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小売業界パートナー対談:NEC映像アナリティクスを活用した購買体験・業務効率の向上

パンデミックがまだまだ続く中、一番その打撃を受けている産業の一つが小売業界だと言っても過言ではありません。私たちは、AWS の小売業界パートナー企業の経営陣と対談し、この混乱を乗り越えるためのリーダーシップとイノベーションに関する考えをお聞きしました。このブログ連載をお楽しみください。

今回は 日本電気株式会社(以下NEC)スマートリテール本部 スマートリテールサービスグループ マネージャー 田原裕司氏に現在の小売業界における取組についてお話を伺いました。

AWS: 小売業界におけるNEC様の事業とフォーカスされている分野について教えてください。

NEC: NECは40年以上にわたって、多くの小売業のお客様に店舗ソリューションを提供しています。。近年は「購買体験の向上」と「業務効率化」をテーマに、より実践的なソリューション企画・開発を実現するため、「社内ラボ」での実験や、お客様と共創して「省人型店舗」も作るなど、多くの取り組みを行ってきました。また、最近では「レジレス型店舗」も運営しております。この中で顔認証や画像認証を活用した決済技術、人流・行動把握等さまざまな製品・ソリューションを扱ってきておりますが、こうした取り組みを実現するために重要なのが、映像ソリューションなのです。これらの技術を、より手軽にお使いいただけるよう、日々開発を行っております。

AWS: 新型コロナは今まで経験したことのない不確実性をもたらし、その影響を一番大きく受けた業界の一つが小売・サービス業界だと思います。NEC様の顧客にとって最大の課題は何があると考えますか?

NEC: コロナ以前に、小売業は常に消費者ニーズに対し、変化への対応を取らなければならない業界でありました。そこにコロナが発生したことにより、POS情報等既存の店舗データだけでなく、より現場の状況・実態をリアルに把握し、対応する必要が出てきました。その中で映像は注目領域であり、店舗業務や顧客体験への活用が期待されています。従来のカメラの店舗における利用法は防犯用途に限られており、業務への活用は行われていませんでした。昨今のAIの進歩により映像から様々なデータを抽出できる可能性が広がっている。これらを活かし、リテール業界に貢献したいと考えています。

AWS: 映像の活用はすでに数年前から、いわゆるSmart Storeの大きな一部として期待されてきていますが、実際は膨大な映像データの管理・活用がハードルとして認識されてきたのではないかと思います。そのようなハードルを持つお客様に対し、NEC様はどのようにデータの管理、活用をご提案されていますか。映像の活用はすでに数年前から、いわゆるSmart Storeの大きな一部として期待されてきていますが、実際は膨大な映像データの管理・活用がハードルとして認識されてきたのではないかと思います。そのようなハードルを持つお客様に対し、NEC様はどのようにデータの管理、活用をご提案されていますか。

NEC: 店舗業務において映像を活用するためには、費用対効果に見合う提案を行う必要があります。そのためにNECは以下2点を提供しています。

  1. シンプル構成とハイブリッド型:カメラをクラウド型化したいお客様にとってハードルとなるのが設置機器の増加・維持管理と、クラウド費用の増加。NECでは現地にエッジ端末を置かずカメラのみでクラウド化出来る構成を実現し、導入・維持管理における費用・工数を最大限にシンプル化。また映像データは必要な箇所のみクラウドに転送するハイブリッド方式で、クラウド費用低減も実現。
  2. すぐ使える検知機能:人数カウント機能を実装済み。開発・構築費用無しで即時にご利用開始できる。そのほか欠品検知、商品検知、車両検知機能等を今後順次追加予定。

AWS: なるほど。他にも具体的なサービスの内容とユースケースについてもう少しご説明をお願い致します。

NEC: はい、具体的には下記のような機能を検討しています。

  • レジ混雑予想:人数カウント機能を活用し訪店人数・店内滞在人数を常時計測。それを活用しレジの込み具合を予想し、適切な従業員配置が可能。
  • 店内空き状況通知:飲食店にて店内の混雑状況を計測し、自社アプリにてユーザに空き状況をお知らせ。
  • 長時間駐車対策:車両検知機能を利用し、駐車場の空き状況を表示するほか、長時間駐車車両の注意喚起が可能
  • 誘因率:通過車両検知を活用し、どの方角から車両が訪店しているかを可視化・分析。看板設置等プロモや警備配備の見直しが可能
  • 欠品検知:商品棚の欠品率を可視化・通知し、速やかな商品補充作業・機会ロス削減を支援。

AWS: これからもテクノロジーは進化し続けて、データの活用ももっと活発に行われると思いますが、NEC様は変化に対応するためにどのような革新を行っていますか?

NEC: NECが考えるリテールの将来像として「Smart Retail CX」というブランドメッセージを打ち出しており、取り組むべきテーマとして、「業務量50%減」「魅力2倍」「不正/現金ゼロ」を提唱しています。これらテーマを実現するために、各種製品・サービスにおいて、データを活用した機能拡充のロードマップを描いています。特にカメラ技術の世界では今後、人の動きだけではなく、商品棚、欠品検知、レジ不正検知、従業員作業の分析、などなど、小売業界の可視化、効率化、最適化に貢献できると考えており、企画・開発を推進しています。それらの企画を実現するために、AWS が提供する様々なPaaS・IaaSを活用し、サービス基盤を構築しています。運用・管理コスト削減に加え、スピーディーな構築・機能実装が可能となりました。今後基盤のアップデートや各種機能を拡充する際にも、従来のようにコスト面・スピート面にとらわれることなく、柔軟に対応が可能と考えています。また、クラウド基盤の構築には専門のノウハウが必要となりますが、AWSとNECの戦略的パートナーシップにより、SEリソースの増強および流動化が図られており、全社アセットが活用しやすくなると考えています。

AWS: 小売業界の将来について、テクノロジーを駆使してどのような可能性を期待していますか?

NEC: 上述したSmart Retail CXの核となるビジョンに、「Consumer-centric Retailing」=消費者主導対応型小売りモデルがあります。この言葉から示されるように、今後は、より消費者の利便性・体験・感動を重視していく必要があり、小売業は消費者一人ひとりのその時のニーズに合わせて、あらゆる業務を見直していくことが必要です。本当に消費者に喜んでもらう買い物体験を提供するには、消費者を理解する、そして従業員が価値のある作業に集中できるような環境が必要です。カメラのデータにはその答えへのキーがリアルタイムで流れていすので、それをフルで小売が活用できるように貢献したいと思います。

AWS: 本日はお話を聞かせてくださいましてどうもありがとうございました。


田原 裕司氏

NEC

スマートリテール本部 スマートリテールサービスグループ マネージャー田原裕司氏

NECの事業開発マネージャー。2018年に無人コンビニの立ち上げを実現したのち、現在はリテール業向けの映像AIサービスを中心に開発中。


本ブログの著者について

Keanu Nahm

キアヌはAWSのシニア事業開発マネジャーとして主に流通小売業界を担当しています。米国ミシガン大学 、ウォートンMBA卒。米国・イギリス・韓国の 消費者、IT企業でB2C、B2Bマーケテイングの戦略立案、事業開発、ブランド管理。 2016年から小売・消費者企業向けの米国のIT企業で新しい企業文化、組織変更、デジタル広告製品開発を含めたDXをリード。2020年末から現職。