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AWS Jam 実施レポート (AWS Summit Japan 2024)

2024 年 6 月 20 日、21 日に AWS Summit Japan が開催され、その 1 日目に “チームで課題解決型ハンズオンに挑戦!楽しく学ぶ「AWS Jam」” を実施しました。本イベントには、クラウドスキルの向上を目指す 112 名が 4 名ずつ 28 チームに分かれて参加し、熱戦が繰り広げられると同時にチーム内でのスキル共有や新たな発見に満ちた有意義な時間となりました。

このブログでは当日の様子を伝えつつ、AWS Jam がどのように AWS の学習やチームでのスキル共有などに役立てられるか、AWS Jam を実施したい場合の選択肢として AWS Skill Builder やクラスルームトレーニングを紹介します。

AWS Jam とは

AWS Jam は、AWS のユースケースに沿って用意された様々なテーマの課題を解決しながら「AWS を楽しく学ぶ」実践型のイベントです。参加者は AWS やシステム開発の知識や経験を活用し、必要に応じてその場で情報を調べながら、与えられた複数の課題を AWS マネジメントコンソールなどを利用してクリアしていきます。AWS Jam では、課題ごとに獲得得点やヒントが設定されており、時間内にクリアした課題と使用したヒントを総合してチームの得点を競い合います。

AWS Jam には「 Play 」「 Learn 」「 Validate 」の3つのコンセプトがあります。

  • Play (遊ぶ): 得点を競うゲーミング形式のイベントを通じて、楽しみながら課題解決に挑戦します。チーム内でのコミュニケーションの促進にもつながります。
  • Learn (学ぶ): シナリオに沿った課題を解決することで、AWS サービスの知識やスキルを身につけていきます。普段扱っていない AWS のサービスや機能を新たに学んだり調べたりする機会にもなります。
  • Validate (検証する): 課題解決を通して、参加者自身の AWS サービスに対するスキルや理解度を確認できます。

AWS Jam 実施前のハイライト

今回の AWS Jam では 4 人でチームを組みます。登録時点ではチームは決まっておらず、会場に入場する際にくじ引きでチームを決定しました。ランダムにチームを決定することで、個人で参加する人のハードルを下げ、平等性を保つことを目的としました。

AWS Jam 開場時のくじ引きと誘導

AWS Jam 開場時のくじ引きと誘導

AWS Jam に参加するには、AWS Skill Builder のアカウントが必要です。開場からイベント開始までの時間を利用して、アカウントの準備を行なっていただきました。また、準備が完了したテーブルでは、チームメンバーと自己紹介や雑談をして交流を深めていました。

準備が整ったらオリエンテーション開始です。オリエンテーションでは、AWS Jam のプラットフォーム上でイベントとチームに参加していただき、AWS Jam の紹介とチャレンジへの取り組み方の説明を行いました。
AWS Jam では、チームでの取り組み方にプラットフォーム上の制約は無く、複数人で相談しながら 1 つずつチャレンジを進めるモブ型や、チーム内で 2 人 1 組になってチャレンジを進めるペア型、手分けして個人でチャレンジを進めるソロ型があります。

AWS Jam チーム内での分担

AWS Jam チーム内での分担

ただし、本イベントでは以下の理由によりペアワークまたはモブワークで進めていただくことにしました。

  • 個人ではなく、チームで AWS Jam イベントを楽しんでいただきたいため
  • AWS Jam は個人の学習だけではなく参加者同士のスキル共有にも役立つことを体験していただきたかったため

また、ペアワークまたはモブワークをチャレンジに取り組む時のルールとして設定することは、昨年の AWS Summit でも行なっていました。ペアワークまたはモブワークの効果やうまく進めるための方法は AWS Jam 実施レポート @ AWS Summit Tokyo 2023 も確認ください。

AWS Jam 開始前にいくつかコツを伝えました。直前のことが一番記憶に残りやすいため、特に重要なことを開始直前のタイミングで伝えると効果的です。

AWS Jam うまく進めるためのコツ

AWS Jam うまく進めるためのコツ

特に最後の楽しむためのコツとして、チームで喜びを共有することを意識していただきました。チームで何かを達成したり、ポイントを獲得したりしたときには、チーム全員で拍手をすることで、チームの連帯感を高め、チームでイベントを楽しんでいただけるようにしました。

AWS Jam 実施中の様子

本イベントでチームで Jam に取り組む時間は 150 分でした。AWS Jam が始まると、チーム内でペアを決めたり、担当チャレンジを相談したりしていました。ペアワークやモブワークでは、画面を操作するドライバーと、指示やサポートを行うナビゲーターに分かれて協力しながらチャレンジに取り組んでいました。参加者の中にはペアワークやモブワークを初めて経験する方も多く、最初は上手に指示ができなかったり、指示の意図をうまく汲み取れなかったりする様子も見受けられましたが、積極的にコミュニケーションを取る中でチームでスキルを共有する姿が見られました。
また、ペアワークでチャレンジに取り組む中で行き詰まったときには、ホワイトボードを活用して考えを整理したり、チーム内の他のペアに相談したりすることで、チーム一丸となって課題解決に取り組んでいました。

AWS Jam 実施中の様子 1/4
AWS Jam 実施中の様子 1/4
AWS Jam 実施中の様子 2/4
AWS Jam 実施中の様子 2/4
AWS Jam 実施中の様子 3/4
AWS Jam 実施中の様子 3/4
AWS Jam 実施中の様子 4/4
AWS Jam 実施中の様子 4/4

結果発表

激戦の結果、優勝は「オオサカ」チーム、2 位が「Nara as the No.1」チーム、3 位が「サーティーワン」チームとなりました。各チームとも素晴らしいパフォーマンスを見せ、最後まで緊張感が漂う白熱した戦いを繰り広げました。おめでとうございます。

1 位「オオサカ」のみなさん
1 位「オオサカ」のみなさん
2 位「 Nara as the No.1 」のみなさん
2 位「 Nara as the No.1 」のみなさん
3 位「サーティーワン」のみなさん
3 位「サーティーワン」のみなさん
上位3チームのメンバー
上位3チームのメンバー

AWS Jam のコンソールでは、リーダーボードやスコアリングトレンドがリアルタイムで表示されるため、特に後半ではリーダーボードを見ながらチャレンジの優先順位を変更したり、ヒントを活用してチームで競い合う様子が確認できました。スコアリングトレンドからは、順位が何度も入れ替わる大接戦の様子がわかります。
AWS Jam では単純な技術力だけでなく、チームでの連携や戦略も順位に大きく影響します。特に、ヒントを使用したチームには最大獲得可能スコアの減少というペナルティがある中、ヒントを使ってでも学びとスコアを得るという戦略を選択したチームもありました。

AWS Jam リーダーボード

AWS Jam リーダーボード

AWS Jam スコアリングトレンド

AWS Jam スコアリングトレンド

実施後のアンケートでは、「楽しく学べて大変満足しました!」「ペアワークはお互いで教え合う仕掛けになっており、勉強になり、かつ楽しかったです!」「普段利用していなかったサービスかつ、設定したことのない設定ができたので、そこは今後の社内でのサービス検討時に利用できそうです。」といったコメントを多くいただきました。
また、「今後自分の組織でスキルアップをするために AWS Jam を使いたいと思いますか?」という項目では、96 %以上の参加者が肯定的な結果となりました。組織で AWS のスキルアップを考えられている場合には、ぜひ AWS Jam を活用してみてください。組織で AWS Jam を活用する方法は次にご紹介します。

AWS Skill Builder チームサブスクリプションで AWS Jam イベントを実施可能

AWS Skill Builder は AWS の無料の学習コンテンツとして、600 を超えるデジタルコースや AWS 認定公式練習問題を使用できるオンライン学習センターです。また、チームサブスクリプション を利用すれば、今回の AWS Summit で実施した AWS Jam イベントをお客様が実施できるようになります。他にも 500 を超えるチャレンジ (2024/07/01 現在) から好みのチャレンジを選定し、組織内で回数制限なく自由にイベントを開催できます。AWS Skill Builder サブスクリプションのご案内 のブログに詳細が記載されていますので、併せてご確認ください。
AWS Summit Japan 2024 で使われたチャレンジの一覧はこちらです。すでに組織で AWS Skill Builder チームサブスクリプションを契約されている場合は、「AWS Summit Japan 2024」 のチャレンジセットを使用して、ぜひご自身の組織で開催してみてください。

レベル タイトル AWSサービス
Easy Protect my CloudFront Origin CloudFront, ELB
Easy ARM64 your Databases RDS
Medium Query operations in DynamoDB DynamoDB, Lambda
Medium Use one ALB with multiple domains ELB, Route 53, VPC
Medium Pull the Alarm! CloudWatch, EC2
Medium Mining in my cloud? CloudTrail, EC2, ELB
Medium Trace with AWS Lambda Powertools Lambda, X-Ray, DynamoDB
Medium Connect using RDS Proxy RDS, Lambda, IAM
Hard A/B Testing Puzzle CloudFront, S3, Cognito, API Gateway, Lambda, DynamoDB, CloudWatch
Hard Hash the Data Lake! Athena, S3, Lake Formation, Lambda

AWS クラスルームトレーニングで AWS Jam を提供中

AWS クラスルームトレーニングに AWS Jam を追加したコースも提供しています (2024/07/01 時点では個社向けの開催のみです)。こちらを選択していただく利点として、クラスルームトレーニングを受けた後に AWS Jam を実施するため、 知識をインプットするだけでなく AWS Jam で実践することで、より理解を深めたりスキルとしての検証をしたりできる点があります。さらに、トレーニング企画時に AWS の担当者と相談しながら AWS Jam の実施方法を決めていけるので、以下のような要望も可能です。

  • Play / Learn / Validate のどのコンセプトを重視するか
  • 知識やスキルの近いメンバーでチームを組むか、均等になるようにチームを組むか
  • モブ型、ペア型、ソロ型など、どんな形式で進めるか

また、AWS Summit と同様に AWS の認定インストラクターが実施準備や当日の進行をするため、AWS Jam の用意や進行をするのに不安があるお客様にもおすすめです。

AWS Jam を追加したクラスルームトレーニングはオンラインでもオンサイトでもどちらでも提供可能です。オンラインの利点を活かして、普段は交流の少ないグループ内企業や国際拠点の従業員との交流の場としたり、オンサイトで部署やチーム内のスキル共有の場としていただいています。どちらもトレーニングでの知識のインプットだけでなく、AWS Jam で実践することで、知識を深めスキルとして検証できたとお客様から満足いただけています。
組織での AWS Jam 活用に興味がある場合は、 AWS トレーニングと認定へのお問い合わせ からご連絡ください。(画面右上で「日本語」を選択し、日本語での問い合わせが可能です)

最後に

AWS Jam は、楽しみながら実践的に AWS を学ぶことができるイベントです。今回の AWS Summit Japan でも、熱戦が繰り広げられるとともに、チーム内でのスキル共有や新たな発見に満ちた有意義な時間としていただけました。これからクラウドスキルの向上を目指す方、ただ知識をインプットするだけでなく実践力を鍛えたい方、組織や個人のスキルを検証したい方にとって AWS Jam は最適です。

AWS Jam をやってみたいと思った方は、AWS Skill Builder や AWS クラスルームトレーニング、AWS のイベント時に開催される機会を利用して AWS Jam に参加してみてください。

AWS Jam 実施後の集合写真

AWS Jam 実施後の集合写真

おまけ:本イベントでは、AWS トレーニングパートナー所属の AWS 認定インストラクターも運営メンバーとして加わっていました。当日運営をサポートいただいた AWS 認定インストラクターの方々、ありがとうございました。

AWS Jam 実施前のサポーター打ち合わせの様子
AWS Jam 実施前のサポーター打ち合わせの様子
AWS Jam サポーターの集合写真
AWS Jam サポーターの集合写真
  • AKKODiSコンサルティング株式会社 藤原 靖士
  • NECビジネスインテリジェンス 吉田 薫
  • NTTデータ先端技術株式会社 田中 勇希
  • クラスメソッド株式会社 大前 諒祐
  • クラスメソッド株式会社 平野 文雄
  • トレノケート株式会社 久保玉井 純
  • トレノケート株式会社 山下 光洋
  • トレノケート株式会社 髙山 裕司
  • パナソニック コネクト株式会社 船橋 俊雄
  • 株式会社f4samurai 酒井 幹士
  • 株式会社アシスト 佐伯 竜輔
  • 株式会社日立システムズ 藤巻 雄裕

著者について

author image - nishimura shun 西村 諄 (Nishimura Shun)
AWS トレーニングサービス本部 テクニカルインストラクター