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【開催報告】AWS Support の事例Webinar を実施しました
はじめに
2024年9月27日に AWS Support の事例 Webinar を実施しました。重要なシステムのレジリエンシーを高めるためには、AWS サポートの有効活用は必須です。AWS サポートでは、障害対応が起きた後の対応だけでなく、開発段階での設計支援、ローンチ時の対応、運用開始後の運用改善など、お客様が安心してAWS 上で重要システムを稼働していただくための様々な支援を提供しています。本セミナーでは、要件が厳しい「蓄電池制御プロダクト」を超短期間でローンチするために、AWS Countdown Premium を日本で初めて採用したENEOS 様と、内製化にシフトするためにエンタープライズサポートの採用を決めた三井化学様に活用事例を紹介いただきました。
セッション1:要件の厳しい蓄電池制御プロダクトのローンチ支援 ( AWS Countdown Premium )
ENEOS 株式会社は、2023 年11 月に一般提供を開始した AWS Countdown Premium を日本で初めてご採用いただいたお客様です。 ENEOS 中央技術研究所の原田様から蓄電池制御プロジェクトのエピソードをお話しいただきました。
再生可能エネルギーの普及を背景に、電力の需給・供給のバランスをとることが課題になっています。ENEOS 中央技術研究所では、大規模な蓄電所の運用計画を作成するシステム (hammock Pro ) を 2024 年 4 月にローンチしました。このプロジェクトでは、経産省のガイドラインにもとにした厳しいセキュリティ要件を満たす必要があることに加えて、市場での取引開始まで9か月間しかないという時間的な制約もありました。また、拡張性などの観点からサーバレスアーキテクチャを採用したため技術的にも新しいチャレンジでした。このような背景から、スペシャリストによる第三者視点でのレビューが必要ではないかと考え、発表して間もない AWS Countdown Premium を採用することになりました。
仕様書などの基本情報を Countdown Premium エンジニアに渡すと、さっそく 20 個程度のフィードバックがあり、1つずつ議論しながら進めました。例えば、パフォーマンスのトラブルシューティングに備えて紹介された Amazon RDS Performance Insights は、運用開始後に非常に役立ちました。また、Amazon API Gateway ログの活用方法のアドバイスをもらい、負荷の高いアクセス分析では助かっています。
また、パフォーマンスの最適化のアドバイスも有効でした。負荷試験のあとは Countdown Premium エンジニアからフィードバックを貰えます。その結果、Amazon Aurora Serverless のキャパシティなど、いくつかのメトリクスが上限に張り付いていることが分かり、設定の見直しを行いました。アドバイスが非常に具体的なため、簡単にアクションにつなげることができました。
当初の Countdown Premium への期待は、第三者レビューによって説明性を担保することと、設計・設定のブラッシュアップでした。しかし、実際にはそれに留まらず、アプリ仕様を理解した上でのパフォーマンス最適化への助言も助かりましたし、週次ミーティングはプロジェクトの良いペースメーカーとしても機能しました。また、ローンチ時にプロジェクトを共にした担当エンジニアが AWS サポート側にいてくれるのも大きな安心感でした。今後は、Countdown Premium だけなく、様々なサポートを活用していきたいと思います。
セッション2:内製化を支える Enterprise Support の活用事例ご紹介
100 年の歴史を有する三井系の総合化学メーカーである三井化学株式会社では、2014年より AWS を活用いただいています。2019 年から AWS の運用をリードされている黒田様と星様から活用事例をお話しいただきました。
三井化学では事業に対するデリバリーを最短化することを目的に、企画段階からサービスの導入・運用に至るプロセスを内製化しています。事業側からの急な要望にも対応できるようになり、コロナ禍ではリモートワークのために、フルマネージド型の仮想デスクトップインフラストラクチャ ( VDI ) である Amazon WorkSpaces を迅速に社内展開することができました。内製化によってサービスやツールの利用も進み、サポートへ問い合わせも増えたため、2019 年にエンタープライズサポートの利用を始めました。
ある日、当社のネットワークから AWS に接続できない事象が発生しました。高い緊急度でサポートケース( AWS サポートに連絡するチケット)を起票し、テクニカルアカウントアカウントマネージャー(TAM )の支援も受けながら解決にたどり着くことができました。結果としては当社ルータの問題だったのですが、障害発生時のサポートケース起票のプロセスを見直すきっかけとなりました。また、いつ起きるか分からない障害に備えて、有事の時にもスムーズに対応できるように、定期的にサポートケースを有効活用するためのトレーニングを TAM からエンジニア向けに実施してもらっています。
2018 年には 56 件だったサポートへの問合せは、2021 年には 507 件にまで増えました。大規模に利用している Amazon WorkSpaces のトラブルシューティングに加えて、パッチ適用やジョブ制御に使っている AWS Systems Manager の使い方のアドバイスをもらい安定した自動化ができるようになりました。エンジニア達からも、サポートへの問合せがノウハウやナレッジの蓄積に役立っているという声が上がっています。TAM からは毎月の定例会で個別の問合せの振り返りや課題の確認もしてもらっています。
エンタープライズサポートで技術相談ができることは、三井化学が内製化を進めるうえでの絶対的守護神になっています。利用側に求められるスキル要件の定義など、運用メンバーがよりスムーズにエンタープライズサポートを活用できるための支援を今後も期待しています。
さいごに
本 Webinar ではゲストスピーカーの皆様から具体的なエピソードを交えて AWS Countdown Premium とエンタープライズサポートの活用方法を共有いただきました。ご利用を検討中のお客様が「自社にとっての活用方法」をイメージしていただく一助になると幸いです。重要なシステムのローンチや運用に AWS Countdown Premium やエンタープライズサポートの活用をご検討のお客様はAWS の営業担当までお問い合わせください。
本ブログは、技術支援本部 シニア事業開発マネージャー 庄司が担当しました。