Amazon Web Services ブログ

高等教育機関におけるスケーラブルなセキュリティの必要性

こんにちは!

アマゾン ウェブ サービス (AWS) で事業開発を担当しております、吉田です。

私は AWS の先進的なサービスを、いかに公共のお客様が抱えていらっしゃる課題解決の手段としてご利用頂けるかということを、お客様との対話、社内外への情報発信、提案素材の作成といった活動を通して、AWS が皆様へどのような価値を提供できるのかということを分かりやすくお届けするサポートをさせて頂いております。

こちらの記事では「セキュリティ」についてご紹介します。

セキュリティは、世界中の公共のお客様にとって優先事項の一つです。

研究分野では国境を越えた共同研究も活発化しており、研究データをいかにデジタル攻撃から安全に保護するかということは、教育機関の皆様にとっても考えていかねばならない項目となりつつあります。

また、関連資料として、グローバルに教育で取り組みべきことがどのように話されているのかをレポートにした資料もご紹介しており、このレポートではより詳細な情報が掲載されております。ぜひご確認下さい!

2023 年 3 月 20 日に AWS Public Sector Blog 内で投稿された『The top 3 innovation drivers in higher education in 2023』という記事の中で、AWS の高等教育機関のお客様が、イノベーションを推進するための鍵として、2023 年に何を最優先事項としているかということを説明されています。

テーマは 3 つ挙げられており
1つ目は『教育・学習における選択の幅を広げ、学生中心主義にする』
2つ目が『研究コミュニティにおけるスケーラブルなセキュリティの必要性』
3つ目が『組織のリーダーシップに新たに必要とされているサステナビリティ』
です。

今回はこの中で2つ目の『研究コミュニティにおけるスケーラブルなセキュリティの必要性』をご紹介いたします。


計算機研究がユビキタス化し、キャンパスや国境を越えてオンラインで共同研究を行う研究者が増えるにつれ、研究データを保護する必要性は、IT部門だけでなく教育機関のリーダーシップにとっても優先事項となっています。セキュリティに関する政府の要求により、教育機関では、貴重な知的財産を保護するためのスケーラブルなシステムとコントロールの確立を包括的に考える必要性がさらに強まっています。

サイバー攻撃は、高等教育機関における業務のあらゆる側面を脅かし、特に研究業務に深刻なリスクをもたらします。 科学の研究方法が変化したことで、数十年前とは異なるまったく新しいリスクが生まれており、これらの攻撃は、攻撃者へ支払われる金銭以上の影響を組織にもたらします。
カナダの British Columbia 大学の情報技術担当副学長兼最高情報責任者である Jennifer Burns 氏は、次のように述べています。

コストは、身代金だけではありません。取締役会、経営陣、ITチームがクリーンアップに費やす時間と労力もコストであり、例え迅速に対応したとしても6か月間かかる可能性があります。それはクリーンアップの請負業者にかかるコストでもああります。また、他の優先すべき事項への注意がおろそかになり、全体として考えた時に、これらの攻撃は多大な影響を与えるのです。


最新のレポート「高等教育機関におけるイノベーションの鍵」で、これらの優先事項の詳細や、教育機関のリーダーがどのようにクラウド技術を利用して最大の課題を解決し、教育機関の将来性を高めようと考えているかをご確認頂けます。

Key_to_innovation_in_higher_education_Page1Key_to_innovation_in_higher_education_page3

セキュリティの重要性を再確認できましたので、実際にオンプレミスで管理されていた大学のシステムがサイバー攻撃の対象となり、それをきっかけにAWSクラウドへの移行を迅速に推進されたという海外の事例 (How Hartnell College recovered critical systems using AWS after a cyber attack) をご紹介したいと思います。

サイバー攻撃後、Hartnell CollegeがAWSを使って重要なシステムを復旧させた方法

Hartnell College は、カリフォルニア州サリナスにある公立のコミュニティ・カレッジで、7,500 人以上の学部生が在籍しています(2020-2021)。2022 年春に最高情報システム責任者の Chelsy Pham 博士が着任したとき、カレッジは IT インフラの近代化の必要性を認識していました。Pham 博士と彼女のチームは、Amazon Web Services(AWS)への移行という長期的なビジョンを持っており、近代化を促進するためのクラウド戦略を策定している最中でした。

これが一変したのは、2022 年 10 月 2 日(日)午前 6 時のことでした。ネットワーク障害が発生したことから、サイバー攻撃の発生が疑われ、Hartnell の IT 部門はすべての内部ネットワークを停止させました。一時的に外部のウェブサイトやサービスにアクセスできなくなり、学内の教室のプロジェクターも使用できなくなりました。Hartnell College はサイバー調査員に依頼し、予備調査の結果、Hartnell College が高度なランサムウェア攻撃の被害を受けたことが判明しました。

同大学は可能な限りの復旧を行い、AWS 上でシステムの再構築を開始しました。AWS コンサルティングパートナーである Ferrilli のチームの協力により、中核となる学生情報システム(SIS)はすぐにクラウド上で稼働し、その後基盤インフラもクラウド上で稼働することになりました。これが Hartnell の IT チームが IT インフラを再構築して復旧をするはじまりとなりました。

彼らの復旧・再構築戦略の詳細については、ケーススタディ “カリフォルニアの複数の拠点を持つコミュニティカレッジが、壊滅的なサイバー攻撃からどのように迅速に回復したか” で詳しく説明しております。フォームからダウンロード可能です。

最後に

いかがでしたでしょうか?
日本においても同じような課題感があるのではないかと思います。

こちらの記事ではグローバルの取り組みや事例についてご紹介させて頂きましたので、次回はサイバー攻撃に対する予防と準備のために検討しておく項目をHartnell Collegeの事例から読み解いてみたいと思います。


関連情報

サイト、問い合わせ

資料

関連投稿

この記事を書いた人

Photo of Naoko Yoshida
吉田 尚子
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 パブリックセクター
事業開発マネージャー
“AWSのサービスが、公共のお客様にどのような価値を提供できるのか、海外の事例を取り入れなが分かりやすくお届けいたします”