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パートナーに聞く!FTR 通過を目指すべき理由とは?【後編】

ISV パートナーパスAWS ファンデーショナルテクニカルレビュー (FTR) を通過すると何が良いのか? 要件でもありながら、それ自体にメリットがある AWS ファンデーショナルテクニカルレビュー(FTR) について、AWS コンサルティングパートナー として初めて FTR を通過された株式会社Serverless Operations のインタビューから紐解いていくシリーズ後編。 ISV・コンサルティングパートナーの垣根を超えて、これから ISV パートナーパスを活用したいパートナー必読の内容です!

= 前編はこちらから

Serverless Operations Interview about AWS Foundational Technical Review (FTR)

(左) AWS パートナーソリューションアーキテクト 櫻谷広人 (右) 株式会社Serverless Operations 取締役COO 金仙優 氏


AWS 櫻谷 (以下略): たまに「FTR 対応をするより新機能の開発をした方がいい」「FTR 対応のためのリソースを確保できない」というお声を聞くこともあるのですが、その辺りはどのようにお考えですか?

Serverless Operations 金氏 (以下略): セキュリティや DR (ディザスタリカバリ) は考えておかないと機会損失につながる恐れもありますし、要はバランスだと思います。確かに短期的な売上で見れば、FTR は優先すべきことに見えないかもしれません。ただ、サービス全体の堅牢性、安定性に関わってくるので、長期的に見て考えれば絶対に価値があるし、得になると思います。そのための時間や予算をプラニングで上手く作り出せたら良いのかもしれません。

FTR に懐疑的なビジネスサイドと調整する際のヒントはありますか?

弊社はサービスやチームの規模が大きくなかったので、その点進めやすかったかもしれません。しかし FTR はサービスをリリースするときの1つの品質目標としても良いくらいしっかりしたレビューなので、何をもって品質と長期的なビジネスの成長を担保するのか、そういう視点でビジネス側と調整すると良いかもしれませんね。実際に FTR では考え漏れしている部分や、顕在化されていない課題をたくさん見つけことができましたし、問題が起きる前に対処するのと、問題が起きてから対処するのでは、全然違いますよね。セキュリティの観点でも、ルートや IAM のクレデンシャルの定期的な見直しなど、対応があいまいになりがちなところや、目に見えづらいところを整理して考えるきっかけになるはずです。

 

” FTR には、長期的にサービスを成長させていく上で欠かせない要素についてのヒントがあると思います。” – 金仙優 氏

 

しっかり対策をしないとインシデントは不安ですよね。ベストプラクティスを実装することで安心感が増したり、自信が持てたりする面はあるかと思います。

そうですね。あと AWS を扱う技術者として、AWSがどういう観点でソリューションを評価するのか、それを深く理解する機会になります。AWS のパートナーソリューションアーキテクトにしっかりと網羅的にレビューしてもらえるというのは有難いです。FTR レビューは2年毎ということで「誰かに見られる」という、いい意味での緊張感も入ります。もちろん見られて不備を指摘されて終わりではなくて、理由と対応策までアドバイスもらえるので非常に助かります。

バッジの取得など、ビジネス的なメリットはいかがでしたか?

バッジはサービス名が載ったらもっと良いですね(笑)でもバッジがあるだけでも有難いです。AWS の厳しいレビューに合格している、いわば AWS のお墨付きを得ているソリューションだと示すことができますので。自社のニュースページにも載せました。

バッジは社内でも再検討されているところです…。ところで、今年 ISV パートナーパスが登場したことで、コンサルティングパートナー・テクノロジパートナーという垣根がなくなり、両方のビジネスを推進しやすくなりました。この変更については、どのように捉えられましたか?他のパートナーへのアドバイスもお願いします。

新しいプログラムが出たら、それだけの狙いが AWS にもあると思うので、弊社では「なるべく早くやろう」というスタンスです。何であれ「とりあえずやれそうなものはやる、活用できる特典は活用する」。競争も激しくなっている中で、クイックに動くことは強みになりますし、今回のように何かあったときに AWS から声をかけてもらえるきっかけにもなると思っているので、とにかくクイックに動くことを意識しています。技術的な観点では、従来のコンサルティング・テクノロジー区別よりも、ソリューションベースの検証になったことで、技術力のアピールがしやすくなったと思います。「セレクトティアの AWS パートナーです」と言うだけでなくて「このソリューションは AWS のレビューを受けています!」とまた別の視点でアピールできるのは良いですね。他のパートナーへのアドバイスは、そうですね、フットワーク軽くいくのがよいのかなと思います。FTR の準備やレビューでは色々と学びがありますし、検討しても損はないかなと思います。工数の観点で考えればメリットを感じづらいかもしれませんが、長期的に全体感を見れる方が担当されると、意味が大きくなるかなと思います。

Costless Reviewed Badge

同社ウェブサイトに掲載された
FTR 「Reviewed」バッジ

今後の AWS ビジネスの展開や目標を教えてください。

「サーバレスでクラウドの価値を最大限に」という、弊社の目標は変わりません。サーバレスは技術の手段だと言われることがありますが、AWSから学んだ言葉でいえば「Undifferentiated Heavy Lifting」つまり、他との差別化に繋がらない重労働をやめてビジネスの本質に集中するためにあります。サーバレスやマネージドサービスを上手く活用することで本当にやりたいことに集中できる、そういう体験をお客様にたくさんしていただきたいです。技術力を高めるための取り組みや斬新なビジネスの実現、そういうところで貢献して、そういうことを目指す人たちを支援していきたいと思っています。プログラムに関しては、AWS コンピテンシーAWS サービスレディなどの取得も検討しています。基本的にはやれるものは全部チャレンジしていきたいですね。対外的な技術力のアピールという面もありますが、AWS パートナーとして AWS の意図を汲み取って早めに動いていきたいという思いがあります。状況にもよりますし一度には無理かもしれませんが、着々と取って行くつもりです。

最後に AWS に期待することがあれば教えてください。
各種コミュニティやミートアップがあるのは有難いですね。FTR については、もう少し簡単なバージョンがあってもいいかなと思いました。あとは各社で得意なアーキテクチャなど会社ごとの色が出しやすくなって、お客様がパートナーを選定しやすくなるような仕組みが、今以上にあると有難いです。パートナー同士で情報交換できるイベントのようなものもあるといいかもしれませんね。

貴重なご意見ありがとうございました!

 


 

いかがでしたでしょうか。

貴社も ISV パートナーパスで FTR 通過を目指しませんか?参加方法、レビュー対策、ベネフィット詳細については、以下からご覧ください!

ISV パートナーパスと FTR の概要を理解するには >> APN ナビゲート – AWS ISV パートナーパス

FTR の進め方をさらに詳しく理解するには (エンジニア向け) >> AWS PartnerCast ウェビナー録画