クラウドファイルストレージには、複数のコンピューティングインスタンスから同時にアクセスすることが可能で、クラウド上のデータへの共有アクセスが提供されます。オンプレミスのファイルストレージソリューションの場合、ネットワークファイル共有プロトコルを実行する物理サーバーや仮想サーバー、またはネットワーク接続型ストレージ (NAS) サーバーにデプロイする必要があります。一方、クラウドファイルストレージではこのようなハードウェアの準備が不要で、他のクラウドサービスともシームレスに統合できます。一般的にファイルストレージソリューションではデータが論理的に提示され、アクセス許可、ファイル属性、ファイルのロック処理、人が読み取り可能なファイル名など、ファイルシステムの完全なセマンティクスを備えたファイルシステムが提供されます。クラウドファイルストレージは既存のアプリケーションにこのような互換性が提供されるソリューションで、新しいコードを書かずにシームレスな統合が実現でき、共有ファイルサービスを必要とするワークロードに最適です。クラウドファイルストレージに適したユースケースには、大容量コンテンツのリポジトリ、開発環境、メディアの保存、ユーザーのホームディレクトリなどのワークロードがあります。

クラウドファイルストレージは、次の 2 つの方法で提供されます。1 つは、最小限の設定でほとんどメンテナンスを必要としない完全マネージド型のソリューション、もう 1 つは自社運用のソリューションです。自社運用のソリューションでは、個別のコンピューティング、ストレージ、ソフトウェア、ライセンスが必要で、さらに設定と管理のために専門知識のある担当者が必要です。Amazon Elastic File System (Amazon EFS) は、AWS クラウドの Amazon EC2 インスタンスで使用可能で、シンプルでスケーラブルなファイルストレージが実現できる完全マネージド型のソリューションの一例です。

 


ファイルデータをクラウドに保存することで、3 つの主要分野で利点が得られます。

1.スケーラビリティ – 拡張性を備えていないクラウドファイルストレージソリューションもありますが、最も高度なソリューションではクラウドのあらゆる機能を活用して、現在必要とされる容量とパフォーマンスで開始した後、必要に応じて容量を拡張できます。試行と将来のニーズを見越した過剰なプロビジョニングは不要です。

2.相互運用性 – 既存の多くのアプリケーションでは、従来のファイルシステムのセマンティクスに準拠した共有ファイルサービスとの統合が必要です。クラウドファイルストレージは、新しいコードを書かずに安全な共有ファイルアクセスを実現し、優れた利点を提供するソリューションです。

3.予算とリソース – オンプレミス運用のファイルサービスでは、ハードウェア、継続的な保守、電力、冷却、物理的スペースのための予算が必要となります。クラウドファイルストレージでは、そのような技術リソースを解放して他のプロジェクトに展開できるため、ビジネスにさらなる価値をもたらします。

クラウドストレージ

既存のアプリケーションを柔軟にサポートし、簡単な操作で統合できるクラウドファイルストレージは、デプロイ、管理、保守が容易で、あらゆる業種の幅広いアプリケーションに対応するソリューションです。

ウェブサービング

ウェブサービングアプリケーションでは、バックエンドアプリケーションを統合する場合に共有ファイルストレージが課題になることがあります。一般的に、ウェブサイトのコンテンツ配信では複数のウェブサーバーを使用し、各ウェブサーバーから同じファイルのセットにアクセスする必要があります。クラウドファイルストレージは、必要とされるファイルシステムのセマンティクス、ファイル命名規則、ウェブ開発者の使い慣れたアクセス許可に準拠したソリューションで、ウェブアプリケーションに簡単に統合できます。

コンテンツ管理

コンテンツ管理システム (CMS) では、共通の名前空間と、ファイルシステム階層へのアクセスが必要です。ウェブサービングのユースケースと同様に、CMS 環境でも通常、コンテンツを提供するサーバーを複数を使用し、同じファイルのセットにアクセスする必要があります。クラウドファイルストレージは、必要とされるファイルシステムのセマンティクス、ファイル命名規則、および開発者の慣れ親しんだアクセス許可に準拠したソリューションで、ドキュメントやその他のファイルのストレージを既存の CMS ワークフローに簡単に統合できます。

ビッグデータ分析

ビッグデータでは、きわめて大量のデータを処理できるストレージ、データの増大への対応、分析ツールにデータを配信するためのパフォーマンスの確保が必要となります。多くの分析ワークロードでは、データのやり取りがファイルインターフェイスを介して行われ、ファイルのロック処理などファイルセマンティクスに依存しており、ファイルの一部に書き込む機能が必要です。クラウドファイルストレージは、必要とされるファイルシステムのセマンティクスに対応し、容量とパフォーマンスをスケールできるため、既存のビッグデータのワークフローに簡単に統合できる優れたファイル共有ソリューションです。

メディア & エンターテイメント

デジタルメディアとエンターテイメントのワークフローは、絶え間なく変化し続けています。ハイブリッドクラウドのデプロイが利用されることが多く、NFS などのネットワークファイルプロトコルによる標準化されたアクセスが必要です。このようなワークフローでは、市販製品、専用構築の製品、パートナーソリューションから柔軟で整合性のあるセキュアな方法で、データにアクセスできる必要があります。クラウドファイルストレージは既存のファイルシステムのセマンティクスに準拠しているため、コンテンツ制作、デジタルサプライチェーン、メディアストリーミング、ブロードキャストのプレイアウト、分析やアーカイブの用途において、処理および共同作業用のリッチメディアコンテンツのストレージを簡単に統合できます。

ホームディレクトリ

ホームディレクトリは、特定のユーザーやグループのみがアクセスできるファイル保管場所として、多くのクラウドワークフローで活用されています。クラウドのスケーラビリティとコストの優位性を利用しようとしている企業では、ホームディレクトリを使用したアクセスをより多くのユーザーに拡大しています。クラウドファイルストレージソリューションでは、必要とされるファイルシステムのセマンティクスに準拠した標準のアクセス許可モデルが提供されるため、この機能を必要とするアプリケーションをリフトアンドシフトでクラウドに簡単に移行できます。

データベースのバックアップ

既存のメカニズム、ソフトウェア、セマンティクスを使用したデータのバックアップでは、回復ロケーションの柔軟性がほとんどない、独立した回復シナリオを作成できます。多くの企業では、データベースのバックアップをクラウドに保存することで得られる柔軟性を、更新時の一時的な保管や、開発とテストの用途で活用しようとしています。クラウドファイルストレージは、データベースサーバーから簡単にマウントできる標準のファイルシステムが利用できるソリューションです。そのためネイティブのアプリケーションツールやエンタープライズ向けバックアップアプリケーションを使用でき、データベースのポータブルなバックアップの作成に最適なプラットフォームです。

開発ツール

開発環境では、最新のイノベーションの開発において共同作業が必要となるため、安全な方法でデータ共有を進めるには多くの課題があります。コードやその他のファイルを系統的な方法で簡単に共有するというニーズがある場合、共有クラウドファイルストレージを活用すると、セキュアで整理されたリポジトリが提供され、クラウド開発環境内から簡単にアクセスできます。クラウドファイルストレージは、スケーラブルで可用性の高い、共同作業に最適なソリューションです。

コンテナストレージ

Docker コンテナでは、すばやいプロビジョニング、簡単な移行、プロセス分離を実行できるため、マイクロサービスの構築に適しています。コンテナでは毎回起動時にオリジナルのデータにアクセスする必要があるため、実行しているインスタンスかどうかに関係なく接続できる共有ファイルシステムが必要なることがあります。クラウドファイルストレージでは、クラスター内のあらゆるコンテナから使用できるデータに、永続的な共有アクセスを提供できます。


クラウドの優れたファイルストレージソリューションは、今まさに必要なパフォーマンスと容量を提供でき、かつ、ビジネスのニーズの変化に合わせてシームレスにスケールできる必要があります。

スケーラビリティ

容量のニーズに応じた自動的な拡大と縮小

パフォーマンス

安定したスループットと低レイテンシーのパフォーマンスを提供

互換性

新しいコードを書くことなく既存のアプリケーションとシームレスに統合

セキュリティ

ネットワークセキュリティとアクセスコントロールの許可を提供

可用性

複数サイト間の冗長性があり、いつでも必要なときにアクセス可能

経済性

前払いのプロビジョニング費用なしで、実際に使用した容量のみの支払い


クラウドファイルストレージの利用価値は明らかですが、すべてのクラウドファイルストレージが同じではないという点にも目を向けながら検討する必要があります。現在、さまざまなソリューションがあります。コンピューティングインスタンスに展開されたブロックストレージ基盤の単一ノードのファイルサーバーで、スケーラビリティがなくデータ保護のための冗長性にも乏しいソリューションや、設定、管理、保守に時間を要する自社運用のクラスター化されたソリューションから、Amazon EFS のように設定やメンテナンスがほとんど不要で容量とパフォーマンスを伸縮自在にスケールでき、最も厳しい要件のアプリケーションワークロードのニーズに対応する完全マネージド型のソリューションまでさまざまです。

クラウドストレージには、オブジェクト、ファイル、ブロックの 3 種類があります。それぞれ、特有の利点があります。

1.オブジェクトストレージ – クラウドで開発されたアプリケーションは、多くの場合、オブジェクトストレージの膨大なスケーラビリティとメタデータ特性を活用できます。Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) のようなオブジェクトストレージソリューションは、スケーラビリティと柔軟性を必要とする最新のアプリケーションをゼロから構築するために適しています。また、分析、バックアップ、アーカイブ用に既存のデータストアをインポートするためにも使用できます。

2.ファイルストレージ – 多くのアプリケーションでは、共有ファイルへのアクセスやファイルシステムが必要です。このタイプのストレージは、多くの場合、ネットワーク接続ストレージ (NAS) サーバーによってサポートされます。Amazon Elastic File System (EFS) のようなファイルストレージソリューションは、大規模なコンテンツリポジトリ、開発環境、メディアストア、ユーザーのホームディレクトリといったユースケースに最適です。

3.ブロックストレージ – データベースシステムや ERP システムのような他のエンタープライズアプリケーションは、多くの場合、ホストごとに専用の低レイテンシーなストレージを必要とします。このタイプのストレージは、直接接続ストレージ (DAS) またはストレージエリアネットワーク (SAN) に類似しています。Amazon Elastic Block Store (EBS) のようなブロックベースのクラウドストレージソリューションは、仮想サーバーごとにプロビジョニングされ、ハイパフォーマンスワークロードに必要な超低レイテンシーを提供します。

オブジェクトストレージソリューションはファイルをオブジェクトとして保存できることが利点ですが、既存のアプリケーションでアクセスするためには新しいコードを書く必要があり、API の使用方法や名前のセマンティクスの直接的な知識が求められます。一方、ファイルストレージソリューションでは既存のファイルシステムのセマンティクスとアクセス許可モデルがサポートされるため、新しいコードを書くことなしに、簡単な設定でアプリケーションと統合して共有ファイルストレージを使用できるという点で、際立ったメリットがあります。

ブロックストレージは、自己管理型のファイルストレージソリューションの基盤とするストレージコンポーネントとして使用できます。ただし、ホストとボリュームの関係が 1 対 1 に限られるため、完全マネージド型のファイルストレージソリューションのスケーラビリティ、可用性、経済性のメリットを得ることが難しく、追加の予算とサポートのための管理リソースが必要になります。完全マネージド型のクラウドファイルストレージソリューションを使用すると、複雑さの解消、コストの削減、管理の単純化を実現できます。


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