Amazon Web Services ブログ

週刊AWS – 2020/11/9週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの下佐粉です。
今週も週刊AWSをお届けします。

いよいよ、AWS年に一度の大きなイベント、AWS re:invent 2020が近づいてきました。
今年のre:inventは、初のオンライン開催、また無料で参加できるようになってます。また、初の試みとして日本語セッションに加えて、日本語でエンジニアに質問できるAsk the Expertsを日本向けのキーノート時間中と、re:nvent期間中の毎週水木金曜の12:45から16:45まで毎日開催されます。最新情報のキャッチアップやAWSの技術相談等にぜひご活用ください。詳細はre:inventのホームページをご確認ください。
さて、今号はいつもに増して発表が多かった中から厳選しているため11/10と11/12の欄がありませんが、実際はその日にも色々な発表がされています。全ての発表はWhat’s New with AWSのページでご確認いただけます。それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2020年11月9日週の主要なアップデート

  • 11/9(月)
    • Now you can export your Amazon DynamoDB table data to your data lake in Amazon S3 to perform analytics at any scale
      Amazon DynamoDBに、表をJSONもしくはION形式でAmazon S3へエクスポートする機能が追加されました。35日間以内のデータであれば時刻を指定してエクスポートできます。またエクスポート処理にはリードキャパシティを消費しません。JSONで出力したデータは例えばGlueクローラーで検知し、Athenaでクエリする環境をすぐに作ることが可能です。詳細はこちらのBlog記事をご覧ください。
    • Amazon S3 Intelligent-Tiering adds Archive Access Tiers — further optimizes storage costs
      S3では標準の保存方法に加えて、性能はそのままで保存費用が安価になる(一方取り出しコストは増加する)標準-IA(Infrequent Access)が用意さえれており、ユーザがオブジェクト単位で保存方法を変更できるようになっていますが、それを自動化したものがS3 Intelligent-Tieringです。30日以上アクセスされないものは自動的に標準IAに変更され、アクセスされたものは標準に変更されます。今回このIntelligent-Tieringが拡張され、GlacierやGlacier DeepArchiveにも対応しました。180日以上アクセスが無いものは自動的にDeepArchiveに保存されるよう設定が可能です。詳細はこちらのBlogをご覧ください。
    • AWS announces 40% price reduction for Amazon Elastic Block Store (EBS) Cold HDD (sc1) volumes
      EBSのsc1ボリュームが最大40%値下げされました。sc1はコールドデータを置くためのマグネティックストレージで、シーケンシャルアクセス性能として1TBあたり12MB/sの性能、最大スループットはボリュームあたり192MB/sを提供します。
    • Amazon S3 Object Ownership is now generally available with AWS CloudFormation support
      Amazon S3 Object Ownershipが一般提供開始(GA)になりました。同時にCloudFormationでの定義が可能になっています。S3 Object Ownershipは、バケットにPUTされたデータへのアクセス権限を、バケットのオーナーが自動的に取得する仕組み(設定)です。例えば、データレイクを構築する際は、複数アカウントからデータレイク用のS3バケットにデータをPUTする形になりますが、その際、PUTしたオーナーに関係なく自動的にデーアレイクアカウント側がデータにアクセスできるようになります。
    • Amazon ECS now supports the use of Amazon FSx for persistent, shared storage for Windows containers
      Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS)で稼働するコンテナからAmazon FSx for Windows File Serverを共有ストレージとしてアクセスし、データを保存できるようになりました。Windowsコンテナのアプリケーションから共有データを読み書きしたいというケースで便利に利用していただけます。
    • Amazon DocumentDB (with MongoDB compatibility) adds support for MongoDB 4.0 and transactions
      Amazon DocumentDB with MongoDB compatibility)がMongoDB 4.0互換に対応しました。これによりACIDトランザクションが利用可能になったり、変更ストリームが最大7日間まで維持できるようになる等の機能が追加されています。同時にAWS Database Migration Service (DMS)でMongoDB 4.0をソース・ターゲットとして指定する事が可能になっています。
  • 11/11(水)
    • Introducing AWS Glue DataBrew: Visual data preparation tool to clean and normalize data up to 80% faster
      新しいサービスAWS Glue DataBrewがリリースされました。東京リージョンでもご利用いただけます。DataBrewはいわゆるデータプレップ (data preparation)を支援するサービスで、エンジニアや分析官の方がサンプリングされたデータをGUIで確認しながら、フィルタや標準化といった前処理を行う機能を提供します。コーディング無しで利用できることが特徴で、250種類の変換処理が事前に用意されています。 こちらのblogで多くの図とともに解説をしていますので、ぜひご確認ください。
    • Amazon Redshift announces automatic refresh and query rewrite for materialized views
      DWHサービスであるAmazon Redshiftのマテリアライズドビュー(マテビュー)に2つの機能が追加されました。1つはマテビューの自動更新、もう1つは自動的なクエリリライトです。クエリリライトは、SELECTの中で直接マテビューを指定していなくても、マテビューをアクセスした方が効率的と判断した場合は、マテビューを利用するように実行計画をリライトする機能です。マテビューの運用管理が楽になるだけでなく、ツールがSQLを自動作成する等、ユーザがSQLを修正できないような環境でもパフォーマンス向上が見込めます。
    • Introducing AWS Gateway Load Balancer
      新しいサービスAWS Gateway Load Balancer (GWLB)がリリースされました。これは通信の途中、各データ(パケット)に何らかの処理を挟み込みたいようなケース、例えば3rdパーティーのIDPやファイアーウォールアプライアンスを導入する際に利用できるロードバランサーです。 GWLBのEndpointを例えばIGWとEC2の間に挟むような形式で構成することで、その間を通過するパケットをGWLB経由でアプライアンスに転送することが可能です。ロードバランサーですので、負荷に応じたアプライアンスの増減やダウンしたアプライアンスの検知等の機能も提供します。詳しくはこちらのBlogをご覧ください。
  • 11/13(金)
    • Announcing Amazon Lightsail Containers, an easy way to run containerized applications on the cloud
      Amazon Lightsailはコスト効果が高く、簡単に使える各種サービスの集合で、これまでも仮想サーバ、RDB、CDN等が提供されていますが、今回これにコンテナサービスが追加されました。コンテナ稼働環境のキャパシティ(CPU、メモリ)とそれを何ノード動かすのかだけで利用開始できる簡単さです。詳しくはこちらのBlogをご覧ください。稼働環境作成時に利用費用がxxドル/月というのが分かるようになっているのも特徴で、7 USD/月から利用可能です。
    • Network Load Balancer now supports IPv6
      Network Load Balancer (NLB) がIPv6をサポートしました。IPv4とのデュアルスタックで構成が可能で、クライアントからIPv6で受けた通信をIPv4でバックエンドに転送することも可能です。これにより、AWS上に作られた既存アプリケーションをIPv6対応させることが容易になります。
    • Amazon QuickSight now supports Column Level Security, Column Descriptions, and a new Oracle Connector
      AWSのBIサービス、Amazozn QuickSightに複数の機能が追加されました。Column Level Security (CLS)は、列単位でのアクセス制御を可能にする機能で、データセットの構成でユーザに見せない列を設定可能です。合わせてデータソースとしてOracle 12cのサポートが追加されました。v19のサポートも近々提供開始予定です。この他に、列の説明(description)を付ける機能が追加されました。同日にもう1つ発表があり、こちらではファネルチャート(漏斗図)の追加や、画面に表示していない列でのソート設定等が可能になっています。
    • Amazon Athena announces availability of engine version 2
      S3上にデータを置くだけでSQLでクエリを可能にするサーバレスサービス、Amazon Athenaでエンジンバージョン2がリリースされました。バージョン2はPresto 0.217をベースにしており、性能の改善や、ジョイン時にメモリが不足した場合にディスクを使う機能(Spill to disk)等に加えて、これまでプレビューとして提供されていたフェデレーションクエリが一般公開(GA)されました。フェデレーションにより、AthenaからRedshiftやDynamoDB等他サービス上のデータを統合してクエリすることが可能になります。エンジンバージョン2の詳細はこちらのドキュメントを、フェデレーションについてはこちらのドキュメントプレビュー時のBlog記事をご確認ください。

11/9に多くのストレージ系サービスのアップデートがあったのは、AWS Storage Day 2020 というストレージ系サービスの新発表やセミナーのイベントがあったためです。今号では紹介しきれていないアップデートも多いので、ご興味がある方はAWS Storage DayのBlog投稿で内容を確認してみてください。

今号の中での個人的なイチオシは、Lightsail Containerです。Lightsailらしい簡単さで、コンテナインフラの知識がなくてもサービスを公開することが可能になっていますので、ぜひ上記記事などで簡単さを確認してみてください。

それでは、また来週!

ソリューションアーキテクト 下佐粉 昭 (twitter – @simosako)