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【動画公開 & 開催報告】ビジネスリーダー向け AWS Summit Tokyo 2023 から学ぶ中堅・中小企業 DX

はじめに

皆様、こんにちは。2023 年 6 月 22 日に「ビジネスリーダー向け AWS Summit Tokyo 2023 から学ぶ中堅・中小企業 DX」を開催しました。

AWS Summit Tokyo は、 日本最大の AWS を学ぶイベントで、今年は幕張メッセで開催し、4 月 20 日、21 日の 2 日間でのべ 25,000 人を超えるお客様にお越しいただきました。熱気あふれるサミットの会場では満員御礼のセッションも多く、ご希望のセッションをすべて聞き、展示を回るのも難しかったかもしれません。

本セミナーは中堅・中小企業のビジネスリーダー様向けに AWS Summit を振り返り、お客様の実践事例や実際のお客様のご登壇を含めてご紹介しました。このブログでは、当日参加できなかった方や、内容を振り返りたい方へ向けて参考としていただくために当日のセッション内容のまとめを紹介します。

セッション内容の紹介

1. 中堅・中小企業 DX を取り巻く状況と AWS の取り組み

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 執行役員
広域事業統括本部 統括本部長 原田 洋次

本セッションでは AWS Summit 基調講演のメッセージを踏まえ、何故 今クラウドなのか、中堅・中小企業 DXを取り巻く状況、広域事業統括本部の体制、取り組みについてお話しました。基調講演のメッセージの中でも特に強調したいのは、AWSサービスはお客様との対話で生まれること、日本の企業、組織のデジタル競争力の根幹は「人」であること、AWSはお客様の変革を推進するパートナーであることです。不確実性が高い社会だからこそビジネス変革が必要であり、クラウドは低コストでイノベーションを加速させることが可能です。

日本の会社の 99.7% を占め、日本を支える中堅・中小企業が、広域事業統括本部のお客様です。物価高騰や人材不足等厳しい状況ではありますが、小回りの利く中堅・中小企業はトップが方向性を示すことで素早い変革が可能です。広域事業統括本部では中堅・中小企業のお客様の変革を推進するパートナーとして、体制を強化し、お客様のお悩みに合わせたプログラムやソリューションの開発、お客様の課題に合わせた技術相談やスキル開発のご支援し、経営課題や組織、カルチャーの改革もお手伝いしています。社内に IT リソースがいないお客様も多くいらっしゃいますので、お客様がご相談しやすいように全国の AWS パートナー様と一緒に走る体制を整えています。また ISV、SaaS ベンダー様も広域事業統括本部のお客様であり、ソフトウェアについてのご相談や、SaaS ビジネスを育てる支援も行っています。

お客様のビジネス課題を一緒に解決してまいりますので、お悩み、ご相談等ございましたら是非お声がけください。経営者の皆様が一歩踏み出し、DXを加速していくお手伝いをさせていただく最適なパートナーとして一緒に走ってまいります。

2. AWS Summit Tokyo 2023 振り返り 中堅・中小企業DXの実践事例

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
広域事業統括本部 営業本部 本部長 渡邊 義成

本セッションでは AWS Summit Tokyo の振り返り、今年初となるお客様事例展示、顧客中心のイノベーションの実践例についてお話しました。日々お客様と接する中で、お客様から「自分達と近しい会社の事例を知りたい」というお声を頂戴するため、サミットでもご登壇いただいた3社のお客様事例をご紹介しました。

AKASE株式会社「ファイルサーバー移行でつかんだクラウド活用の勘所 – 創業 61 年目家具メーカーが取り組むDX 」(事例ページはこちら

ファイルサーバーのクラウド化は、オンプレミスに比べ「運用負荷軽減」「障害対応が楽」「拡張性が高い」など多くのメリットが見込まれる一方、「セキュリティ」や「サービスレベル(品質)」に不安を抱く方も多いかと思います。オリジナル家具・インテリアの製造・販売を行う AKASE株式会社 が、創業 61 年目に入り、事業の多角化・海外展開を進める中で、ファイルサーバーのクラウド化に取り組んだ事例です。プロジェクトの背景・課題・AWS を選択した理由・ビジネス的なメリットをご紹介しました。

株式会社ナカノモードエンタープライズ様「更なるビジネス成長に向け、データ活用による配送プロセス刷新に挑戦「約束の日に30万食を全国へ」」

日本の正月の食を支える「板前魂」がお客さまにおせちを食卓に届けるためになぜ AWS クラウドの活用が必要だったのか。食の都 大阪の食品メーカーである株式会社ナカノモードエンタープライズが「年末の約束の期日に、30 万食を、全国津々浦々へ、効率的にお届け」するために、各工場の生産計画、倉庫への商品配送計画の可視化、Amazon Forecast を活用した配送予測まで、段階的に取り組んだ事例について、取り組みと効果、今後の展望をご紹介しました。

日本気象株式会社 「 AWS の徹底活用で “ 守りのIT ” から “ 攻めの IT ” そして “ DX ” へ」(事例ページはこちら

日本気象株式会社では 2016 年より AWS の活用を進め、お天気ナビゲータなどの個人向けサービスのクラウド移行、地震や台風時に起こるスパイクアクセスへの対応などにより、従来のオンプレミス環境と比べインフラコストを約 50% 削減、そこで生まれたリソースの余力を活用し新たなサービス開発を進めています。AWS のテクノロジーとスピーディな開発で、天気予報が外れると賞金が当たる新しい天気サイト「 FRAN 」などのユニークなビジネスを、どのように創り出してきたかをご紹介しました。

お客様セッション : 障害対応からの解放!- AWS 移行で実現した BCP 対策 –

株式会社オーエス
取締役 管理本部 経営戦略部 部長 奥村紀之氏
(事例ページはこちら

株式会社オーエスは、プロジェクタースクリーンを始めとした映像環境の企画施行まで行う総合 AI ( AV × IoE ) システム企業です。物理サーバーの老朽化に伴い、3 拠点に分散配置している 30 台以上のサーバーや業務システムなど、ほぼすべてのシステムを AWS に移行し、「事業継続性の確保」「運用負荷の軽減」「BCP 対策の強化」を実現されました。どのように移行を進めたか、その道のりと成果についてお話されました。

DX 対応のためのリソースがなく DX 化が進められないという悩みもよく聞くところですが、「中小企業こそ DX に取り組むべきである」を会社の方針としている株式会社オーエスは、中小企業は経営陣から DX 推進を実施するという方針を決断し全従業員に宣言することで早く進められるという大企業にはない強みがあると考えています。 経営陣の意思を全従業員に届けやすい、直接 DX 推進意欲のあるメンバーとコミュニケーションが取りやすい、経営者の意思を組織に反映させやすいという中小企業のメリットを生かし、DX 推進のバーチャルチームの作成を経営陣主導で実施することでオーエスグループでは DX 推進とリスキリングの一石二鳥を実現されていることをお話いただきました。

こうしてお客様事例を紹介できること、お客様にお話しいただくことはAWSにとっても貴重な学びになります。AWS Summit ではクラウド活用について直接相談できる場所として広域事業統括として初のブース展示を行いました。ブース展示したデータ活用(脱エクセルのデータ分析)画像データ活用データ保全(DR対策)基幹業務システム移行ウェブサイト移行ITX Liteは資料をダウンロードいただくことができます。また公式 SNS でもご紹介している DX 推進を楽しく学べるマンガ 『クラウドに乗って行こう!小さな会社の DX 日記』のキャラクターと写真の自撮りができるセルフィーマシーンを、機械学習を使用した画像認識 Amazon Rekognition で構築し、多くのお客様に体験いただきました。お客様と直接お話しする機会を持つことができたことを嬉しく思います。

3. 中堅・中小企業 DX をサポートするプログラムのご紹介

技術統括本部
インダストリソリューション部 ソリューションアーキテクト 湖山 仁

中小規模クラウド移行支援プログラム ITX Lite のご紹介
このセッションでは AWS Summit で発表されたITX パッケージ 2023ファミリーの柱の一つである、中小規模クラウド移行支援プログラム ITX Liteのご紹介をさせていただきました。( ITXブログ記事はこちら)

AWS はクラウド移行を 3 つのフェーズ(評価、準備、移行)に分けて考えていますが、多くのお客様はこの評価フェーズで躓いてしまいます。具体的には、「簡単な見積もりは出来るが、実際のところのコスト削減効果はどうなのか?」クラウド移行と言っても、何から始めて良いか分からないといった声をよくお聞きします。そして、準備や移行フェーズに入っても、「移行を推進する人材が居ない、経験が足りない」さらに、「移行そのものにかかるコスト負担が心配」などがあります。そういったお客様の声をもとに、開発したのが中小規模クラウド移行の包括的な支援を行う ITX Liteです。

まず評価フェーズでは、経済合理性を評価、移行準備状況を評価、移行方法を検討する3つのサービスがあり、お客様はクラウド移行の判断を支援します。移行すべきかどうかお悩みのお客様に非常に有用な情報になると考えています。次に準備フェーズでは、人材育成や、移行計画やアーキテクチャなどの検討支援、そして実際の移行フェーズでは、移行コストを抑えるために、クレジットをご提供する MAP Lite や、コスト最適化の支援などがございます。これらの支援メニューは、全てを実施する必要があるというものではなく、お客様の状況に合わせて選択してご利用いただけます。基本的にこれらは全て無償で提供しております。ただし、トレーニングなど一部有償のものもございますが、これもお客様の判断で選択が可能です。さらに、これらは自ら移行を行う、自社で、内製で、というお客様を想定しておりますが、お客様自ら移行が難しいという場合は、クラウド移行を得意とするAWSのパートナーをご紹介させていただくことも可能です。各フェーズでの具体的な内容については是非動画をご覧いただくか、担当営業にお声がけください。

実際に ITX Lite をご体験いただいた、株式会社 グラフィック 経営企画部 IT 推進課 課長 坂本和大 氏からは
「想定以上の質と量の ITX Lite サービス報告内容をうけ、AWS 移行に向けた当社課題と今後の具体的なステップが明確になりました。また緻密にコストシミュレーションもいただき、コスト面においても不安が解消されました。」
というありがたいお声をいただきました。

クラウド移行事例のご紹介
ダイセーロジスティックス株式会社「はじめてのクラウド移行 ~中堅物流会社がAWSと共に始めた最初の一歩~」

クラウドの活用と言っても何からはじめたらいいかわからないとお考えではないでしょうか? AWS では初期コストなく、すぐにスモールスタートできるという特徴があります。ダイセーロジスティックス様は AWS での運用に対する適合度や移行の難易度・優先度の評価を経て、AWS の利用を開始されました。これからクラウドの利用を検討されるお客様に向けて、どのようなステップで検討を進めれば良いかをダイセーロジスティックス様の実例を元にご紹介させていただきました。

デジタルイノベーション体験ワークショップのご紹介

セグメント事業開発本部
デジタルイノベーション シニアスペシャリスト 櫻井 直子

クラウド移行のメリットの一つが「ビジネス価値創造への集中」ですが、AWSはテクノロジーの面だけでなく、お客様のビジネス価値創造の面でもご支援を強化しています。クラウド移行後を見据え、どんな新しいビジネス価値創造ができそうか、Amazon 流のイノベーションへの向かい方をご体験いただくワークショップをご提供しています。
経営層の皆様も含めて、クラウドに移行後の新しいアイデアの作り上げ方について考えるきっかけになる、半日のセッションです。Amazon 自身が実践している Working Backwards というお客様視点から新しいビジネスを考えていく、という手法をご紹介し、プロセスを体験いただきます。このセッションでは実際にご体験いただいたお客様の声もご紹介させていただきました。是非、クラウド移行のメリットを最大化するきっかけになるデジタルイノベーション体験ワークショップにご興味お持ちいただけましたら、担当営業までご相談ください。

おわりに

見て、触れて、楽しむ、学びの場であるということが、AWS Summit Tokyo の最大の特徴で、本セミナーもご参加の皆様に、一つでも多くの学びをご提供できていれば幸いです。

不確実な世の中でこれまで通りのやり方が通じなくなってきています、その中で大切なことは、変革を続けること、素早く挑戦をし続けることです。中堅・中小企業のお客様こそ、低コストで速く変革を進めることができるクラウドを活用いただきたいと思います。セミナーでご紹介したお客様の事例やプログラム等で何か気になるものがございましたら是非AWSまでご相談ください。広域事業統括本部は中堅・中小企業のお客様の変革を推進するパートナーとして一緒に歩きたい所存です。
Webフォームからお問い合わせ頂くか、 担当営業までご連絡ください。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 事業開発統括本部
シニア事業開発マネージャー 塚本 陽子