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サポート終了を迎えたWindows Server用アプリケーションの延命を支援する新しいプログラム

by Martin Beeby | on 02 DEC 2019 | in AWS re:Invent, Enterprise Strategy, Launch, Migration, News | Permalink | Comments |  Share

エンタープライズのお客様では、業務に必要な古いWindows Serverアプリケーションがあり、サポートされている新しいバージョンのWindows Serverに移行できない状態に陥ることがよくあります。 お客様は、これらの古いアプリケーションを移行できない多くの理由をお持ちです。アプリケーションはWindows Serverの特定のバージョンに依存しているか、そのアプリケーションに関する専門知識がなかったり、インストールメディアやソースコードが失われた状態になっているのかもしれません。

2020年1月14日に、Windows Server 2008および2008 R2のサポートは終了(EOS: End of Support)します。 これらのサポートされていないバージョンのWindows Serverでのみ実行できるアプリケーションがあると、セキュリティ更新プログラムが無償提供されなくなり、セキュリティとコンプライアンスのリスクに対して脆弱になるため問題があります。 またこのようなアプリケーションは、大幅な改修グなしでクラウドに移行することも困難です。

EOSを迎えたバージョンのWindows Serverでのみ実行される古いアプリケーションがある場合、延長サポートが検討される事があります。 ただし、OSのアップグレードと言う避けられないことを遅らせているだけであり、お客様は古いアプリケーションを将来にわたって保証する長期的なソリューションが必要だと語っています。

長期的な解決策
これ等の問題を支援するために、本日、 AWS End-of-Support Migration Program (EMP) for Windows Server プログラムを発表します 。 この新しいプログラムは、テクノロジと専門家のガイダンスを組み合わせて、Windows Serverの旧バージョンで実行されている古いアプリケーションを、AWSでサポートされている新しいバージョンのOS上に移行します。

Windows Server 2008のEOSに直面している場合、このプログラムは独自のソリューションを提供し、移行決定を遅らせず長期的に問題を解決します。 古いアプリケーションのプログラムコードを一行たりとも変更する必要はなく、元のインストールメディアやソースコードも必要ないことに注目して下さい。

ここでは、このプログラムのテクノロジー部分がどのように機能するかを紹介します。 ただし、移行を実際に行うには、AWSパートナーまたはプロフェッショナルサービスを利用する必要があることを知っておく必要があります。 プログラム紹介ページには、価格設定と特定の要件について話すことができるパートナーのネットワークが一覧表示されます。

それでは、これがどのように機能するかを見ていきましょう。ここではインストールメディアが利用可能な古いアプリケーションを移行する際にパートナーが実行する手順を紹介します。

Windows Server 2016で、Microsoft SQL Server 2000をインストールするセットアップファイルを実行しようとしています。このバージョンのWindows Serverではこのアプリケーションを実行できない事がWindows Server 2016から示されています。 この場合、アプリケーションを互換モードで実行することもできません。

次に、オンプレミスでローカルに実行されている古いWindows Server 2003を見てみます。ここで、AWS EMP for Windows Serverで使用される主要なテクノロジーであるツールを実行します。このツールを使用して古いアプリケーションをキャプチャし、基盤となる旧オペレーティングシステムから切り離してパッケージ化します。 まず最初に、ツールの完了後に完成したアプリケーションパッケージを配置するフォルダーを選択する必要があります。

次に、アプリケーションとOSの状態スナップショットを取得するキャプチャを開始します。 これは、インストールプロセスによって変更された内容を取得するために後で使用されます。

次に、ツールは移行する古いアプリケーションをインストールするように促します。 このツールは、マシンで発生するすべての変更を監視してキャプチャしています。

インストールプロセスを実行して、通常どおり古いアプリケーションをセットアップして一度実行します。

このツールは、アプリケーションインストーラーによって作成されたすべてのショートカットを識別し、これらのエントリポイントのいずれかを使用してアプリケーションを実行し、アプリケーション内の一般的な作業フローを実行するように求めてきます。 このツールは常にどのプロセスおよびシステムレベルのAPIが呼び出されるかを監視しているため、アプリケーションの依存関係情報を内部で作成します。

キャプチャが完了すると、監視対象アプリケーションによって変更されたすべてのファイルやフォルダが表示されます。このレポートを元に、フォルダやファイルの変更が実際にインストールプロセスの一部であったかどうかを手動で確認する必要があります。

レジストリキーについても同じプロセスを実行します。 レジストリキーがインストールに関連していることを手動で確認します。

最後に、パッケージに名前を付けます。 パッケージにはすべてのアプリケーションファイル、実行時間、コンポーネント、展開ツール、およびアプリケーションからのAPI呼び出しをパッケージ内のファイルにリダイレクトするエンジンが含まれています。 これにより依存関係が解決され、基盤となるOSから古いアプリケーションが分離されます。

パッケージが完成したら、手動で構成を調整します。 ここでは詳細については言及はしませんが、このプロセスには深い知識と経験が必要なため、AWSパートナーまたはプロフェッショナルサービスが対応することになります。

最後に、Windows Server 2016にパッケージファイルをコピーし、アプリケーションを実行します。 以下では、先ほどは互換性のなかった古いアプリケーションが実行されていることがわかりかと思います。

AWS EMP for Windows Server は 、古いバージョンのオペレーティングシステム、レジストリ、ライブラリ、その他のファイルに密接に依存するアプリケーションを含むアプリケーションもサポートします。

AWSで旧Windows Server用ワークロードのロードマップを確認することから始めたい場合は、AWS EMP for Windows Server も検討してみてください。移行に際して対応可能なパートナーもリストしています。 このフォームに記入して、このプログラムについて直接お問い合わせください。

—マーティン

 

翻訳は SA の松崎が担当しました。原文はこちら