高速化して、より複雑なモデルをトレーニングできると思います。AWS ML Research Awards プログラムとのコラボレーションを心待ちにしています。」

詳細

AWS ML Research Awards の詳細については、申し込み方法なども含めて、https://aws.amazon.com/aws-ml-research-awards を参照してください。


今回のブログの投稿者について

Sebouh Der Kiureghian は AWS Deep Learning のシニアプロダクトマネージャーです。クラウドサービス、補助金交付、AWS サイエンティストとのコラボレーションを通じて学術研究での Machine Learning を促進しています。余暇にはスノーボードを楽しんでいます。