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週刊AWS – 2024/7/8週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの杉山です。今週も 週刊AWS をお届けします。

AWS Summit New York があり沢山の生成 AI 関係のアップデートがありました。週刊生成AI with AWS で網羅的に取り上げており、こちらもご覧ください。

異なる視点での最近の生成 AI の出来事を記載すると、GenU (Generative AI Use Cases JP) という名前の GitHub で公開されているアプリケーションがあるのですが、新たに Knowledge bases for Amazon Bedrock を利用した RAG チャットの機能が追加されました。Knowledge Bases の進化に合わせた機能の利用がやりやすくなったり、コスト面では従来の Kendra を利用した構成と比較して、最大 1/6 ほどの料金で RAG チャットが利用できるようになっています。ぜひ、こちらもお試しください。

それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2024年7月8日週の主要なアップデート

  • 7/8(月)
    • Amazon CloudFront がウェブアプリケーション向けの管理キャッシュポリシーを提供
      Amazon CloudFront は、2 つの新しい管理キャッシュポリシー「UseOriginCacheControlHeaders」と「UseOriginCacheControlHeaders-QueryStrings」を提供開始しました。新しい管理キャッシュポリシーは、オリジンから返されるレスポンスに Cache-Control ヘッダーが有ればコンテンツをキャッシュし、Cache-Control ヘッダーが無ければキャッシュをしません。キャッシュをさせたい静的なページと、キャッシュさせたくない動的なページが混在しているときに、新しいキャッシュポリシーでシンプルな利用がやりやすくなった形です。
    • FreeRTOS が新しいロングタームサポートバージョンをリリース
      FreeRTOS のロングタームサポート (LTS) として、202406 LTS をリリースしました。FreeRTOS LTS リリースは、2 年間にわたってセキュリティアップデートと重要なバグ修正を提供しながら、機能の安定性を提供します。FreeRTOS は、組み込みデバイス用に設計されている OS で、IoT といった文脈でよく利用されるものとなっており、軽量に動作する特徴があります。
    • Amazon Connect の自動エージェントシフト交代機能
      Amazon Connect で、電話対応するエージェントのシフト交代スケジュールを自動化できるようになりました。元々、Amazon Connect には管理者がスケジュール管理を行う機能があります。今回の、自動シフト交代機能により、エージェントが繰り返し交代する一連のシフト (例: 朝のシフト、午後のシフト、夜のシフト) を作成することで、自動的にシフト交代を作成してくれるようになりました。詳細はこちらのブログをご確認ください。
  • 7/9(火)
    • Amazon Q Business でユーザーに合わせてパーソナライズした応答
      Amazon Q Business でパーソナライズされた応答を行うための機能が追加されました。Amazon Q Business の認証に利用する Identity Provider から、従業員の所在地、部門、役割といった情報を利用して応答の関連性を高める仕組みをもちます。このパーソナライズ機能は自動的に有効化されており、追加の設定なしにご利用いただけます。
    • AWS Glue Studio で ノーコードのデータ準備機能を提供
      AWS Glue Studio Visual ETL で、データアナリストや機械学習エンジニア向けに、データのクリーニングや加工などの前準備を、表形式の GUI で実行できる機能が追加されました。Visual ETL で処理したい内容を GUI で繋げてデータ加工フローをくみ上げるのですが、そのフローの中に Glue DataBrew のレシピを連携できるようになった形です。詳細はこちらのブログをご参照ください。
    • Amazon FSx for NetApp ONTAP で NVMe-over-TCP をサポート
      Amazon FSx for NetApp ONTAP で NVMe-over TCP をサポートしました。これは、従来の iSCSI ブロックストレージと比較して低レイテンシで、データベースや仮想デスクトップインフラストラクチャ (VDI) などのブロックストレージワークロードを高速化できます。また冗長化のためのマルチパス構成をシンプルにできる特徴もあります。
  • 7/10(水)
    • Claude 3 Haiku でファインチューニングがプレビュー可能に
      Amazon Bedrock で Anthropic の Claude 3 Haiku モデルのファインチューニングがプレビューで利用可能になりました。組織独自のトレーニングデータセットを用意してファインチューニングを行うことで、企業の独自の情報、ブランド、製品などを反映したユーザー体験を作り出すことができます。ファインチューニングを実施する際に、利用者専用の隔離された環境にコピーしたうえでトレーニングを行うため、セキュアな環境で利用する仕組みが備わっています。現在はオレゴンリージョンで利用が可能です。利用するには、AWS Support にお問い合わせください。
    • Amazon Q Developer で組織内の独自コードを利用した生成機能のプレビュー
      Amazon Q Developer で、独自ソースコードを利用した、ソースコード生成のプレビュー提供を開始しました。GitHub、GitLab、BitBucket、S3 に格納している、組織内のソースコードを使ってカスタマイズすることで、独自コードに基づいた内容を生成できるようになりました。例えば、組織内に共通的に利用するライブラリがあったときに、そのライブラリに実装されている関数を使って、新たなコードを生成できます。カスタマイズに利用したソースコードは、モデルの学習に利用されることはありません。Amazon Q Developer Pro サブスクリプションでご利用いただけます。詳細はこちらのブログをご参照ください。
    • Agents for Amazon Bedrock で Code Interpretation 機能のプレビュー
      Agents for Amazon Bedrock で 新たにコード解釈機能 (Code Interpretaion) のプレビュー提供を開始しました。利用者のリクエスト内容に応じて、Agents は安全なサンドボックス環境でコードスニペットを動的に生成、実行できるようになり、データ分析、データ可視化、最適化問題などの複雑なユースケースを実行しやすくなりました。また、CSV、XLS、YAML、JSON、DOC、HTML、MD、PDF などのファイルを渡せるようになりました。例えば、CSV ファイルを渡して、「このデータをもとに売り上げ上位 3 種類を可視化して」とリクエストすると、可視化した画像が生成されます。現在、バージニア北部、オレゴン、フランクフルトリージョンでプレビュー利用ができます。詳細はこちらのブログをご参照ください。
    • Knowledge Bases for Amazon Bedrock で Advanced RAG 機能の追加
      Knowledge Bases for Amazon Bedrock で Advanced RAG 機能として、高度なチャンキング機能を提供開始しました。階層的なチャンキング (Hierarchical chunking) は、データを親チャンクと子チャンクの階層構造にして管理します。子チャンクを関連データとして取得する際に、より幅広く関連性の高いデータにするため、親チャンクのデータを利用するような仕組みとなります。セマンティックチャンキング (Semantic chunking) は、自然言語処理の手法を利用し、データを意味のあるチャンクに分割することで、理解と情報検索性能を向上させます。また、チャンクを行うコードを Lambda 関数で用意する機能が追加され、ユースケースに合わせた独自のチャンク分割を処理できます。ほかにも追加された機能があり、詳細はこちらの Document をご覧ください。
    • Amazon Bedrock でプロンプト管理や、プロンプトフロー機能のプレビュー
      Amazon Bedrock でプロンプト管理や、プロンプトフローのプレビュー提供を開始しました。Prompt Builder を利用することで、プロンプトを定義し、複数のモデル間の違いを確認しながら、最適なプロンプトの組み立てに役立てられます。外部のアプリケーションから、作成したプロンプトを使用するには、API コールでプロンプトを取得できます。また、Bedrock Prompt Flows は、視覚的なビジュアルビルダーを使って、ワークフローの作成、テスト、デプロイができます。詳細はこちらの Blog をご覧ください。
  • 7/11(木)
    • Amazon ECSでは、トラブルシューティングをより簡単に行えるよう、停止したタスクのエラーメッセージがより詳細な出力
      Amazon ECS で停止したタスクのエラーメッセージが、より具体的な失敗理由と対処方法の推奨事項が含まれるようになりました。AWS ドキュメント に具体的となったエラーの一覧とその対処豊富も記載されており、AWS マネジメントコンソールからリンクされすぐに辿れるようになっています。例えば、タスクの起動が失敗したときのメッセージをいくつか抜粋すると、 「Subnet の IP アドレスの空きがない」、「ECR から Pull ができなかったので、接続性に問題がある」、「Fargate Spot でキャパシティがない」といったわかりやすい内容にアップデートされています。
  • 7/12(金)
    • Amazon Q Business は、スキャンされた PDF とPDF 文書に埋め込まれた画像のサポートを導入
      Amazon Q Business は、お客様の社内データに基づいて、質問の回答、要約、コンテンツの生成などを行う生成 AI 支援アシスタントです。このアップデートで、PDF のテキスト内容に加えて、紙の書類をスキャンして画像として貼り付けられている PDF に基づき生成ができるようになりました。スキャンした PDF にある表形式のデータや、構造化されたフォームを扱えるようになっています。詳細はこちらのブログをご参照ください。

7/24 (水) 19:00~ に、Startup Loft (目黒オフィス) で「IoT サブスクリプション ビジネスの課題と取り組み」イベントを開催します。株式会社ビットキー様や株式会社VACAN様の事例のお話や、AWS Japan からの登壇の内容もあります。大規模利用事例や、スタートアップとしてのビジネス上で苦労された点のお話がありますので、ぜひ興味がありましたらご参加ください。

それでは、また来週お会いしましょう!

著者について

Suguru Sugiyama

杉山 卓(Suguru Sugiyama) / @sugimount

AWS Japan のソリューションアーキテクトとして、幅広い業種のお客様を担当しています。最近は生成 AI をお客様のビジネスに活かすためにアイデア出しやデモンストレーションなどを多く行っています。好きなサービスは仮想サーバーを意識しないもの全般です。趣味はゲームや楽器演奏です