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【開催報告】SaaS on AWS 2022 セミナー・イベント(10/25-26)
こんにちは!アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 Solutions Architect ( SA ) の柳久保です。
2022年10月25日と26日の二日間にわたり、対面式とオンライン配信のハイブリッドで、SaaS on AWS 2022 セミナー・イベント を開催しました。開催報告として、セミナーでご紹介した内容や、当日の資料・収録動画、懇親会での LT 資料を公開します。
開催当日の様子と概要
本セミナーでは、ソフトウェア事業会社( ISV )、SaaS 事業会社の皆さまがクラウドを中心としたビジネスを成長させていくにあたり、「組織として業績を上げるためにどのような考え方や取り組みが必要なのか」「SaaS 化における導入アクションとしてまず何をしたらいいのか」「課題に直面した際、どのような対策を講じることができるのか」などの疑問・課題に対し、お客様と AWS がこれまで蓄積してきた知見や、効果を発揮している事例などを交えて、参加者の具体的なアクションに役立つヒントを提供することを目指しました。
25日の Day 1 では、ISV・SaaS のビジネス面を中心とした内容で、SaaS 化を進める上での背景や課題、事例など、多数のセッションがありました。アジェンダにはお客様セッションも多数あり、お客様の生の声を聞ける貴重なお時間もありました。
26日の Day 2 では、設計・開発・実装・運用などの技術面を中心とした内容で、SaaS におけるテナント分離やサーバーレスの活用、認証認可など SA が紹介しました。また、Day 2 も多くのお客様セッションがありました。
本セミナーのアジェンダは下記になります。
アジェンダの確認:こちらのページから確認が可能です。
Day 1
- オープニング【 AWS:上野 康寛】
- [有識者講演]- 『SaaS 業界レポート』 から読み解く最新市場動向【 スマートキャンプ株式会社:阿部 慎平様】
- AWS と始める SaaS Journey【 AWS:三石 剛】
- [基調講演] AWS で動き始めた弥生の新クラウドサービス -人材育成と組織の最適化、この一年間の成果と課題-【 弥生株会社:佐々木 淳志様】
- パッケージビジネスから SaaS ビジネスへ事業変革!~どのようにクラウドシフトをしてきたのか~【 株式会社Works Human Intelligence:赤津 克明様、加藤 文章様】
- ユーザに最高の付加価値を提供するための AI 活用に向けて【 株式会社マネーフォワード:杉田 圭様、AWS:久保 隆宏】
- SaaS によるビジネスモデル転換への取組み 〜ソフトウェアメーカーから総合セキュリティサービサーへ〜【 株式会社網屋:別府 征英様】
- OracleDB の OSS 化も実現!オークションプラットフォームを AWS で構築した狙いとは?!【 株式会社オークネット:新井 浩一様】
- パッケージソフトを改修せずに短期間で SaaS 化!既存製品の強みを活かしたまま SaaS ビジネスを開始された事例のご紹介【 インフォテクノスコンサルティング株式会社:斉藤 由美様、AWS:前田 進吾】
- 意外とたくさんある?!新規 SaaS 開発、既存アプリケーションの SaaS 化検討時に避けて通れないポイント【 株式会社アンチパターン:矢ヶ崎 哲宏様】
Day 2
- オープニング【 AWS:高橋 秀】
- [基調講演] SaaS + Fintech の爆速開発を支える技術【株式会社 LayerX:松本 勇気様】
- SaaS におけるテナント分離の基本と分離戦略【 AWS :鄭 宇鎭】
- SaaS データベースにおけるテナント分離の設計方針と運用管理 ( Aurora Severless v2 も添えて)【 AWS:藤川 貞信】
- SaaS における AWS サーバーレスサービス活用【 AWS:福本 健亮】
- ダッシュボード埋め込みで実現する SaaS のデータによる価値提供【 AWS :深見 修平、株式会社スタメン:若園 拓哉様】
- SaaS on AWS における認証認可の実装パターン ~ AWS サービスで実現するマルチテナント ~【 AWS:柴田 龍平】
- Amazon EventBridge でつなぐ SaaS アプリケーションの世界【 AWS:下川 賢介、株式会社プレイド:渡辺 育海様、株式会社アンチパターン:矢ヶ崎 哲宏様】
- 対面式セミナー参加者懇親会 ・ ISV / SaaS 会社エンジニア様によるライトニングトーク( LT )
Day 1 と Day 2にはぞれぞれ、弥生株式会社様と株式会社 LayerX 様から基調講演がありました。
弥生 CTO 佐々木様からは、AWS を導入してから 1 年間の成果と課題、その課題の対処方法をご紹介いただきました。AWS 導入の結果、インフラ環境の構築・運用における作業量やコミュニケーションコストが削減され、開発速度の向上につながりました。一方で、クラウドの人材不足やセキュリティの課題が見つかり、その課題をどのように対処していったのかについてご説明いただきました。
Day 1 の「パッケージソフトを改修せずに短期間で SaaS 化!既存製品の強みを活かしたまま SaaS ビジネスを開始された事例のご紹介」のセッションでは、SA 前田から、既存のパッケージソフトを SaaS 化するまでのフェーズと、SaaS 化する上で利用できる Amazon AppStream 2.0 の概要やメリットについて紹介をしました。SaaS 構築時には、必要となるインフラ環境の検討や運用コスト、セキュリティ、アプリケーションの改修費用などの悩みがあります。これらの悩みを AppStream 2.0 を活用することで解決し、より円滑に SaaS 化を実現することが可能になります。
続いて、インフォテクノスコンサルティング株式会社様から、AppStream 2.0 の活用事例をご紹介いただきました。インフォテクノスコンサルティング様は、AppStream 2.0 を活用して既存のパッケージソフトを改修せずに、短期間で SaaS 化を実現しました。その結果、お問合せ・商談数の増加やソリューションの提案範囲拡大など、大きなビジネスインパクトがありました。
また、Day 2 の「ダッシュボード埋め込みで実現する SaaS のデータによる価値提供」のセッションでは、SA 深見から、AWS が提供する BI サービスの Amazon QuickSight の活用方法を紹介をしました。SaaS は、従来のパッケージソフトと比較してより多くのデータが取得できます。取得したデータを SaaS のユーザーが利用できる形で提供することで、サービスの価値を向上していくことを目指します。そのデータの提供方法の一つとして利用できる QuickSight の概要や既存アプリケーションへの埋め込み機能を説明しました。
続いて、株式会社スタメン様から、QuickSight の導入事例をご紹介いただきました。スタメン様は、QuickSight の既存アプリケーションへの埋め込み機能を利用することで、より素早くお客様のご要望に合った BI ダッシュボードを提供することが可能となりました。また、AWS SDK ( Software Development Kit ) を活用し、最新データの同期や初期設定など、要件に応じて自動化することで、運用効率を高めました。
このようなセッションを通して、お客さまにとって、AWS サービスの理解及び導入に向けたヒントにつながったのではないでしょうか。
技術面を中心とした内容としては、「SaaS データベースにおけるテナント分離の設計方針と運用管理 ( Aurora Severless v2 も添えて)」のセッションで、SA 藤川から、SaaS データベースのテナント分離の実装方針や留意点、運用管理面でのベストプラクティスについて紹介をしました。どのようなテナント分離の方法があるのか、セキュリティ・コスト効率・パフォーマンスの観点でどのようにテナント分離の設計をするのか、などを説明しました。SaaS 業界のお客様が抱える技術的な課題に対して、ぜひご参考になれば幸いです。
26日のセッション後には、懇親会と ISV ・SaaS 事業会社エンジニア様によるライトニングトーク( LT )も行われました。
LT のアジェンダは下記になります。
- AWS を基盤にして成長した visumo の軌跡【株式会社 vismo :竹村 憲二様】
- vismo 様からは、サービスの成長に伴いどのようにシステムを改善していったのかについてご紹介いただきました。まず、サービス開発時に、「とにかく早くローンチしたかった」「インフラに強いエンジニアがいなかった」という背景から、簡単にインフラを構築できる AWS を採用しました。そして、AWS Elastic Beanstalk を活用し、2 ヶ月という短い期間でサービスをローンチしました。その後、システムのマイクロサービス化やサーバレス化をすることによって、ユーザー数の増加に対応していきました。
- 立ち上げ期の SaaS を支える AWS の技術 〜新規事業 SaaS を 1 年開発/運用した話〜【株式会社システムインテグレータ:横山 弘典様】
- システムインテグレータ様からは、3 ヶ月でプロトタイプを開発したこと、SaaS ユーザーの利用状況を見える化したこと、1 ヶ月でイベント登録サイトを開発したことについてご紹介いただきました。手動で対応しているところを自動化したり、マネージドサービスなどを活用することで、効率よく開発・運用する仕組みを整えていきました。
- IoT Station on FTR 〜 Well Architected review 〜【株式会社ゼネックコミュニケーション:兪 和俊様】
- ゼネックコミュニケーション様は、FTR ( Foundational Technical Review ) 取得に向けて AWS Well-Architected Reviews を利用しています。自動化ツールの活用や運用体制の見直しにつながったなど様々な気づきをご共有いただきました。
- シングルテナントの受難【株式会社 hacomono :大西 時雨様】
- hacomono 様は、サービスが成長することで、シングルテナント構成での運用に課題を感じるようになりました。サービスの成長に伴い発生する課題に対して、マネージドサービスの AWS Fargate の利用やマルチテナント構成への変更など、どのように対応していったのかについてご説明いただきました。
- QuickSight による営業向け SaaS 実績値の可視化について【エヴィクサー株式会社:徳永 和則様】
- エヴィクサー様からは、Quicksight の利用事例をご紹介いただきました。Quicksight で営業実績値の可視化をすることで、新たな気付きが早く生まれて、ビジネスの加速につながりました。
- Monorepo on AWS 【株式会社 LayerX :松本 勇気様】
- LayerX 様からは、プロダクトの進化・複雑化の状況に合わせた適切なアーキテクチャを実現するための仕組みについてご紹介いただきました。プロダクトに関わる全てのソースコードをまとめて管理して開発したり、デプロイフローの構築をしたりすることで、よりアーキテクチャの変更に強い仕組みの実現を目指しています。
懇親会と LT を通して、各会社様同士や、AWS メンバーとの懇親を深めていただきました。
※ LT 資料のダウンロードをご希望の方は、本ページ下部の【収録動画 / 資料】にあるリンクをご活用ください。
本イベントでは、対面式とオンライン配信で合わせて 900 名近くの参加者で、大盛況となりました。たくさんのフィードバックもいただいております。SaaS に特化したイベントということもあり、講演後のアンケートでは、「 SaaS 企業の状況がよく理解できた」「 SaaS に特化した具体的な話が聞けてとても勉強になった」といったコメントを多数いただいております。見逃してしまった方は、本ブログのリンクから講演内容のチェック、及びセッションを是非ご視聴ください。
※セッションの視聴や資料のダウンロードをご希望の方は、本ページ下部の【収録動画 / 資料】にあるリンクをご活用ください。
収録動画 / 資料
セッションの動画視聴及び資料ダウンロード:こちらのページからお願いいたします。
おわりに
本イベントでは、ISV・SaaS 事業会社に所属するビジネスリーダー層と技術者の方向けに、SaaSに特化したソリューションや事例紹介をお届けしました。お忙しい中ご参加いただいた皆様に感謝申し上げます。今回ご紹介した内容が、みなさまの今後のビジネス成長にお役に立てれば幸いです。