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週刊AWS – 2024/8/19週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの杉山です。今週も 週刊AWS をお届けします。

2024 年 9 月 26 日 (水) 13:00 ~ 17:10 に、モダナイゼーションやマイグレートをテーマにした AWS Innovate が開催されます。モダナイズによりビジネス価値を生み出すための主要なコンポーネントである、インフラ、アプリ、データの観点から最新のモダナイズ手法を学べるセミナーです。オンライン開催で空き時間に参加がしやすくなっており、ぜひ事前登録の上ご参加ください。

それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2024年8月19日週の主要なアップデート

  • 8/19(月)
    • AWS Code Build で Mac を利用したビルドサポート
      AWS CodeBuild で macOS アプリケーションをビルドできるようになりました。Apple M2 インスタンス上で macOS 14 Sonoma を稼働し、macOS アプリケーションのビルドを行う仕組みです。Apple システム (iOS、iPadOS、watchOS、tvOS、macOS) 向けのアプリケーションをビルド、テスト、署名、配布するには、Xcode を使用する必要がありますが、これを CodeBuild で対応できるようになった形です。料金についての留意点ですが、CodeBuild for macOS はリソースを事前に予約する仕組みで動作するため、ビルドが実行されていなくても、ビルド用マシンが確保されている時間分の料金が発生します。詳細はこちらのブログをご参照ください。
    • Amazon S3 で認証されていない HTTP アクセスの料金を無料に変更
      Amazon S3 は、認証されていないリクエストを無料にする変更を完了しました。この変更により、バケット所有者は、個々の AWS アカウントまたは AWS Organization の外部からリクエストを受けた場合、HTTP 403 (Access Denied) エラー応答を返しますが、認証されていないリクエストに関する料金は発生しません。2024 年 5 月 13 日にアナウンスされ、大半の S3 API に適用しましたが、現在すべての S3 API で対応しました。
    • SageMaker Pipelines で ML ワークフローを簡単に作成するドラッグ & ドロップ UI の対応
      SageMaker Studio 内で利用できる SageMaker Pipelines で ML ワークフローを作成する際に、ドラッグ & ドロップでアイコンを配置する、視覚的にわかりやすい UI にアップデートしました。データサイエンティストや ML エンジニアは、コーディングをせずに、エンドツーエンドのAI/MLワークフローを作成して、モデルの Training、Fine-tune、デプロイができるようになりました。こちらのドキュメント に新 UI の画像付きで紹介されています。
  • 8/20(火)
    • Amazon S3 で条件付き書き込みのサポートを追加
      Amazon S3 で、オブジェクトの作成前にそのオブジェクトの存在をチェックできる条件付き書き込みのサポートを追加しました。この機能により、データのアップロード時に既存のオブジェクトを上書きしないようにする処理の簡素化などに利用できます。データのアップロード前にオブジェクトの存在をチェックする処理や、クライアントサイドのメカニズムを構築するといった負担を軽減できます。大規模な分析、分散機械学習、その他の高度に並列化されたワークロードのパフォーマンスやコスト効率の向上といったメリットがあります。
    • AWS Lambda で関数ごとに再帰的ループ検出の機能管理
      AWS Lambda は関数ごとに再帰ループ検出の有効 or 無効を指定する機能をサポートしました。デフォルトで有効になっている Lambda の再帰ループ検出は、サポートされているサービス間の再帰呼び出しを自動的に検出して停止する予防的な機能です。いわゆる、無限ループを検知する機能となります。いままでは AWS アカウント単位の指定でしたが、関数レベルで制御できるようになりました。
  • 8/21(水)
    • Amazon Bedrock でバッチ推論機能の一般提供開始
      Amazon Bedrock でプレビュー提供していたバッチ推論機能の一般提供を開始しました。バッチ推論は、推論リクエストを非同期で実行し、あとから結果を取得する仕組みです。オンデマンド料金の 50 % で利用できる点や、Service Quota がオンデマンドとバッチ推論で分離されているのがうれしいポイントです。バッチ推論の完了時間は、ジョブのサイズなどさまざまな要因に依存しますが、一般的には 24 時間以内に完了すると期待できます。Anthropic、Meta、Mistral AI、Amazon のモデルで利用が可能ですが、リージョンによって利用可否が異なるため、詳細はこちらの表をご参照ください。
    • Amazon EventBridge Scheduler でデフォルトの Service Quota の上限緩和
      Amazon EventBridge Scheduler でデフォルトのサービスクォータが引き上げられ、スケジュール数のクォータが 100 万から 1,000 万に、呼び出しスループットのクォータが 500 から 1,000 呼び出し/秒に増えました。また、CreateSchedule、DeleteSchedule、GetSchedule、UpdateSchedule の API リクエストレートのデフォルトクォータが、50 から 1,000 リクエスト/秒に引き上げられました。さらに上限を緩和したい場合、Service Quotas コンソールからリクエストする仕組みがあります。
  • 8/22(木)
    • AWS IAM で AWS PrivateLink をサポート
      AWS Identity and Access Management (IAM) で、AWS PrivateLink をサポートしました。PrivateLink を使用すると、IAM ロールの管理や一時的な認証情報の取得などを、パブリックインターネットを経由せずに AWS リソースへリクエストができます。組織内のセキュリティ基準を満たす選択肢が拡充した形です。
    • AWS CloudFormation の IaC Generator でリソース検出とテンプレートレビュー機能のアップデート
      AWS CloudFormation で、既存のリソースから CloudFormation Template ファイルを生成する IaC Generator に 2 つの新機能のアップデートがありました。IaC Generator がアカウント内のリソースのスキャンを終了した後、テンプレートに含めたいリソースをより簡単に見つけられるよう、さまざまなリソースタイプのグラフィカルな概要を表示するようになりました。また、リソースを選択した後、AWS Application Composer でテンプレートをプレビューできるようになり、視覚的に確認がやりやすくなりました。
    • AWS Amplify で複数の S3 バケットをサポート
      AWS Amplify で複数の S3 バケットのサポートを開始しました。Amplify Storage 機能は S3 と統合されており、ファイルのアップロードやダウンロードをライブラリ経由で簡単に実装できます。JavaScript ライブラリのみのサポートですが、アップロードやダウンロードを実装する際に、複数の S3 バケットを指定できるようになりました。詳細はこちらのブログ記事をご参照ください。
  • 8/23(金)
    • Knowledge Bases for Amazon Bedrock で Claude 3.5 Sonnet をサポート
      Knowledge Bases for Amazon Bedrock で Claude 3.5 Sonnet をサポートしました。 Knowledge Bases には、RetrieveAndGenerate API があり、ユーザーのリクエストに基づくデータの取得と、テキスト生成をしてくれるものですが、この機能で Claude 3.5 Sonnet をサポートした形です。利用できるリージョンは、東京、バージニア北部、オレゴン、フランクフルトの 4 つです。
    • Amazon Connectは、コールバックを設定する新しい方法をサポート
      Amazon Connect で、コールバックを作成する前と、キューに入っている間にアクションを実行するフローを設定できるようになりました。例えば、お客様に電話をかける前に SMS で通知を自動送信したり、エージェントが参照できるように最新のお客様データに基づいてコールバック属性を更新したり、問題がすでに解決されている場合はコールバックを終了させることができます。また、お客様プロファイルやサードパーティアプリケーションからのお客様情報に基づいて、コールバックの優先順位を動的に変更したり、別のキューに転送したりすることも可能です。コールバックキューの処理が遅れすぎている場合にも同様の対応ができます。

AWS CDK のアップデート情報が、X のハッシュタグ #cdk_release でまとめられています。バージョン v2.154.0 では、Knowledge Bases for Amazon Bedrock で Advanced RAG を行う機能、やPDF 内の画像を読み取るための Advanced Parsing 機能を CDK L1 コンストラクトでサポートしています。また、Parameter Store のクロスアカウント対応や、ALB の mTLS サポートなどがあります。CDK に興味がある方は、X のハッシュタグ #cdk_release も定期的にご覧いただけますと幸いです。

それでは、また来週お会いしましょう!

著者について

Suguru Sugiyama

杉山 卓(Suguru Sugiyama) / @sugimount

AWS Japan のソリューションアーキテクトとして、幅広い業種のお客様を担当しています。最近は生成 AI をお客様のビジネスに活かすためにアイデア出しやデモンストレーションなどを多く行っています。好きなサービスは仮想サーバーを意識しないもの全般です。趣味はゲームや楽器演奏です