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2019年より、APNのTier構成・特典・要件が変わります

AWS re:Invent 2018 で、AWS パートナーネットワーク (APN)プログラム全体におけるアップデートが発表されました。これにより、日々進化し続けるAPNパートナーコミュニティーの成長・投資・革新を認めてサポートを強化し、APNパートナーには、より体系的なプログラムベネフィット (特典) を揃えました。

本アップデートは、テリー・ワイズ (AWS グローバルアライアンス & チャネル担当副社長) より、グローバルパートナーサミットの基調講演の中で発表されました。

Editor’s Note: 新Tier要件の施行日は2019年4月1日に変更になりました。2019年4月1日~12月13日の間に更新日があるAPNパートナーは、2019年12月13日にAPN ティア要件の一斉審査となります。2019年12月13日より後に更新日のAPNパートナーは各メンバーシップ更新日が審査日となります。

その内容は次のとおりです。

  • 「スタンダード」から「セレクト」へのTier名称変更
  • 各Tierパートナーに向けた体系的なベネフィット
  • APN要件のアップデート:パートナーの「知識」・「経験」・「お客様の成功」を測ることのできる要件設定

新規APNパートナーに対する新プログラム適用開始は、2019年2月4月1日となります。既存のAPNパートナーは遅くとも2019年8月1日12月13日までに、新要件に対して準拠状態に達している必要があります。※次回更新日がそれ以降の場合は、更新日に審査されます。

アップデートに関するご質問は、担当PDMもしくはPDRまでお問い合わせください。

「スタンダード」から「セレクト」へのTier名称変更

これまでAPNパートナーコミュニティから、「スタンダード」という名称が、そのTierのパートナーがもたらす価値を正しくお客様に伝えられていないという声が挙がっていました。

今回の「スタンダード」から「セレクト」への変更には、APNパートナーがブランドの説得力を強化し、AWSのお客様の中で信頼感を醸成する意味合いがあります。

APNコンサルティングパートナー・テクノロジーパートナー向けのベネフィットを体系化

AWSはこれまでもAPNパートナーコミュニティに向けた投資を行ってきましたが、APNパートナーコミュニティからは、体系化されたベネフィットの明示、APN Tierまたはプログラムごとのメリットが分かるクリアなメッセージ発信を求める声をいただいていました。

これらのフィードバックにお応えするとともに、現在および将来のAPNパートナーコミュニティに対する弊社の明確なコミットメントの証しとして、手引きとして明文化されたAPNのベネフィット (特典) を 2019 年より開始いたします。新しい特典パッケージは、APN Tier要件の満足度、およびAWSコンピテンシー、AWSマネージドサービスプロバイダ (MSP)、AWS Well-ArchitectedパートナープログラムといったAPNプログラムの検証を通して証明されたAPNパートナーの技術力と連動します。

新APNプログラム要件

最後にAPN要件が更新されてから 3 年が経過していますが、以降のAPNの急激な成長は幾何学級でした。APNパートナーが提供できる技術力は深く広く進化、拡大を続けています。APNプログラムも、成長ぶりに合わせて進化させる必要が出てきました。

今回APNプログラム基準を更新することで弊社が目指すところは、APNパートナーの技術力を正しく認識、分類することにあります。同時に、AWSベースのビジネスに対する各社の投資額および習熟度によって得られる特典と、特典取得のための支援施策に、お客様を導くことも目指します。

新APNプログラム要件は、次の3カテゴリーに分類されます。

  • 知識
  • 経験
  • お客様の成功

この分類によって、AWSのお客様が各Tierレベルのパートナーに求めるものとの整合性を高めます。各カテゴリーに注力していただくことで、APNプログラムは皆さんの成長に寄与する最良の支援を行い、より良いカスタマーエクスペリエンスの実現を可能にします。

「知識」カテゴリー: 概要

「知識」カテゴリーには教育および認定が含まれます。全てのAPNパートナーがAWSベースの強力な遂行力やソリューションを作り上げるための重要な土台となります。

従来は、ある組織が保有するAWS認定自体の総数を要件としていました。その組織に所属する「人数」は考慮していません。弊社は各個人に向けて高水準の能力開発を働きかけてきましたが、認定を保有する「人数」が小規模だと、技術エキスパート集団と名乗ることとは釣り合いが取れません。反面、APNパートナーは豊富な人材さえ確保できれば、より大きな成功を手にできる可能性があります。

そこで、各種認定の要件を、組織全体の認定総数からAWS認定保有者の「人数」に変更しました。これにより、前年の要件数値を据え置いたとしても、「知識」カテゴリーの水準を引き上げることになります。

APNコンサルティングパートナー

APNコンサルティングパートナーについては、たとえばセレクトTierの場合、AWSパートナー向け認定の保有者が4名在籍することを求めます。その構成は、ビジネスプロフェッショナルとテクニカルプロフェッショナルが各2名ずつとします。

また、新たに「AWS基礎認定 (AWS Foundational Certifications)」を導入します。これには、AWS re:Invent 2017から開始されたAWS認定クラウドプラクティショナー試験が含まれます。AWSパートナー向け認定およびAWS認定は、セールス、マーケティング、その他のサポートスタッフの皆さんが、AWSの基礎知識を持って、お客様の関心を得ることに寄与します。

また、AWSを利用してソリューション・製品・サービスの設計や運用、管理に携わる方々を対象として、認定技術者数を要件とすることは今後も継続します。

APNテクノロジーパートナー

これまで、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)やその他のAPNテクノロジーパートナーが、AWSのベストプラクティスを実行することによって、アーキテクチャのしっかりしたソリューションを生み出すことを目にしてきました。APNテクノロジーパートナー向けの新要件として、AWS認定技術者数を導入する理由がそこにあります。

「知識」カテゴリー: 詳細

  • AWS認定技術者 (コンサルティングおよびテクノロジーパートナー)
    APNパートナーは、アソシエイト、プロフェッショナル、専門知識のいずれかのレベルの AWS 認定を取得している個人を一定数雇用している必要があります。Tierの適格性とコンプライアンスを保つため、各個人の最も高いレベルの認定でカウントします。たとえば、ある社員の方がAWS認定ソリューションアーキテクトのアソシエイトとプロフェッショナルの両方のレベルを取得している場合、プロフェッショナルレベルの認定のみカウントします。
  • AWSプロフェッショナル認定者 (コンサルティングパートナーのみ)
    APNパートナーは、 AWS テクニカルプロフェッショナルAWS ビジネスプロフェッショナルの認定を受けた個人を一定数雇用している必要があります。必要人数はTierにより異なります。

「経験」カテゴリー: 概要

「経験」カテゴリーには、収益、ローンチした案件、ビジネスプランの策定、AWSコンピテンシーなどの APNプログラム検証、またプレミアTierに限りエグゼクティブビジネスレビューが含まれます。これらの要件により、AWSソリューションの提供やAWSでのソフトウェア構築におけるAPNパートナーの確かな実績を正確に識別することができます。

APNコンサルティングパートナー

APNコンサルティングパートナーについては、年間でお客様と「ローンチした案件」に着目していくことになります。これは、AWS案件管理ツールを通して登録され、開始または成約状態になったカスタマーエンゲージメントを意味します。

ローンチした案件というのは、必ずしも個々のお客様や企業をカウントするものではなく、同一エンドユーザーとのお取引の中で、複数のエンゲージメントをカウントする場合もある点が重要です。これにより、AWSとAPNパートナーのセールス組織とを強固に連携させることが可能になり、両者がともに新しいビジネスの獲得に注力することができます。

極めて成功を収めているAPNパートナーの皆さんは、ビジネスプラン策定の過程においてAWSと連携しているため、アドバンストあるいはプレミアTierのAPNパートナーと協力し、年間でそのプランを確実に達成できるようにします。プレミアTierを目指しているパートナーに対しては、AWSコンピテンシー、AWS MSP、AWS Well-ArchitectedパートナープログラムなどのAPNプログラムを通して、引き続きビジネスの差別化に注力します。

2019年は、AWS Well-ArchitectedがAPN要件に含まれる最初の年となりますが、これは主要APNコンサルティングパートナーにとって重要な領域であると強く信じています。

また、APNパートナーのプレミアTier申請時にパートナーシップ全般の状態を評価できるよう、エグゼクティブビジネスレビューも行います。プレミアTierへのアップグレードを検討するAPNパートナーには、申請前にプレミアTierの全要件を6か月間維持することで、そのレベルにおける実績の持続性を実証するよう求めていきます。

APNテクノロジーパートナー

APNテクノロジーパートナーについては、ローンチした案件とその成長へ注力を続けますが、別の選択肢として、APNパートナーが行う様々な販売活動から生み出されるものとして、直接収益も要件として含みます。多くのAPNパートナーは間接的なチャネルを介して販売を行っており、案件を目に見える形として提出するには時間がかかる可能性があるためです。

また、全てのTierの APN テクノロジーパートナーは、少なくとも 1 つ以上の製品を一般提供 (GA) していることが必要となります。アドバンストTierでは、その製品はテクニカルベースラインレビューを通っている必要があります。テクニカルベースラインレビューは、AWS ソリューションアーキテクトが行うもので、AWS Well-Architected フレームワークの 5 つの柱に関連するものです。

「経験」カテゴリー: 詳細

  • ローンチした案件 (コンサルティングおよびテクノロジーパートナー)
    APNパートナーは、新しく「ローンチした案件」の合計数を、予測される月次収益 (MRR) の合算値とともに、審査日から遡って12ヶ月の間に達成する必要があります。すべての案件は、APNパートナーセントラル内にある案件管理ツールを通じて記録、管理されることになります。ローンチした案件の数およびMRR予測値の必要数・額はTierにより異なります。
  • パートナービジネスプラン (コンサルティングおよびテクノロジーパートナー)
    APNパートナーは、文書化したビジネスプランにより、AWSパートナーシップに関わる具体的な目標を設定して追っていく必要があります。ビジネスプランは、年ごとに PDM または PDR による検証を受ける必要があります。※アドバンストTier以上が対象です。
  • 技術プログラム検証 (コンサルティングおよびテクノロジーパートナー)
    APNパートナーは、グローバルなAPNプログラムでの検証を受ける必要があります。APNコンサルティングパートナーの場合、AWSコンピテンシーAWS MSPAWS Well-Architectedパートナープログラムが対象です。APNテクノロジーパートナーの場合、AWSコンピテンシーAWSテクニカルベースラインレビューが対象です。要件の有無および必要数はTierにより異なります。
  • プレミアTier要件の継続的達成 (コンサルティングパートナーのみ)
    プレミアTierへアップグレードするには、申請資格を得るまでの少なくとも6ヶ月間、継続してプレミアTierの全要件を満たしていることが必要です。
  • エグゼクティブビジネスレビュー (コンサルティングパートナーのみ)
    少なくとも6ヶ月継続してプレミアTier全要件を満たしていたAPNパートナーは、エグゼクティブビジネスレビューの対象となることがあります。このレビューでは、前年度と比較してプレミアTierのステータスを継続できるかをPDMが判断するために、APNパートナーにAWSとのパートナーシップの多様な側面について情報の提供を求めています。
  • 直接収益 (テクノロジーパートナーのみ)
    APNパートナーが所有するAWSアカウントから得られる累積収益合計を、審査日から遡って12ヶ月の間に達成する必要があります。これには、内部生産、テスト、開発ワークロードに使用される AWSアカウントも含まれます。必要数はTierにより異なります。
  • 製品リスト (テクノロジーパートナーのみ)
    APNパートナーは、AWSのGAにリストされている製品を所有している必要があります。各製品リストは、PDMまたはPDRによって検証されます。

「お客様の成功」カテゴリー: 概要

APNコンサルティングおよびテクノロジーパートナー

「お客様の成功」カテゴリーには、APN 顧客満足 (CSAT) プログラム、AWSのお客様との公開事例、およびAPNテクノロジーパートナー向けの本稼働ワークロードのビジネスサポート以上が含まれます。これによりAPNパートナーは、お客様と成功させた事業を経年的に明確に示すことができます。

AWSはお客様第一の組織です。そして、その理念や想いを共有するAPNパートナーと協働していきたいと考えています。弊社はこれまで、APNコンサルティングおよびテクノロジーパートナーに、多くの公開およびプライベートな事例を求めてきました。しかし、公開事例こそが新しいビジネスへと導くきっかけとなることを、APNパートナーからよく耳にしてきました。

より良いサポートのために、公開事例が可能なお客様のみに注力する要件としました。また、全てのTierのAPNパートナーがCSATプロセスに参加して、お客様からのレビューを得ることを求めています。

CSATの情報を外部に公開することはありませんが、APNパートナーが 我々アマゾンの理念である「Customer Obsession (お客様第一)」の姿勢に沿っていることを証明するためのものです。弊社側でCSATスコアを活用して、優れたカスタマーエクスペリエンスを推進しているAPNパートナーを特定し、お客様との新たな案件に結び付けることもできます。

APNテクノロジーパートナー

APNテクノロジーパートナーは、全ての実稼働ワークロードでビジネスサポート以上を維持することが引き続き必要となります。これにより、適切なSLAに従って、お客様へのサービスに影響を与える可能性のある問題をタイムリーに解決できます。

「お客様の成功」カテゴリー: 詳細

  • 公開事例可能なお客様 (コンサルティングおよびテクノロジーパートナー)
    APNパートナーは、既にクローズされた、または立ち上げられた案件を、公開可能な状態にする必要があります。お客様の事例を公開可能にするオプションは、承認された案件のステータスを、APNパートナーセントラル内にある案件管理ツールで「開始」に変更すると利用できます。公開可能と指定されたお客様の案件に関する詳細は、パートナーソリューションファインダー (PSF) の一覧で表示できます。必要件数はTierにより異なります。
  • 顧客満足 (CSAT) 回答 (コンサルティングおよびテクノロジーパートナー)
    APNパートナーは、PSFリストの「このパートナーを評価する」機能を通して、一定数のエンドユーザーからの回答を得る必要があります。必要数はTierにより異なります。

次のステップ

弊社は、皆さんの組織がAPNパートナーとして成功することを約束したいと考えています。これは、皆さんの「知識」「経験」「お客様の成功」に注力していくことで実現可能です。

全ての新規APNパートナーに対する新プログラム適用開始は、2019年2月1日となります。既存APNパートナーは、少なくとも2019年8月1日までに、現在のTierの新要件を満たす必要があります。※次回更新日がそれ以降の場合は、更新日に審査されます。

これらのアップデートに関するご質問は、PDMまたはPDRにお問い合わせください。

Ami Nagahama

Ami Nagahama

APN プログラムマネージャー / パートナーコミュニケーションマネージャー