AWS Startup ブログ
エンジニア採用が大幅に改善。開発組織の課題を解決する、ex-CTO メンタリングとは
AWS はお客さまに対して、各種クラウドサービスだけではなくビジネスサポートや技術サポートも提供しています。そして、それらのサポートのなかに、ex-CTO メンタリングというものがあることをご存知でしょうか。
これは、スタートアップ企業の元 CTO であるソリューションアーキテクトが、「CTO および技術責任者、または CTO と関わる経営者」を対象に「エンジニア組織のマネジメント全般の相談、エンジニアの採用・評価・育成の相談、CTO 職としての役割についての悩み、CTO 採用活動中または CTO 不在時の悩み相談」についてメンタリングを行うものです。
ex-CTO メンタリングを活用して、エンジニアの採用活動を大幅に改善したのが Baseconnect株式会社です。今回は Baseconnect へのサポートを行うアマゾン ウェブ サービス ジャパン スタートアップ事業本部 アカウントマネージャー(西日本統括)の金海 裕市と、メンタリングを実施したソリューションアーキテクトの佐藤 大資が、Baseconnect の方々にお話を伺いました。
<Baseconnect株式会社 インタビュー参加者>
代表取締役 國重 侑輝 氏
開発部門責任者 奥野 輔 氏
プロダクト開発採用担当 寺尾 友理 氏
エンジニアマネージャー 米丸 雄飛 氏
エンジニアサブマネージャー 富田 理央 氏
エンジニア Endratno Alvin 氏
エンジニア採用活動の全体設計に着手
金海:まずは Baseconnect の事業概要を教えてください。
國重:私たちは「世界中のデータを繋げることで、ダイレクトに必要な情報にアクセスできる世界を作る」という目的を掲げて、事業を運営している企業です。書籍、検索に続く、第 3 の「知る」インターフェースを創造することを目指しています。主力事業は、法人営業の新規開拓を効率化するクラウド型企業情報データベース「Musubu」です。
Baseconnect株式会社 代表取締役 國重 侑輝 氏
金海:御社はかつて、エンジニア採用において課題を抱えていたと伺っています。これまで、どのように採用活動を実施してきたか、経緯を教えてください。
奥野:私や寺尾はもともとエンジニア採用の経験がゼロで、ノウハウが全くありませんでした。試行錯誤しながらも 2020 年の前半に 2 名に内定をお出ししていましたが、辞退という結果になりました。2020 年末に 1 名の内定承諾をいただきましたが、採用計画には届いていませんでした。そこで、採用活動を改善したいと考えて、2021 年の 5 〜 6 月ごろに佐藤さんの ex-CTO メンタリングを受けました。
佐藤:メンタリングでは複数のアドバイスをさせていただきました。いくつか例を挙げると、採用候補者向けのカスタマージャーニーマップを作成して、企業とのタッチポイントやそれらに関連する課題を可視化すると良い、という話をしました。
それから、どの会社もエンジニアの採用に苦労しているため、良いメンバーを採るにはそれなりの工数をかける必要があること、そして各種面談で話すべき話題や、技術ブランディングの方針などもアドバイスしましたね。
金海:アドバイスを受けた内容のなかで、特に印象に残っているものはありますか。
奥野:佐藤さんは以前、有名企業のCTOや、複数社でVPoE、Engineering Managerなどを担当されてきたということで、「そういった会社は知名度が高いため、採用活動に注力しなくてもエンジニアがたくさん応募してくるはず。弊社とは事情が違うのではないか」と思っていました。ですが、決してそうではないとわかったんです。佐藤さんの経験を伺って「これほど力を入れて取り組んでいたのか」と驚きました。
どの会社も、エンジニアを採用するために非常に努力していること。そして、採用を成功させている会社は各種採用業務の制度設計や仕組み化を適切に行い、システマティックに管理していることが重要な気づきでした。それから、話してくださったエピソードの数々から、企業側の視点ではなく採用候補者側の視点で考えていることも印象的でしたね。
Baseconnect株式会社 開発部門責任者 奥野 輔 氏
寺尾:いただいたアドバイスのなかでも、特に採用候補者向けのカスタマージャーニーマップを作ることは有効ですし、他のスタートアップの方々にもおすすめしたいと思いました。
<当時のカスタマージャー二ーマップの一部画像>
佐藤:そう言っていただけると嬉しいです。メンタリング後、どういった点に注力しましたか。
寺尾:メンタリングを受ける前は「とにかくスカウトメッセージをがむしゃらに送る」という感じでしたが、採用プロセス全体を設計するという考え方を学んだことで、採用活動が大幅に改善しました。たとえば、以下のような施策を実施しました。
<改善施策例>
・エンジニア採用のチーム体制構築(エンジニアメンバーを巻き込んだスクラム採用の実現)
・オファー面談の導入と改善
・スカウト運営体制の見直しと文面改善
・グローバルエンジニア向け求人運用&スカウト開始
・エージェントのリレーション強化
・Tech Blog の開設
・エンジニアの方向けの採用スライド公開
・エンジニアの方向けの採用イベントの開始
<エンジニア採用施策一覧シートの一部画像>
エンジニア採用チームで運用している各施策の一覧。1 か月ごとに振り返りを行い、クオーターごとに施策の見直しをしながら、改善を続けている。
結果的に、2021 年には 8 名のエンジニアを採用できました。採用難易度の高いマネージャークラスのエンジニアも採用できたため、かなり良い成果が出せたと感じています。
Baseconnect株式会社 プロダクト開発採用担当 寺尾 友理 氏
実際に選考を受けたエンジニアメンバーの感想
金海:採用選考を受けて入社された富田さんと米丸さんにもお話を伺いたいです。選考のなかで印象的だった要素はありますか。
Baseconnect株式会社 エンジニアサブマネージャー 富田 理央 氏
富田:私は採用プロセスを改善する前のフェーズで選考を受けたのですが、確かに当時はまだ採用選考が洗練されていない印象を受けました。選考のなかで Baseconnect 側から技術課題を提示されたのですが、その課題によって果たして本当にエンジニアの技術力を測れるのか、自分のスキルがこの会社で役に立つのか、わからなかったです。
そのため、「追加で、もうひとつ別の課題もください」とお願いしたくらいです。加えて、当時は Baseconnect が外部に向けて発信している情報が少なかったため、この会社が扱っている技術や所属しているエンジニアのことも不明瞭でした。
ですが私の入社後は、採用活動全体が確実に改善していると感じます。私のときと最も状況が違うのは、会社についての情報のアウトプットが充実したことですね。テックブログやエンジニア採用スライドがあるため、開発組織の状況や採用技術のことなどが外部からもわかりやすくなったのは大きいのではないかと思います。
金海:米丸さんはいかがですか。
Baseconnect株式会社 エンジニアマネージャー 米丸 雄飛 氏
米丸:私は採用プロセスを改善した後に選考を受けたのですが、各種の対応が非常に丁寧だという印象を受けました。カジュアル面談では真摯にこちらの話を聞いてくれ、質問に対しても詳細に答えてくれる。資料も綺麗に作られていました。
最も印象的だったのは、会社が抱えている課題に対してディスカッションする時間を設けてもらったことです。この会社で働くイメージが湧きやすくなったのと、課題を包み隠さずに伝えてくれる姿勢に実直さを感じました。より良い採用プロセスのあり方を、採用に関わるメンバー全員が考えてブラッシュアップを続けていることは、素晴らしいと思います。
インタビューには、正社員に内定しているインターン生の Endratno Alvin 氏も途中参加してくれた。Alvin 氏は「Baseconnect の採用選考では、私の今後のキャリアを一生懸命に考えてくれていることが伝わった」と語る。
ぜひ、これからも ex-CTO メンタリングを定期的に受けたい
佐藤:ex-CTO メンタリングをまた受けてみたいですか?
奥野:ぜひ 1 年おきに受けたいです。開発組織の拡大やフェーズの変化に伴って、必ず新たな課題が生じます。そういった点を相談することで、開発組織の改善に役立てたいです。
金海:それに関連した話をすると、AWS にはベストプラクティスに沿ったアーキテクチャ構築ができているかを定期的にチェックするための仕組みである AWS Well-Architected レビューというものがあります。これと同じような感覚で、弊社のソリューションアーキテクトの佐藤が定期的に Baseconnect の事業フェーズや開発組織の状況に応じたアドバイスをできたら理想でしょうね。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン スタートアップ事業本部 アカウントマネージャー(西日本統括)金海 裕市
奥野:別の話題として、エンジニアコミュニティにおける弊社の認知度をより高めていきたいのですが、おすすめの方法はありますか。
金海:スタートアップ同士の交流や経験の共有を目的としている AWS Startup Community というエンジニアを中心としたユーザーコミュニティがあります。このコミュニティは積極的に各種イベントを開催しています。運営には AWS 以外の企業も参加しているため、ぜひコミュニティ運営メンバーとして Baseconnect に加わっていただければ嬉しいです。
佐藤:事業や採用において、これから注力したいことを教えてください。
國重:主力事業である「Musubu」はこれまで、法人営業の新規開拓を支援するための企業データベースでした。ですがユーザーからは、営業状況の管理や顧客管理など、営業の各種プロセスを統合的にひとつのプロダクトで実現したいという要望が届いています。そのため、「Musubu」はこれから営業活動全体を支援するオールインワンツールに変化していきます。それに伴い、プロダクト開発にもより一層注力したいため、エンジニアやデザイナーの採用がさらに重要になっています。
寺尾:今後もプロダクト開発組織の採用を強化していきます。選考を通じて、候補者の方が一人ひとり思い描くキャリアや人生に対して、会社側が提供できることや、求める役割がどこまでマッチするかということと丁寧に向き合っていきたい。「Baseconnect ならば自分の目指す未来が実現できる」と確信してご入社いただけるような採用を実現したいと考えています。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン ソリューションアーキテクト 佐藤 大資
佐藤:どのようなスキルやマインドのエンジニアに参画してほしいですか。
國重:私たちが一番大事にしているのは自律性ですね。Baseconnect の目的やバリューに共感し、オーナーシップを持って業務に向き合いながら自走できる人を求めています。
奥野:私の個人的な考えとしては、自分なりの強みや好きな技術領域を持った人に来ていただきたいです。こだわりがないよりも、それぞれの個性や偏りがあって良いと思いますし、メンバー一人一人の強みや個性が発揮されることで、組織全体としてバランスのとれた状態になるといいなと思っています。
金海:最後に開発組織としての目標を教えてください。
奥野:この会社では、多種多様なバックグラウンドの人が働いています。日本だけではなくグローバル出身のエンジニアもいますし、年齢や考え方もさまざまです。そんな、個性豊かなメンバーたちの、それぞれの居場所を作っていきたいです。各メンバーが最大限に力を発揮できるような開発組織にしていきたいですね。
富田:居心地よく働いてもらえるような環境を用意したいです。私たちの開発組織はまだまだ成長していきます。そして今まで以上に、メンバーの行動や考えを型にはめるのではなく、一人ひとりが持つ色を、グラデーションのように色彩豊かに発揮されるような環境にしていきたいですね。
佐藤:さらに良い開発組織になっていくのが楽しみです。そして、ぜひまた ex-CTO メンタリングを実施しましょう。今回はありがとうございました。
一同:ありがとうございました!
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