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国内 AWS ソフトウェアパートナーにおける AWS Graviton 活用のモメンタム

2018 年 11 月に Arm ベースの AWS Graviton プロセッサを搭載した A1 インスタンスをリリースして以来、AWS re:Invent 2019 で Graviton2 プロセッサを、AWS re:Invent 2021 で最新世代の Graviton3 プロセッサを発表し、2022 年 5 月にはこの Graviton3 搭載の C7g インスタンスの一般提供を開始しました。AWS Graviton3 プロセッサは、Graviton2 プロセッサと比較して、浮動小数点パフォーマンスが最大 2 倍、暗号化パフォーマンスの速度が最大 2 倍、機械学習パフォーマンスが最大 3 倍 (bfloat16 のサポートを含む) となります。Graviton3 ベースのインスタンスでは、同等の EC2 インスタンスと比較して、同じパフォーマンスに使用するエネルギーが最大 60% 抑えられるため、クラウドにおけるカーボンフットプリントを削減できます。

何千ものお客様が、広範囲のワークロードに対応する最良のコストパフォーマンスを発揮し、Amazon EC2 におけるエネルギー使用量 1 ワットあたりの最高のパフォーマンスを誇る Graviton ベースのインスタンスを採用しています。このモメンタムはお客様だけでなく、当然 AWS パートナーの皆様も同様です。本ブログでは、日本国内の AWS ソフトウェアパートナーによる AWS Graviton に関する最新の取り組みを共有します。

AWS Graviton の幅広いユースケース

AWS Graviton プロセッサは、Amazon EC2 で実行されるクラウドワークロードに最高の料金パフォーマンスを提供するために AWS によって設計されています。Graviton ベースのインスタンスは、アプリケーションサーバー、マイクロサービス、ハイパフォーマンスコンピューティング (HPC) 、CPU ベースの機械学習 (ML) 推論、ビデオエンコーディング、電子設計オートメーション、ゲーム、オープンソースデータベース、インメモリキャッシュを含む、汎用性、バースト性、コンピューティング最適化、メモリ最適化、ストレージ最適化、加速コンピューティングワークロードを幅広くサポートします。

また、Graviton ベースのインスタンスは、Amazon Aurora、Amazon Relational Database Service (RDS)、Amazon MemoryDB for Redis、Amazon ElastiCache、Amazon OpenSearch Service、Amazon EMR、AWS Lambda、AWS Fargate などの人気の高い AWS のマネージドサービスでも利用可能です。これらのサービスは、AWS Graviton プロセッサの料金パフォーマンスの利点を実現するとともに、フルマネージドエクスペリエンスを提供します。

さらに、AWS Graviton プロセッサは、Amazon Linux 2、Red Hat Enterprise Linux、SUSE、Ubuntu を含む多くの Linux オペレーティングシステムでサポートされています。AWS およびソフトウェアパートナーのセキュリティ、モニタリング、管理、コンテナ、および継続的統合/継続的配信 (CI/CD) 向けの多くの一般的なアプリケーションやサービスも、AWS Graviton ベースのインスタンスをサポートしています。

AWS Graviton 活用セミナーの開催

このように幅広いユースケースで採用が進む AWS Graviton をより多くの AWS パートナーの皆様に知ってもらいたく、2022 年 9 月 13 日に「AWS Graviton を使いこなしているヌーラボ、シーズが語る!これから始める AWS Graviton セミナー」を開催しました。本セミナーでは、弊社パートナーソリューションアーキテクト 櫻谷による AWS におけるサステナビリティへの取り組み、コンピュートスペシャリストソリューションアーキテクト 宮本による AWS Graviton を活用したコスト最適化のセッションに加え、AWS ソフトウェアパートナーとして早期より自社製品基盤に Graviton インスタンスを採用し高い効果を出されている株式会社ヌーラボの二橋様、および AWS サービスパートナーとしてお客様の AWS Graviton 移行を促進しつつ自社製品基盤でも AWS Graviton を採用されている株式会社シーズの原口様と本田様をお招きし、両社より素晴らしい活用事例を紹介いただきました。後半は、セミナー参加者からの質問を取り上げながら講師陣が裏話まで踏み込んで盛り上がりました。

講師陣による QA セッションの様子 (上段左から順に株式会社シーズ 本田様、AWS Japan 櫻谷、宮本、下段左から順に株式会社シーズ 原口様、株式会社ヌーラボ 二橋様)

「みんなにやさしい Graviton Family – Graviton 使えばみんなしあわせになる – ヌーラボの AWS Graviton2 活用事例」と題した株式会社ヌーラボ 二橋様のセッションでは、AWS Graviton 採用の経緯から実際のプロジェクトの詳細、移行後の効果、今後の展望、留意点まで幅広くお話いただきました。世界の Arm の動向を汲み、AWS の本気度を感じ、2020 年の時点で AWS Graviton2 への移行を決断しています。「多分 AWS Graviton が最強だと思うから試してみようぜ」をキーワードに、変化を恐れてリスクを取らないことが最大のリスクと考え、まずやってみるというクラウドの柔軟性を活かしたプロジェクトの進め方は非常に共感できるものでした。実際にビジネスチャットツール Typetalk の基盤を Graviton インスタンスに移行するには、EC2 インスタンスについて調査検証で 8 人日、本番移行で 2 人日、Amazon Aurora と Amazon ElastiCache について調査検証で 3 人日、本番移行で 2 人日と、非常に低い移行コストで完了しています。「AWS Graviton の移行作業は想像よりかなり楽」という言葉には勇気づけられました。移行後はどちらもレスポンスタイムが改善し、全体で約 25% のコスト削減を実現しています。今後も AWS Graviton3 への積極的な移行を視野に、変化に強い CI/CD 環境作りに着手されるとのこと。さらなる活用を楽しみにしています!

すべてのお客様が自社で完結して AWS Graviton 移行を完了できるとは限りません。「導入事例から学ぶ 失敗しない AWS Graviton の導入」と題した株式会社シーズ 原口様と本田様のセッションでは、お客様が AWS Graviton の導入を AWS サービスパートナーとどのように進めていくとよいのか、失敗せずに導入する方法について、事例を中心にお話いただきました。まずは自社の検証結果に基づき、AWS Graviton3 の大きな進化とコストパフォーマンスの良さから、会社として AWS Graviton 推しを宣言いただきました。実際の導入事例では、アプリケーションに影響なく年間コスト 906 万円から 811 万円と約 1 割のコスト削減、CPU 使用率の低下に加えて $0.24/h から $0.204/h と約 15% のコスト削減と、いずれもコストパフォーマンスの向上を実現しています。一方で、Arm 対応していないベンダー製品を採用しているシステムの移行は断念したとのこと。AWS Graviton を推進していく上では、問題なく動いてる環境は移行する動機が起きにくい、お客様は漠然とした不安を持っていることを課題に挙げ、「パートナー企業がリスクを担保し、主体となって進めていく。これが AWS パートナーのあるべき姿」と非常に心強いメッセージを発信されていました。一歩踏み込んだ提案は「お客様との信頼関係を築く武器になる」というメッセージも、素晴らしい心構えだと思いました。AWS Graviton に移行をしたい、しかし支援が欲しいという企業のご担当者は、ぜひ株式会社シーズにご相談ください!

参加者からは「AWS Graviton の活用によって得られる効果が実際の導入事例を交えて紹介されていたため、今後も AWS Graviton 導入を積極的に進めたいと思える、非常にためになるセミナーでした」「マネージドサービス系は敷居が低いので、積極的に AWS Graviton を提案していきたいと思いました」といった前向きなコメントを多数いただいています。また、「ISV、SI それぞれの立場から AWS Graviton 導入の効果・注意すべきところなどお話が伺えてとても参考になりました。冒頭の AWS さんの解説も、わかりやすく知識をアップデートできて良かったです」「最後の全員顔出しの Q&A セッションが盛り上がってよかったです。AWS のファシリテーションと、登壇者との関係性の良さが伝わってきました」とセミナー全般の雰囲気を楽しんでいただけたコメントも多数ありました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!残念ながら当日ご参加いただけなかった方は、ぜひこちらから録画をご視聴ください。

国内初 AWS Graviton Ready Partner の登場

自社製品基盤での採用に留まらず、AWS サービスとの統合に取り組みビジネス成果を出している AWS ソフトウェアパートナーも多数います。AWS Graviton Ready Partner は、AWS Graviton ベースの EC2 インスタンスの採用を容易にし、AWS Graviton をサポートする幅広いソリューションをお客様に提供します。これらのパートナーのソフトウェアソリューションにより、お客様は、Graviton ベースのインスタンスで選択したアプリケーションを実行できます。AWS Graviton Ready Partner は、Graviton ベースのインスタンスでソリューションを検証、最適化、およびサポートします。

本日、日本国内初の AWS Graviton Ready Partner として、株式会社はてなMackerel および Visional グループyamory が認定されたことを発表でき、嬉しく思います。

本社を日本に置く AWS Graviton Ready Partner 一覧

株式会社はてなの「Mackerel (マカレル)」は、クラウド運用の道標となる SaaS 型サーバー監視サービスです。導入の手軽さ、「サービス」「ロール」というクラウド環境に最適な監視モデル、エンジニアが利用者視点で磨き上げた使いやすい UI が特長です。システムの運用・監視にチームで取り組む DevOps を推進しています。お客様は現行システムを Graviton ベースのインスタンスに切り替える際に、Mackerel でモニタリングすることで影響を可視化しながらスムーズな移行を実現できます。上述のセミナーで事例講演いただいた株式会社ヌーラボも Mackerel を採用しており、Mackerel を活用しながら効率的な AWS Graviton 移行プロジェクトを完了されています。他のお客様の活用例では、Mackerel で Graviton インスタンスの各種メトリクスを収集し、顧客が必要とする可視化とアラート設定を実現しています。

Visional グループの「yamory」は、IT システムに潜む脆弱性を自動で検知し、管理・対策ができる脆弱性管理クラウドです。yamory は、ライブラリ/フレームワーク、ミドルウェア/OS の脆弱性を一元管理することができ、チームやプロジェクトごとに、脆弱性リスクや脆弱性対応状況を確認することができます。特徴としては、脆弱性リスクを自動で判別するオートトリアージ機能を有していることや、様々なレイヤーに対し組織やプロジェクトをまたいで横断的に管理できる UI/UX が挙げられます。これにより、網羅的な脆弱性対策とセキュリティ担当者の人的コストの大幅な削減を実現することができます。これまでソフトウェア情報の可視化や脆弱性情報の収集など、属人的な業務が多く、日々の業務を圧迫していたお客様が yamory を導入したことで、脆弱性管理工数を月 35 人日削減できた事例もあります。Graviton ベースのインスタンス上でアプリケーションを開発・デプロイする場合にも、同様に yamory を導入できます。お客様の環境で実際にスキャンできる無料トライアルもご用意していますので、まずは体験ください。

最後に

広範囲のワークロードに対応する最良のコストパフォーマンスを発揮し、Amazon EC2 におけるエネルギー使用量 1 ワットあたりの最高のパフォーマンスを誇る Graviton ベースのインスタンスの採用は、今後もより一層加速していくことでしょう。私たち AWS は持続可能なイノベーションを提供し、AWS パートナーと一緒になり、お客様のビジネスの成功に貢献します。AWS ソフトウェアパートナーの皆様はぜひこの輪に加わってください。AWS Graviton を一緒に推進し、このモメンタムを加速していきましょう!

Tetsuya Kawahara

Tetsuya Kawahara

Manager, Partner Solutions Architect, Amazon Web Services Japan G.K.