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SAP Hybris CommerceのデータベースとしてAmazon AuroraがSAP認定を取得

Bill Timmは、Amazon Web Services (AWS)のパートナー ソリューション アーキテクトです。

AWS上のSAP Hybris CommerceのデータベースとしてAmazon AuroraがSAP認定を取得したことを発表します。

Amazon Auroraとは?

Amazon Auroraは、ハイエンドの商用データベースが持つスピードと可用性に、オープンソースデータベースのシンプルさとコスト効率を組み合わせた、MySQLと互換性のあるリレーショナルデータベースエンジンです。Amazon Auroraは、商用データベースと同等のセキュリティ、可用性、信頼性を10分の1のコストで実現し、MySQLより最大5倍の優れた性能を提供します。

Amazon Auroraの利点

  • 完全マネージド型 – Amazon Auroraは、完全マネージド型のデータベースサービスです。SAP Hybris CommerceシステムをAmazon Auroraで実行することで、お客様はハードウェアのプロビジョニング、ソフトウェアのパッチ適用、設定、構成、監視、あるいはバックアップなどのデータベース管理タスクについて頭を悩ませる必要がなくなります。Amazon Auroraでは、データベースを自動的かつ継続的に監視して、Amazon Simple Storage Service (Amazon S3)にバックアップし、きめ細かいポイントインタイムリカバリを可能にします。
  • 高い可用性と耐久性 – SAP Hybris CommerceシステムをAmazon Auroraで実行することで、Amazon Auroraの高可用性機能を適用できます。Amazon Auroraは、99.99%以上の可用性を提供するように設計されています。物理的なストレージ障害からの復旧は透過的であり、インスタンスのフェイルオーバーは通常30秒未満です。Amazon Auroraのストレージは耐障害性と自己修復機能を備えています。3つのアベイラビリティゾーン間でデータのコピーが6つ作成され、Amazon S3に連続してバックアップされます。
  • 優れたスケーラビリティ – Amazon Auroraは、2 vCPU / 4 GiBメモリーを持つインスタンスから、32 vCPU / 244 GiBメモリーを持つインスタンスまで拡張できます。また、3つのアベイラビリティゾーン間でレイテンシーの低いリードレプリカを最大15個追加できるため、読み取りのキャパシティをさらに拡張することもできます。Amazon Auroraは、10 GiBから64 TiBまで、必要に応じて自動的にストレージを拡張します。
  • 高性能 – Amazon Auroraは、同じハードウェア上で動作する一般的なMySQLのスループットの5倍、または一般的なPostgreSQLのスループットの3倍を提供します。この一貫した性能は商用データベースと同等にも関わらず、コストは10分の1で済みます。Amazon Auroraの最も大きいインスタンスでは、1秒あたり最大50万回の読み取りと10万回の書き込みを実現できます。レイテンシーが非常に低いリードレプリカを使用して、読み取り処理性能をさらに向上することができます。
  • 高い安全性 – Amazon Auroraは、データベースに複数のレベルのセキュリティを提供します。Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC)によるネットワークの分離、AWS Key Management Service (AWS KMS)を介して作成および制御されるキーを使用した安全な暗号化、SSL (Secure Sockets Layer)による転送中のデータの暗号化などがあります。暗号化されたAmazon Auroraインスタンスでは、同じクラスタ内にある自動化されたバックアップ、スナップショット、およびレプリカと同様に、基盤となるストレージ内のデータが暗号化されます。

Amazon AuroraのSAP認定は、SAP Hybris CommerceにおけるAWSの既存の利点を拡張します。これらの利点には、以下が含まれます:

  • スピード – AWSを使用すると、従来数週間から数か月かかっていた、本稼働対応のSAP Hybris Commerce環境に必要なすべてのインフラストラクチャを数時間でプロビジョニングできます。
  • スケーラビリティ – Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)を使用すると、数時間、数日かけることなく数分でキャパシティを増減できます。WebサービスAPIを使用してすべてのAWSサービスに接続して管理することができるため、SAP Hybris Commerce環境も需要に応じて自動的にスケールアップ、スケールアウトできます。
  • 可用性の向上 – AWSであれば、複数のアベイラビリティゾーンにより、単一のデータセンターよりも高い可用性、耐障害性、そしてスケーラビリティを備えたアーキテクチャで、SAP Hybris Commerce環境を運用することができます。
  • コスト削減 – コミットメントや長期契約が必要なく、お客様自身が環境を用意するのに比べて低い変動費を達成することができます。規模の経済が働くことで、安価な従量課金として価格に反映し、お客様に還元しています。
  • 顧客体験の改善 – Amazon CloudFrontのコンテンツ配信ネットワーク(CDN)を使用して、グローバルなエッジロケーションネットワークを通じて、動的コンテンツ、静的コンテンツ、ストリーミングコンテンツを含むWebサイト全体を配信できます。コンテンツへのリクエストは自動的に最寄りのエッジロケーションにルーティングされるため、利用者の待ち時間が長くなることはありません。
  • 運用管理作業の軽減 – Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS)は、非常にスケーラブルかつ高性能なコンテナ管理サービスで、Dockerコンテナに対応しており、Amazon EC2インスタンスのマネージドクラスタでアプリケーションを簡単に実行できます。

AWS上のSAP Hybris Commerceのアーキテクチャ

以下は、AWS上のSAP Hybris Commerce環境におけるリファレンスアーキテクチャ図です。

アーキテクチャ上の重要なポイントをいくつか取り上げたいと思います:

  • SAP Hybris Commerceスタックのすべての層が2つのアベイラビリティゾーンにまたがって配置されており、単一のデータセンターよりも高いレベルの可用性を提供します。
  • SAP Hybris Commerceのアプリケーション層は、Auto Scalingを使用し、アプリケーションサーバーの状態を監視して、利用者のトラフィックに基づいてアプリケーションサーバーを動的に拡張します。
  • Amazon Auroraのデータベースは、2つ目のアベイラビリティゾーンに複製されています。マスターのデータベースシステムに障害が発生した場合、Amazon AuroraはAmazon Relational Database Service (Amazon RDS)のマルチAZの技術を使用して、2つ目のアベイラビリティゾーンに配置されたAuroraのレプリカに自動的にフェイルオーバーします。
  • Amazon CloudFrontのグローバルコンテンツ配信ネットワークサービスにより、低レイテンシーの高速転送とともに安全なデータ配信を提供します。
  • Elastic Load Balancingは、受信トラフィックを複数のEC2インスタンスに自動的に分散します。これにより、アプリケーション層で耐障害性を実現し、アプリケーションへのトラフィックのルーティングで必要とされる負荷分散用のキャパシティをシームレスに提供します。

AWS上でSAP Hybris Commerceを稼働しているお客様例

ここでは、AWSクラウド上でSAP Hybris Commerce環境を稼働することで、恩恵を受けられている多くのお客様の中からいくつかの事例を紹介します。

  • Rent-A-Center (RAC)は、過去数年間でデジタルトランスフォーメーションを進めてきました。その変革の一環として、同社は顧客がオンラインでアイテムをレンタルできるようにしたかったとのことです。この要件を新しいサイトで実現するために、RACは電子商取引プラットフォームとしてSAP Hybrisを採用することに決めました。いくつかの選択肢を評価した後、RACはSAP Hybris環境用にAWSクラウドを採用しました。AWSクラウドは、利用者のトラフィックの急増に対応できる弾力性、Amazon RDSを使用した高可用性、およびPCIコンプライアンスの準拠などを提供します。事例の詳細はこちらをご覧ください。
  • Travis Perkins plcは、Wickes、Tile Giant、Benchmarxなどの21の企業で構成されているイギリスの大手建設業者であり、住宅改善の小売業者です。SAP Hybris Commerce環境をAWSクラウドに移行することで、性能の向上、インフラストラクチャのプロビジョニング時間の短縮、オンプレミスインフラストラクチャと比較したコスト削減が実現しました。事例の詳細はこちらをご覧ください。
  • GE Oil & Gasは、主要なデジタルトランスフォーメーションの一環として、SAP Hybris Commerceを含む数百のアプリケーションをクラウドに移行しました。GE Oil & Gasのクラウド移行プロジェクトは、ゼネラル・エレクトリックの部門ITコストを52%削減し、市場投入スピードを向上させ、巨大な市場がゆえに課題を抱えている業界においてより優れた競争力を発揮しています。こちらのビデオもご覧ください。
  • DoHomeは、タイ国内で様々な建築資材、住宅改善および家庭装飾製品を配送する小売店および卸売店として営業しています。SAP S/4HANAシステムをAWSに移行することを決定する前に、まず、SAP Hybris CommerceシステムをAWS上で導入し、安全かつスケーラブルな環境と24/7の稼働環境を実現しています。Amazon S3、Amazon EC2、Amazon RDS、Amazon VPCなどのサービス、そしてAWSベストプラクティスを利用することで、市場投入までの時間を短縮し、顧客へのサービス改善に役立つ可用性を向上させることができました。 こちらのビデオもご覧ください。

SAP Hybris Commerce on AWSのパートナーサービス

AWSパートナーネットワーク(APN)には、AWS上のSAP Hybris Commerce環境の設計、構築、移行、および運用管理をサポートできる経験豊富なAWS / SAP Hybris Commerceに特化したサービス提供企業も含まれています。もし、APN SAP Hybris Commerceパートナーへの支援依頼をご検討の場合は、 こちらからお問い合わせください。

翻訳はPartner SA 河原が担当しました。原文はこちらです。