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週刊生成AI with AWS – 2024/8/26週

みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの小林です。

9月に入り2024年もあと4ヶ月になりました。時間の流れの速さに驚いている今日この頃ですが、AWSでは年末に向けて様々なイベントを企画しています。随時情報をお知らせしていきますので楽しみにお待ち頂ければと思いますが、新しい知識を仕入れて頂いたり、実際に手を動かして頂いて実感を得て頂いたり、様々な体験をお届けしたいと思っていますので、是非ご期待ください。

AWSジャパン生成AI実用化推進プログラム」も引き続き参加者募集中です。こちらのほうも、よろしくお願いいたします。

それでは、8 月 19 日週の生成AI with AWS界隈のニュースを見ていきましょう。

さまざまなニュース

    • AWS生成AI国内事例ブログ: ファミリーマート様、生成AIによりシステム運用業務を効率化
      株式会社ファミリーマート様は、大規模で複雑なものになりがちなシステム開発において、今までの教訓や担当者の知見を効率的に活用したいという課題を感じており、生成AIを使った解決にチャレンジすることとしました。既存のシステムとの連携やセキュリティ向上のために様々なルールが設けられていますが、効率的に情報を検索するためのチャットボットがその第一歩です。着目すべきはPoCの実施に当たって定量的な評価手法を定義し、成功の度合いを測定できる用にしている点です。これによって生成AIで課題解決ができるテーマ、さらなる改善が必要なテーマを明確に判断することができているそうです。今後の展開として、このチャットボットの本格展開を検討しています。
    • AWS生成AI国内事例ブログ: 株式会社JDSC様、Bedrockによる横断検索システムで専門的な工数を97%削減
      株式会社JDSC様は日本の産業のアップデートを使命とする、東京大学発のAI企業です。この事例は、JDSC様が海運事業に取り組むお客様に検索拡張生成(RAG)を構築し、専門的な知識を要する問い合わせ対応の時間を約97%削減、従来のシステムと比較して回答の精度を30%向上させるという結果を得ることに成功しています。また、問い合わせ対応にあたって属人的な知識や専門知識の必要性を軽減することで、対応可能な人材の幅を広げることができています。当初はClaude 3 Sonnetの利用を検討していたところ、Amazon Titan Text V2やClaude 3.5 Sonnetを比較し、用途に対してより良い結果が得られるClaude 3.5 Sonnetを採用することとしたエピソードは、Bedrockらしい事例だなと感じます。
    • ブログ記事「生成 AI のためのネットワーク境界でのセキュリティ保護」を公開
      生成AIを組み込んだアプリケーションにおいても、セキュリティは重要な考慮事項です。このブログ記事では、ネットワーク境界保護の観点を説明し、生成AIアプリケーションにおいてどのように適用されるべきか、具体的なアーキテクチャ例はどういったものかを解説しています。ネットワーク境界保護を適用するとこで、不正使用やコスト超過、DDoS攻撃などへの耐性を獲得するためのアイデアが詰まっている記事です。
    • ブログ記事「Amazon Bedrock を活用した RAG チャットボットアーキテクチャのハードニング : セキュアデザインのためのブループリントとアンチパターンへの緩和戦略」を公開
      この記事はセキュリティ計画を立案しそれに適合するようにAmazon Bedrockを利用することで、安全で責任あるチャットボットアプリケーションをデプロイする方法を解説しています。また、大規模言語モデル(LLM)を利用する際に課題に成り得る一般的なセキュリティリスクと、アンチパターンについても提示します。LLMを組み込んだアプリケーションの信頼性を高めるための手法を知ることができますので、ぜひご一読ください。

サービスアップデート

    • Amazon Q Businessがユーザ認証のフェデレーションに対応
      Amazon Q BusinessでIAMフェデレーション機能が公開されました。この機能を利用するとAmazon Q BusinessでOIDC(OpenID Connect)とSAML2.0プロトコルをサポートするアイデンティティプロバイダーと連携し、これらで管理するユーザIDとユーザの属性を利用してユーザの認証・認可が可能になります。従来は一旦AWS IAM Identity Centerに同期する必要がありましたが、この手間が不要になるのがポイントです。
    • Amazon Bedrockがクロスリージョン推論をサポート
      Amazon Bedrockでクロスリージョン推論機能が利用できるようになりました。この機能は、複数のリージョンでトラフィックを動的にルーティングすることで、ユーザトラフィックの増加時にも、より高いスループットやサービスの可用性を高めることが可能になります。利用できるリージョンをあらかじめ定義できるので、推論データが処理される場所を制御することもできます。現時点ではAnthropicのClaudeが対象になっています。ブログも出ていますのでこちらもどうぞ。
    • Amazon Bedrock Knowledge BasesでMetaのLlama 3.1を利用可能に
      Amazon Bedrock Knowledge Basesは検索拡張生成(RAG)を容易に実現するサービスです。今回、Amazon Bedrock Knowledge BasesでMeta社のLlama 3.1 405B, 70B, 8Bのモデルを利用できるようになりました。RAGワークロードにおいても、用途に応じて最適なモデルの選択肢の幅が広がっています。
    • Amazon SageMaker Projectsで過去に削除したプロジェクト名の再利用が可能に
      Amazon SageMaker Projectsは開発者環境とMLOpsのためのCI/CDシステムの設定や標準化を支援する機能です。今回、過去に使用していて削除したプロジェクトと同じ名前を、新しいプロジェクトに再利用できるようになり、命名規則を柔軟に考える事が可能になります。

著者について

Masato Kobayashi

小林 正人(Masato Kobayashi)

2013年からAWS Japanのソリューションアーキテクト(SA)として、お客様のクラウド活用を技術的な側面・ビジネス的な側面の双方から支援してきました。2024年からは特定のお客様を担当するチームを離れ、技術領域やサービスを担当するスペシャリストSAチームをリードする役割に変わりました。好きな温泉の泉質は、酸性-カルシウム-硫酸塩泉です。