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週刊AWS – 2024/9/9週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの杉山です。今週も 週刊AWS をお届けします。

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それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2024年9月9日週の主要なアップデート

  • 9/9(月)
    • Amazon Aurora で Graviton 3 ベースの R7g インスタンスを 15 リージョンでサポート
      Amazon Aurora PostgreSQL、Amazon Aurora MySQL で、Graviton 3 ベースの R7g インスタンスが、東京を含めた 15 リージョンでサポートしました。Amazon Aurora の Graviton2 インスタンスと比較して最大 30% のパフォーマンス向上と最大 20% のコストパフォーマンス向上を提供します。既存のインスタンスを Graviton 3 に変更したい場合は、こちらのドキュメントを基に作業が可能です。なお、2024 年 09 月のタイミングでは、東京リージョンで R7g インスタンスのリザーブドインスタンスが提供されていないため、ご留意ください。
    • AWS Elasitc Beanstalk でインバウンドトラフィックの IPv6 をサポート
      AWS Elastic Beanstalk でコントロールプレーンのアクセスに利用する、パブリックエンドポイントと VPC エンドポイントの両方において、IPv4 と IPv6 を利用するデュアルスタックをサポートしました。AWS CLI または AWS SDK を使用する際に、デュアルスタックエンドポイントを指定して Elastic Beanstalk サービスにリクエストを送信できます。なお、Benstalk の配下で構成する ALB や EC2 などのデータプレーンについては、デュアルスタックをサポートしていません。詳細はこちらのドキュメントを参照ください。
    • EC2 Capacity Blocks で Amazon EC2 P5e インスタンスの一般提供開始
      NVIDIA H200 Tensor Core GPU を搭載した Amazon EC2 P5e インスタンスの一般提供を発表しました。通常のオンデマンドではなく、EC2 Capacity Blocks というキャパシティを事前に予約する仕組みを通じて利用が可能です。P5e インスタンスは、ディープラーニングと生成 AI の推論において、EC2 で最高のパフォーマンスを提供します。8 個の H200 GPU を搭載しており、P5 インスタンスに搭載されている H100 GPU と比較して、GPU メモリサイズが 1.7 倍、GPU メモリ帯域幅が 1.5 倍になっています。P5e インスタンスは現在、オハイオリージョンで利用が可能です。
  • 9/10(火)
    • Amazon OpenSearch Service で OpenSearch 2.15 をサポート
      Amazon OpenSearch Service で OpenSearch 2.15 をサポートしました。OpenSearch 2.15 では、検索パフォーマンス、クエリ最適化などの改善が行われ、より柔軟に AI を活用したアプリケーションを構築しやすくする新機能が追加されました。新機能を一つ紹介すると、「Radial search」というベクトル検索機能が追加されました。生成 AI に関連したユースケースとして、Embedding でテキストをベクトル化して、意味的に近いものを検索することがあります。Radial search では、クエリポイントに指定された最大・最小スコアしきい値内にあるベクトル空間内のすべてのポイントを検索できます。k-NN では近似的な近い距離の Top 5 などを出すことができますが、Radial search ではより柔軟な検索が可能です
    • SageMaker HyperPod で Amazon EKS の一般提供を開始
      SageMaker HyperPod で Amazon EKS の一般提供を開始しました。これにより、お客様は SageMaker HyperPod 上で Kubernetes ワークロードを実行・管理できるようになります。HyperPod は基盤モデル開発のために特別に構築されたインフラストラクチャで、モデルのトレーニング時間を最大 40% 短縮します。多くのお客様が Kubernetes のエコシステムで提供されている様々なツールセットを利用しています。このアップデートで、引き続き Kubernetes ベースの体験を重視しながら、SageMaker HyperPod の利点を得やすくなりました。
  • 9/11(水)
    • Amazon Redshift で zero-ETL を利用したソートキーの変更をサポート
      Aurora MySQL 、Aurora PostgreSQL、RDS for MyQL から zero-ETL 統合を利用して Redshift にテーブルレプリケーションを行う際に、ソートキーの変更をサポートしました。ソートキーは、テーブル内で物理的な配置を制御する重要な要素となっており、範囲を指定したフィルタリングといったクエリーパフォーマンスの改善などに活用できます。また、ソートキーを AUTO にすることで、利用方法やデータパターンによって自動的にソートキーを設定することも可能です。
    • AWS IAM Identity Center のアクセスポータル画面で言語やダークモードなどの設定が可能に
      AWS IAM Identity Center のアクセスポータル画面で、表示言語やライトモード or ダークモードに関して、好みの設定を指定できるようになりました。アクセスポータル画面は、Identity Center と事前に連携設定している AWS アカウントや、アプリケーションなどへのシングルサインオン画面を提供するものです。12 個の言語や好みの表示方法の指定により、快適なアクセスを提供するアップデートです。
  • 9/12(木)
    • Amazon Q Developer がより自律的なコーディングをサポート
      Amazon Q Developer で、作業をしているプロジェクト全体に渡って、コーディングを支援してくれる Developing software 機能があります。Q に実装したい内容をテキストで伝えることで、プロジェクト全体のファイルを見渡して、どんな変更をすると良いか計画立案をしてくれ、実際の変更後のコードをだしてくれます。今回のアップデートで、直接的な人間の介入をせずに、自律的に問題を解決する内部改善を行いました。生成されるコードの精度と品質が向上しています。なお、豆知識ですが、Amazon Q Developer の更新は、What’s new ではなく Changelog で紹介されることもありますので、興味があればチェックしてみてください。
    • AWS MGN で Trend Micro の post-launch 設定のサポート
      サーバーの移行ツールとして利用できる AWS Application Migration Service (AWS MGN) で、インスタンスの中に Trend Micro Vision One Server & Workload Protection Agent をインストールするアクションを提供しました。これは、Trend Vision One Endpoint Security の一部として提供されるサーバー向けセキュリティソリューションで、リアルタイムなウイルス検索、Web レピュテーション、セキュリティログ監視といった機能があります。組織のセキュリティニーズに合わせて、移行を行う際に、自動的にエージェントをインストールできるようになりました。
    • AWS Elemental MediaLive Anywhere の一般提供開始
      AWS Elemental MediaLive Anywhere は、オンプレミスでライブビデオエンコーディングを実行しながら、クラウド上で管理できる MediaLive の機能です。従量課金制のサービスと AWS パートナーを通じて購入できるアプライアンスで構成されています。アプライアンス機器をオンプレミスに置き、オンプレミス側でライブビデオエンコーディングをしながら、AWS 上で MediaLive を利用した機器の管理や、それ以外の AWS サービスと連携したハイブリッドなソリューションを提供するものです。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • 9/13(金)
    • Amazon QuickSight で Google BigQuery connector を利用したダイレクトクエリーのサポート
      Amazon QuickSight で、Google BigQuery をデータソースにしたダイレクトクエリーをサポートしました。このアップデートは、2023 年 11 月に提供を開始した BigQuery コネクターの機能拡張です。従来のコネクターでは、BigQuery 上のデータを、QuickSight 上のインメモリエンジン SPICE に蓄積する方式でした。今回のアップデートで、直接 BigQuery にダイレクトクエリーが可能となり、ニアリアルタイムの可視化を実現しやすくなりました。
    • Amazon RDS for MySQL と Amazon Redshift 間で Zero-ETL 統合のサポート
      Amazon RDS for MySQL と Amazon Redshift 間で Zero-ETL 統合をサポートしました。元々、Aurora PostgreSQL、Aurora MySQL との統合機能を提供していましたが、RDS for MySQL もできるように拡張した形です。Zero-ETL 統合により、データパイプラインを構築せず、Redshift に数秒以内にレプリケーションできます。機械学習環境や、事業の大事な指標の可視化など、さまざまなユースケースをご検討いただけます。RDS for MySQL のバージョン 8.0.32 以降で利用できる点にご留意ください。
    • Amazon Cognito で、新たにメールを利用した MFA 機能のサポート
      Amazon Cognito で MFA 認証を行う際に、従来の SMS とワンタイムパスワード (TOTP) に加えて、メールを利用する方法をサポートしました。MFA 用の電話番号、専用デバイス、アプリケーションを用意するのが難しい場合に、このアップデートでメールが利用できるようになり、多くの組織でセキュリティ向上をしやすくなった形です。

それでは、また来週お会いしましょう!

著者について

Suguru Sugiyama

杉山 卓(Suguru Sugiyama) / @sugimount

AWS Japan のソリューションアーキテクトとして、幅広い業種のお客様を担当しています。最近は生成 AI をお客様のビジネスに活かすためにアイデア出しやデモンストレーションなどを多く行っています。好きなサービスは仮想サーバーを意識しないもの全般です。趣味はゲームや楽器演奏です