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AWS パートナーが VMware Cloud on AWS を利用して新しい収益源を創出している方法

本記事は、AWS で Content Developer を務める Jackie Vendetti と AWS で Solutions Architect を務める Sam Walker が 2023 年 4 月 10 日に公開した「How AWS Partners Are Creating New Revenue Streams with VMware Cloud on AWS」を翻訳したものです。

AWS パートナーは、アマゾン ウェブ サービス (AWS) への顧客の移行を加速することでビジネスを成長させ、VMware Cloud on AWS 上でモダナイズすることで新たな収益源を創出する事ができます。

2020 年の IDC の VMware Cloud on AWS のビジネス価値に関するレポートによると、VMware Cloud on AWS は、エンタープライズ、政府機関、スタートアップ企業などの顧客が、他のソリューションと比較して平均で 46% 速く、43% 低いコストでクラウドに移行することを支援しています。一方、アプリケーションの実行速度は平均 37% 向上し、AWS サービスを利用してアプリケーションを簡単にモダナイズできるようになります。

本稿では、VMware Cloud on AWS を取り扱う 2 つの主要な AWS パートナーである XtravirtTerasky の事例を含め、パートナーの成長機会についての洞察を提供します。

VMware Cloud on AWS を取り扱う AWS パートナーは、サービス全体の収益が 10 ~ 15% 増加する可能性があります。パートナーは、プロフェッショナルサービスやマネージドサービス、モダナイゼーション、AWS のファンドプログラム、顧客基盤の拡大を通じて、VMware Cloud on AWS の取り扱いを拡大することができます。

プロフェッショナルサービスとマネージドサービス

AWS パートナーが VMware Cloud on AWS の取り扱いを収益化する方法の 1 つは、幅広いサービスを提供して、顧客の価値実現までの時間を短縮することです。これらサービスは、パートナーの能力によって異なり、計画、準備、移行、テスト、ディザスタリカバリ、コンプライアンス、セキュリティ、マネージドサービスなどが含まれます。

Grand View Research の “Managed Services Market…2023-2030” レポートによると、2022 年のクラウドマネージドサービスの Total Addressable Market (TAM) は 2,670 億ドルでした。このサービス市場は、VMware Cloud on AWS パートナーにとって既に存在している 31.1 億ドルの市場機会に加えて、今後 7 年間で 6,000 億ドル以上に成長すると予測されています。

IDC は、2022 年にパートナーを通じて販売される VMware テクノロジー 1 ドルあたり、パートナーはサービス収益とクロスソリューション販売で平均 6.70 ドルの「乗数効果」を実現すると推定しました。乗数効果の大部分を占めるのは、サービスの提供です。

モダナイゼーションの機会

VMware Cloud on AWS は、インフラストラクチャとアプリケーションの両方に長期的なモダナイゼーションの機会を提供します。VMware Cloud on AWS に移行することで、顧客のデータが AWS でホストされ、機械学習、サーバーレス、データ分析サービスを含む 200 以上の AWS サービスにアクセスできるようになります。

AWS パートナー ファンドプログラム

AWS からファンド提供がある案件は、ファンド提供がない案件に比べて 2 倍の確率で成約することを、パートナーは知っています。AWS のファンド提供を受けるには、パートナーは特定の要件を満たす必要があるため、主要なパートナー窓口に連絡して、要件を満たしているかどうかを確認してください。

顧客基盤の拡大

AWS Marketplace では、VMware Cloud on AWS の購入時にプロフェッショナルサービスやマネージドサービスを簡単に組み合わせることができ、AWS Marketplace は 200 万人を超える購入者にサービスを提供するチャンスとなります。

Forrester が 2022 年に実施した調査では、AWS Marketplace を通じて取引が行われた場合、全体の勝率が 27% 増加することが示されています。その他の利点については、AWS Marketplace 販売者のパートナーオポチュニティー分析の Total Economic Impact に関するこの AWS ブログをご覧ください。

AWS パートナーが VMware Cloud on AWS による収益増加を報告

AWS パートナーである Xtravirt と Terasky は、VMware Cloud on AWS が収益成長にプラスの影響を与えていることを共有しました。VMware Cloud on AWS からの収益は、2022 年にパートナー全体で 82% 増加し、VMware Cloud on AWS は、一部のパートナーのサービス収益の 10 ~ 15% を占めています。

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図 1 — AWS パートナーは VMware Cloud on AWS で収益を増やしています

Xtravirt の顧客は、VMware Cloud on AWS を利用することで運用コストを 20 ~ 40% 削減

Xtravirt は英国を拠点とする AWS セレクトティアサービスパートナーで、クラウドコンサルティングとマネージドサービスを専門としています。同社は順調に成長を続けており、前四半期だけで VMware Cloud on AWS の顧客数を倍増させました。

Xtravirt の Director of Strategic Services である Robin Gardner 氏は、「VMware Cloud on AWS は、VMware の顧客にとってクラウドへの拡張を実現する素晴らしい機会です」と述べています。「最初にアプリケーションをモダナイズしたり、厳密にクラウドネイティブな道を辿ったりしなくても、既存のスキルを活用してクラウド環境のメリットを得ることができます。」

Xtravirt は、VMware Cloud on AWS を利用して、クラウド移行が停滞していた多くの顧客を支援してきました。完全にネイティブなクラウドアーキテクチャを構築する意図を持っている組織もありますが、ほとんどの組織にとって、大規模な移行がどれほど複雑で時間がかかるかを過小評価している事がほとんどです。

クラウドネイティブと VMware Cloud on AWS を組み合わせて使用することで、組織はどのアプリケーションをモダナイズするか、単純にクラウドに移行するか、または廃止するかをより柔軟に選択できます。以下のグラフを参照して、VMware Cloud on AWS を使用したクラウド移行とクラウドネイティブ移行の時間の違いを確認してください。

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図 2 — VMware Cloud on AWS による移行期間の短縮

Xtravirt は、顧客がワークロードを VMware Cloud on AWS に移行することで、運用コストを 20 ~ 40% 節約できると報告しています。そこから、フロントエンドのモダナイゼーションを進めるか、より広範な AWS サービスへの統合のメリットを活用することに集中することができます。いずれにしても、VMware Cloud on AWS を利用することで、コストが削減され、顧客の運用インシデントが減少します。

Xtravirt は最近、VMware Cloud on AWS を使用して、ランサムウェア攻撃を受けた顧客を復旧し、稼働させました。VMware Cloud on AWS を信頼できる復旧環境として使用することで初期サービスがすぐに利用できるようになり、最初にデータセンターを完全にクリーンアップするよりも早く事業復旧を開始できました。顧客は現在、VMware Cloud Disaster Recovery (VCDR) を使用してディザスタリカバリ戦略全体をリファクタリングしようとしています。

Xtravirt はまた、VMware Cloud on AWS が、高等教育機関にとって理想的なソリューションを提供し、学生のオンボーディングとスタッフの研究プロジェクトの年次サイクルを提供していることにも気づきました。大学の IT 部門では、各学期の開始時に何万人もの学生がやってきて、研究を支えるインフラストラクチャサービスとテクノロジーを必要としています。1 年のうち 10 か月間にわたって迅速にスケーリングする必要があるため、チームと予算に大きな運用上の負担がかかります。

「VMware Cloud on AWS は、高等教育機関が必要とするスケーラビリティ、制御、ガバナンスを提供します」と Gardner 氏は言います。

Terasky は、VMware Cloud on AWS によりビジネス機会が拡大すると見ています

AWS プレミアティアサービスパートナーである Terasky は、AWS 移行コンピテンシーを取得しており、VMware Cloud on AWS を業務に加えたことで多くの機会が開かれたと述べています。このソリューションは他のサービスをアップセルする方法であり、新規顧客との信頼関係を築くのに役立ちます。また、数百のノードを含む最大規模の展開の一つです。

Terasky の VP, Solution Architecture である Lir Shif 氏は、「すでに VMware 製品をオンプレミスで使用している場合、VMware Cloud on AWS はクラウドへの移行に最適なソリューションです。」と語っています。オンプレミスで運用するのと同じで、クラウド導入の習得に時間がかからないため、お客様は時間とコストを節約できます。

Shif 氏は、「VMware Cloud on AWS は、ワークロードをリホストする最初のステップに最適なソリューションのようです。」とも述べています。これは「リフトアンドシフト」戦略とも呼ばれ、多くの場合、顧客がクラウドに移行するために最初に取る道です。ワークロードがクラウドに移行されると、顧客はデータセンターを閉鎖し、クラウド移行の次の段階、リプラットフォーム/リファクタリングを開始して、クラウドのメリットを最大限に活用できます。

Terasky は VMware Cloud on AWS を使用して、さまざまなユースケースで顧客を支援しています。1 つは、データセンターの拡張で、オンプレミスの追加のオーバーヘッドを排除する必要がある場合です。ビジネスを成長させるためにますますテクノロジーに依存する企業が増えているため、ビジネス要件をサポートするためにデータセンターに弾力性が求められています。

Terasky の顧客は、データセンターをクラウドに拡張して新しいビジネス需要が発生した場合に対応するための有益な方法として VMware Cloud on AWS を検討しています。顧客は組織内の既存の知識を活用できると同時に、パブリッククラウドサービスの機能も活用できます。

Disaster Recovery as a Service(DRaaS)も Terasky がサポートする主要なユースケースであり、物理インフラストラクチャの課題なしに事業継続計画を作成するための重要な部分です。VMware Cloud on AWS を使ったディザスタリカバリのユースケースは、Terasky が基盤となるインフラストラクチャに精通しており同じように機能する為、構成するのは比較的簡単でした。

Terasky はデータセンターの移行やインフラストラクチャのモダナイゼーションにも VMware Cloud on AWS を利用しています。Shif 氏は「VMware Cloud on AWS だけでなく、AWS の専門家である必要があります。成功するためには、ネットワーク、ソリューションが他のサービスとどのように相互作用するか、AWS のサービスを活用して他のアプリケーションをどのように構築できるかを知る必要があります。」と述べています。

結論

AWS パートナーは、VMware Cloud on AWS を使用して、顧客のクラウドへの迅速かつ安全な移行と AWS 上でのモダナイゼーションを支援し、利益を得ています。

VMware Cloud on AWS の取り扱いの開始を検討される場合は、是非お気軽にお問い合わせ下さい。VMware Cloud on AWS を利用するパートナーの準備体制を確保する為のファンドプログラム、トレーニング、イネーブルメント、マーケティングサポート、セールスプレイ、すぐに使えるキャンペーン、コンテンツ作成のための追加資金を提供いたします。

翻訳はパートナーソリューションアーキテクト 豊田が担当しました。原文はこちらです。