AWS Startup ブログ

AWS Deeptech Meetup ft. The Climate Pledge Fund【開催報告】

皆様こんにちは。そろそろ梅雨も明け、夏到来は間近ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。2024 年 7 月 8 日(月)に AWS Startup Loft Tokyo において「AWS Deeptech Meetup ft. The Climate Pledge Fund」と題して、日本のディープテック・スタートアップに関わる皆様のためのイベントを開催しました。

2024年7月8日に開催されたAWS Deeptech Meetupの集合写真です。

開催の目的

ディープテックとは、社会課題を解決して私たちの生活や社会に大きなインパクトを与える科学的な発見や革新的な技術のことです1。日本においても「ディープテック・スタートアップ支援事業」によって日本政府がディープテック・スタートアップの研究開発を支援する動きがあります。また、海外のディープテック・スタートアップに目を向けると、Time-to-Market(市場投入までの期間)を短縮するためにクラウドを活用なさっているスタートアップが数多くいらっしゃいます。例えば AWS を活用することで、Moderna Therapeutics はわずか 1 年でジカワクチンをアイデアから臨床試験に持ち込むことができ、Commonwealth Fusion Systems は推定計算を 56 日から 3 日に短縮しました。

そこで、日本のディープテック・スタートアップのみなさまにも AWS を活用して研究開発を推進し、市場投入までの期間を短縮していただくべく、AWS ジャパンのスタートアップを担当するメンバーで日本のディープテック・スタートアップを支援するチームを組閣し、今回のイベントを開催いたしました。

今回、米国からは Amazon が設立した 20 億米ドルの Climate Pledge Fund(気候変動対策に関する誓約のための基金)を招き、韓国からは LG Technology VenturesHyundai Venture Investment、台湾からは CDIB Capital GroupMediaTek VenturesWistron をお招きし、日本を中心に東アジアとしてどのように世界的に活躍できるディープテック・スタートアップを作れるかというトピックも盛り込みました。日本のスタートアップイベントとしては珍しく、ほぼ全てのプログラムを英語で実施するグローバルなイベントとなりました。

パネルディスカッション「Amazon の Climate Pledge Fund が求める日本のディープテックとは?」

まず、Climate Pledge Fund から Investment Partner の Phoebe Wang をシアトルより招き、日本のディープテック・スタートアップ支援チームの木村公哉と共に「Amazon の Climate Pledge Fund が求める日本のディープテックとは?」というタイトルでパネルディスカッションを実施しました。

2024年7月8日に実施されたAWS Deeptech Meetupで実施されたパネルディスカッションの様子です。

2019 年に Amazon は、パリ協定の達成目標を 10 年前倒しして 2040 年までに炭素排出量を実質ゼロ化することを公約とする「気候変動対策に関する誓約(The Climate Pledge)」に調印しております2。今回初来日した Climate Pledge Fund は、この公約を達成するべくディープテックや Climate Tech(気候テック)の領域のスタートアップに投資するファンドであり、世界中 7 カ国で 28 社へ投資を実行しています。このファンドでは、輸送・物流、エネルギー生成・貯蔵・利用、製造・素材、循環型経済、食品・農業、炭素除去など、多岐にわたる Amazon の持続可能性目標を支援できる企業を支援しています。

パネルディスカッションでは、こうした活動を通じて Amazon がどのように持続可能性に対して貢献しているのか、また米国を中心としたグローバルなディープテックのトレンドについて Phoebe から説明がありました。木村から Phoebe に今回の来日のきっかけを尋ねると、日本政府がディープテックに注力していること、多くのエンタープライズ企業や大学があり研究開発の下地が整っていることが理由として挙げられました。特に東アジアは、数々のエネルギー生成や二酸化炭素固定に加え、半導体分野の持続可能性についても注目されているとのことでした。

木村より AWS が日本のディープテック・スタートアップに対して行っているご支援についてもご説明いたしました。技術支援としては、木村のようなソリューションアーキテクトによるビジネスを考慮した広い AWS の活用支援や、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)などの分野に特化したスペシャリストによる深い AWS の活用支援を実施しております。また、 Go-to-Market 支援として、政府系ファンディングエージェンシーとの深い連携やディープテックコミュニティのつながりを強化するようなイベントの実施、また、この AWS Deeptech Meetup のようなグローバル展開へのご支援なども実施しております。これまで実施したディープテックに関わるイベントや取り組みなどにご興味がある方は下記のリンクをご覧ください。

Deeptech Pitch at AWS Startup Loft Tokyo

そして、Phoebe の他にも国内外のベンチャーキャピタルの皆様を招き、ディープテック・スタートアップの皆様に現状や展望を語っていただく場としてピッチセッション3を開催しました。大変ご好評で、2 つのグループに分かれて合計 18 社の皆様よりピッチいただきました。ピッチ後の懇親会では、ご参加いただいた皆様で活発な議論が交わされておりました。

第 1 グループは、メトロウェザー株式会社ライノフラックス株式会社株式会社 TBM、Kepler 株式会社、DeepForest Technologies 株式会社株式会社 3DC株式会社 Shizen Connect株式会社 EX-FusionQuantum Brilliance Pte Ltd(敬称略、登壇順)の 10 社の皆様にご登壇いただきました。

第1グループでご登壇いただいた皆様です。

第 2 グループは、京都フュージョニアリング株式会社株式会社 QunaSysエイターリンク株式会社TopoLogic 株式会社Planet Savers 株式会社株式会社 NABLA Mobility株式会社 Helical Fusionサグリ株式会社(敬称略、登壇順)の 8 社の皆様にご登壇いただきました。

第2グループでご登壇いただいた皆様です。

まとめ

今回、ディープテック・スタートアップの皆様に向けて、パネルディスカッションやピッチセッション、ネットワーキングのためのグローバルなイベントを開催しました。会場はとても熱気に満ちており、参加者の皆様からも多くの好意的なフィードバックをいただきました。「実際に Climate Pledge Fund の方や国内外 VC の方とディスカッションできたことは非常に有意義であった」や「改めてこんなに多くのピッチを見ることも珍しいので、ピッチのやり方なども含めて勉強になった」などのコメントが寄せられました。

AWS では引き続き、ディープテック・スタートアップの皆様を様々な形でご支援いたします。

参考文献・注釈

  1. ディープテックとは? – 産総研マガジン
  2. Amazonが20億米ドルのClimate Pledge Fundを創設 – About Amazon Japan
  3. 本セッションの目的は事業内容を紹介することであり、金融商品取引法の観点から、出資を募ったりファンド財産の投資運用を促したりするものではございません。

ディープテック・スタートアップ担当チームのメンバー

福井健悟

福井 健悟(Fukui, Kengo)

ディープテック系の VC、ディープテック系スタートアップの経営経験を経て、こうした領域でコンピューティングリソースを用いて研究開発を加速させる必要性を強く感じております。さらにはディープテック企業が本来保有する海外展開の必要性を感じており、どのようにクロスリージョンでサポートできるかを考えております。

田村圭

田村 圭(Tamura, Kei)

パブリックセクターの研究領域を担当。普段は事業開発担当として、研究者の支援を担当しております。研究とビジネスの垣根をなくすことが、日本経済の発展に繋がると信じています。

木村公哉

木村 公哉(Kimura, Koya)

このブログの執筆者。普段は AWS ジャパンのスタートアップソリューションアーキテクトとして、スタートアップのお客様への技術支援を担当しています。実は博士号を持っており、ディープテックに強い関心があります。