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S3 Intelligent-Tiering にアーカイブアクセス階層を追加

2 年前に S3 Intelligent-Tiering をリリースしました。これにより、データアクセスパターンを深く理解することなく S3 を活用できる機能が追加されました。このたび、S3 Intelligent-Tiering の新しい最適化を 2 つリリースしました。これらの最適化により、ほとんどアクセスされないオブジェクトを自動的にアーカイブできるようになります。これらの新しい最適化を利用すると、予測不能なアクセスパターンのオブジェクトや何か月もアクセスされていないオブジェクトを一度にアーカイブするために必要な手作業の量を削減できます。

S3 Intelligent-Tiering とは

S3 Intelligent-Tiering は、パフォーマンスへの影響や運用上のオーバーヘッドなしに、最も費用対効果の高いアクセス階層にデータを自動的に移動することで、ストレージコストを最適化するように設計されたストレージクラスです。S3 Intelligent-Tiering を Amazon S3 に追加することで、アクセスパターンが不規則な場合に適切なストレージクラスを使用し、かつコストを最適化できるのかという問題を解決しました。

S3 Intelligent-Tiering は、アクセスパターンが変わったときにアクセス階層間でデータをきめ細かなオブジェクトレベルで移動することで、自動的なコスト削減を実現します。これは、不明なアクセスパターンまたは予測不能なアクセスパターンを持つデータのストレージコストを最適化する場合に理想的なストレージクラスです。少ない月額料金でのオブジェクトモニタリングとオートメーションにより、S3 Intelligent-Tiering がアクセスパターンをモニタリングし、自動的に階層間でオブジェクトを移動します。

今回の発表内容

ストレージコストをさらに削減するために、多くのお客様はほとんどアクセスされていないオブジェクトを S3 Glacier または S3 Glacier Deep Archive に直接アーカイブすることを選んでいます。しかし、そのためには長期間にわたりオブジェクトのアクセスパターンを理解すると同時に、何か月もアクセスされていないオブジェクトをアーカイブする、複雑なシステムを構築することが求められます。

このたび、低頻度アクセス向けに最適化済みできわめてコストの低い、新しい非同期アクセス用のアーカイブアクセス階層を 2 つ発表します。アーカイブアクセス階層ディープアーカイブアクセス階層です。 これらのアーカイブアクセス階層の一方または両方にオプトインすることができます。また、バケットレベル、プレフィックスレベル、オブジェクトタグレベルで設定可能です。

S3 Intelligent-Tiering では、必要なときすぐに高スループットかつ低レイテンシーでデータにアクセスできるようになったほか、オブジェクトが 180 日以上アクセスされていない場合に、月に 1 TB あたり 1 USD 足らずの料金を、自動的に支払うこともできるようになりました。S3 Intelligent-Tiering を既にご利用中のお客様は最大 40% のコスト削減を実現していますが、今回の新しいアーカイブアクセス階層を使用することで、アクセス頻度の低いオブジェクトのストレージコストを最大 95% 削減可能になりました。

利用可能なアクセス階層:

  • 高頻度アクセス階層と低頻度アクセス階層: 高頻度アクセス向けに最適化された階層と、低頻度アクセス向けに最適化された低コストの階層です。これらの階層は、低レイテンシー/高スループットパフォーマンスを発揮します。高頻度アクセス階層で 30 日経過すると、その間アクセスされなかったオブジェクトは低頻度アクセス階層に移動されます。高頻度アクセス階層には S3 標準の料金、低頻度アクセス階層には Amazon S3 標準 – 低頻度アクセスの料金が適用されます。
  • アーカイブアクセス階層 (新規): S3 Glacier ストレージクラスと同じパフォーマンスおよび料金の階層です。
  • ディープアーカイブアクセス階層 (新規): S3 Glacier Deep Archive ストレージクラスと同じパフォーマンスおよび料金の階層です。

新しいアーカイブアクセス階層の仕組み

これらアーカイブアクセス階層の一方または両方をアクティブにすると、S3 Intelligent-Tiering により、90 日間アクセスされていないオブジェクトが自動的にアーカイブアクセス階層に移動され、180 日後にアクセスがなかった場合はディープアーカイブアクセス階層に移動されます。アーカイブアクセス階層のいずれかにあるオブジェクトが復元されるときはいつでも、そのオブジェクトは数時間以内に高頻度アクセス階層に移動し、取得できるようになります。

アーカイブアクセス階層にあるオブジェクトは 3~5 時間で取得でき、ディープアーカイブアクセス階層にあるオブジェクトは 12 時間以内に取得できます。より迅速にアーカイブ階層のオブジェクトにアクセスする必要がある場合は、コンソールで [expedited retrieval (迅速取り出し)] を選択すれば、定められた料金で迅速な取得を行えます。

S3 Intelligent-Tiering の仕組み

新しい Intelligent-Tiering アーカイブアクセス階層の開始方法

Intelligent-Tiering のアーカイブアクセス階層の設定は、バケットレベルで定義されます。まず、バケットの [Properties (プロパティ)] で、Intelligent-Tiering アーカイブ用に新しい設定を作成します。Intelligent-Tiering アーカイブには、1 つ以上の設定ルールを定義できます。

アーカイブ構成設定

アーカイブ構成設定ページで、S3 Intelligent-Tiering ストレージクラスを使用しているバケット内のオブジェクトすべてに設定を適用するか、またはフィルターを定義してこの設定ルールの範囲を制限するかを選択できます。フィルターの定義には、オブジェクトプレフィックスまたはオブジェクトタグの 2 つのオプションを使用できます。

このルールを適用するバケット内のオブジェクトを決定したら、一方または両方のアーカイブアクセス階層を有効にする必要があります。アーカイブアクセス階層のいずれかを有効にする際、対象オブジェクトをこのアクセス階層に移行するまでの日数を定義できます。アーカイブアクセス階層の場合は 90 日以上、ディープアーカイブアクセス階層の場合は 180 日以上にする必要があります。

アーカイブアクセス階層の移動を設定する

設定の作成が完了すると、[Intelligent-Tiering Archive configurations (Intelligent-Tiering アーカイブ設定)] 下のバケットの [Properties (プロパティ)] に、すべてのルールが表示されます。また、ルールはいつでも編集できます。

Intelligent-Tiering アーカイブ設定

設定を定義した後、ルールで定義したフィルターに一致する新しいオブジェクトを S3 にアップロードし、Intelligent-Tiering ストレージクラスを選択すると、時間が経過してもアクセスがなかった場合に、このオブジェクトは設定したアクセス階層のすべてに移動します。

S3 Intelligent-Tiering アーカイブアクセス階層を使用したコスト最適化の詳細については、こちらの動画をご覧ください。

最後に、留意すべき点

  • オブジェクトサイズ: Intelligent-Tiering はどんなサイズのオブジェクトにも使用できますが、128 KB 未満のオブジェクトは高頻度アクセス階層に保持されます。アーカイブアクセス階層またはディープアーカイブアクセス階層にアーカイブされたオブジェクトごとに、S3 はオブジェクトの名前とその他のメタデータ用に 8 KB の容量を使用し (S3 標準ストレージ料金で請求)、インデックスと関連メタデータ用に 32 KB の容量を使用します (S3 Glacier および S3 Glacier Deep Archive ストレージ料金で請求)。これにより、S3 オブジェクトすべてのリアルタイムリストまたは S3 インベントリレポートを取得できます。
  • オブジェクトの寿命: Intelligent-Tiering は、寿命が 30 日を超えるオブジェクトに適しています。このストレージクラスを使用するすべてのオブジェクトに最低 30 日間の料金が適用されます。
  • 耐久性と可用性: S3 Intelligent-Tiering は、99.9% の可用性、99.999999999% の耐久性を実現できるように設計されています。
  • 料金: 毎月のストレージ、リクエスト、データ転送料金が発生します。Intelligent-Tiering は、モニタリングおよびオートメーションにかかる、オブジェクトごとの少ない月額料金だけで使用できます。S3 Intelligent-Tiering には取得料金はかかりません。また、階層間でのデータ移動にも料金はかかりません。高頻度アクセス階層のオブジェクトには S3 標準と同じ料金が適用されます。低頻度アクセス階層に保存されたオブジェクトには Amazon S3 標準 – 低頻度アクセスと同じ料金が適用されます。アーカイブアクセス階層に保存されたオブジェクトには S3 Glacier と同じ料金が適用されます。ディープアーカイブアクセス階層に保存されたオブジェクトには S3 Deep Glacier と同じ料金が適用されます。
  • API および CLI アクセス: S3 CLI S3 API から INTELLIGENT_TIERING ストレージクラスを使うことで、Intelligent-Tiering を利用できます。特定のバケットに対して PUT、GET、Delete の設定 API を使用して、Intelligent-Tiering アーカイブを設定することもできます。
  • 機能のサポート: S3 Intelligent-Tiering は、オブジェクトのアクセス階層についてレポートする S3 インベントリ、任意の AWS リージョンにデータをレプリケートする S3 レプリケーションなどの機能をサポートしています。

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Marcia