Amazon Web Services ブログ

ペライチ様の AWS 生成 AI 事例: Amazon Bedrockを使用してホームページを自動生成

※ 本ブログは、株式会社ペライチとAmazon Web Services Japan が共同で執筆いたしました。

ペライチとは、株式会社ペライチが運営するホームページ作成サービスです。EC サイトやセミナー、ランディングページといった利用目的にあわせて数百種類のテンプレートからお好みのデザインを選び、テキストや画像を入力するだけでイメージに近いホームページを作成できます。

個人事業主から大企業まで、誰でも簡単にホームページを作って運用できるように、ペライチは豊富なテンプレートを用意しています。ホームページ制作経験がない方でも直感的に操作できるよう、プロダクトを拡大し続けてきました。しかし、初めてホームページを作成される方にとっては、頭の中でイメージしたレイアウトやデザインをホームページの形に落とし込むことが難しく、公開まで至らないユーザーが存在する課題が浮き彫りになっていました。

こうしたお客様の課題を解決するため、AIの力を活用してより簡単にホームページを作成できる「ペライチクリエイトアシスタント」を開発しました。この機能では、ユーザーが任意のサイトのURLを入力するだけで、そのサイトの特徴や用途に応じた情報を生成AIが抽出し、それに基づいた最適なテンプレートでサンプルのホームページを提案します。

この記事ではそもそもプロダクトの課題をどのように抽出したか、プロダクトの課題に対して生成 AI に限らずどのようなアプローチを検討したか、生成 AI を活用した機能をどのように実装したかをお伝えします。

アプローチの検討

ペライチは AWS ジャパン生成 AI 実用化推進プログラムに参加しました。このプログラムでは、ビジネス価値に繋がるユースケースの発見とその実装のサポートを提供します。生成AIに関する技術的なガイダンスやビジネス支援により3ヶ月程度でお客様のプロダクトに生成AI機能を実装できるように支援します。期間内でのプロダクト実装を条件に a) 生成 AI 活用事例のインプットと事例化されたユースケースをベースにしたビジネスモデルの作成支援、b) 構築済みサンプルアプリケーションを使ったハンズオン、c) PoC 用AWS クレジットといった支援を AWS から受けることができます。ユースケースの検討では ‍AWS で提供実績がありかつ評価が高いワークショップ‍を実施し、プログラムに参加する他社と交流する機会があるなど短い期間で密度の濃い経験をすることができました。

ワークショップでは現状の顧客 (エンドユーザー) の課題、ビジネス (ペライチ) の課題、それらを解決するユースケース、解決の度合いを測る KPI 、 KPI 改善までのマイルストンを整理して一つのドキュメント (=企画書) にまとめます。この企画書にまとめる作業にはペライチの PdM とエンジニアの他に AWS アカウントチームのアカウントマネージャーとソリューションアーキテクト、生成 AI 実用化推進プログラムの運営メンバーが参加し最終的にユーザー観点、ビジネス観点、それぞれ踏まえた上での課題を整理することができました。

ペライチでは「誰でも簡単に初期費用無料で、600 種類以上のテンプレートから選んで編集するだけでページを作成・公開できる」サービスを提供してきました。その上でワークショップの議論の結果、「そもそもどのテンプレートを選べばよいか分からない」「いまあるページをイチから作り直すのはハードルが高い」ユーザー観点の課題があり、従来はペライチのカスタマーサポートのメンバーなどがテンプレートの選択やデザインパーツの選択、素材の移行などでサポートしてきたが人的リソースに限界があるビジネス観点の課題があると整理することができました。

今回はこれらの課題に対して、入力情報としてサイトの URL 情報を与えそこからユーザーのビジネスや商材、ユースケースなどの情報を AI で抽出・要約し、それらの情報を元にしてペライチの既存テンプレートを組み合わせてページを生成することを試みました。「ユーザーが持つ古いページを作り直すケース」や「ユーザーが持つ既存の EC 販売サイトとは別に独自の EC サイトを立ち上げたい」などといったユースケースを想定しています。インプット情報を少なくし、そこから AI を用いてペライチのサービス側でユーザーに必要な情報を抽出・推論することで、今まで人間がサポートしていた部分を一部生成 AI によって置き換えて、ユーザーの制作コストやリードタイムを削減しようとしています。

実装

ペライチは AWS のプロトタイピングプログラムを有効活用しました。これは、AWS の知識や経験が豊富なプロトタイピングエンジニアが、お客さまに代わってシステムのプロトタイプを開発するというプログラムです。

今回実装する全体的な処理は「前処理 : URL から Web ページの情報を取得し、内容を説明・要約・抽出する」と「後処理:前処理で抽出された情報を元にペライチが持つテンプレートを選択・文章を生成・画像やページの配色などを選びページを生成する」の 2 つのステップに分かれています。生成 AI を活用した前処理に焦点を当てると、入力された URL 情報から WEB ページの情報の抽出・説明・要約する処理をプロトタイピングプログラムの支援を受けてAWS Step Functions と AWS Lambda そしてAmazon Bedrock を活用して実装していただきました。

利用者とペライチの皆様からの声

ペライチは 2024 年 8 月5 日より、無料モニターを受け付けています

無料モニターに参加した利用者からは「 URL を入力するだけでイメージに近いページが簡単に生成できてよかった」「自社が保有している既存のページのリプレイスが簡単にできそう」というフィードバックをいただきました。

また、ペライチの藤代様からは「サービスの設計、LLMのモデル選定、実装など幅広くご支援いただき助かりました」「現在はモニターからの声を集めながらサービス改善に努めており、他サービスにも似た仕組みを適用できないか試しています」といった声をいただきました。

まとめ

Amazon Bedrock によりWEBサイトの構築において今まで人間がサポートしていた部分を一部生成 AI によって置き換えて、ユーザーの制作コストやリードタイムを削減するシステムを構築することができました。

ペライチでは今後もAWSのサービスを活用しながら、更なる価値提供を実現しようと考えています。

著者について

苅野 秀和(Hidekazu Karino)

飛行機の勉強をしていたのが気づいたらなんやかんやあって AWS に入社してました。現在はウェブ系のお客様の技術支援を行いながら Rust を書いています。
週末は美味しいクロワッサンを求めてパン屋を探訪しています。