AWS JAPAN APN ブログ
Works Human Intelligence による APN を活用した人材開発の取り組み
この記事は、株式会社 Works Human Intelligence で DeveloperRelations を務める丹治祐也氏と、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社でパートナーソリューションアーキテクトを務める櫻谷広人による共著です。
クラウドの普及・活用がますます進む昨今、企業の人材育成の必要性は以前にも増して高まっています。特に変化の激しい IT 業界では、生成 AI に代表されるような新しい技術をいち早くキャッチアップし、ビジネス価値の創出に貢献できる人材が求められます。しかし、多様なクラウド技術を体系的かつ包括的に学ぶことは簡単ではありません。また、企業としても、エンジニアのモチベーションを高め維持するための施策や評価制度を整えることは簡単ではありません。
AWS は、トレーニングや AWS 認定資格、エンジニア個人に対する表彰などを通じて、これらのニーズをサポートしています。特に AWS パートナーに対しては、有償トレーニングの割引、パートナー限定の無償トレーニングの開催、資格取得に対する AWS クレジットの進呈など、さまざまなベネフィットを提供しています。
この記事では、AWS ソフトウェアパートナーである株式会社 Works Human Intelligence による、人材育成に関するさまざまな社内の取り組み、AWS パートナープログラムの活用、AWS との連携などについて紹介します。
Works Human Intelligence とは
東京に本社を置く Works Human Intelligence (以下、WHI) は、大手企業向け統合人事システム「COMPANY®」の開発・販売を行なっています。
「COMPANY®︎」は、人事管理、給与計算、勤怠管理、タレントマネジメントなど人的資本マネジメントにまつわる業務領域を広くカバーしており、国内大手約 1,200 法人グループに導入されています。2019 年にクラウドサービスの提供を開始し、より費用対効果の高い最先端のサービスを顧客に提供しています。
また、今年 4 月には、従業員の自律的な学習と企業の戦略的な研修の両立を可能とする学習プラットフォーム「COMPANY® Learning Platform」をリリースするなど、企業の人的資本マネジメントをリードする製品を拡充し続けています。
WHI には、2024 Japan AWS Ambassadors 2 名、2024 Japan AWS Top Engineers 6 名、2024 Japan AWS All Certifications Engineers 3 名、2024 Japan AWS Jr. Champions 2 名の AWS の表彰制度の選出者が在籍しています。2020 年には 1 人だった選出者が 2024 年には 13 名まで増えた背景には、WHI 社内の人材開発への取り組みがあります。
人材開発への取り組み
WHI で AWS 人材開発を担当している丹治さんに、社内での取り組みについてお話を伺いました。
櫻谷 (以下略): 丹治さん、WHI が AWS のトレーニングや人材開発についてどのような取り組みをしているのか教えていただけますか? | |
丹治氏 (以下略): WHI はクラウド教育に力を入れており、新卒および中途採用の従業員向けオンボーディングのコンテンツに AWS の基礎教育を組み込んでいます。また、これに加えて、AWS Certified Solutions Architect – Associate (SAA) の取得をサポートするための SAA 勉強会も定期的に開催しており、早い段階から従業員が AWS に関わる機会を提供しています。 |
それは従業員の成長にとても役立つ取り組みですね。オンボーディングや勉強会だけでなく、従業員が実務で AWS を活用するための支援もされているのでしょうか?
はい、資格取得だけでなく実務での AWS 活用能力の向上にも重点を置いています。中堅層の開発者向けには AWS Skill Builder のチームサブスクリプションを活用し、AWS Jam を定期的に実施しています。これにより、従業員の AWS スキル向上を促進しています。
組織全体で AWS のスキル開発に取り組んでいるのですね。他にも何か注力されている施策や制度はありますか?
はい、この他にも AWS 資格取得キャンペーンという形で資格取得者へのキャッシュバック制度を用意しています。この制度は AWS パートナーネットワーク (APN) の特典である人材育成のファンドを活用しており、アソシエイトレベル取得者には 3 万円、プロフェッショナル/スペシャリティ取得者には 5 万円のキャッシュバックを行っています。この制度では、資格取得の推進と従業員のモチベーション向上を図っています。
確かに、キャッシュバック制度はとても魅力的ですね。最後に、WHI の今後の展望や目標について教えてください。
WHI では、AWS 技術の習得に積極的に取り組んでおり、AWS の表彰制度への積極的な参加や AWS Ambassadors の選出、Japan AWS Top Engineers や Japan AWS Jr. Champions の活動の支援など、さまざまな施策を実施しています。今後も、従業員の能力向上と新たな AWS 技術の導入を目指し、 AWS 関連の取り組みを強化していく予定です。AWS の表彰制度にも会社を上げて取り組み、社内で積極的に施策を実施していきます。
AWS 活用推進に関わる施策
ここからは、WHI で実施している上記の取り組みについて、それぞれ詳しく見ていきます。
AWS 基礎教育を組み込んだオンボーディングコンテンツ
AWS の基礎教育を新卒および中途採用の従業員向けオンボーディングに組み込んでおり、クラウドの基礎を全従業員がキャッチアップするような教育コンテンツを用意しています。
また、これに加えて、AWS Certified Solutions Architect – Associate (SAA) の取得をサポートするための SAA 勉強会を定期的に実施しており、新しく入ってきた従業員も資格取得に向けて準備が出来る環境を整えています。このように、早い段階から従業員が AWS に関わる機会を提供しています。
AWS Skill Builder のチームサブスクリプションを活用した AWS Jam の定期開催
AWS Skill Builder のチームサブスクリプションを活用し、WHI Cup という形で、毎月月初に AWS Jam を開催しています。AWS Jam は、AWS 認定資格は持っているが AWS を実際に活用したことのない、いわゆるペーパードライバーのような従業員が業務で実際に AWS のサービスを利用し、業務効率化や新機能開発に活用するイメージを持ってもらうために実施しています。そのため、初心者向けではなくある程度の中堅層がターゲットです。
WHI Cup の各回に実施するチャレンジは参加者の要望から選定しています。機械学習系サービス、普段よく利用する Amazon Simple Storage Service (Amazon S3)、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)、AWS Lambda、AWS Identity and Access Management (IAM) といったサービスを実施しています。
AWS Skill Builder の活用については事例化もされていますので、詳しくはこちらをご覧ください。
APN クレジットを活用した資格取得者へのキャッシュバック
WHI には、人事部の施策として、資格取得者に対してその費用を支援する SkillOwnership 制度があります。また、この制度に加えて、AWS の資格を新規に取得した従業員に対し、資格に応じたキャッシュバックを実施しています。アソシエイトレベル取得者には 3 万円、プロフェッショナル/スペシャリティ取得者には 5 万円という形でキャッシュバックを行なっています。
この施策は、APN のベネフィットであるトレーニングの割引とクレジットのファンドを活用しており、資格取得の際に発行した AWS 販促クレジットを社員にキャッシュバックする形で実施しています。
本施策を実施したことで、2020 年には 21 件だった WHI の社内資格取得数は 2023 年には 82 件と、約 4 倍になりました。また、従業員数においても 2020 年当初 67 名だった AWS 資格取得者数は、2023 年には 265 名まで増え、本施策を導入したことで WHI での AWS 資格取得に対する効果が持続しています。資格取得キャンペーンも延べ 100 人以上が利用し、約 800 万円以上がキャッシュバックされています。
AWS の表彰制度への積極参加施策の実施
WHI では、AWS の表彰制度に向けて様々な取り組みを実施しています。
- Japan AWS Top Engineers による実績共有会
- Japan AWS Jr. Champions の選考会
- AWS Ambassadors に向けた連携
Japan AWS Top Engineers による実績共有会
Japan AWS Top Engineers は、APN に参加している会社に所属している AWS エンジニアを対象にした日本独自の表彰プログラムです。特定の AWS 認定資格を持ち、AWS ビジネス拡大につながる技術力を発揮した活動を行っている方、または技術力を発揮したその他の重要な活動や成果がある方が、Japan AWS Top Engineers として選出されます。
WHI には、2020 年から毎年 Japan AWS Top Engineers に選出されている従業員がいます。2024 年度も当社から Japan AWS Top Engineers を輩出するために、前年に選出された 3 名より、どのような活動が評価されて選出されたのかを次に Japan AWS Top Engineers を目指す従業員に共有する会を実施しました。また、この共有会をきっかけに AWS の表彰制度に積極的に取り組む従業員が増え、応募数も右肩上がりで増えています。これらの施策を通じ、2024 Japan AWS Top Engineers には 6 名を選出していただくことができました。
Japan AWS Jr. Champions の選考会
Japan AWS Jr. Champions とは、2023 年より新たに設立された、社会人歴 1~3 年目で AWS を積極的に学び、アクションを起こし、周囲に影響を与えている若手エンジニアを選出して、コミュニティを形成する、日本独自の表彰プログラムです。
WHI では Japan AWS Jr. Champions に関しても積極的に取り組んでおり、選考会という形で Japan AWS Jr. Champions を選出しています。選考会は、Japan AWS Jr. Champions にチャレンジしたいという従業員を募り、プレゼン形式で実施しています。
選考会には、AWS の担当者にも参加して頂き、WHI として選出したい若手や、AWS が Japan AWS Jr. Champions として活躍して欲しい人を投票で決定しています。この選考は、若手が「やりたい」と自ら手を上げることで多くのことにチャレンジできるという当社の企業文化を象徴していると考えています。若手に平等に機会が提供されるため、新卒、若手へのモチベーションにも貢献している施策です。
2023 Japan AWS Jr. Champions へのインタビュー記事も公開されていますので、こちらもご覧ください。
AWS Ambassadors に向けた連携
AWS Ambassador Program は、APN 参加企業の中でも突出した能力や実績を持つ方を AWS Ambassadors として選出し、コミュニティを形成するグローバルプログラムです。AWS に関する高い専門知識、習熟度、ソートリーダーシップ、影響力を持って、社内外で AWS ビジネスを推進し、お客様の成功に継続的に貢献している証でもあります。
2024 年から、WHI も AWS Ambassadors の輩出を目指して、候補者の選定や申請に向けた準備を実施してきました。AWS Ambassadors の選出の条件として、「ビジネスインパクトのある発信をしていること」というものがあり、また、申請にあたっては AWS の担当者からの推薦も必要になります。そこで、WHI では AWS の担当者と連携し、発信内容を 1 つ 1 つレビューいただくことで規準を確認し、AWS Ambassadors の選出に向けた準備を協力して進めています。
まとめ
クラウドの人材育成を成功させるためには、さまざまな観点から取り組む必要があります。従業員にただ受動的にトレーニングを受けてもらうだけでなく、ハンズオンを通して実際に手を動かし試せたり、モチベーションを維持して楽しく学び続けられる環境を提供したり、学びに対する表彰や時間・金銭面でのサポートを提供することも不可欠です。
WHI では、新卒および中途採用者に AWS に関わる機会を提供し、クラウド活用の能力向上を積極的に推進しています。資格取得を促進するために AWS クレジットを活用してキャッシュバックを行うなど、具体的な施策にさまざま取り組んでいます。AWS の表彰制度への参加に積極的に取り組む従業員が多く活躍するエンジニアが在籍し、刺激的な環境が生まれています。開発部門だけでなく人事部門も協力して AWS の盛り上げに取り組んでいます。
AWS パートナーの皆様はこれらの取り組みを参考に、自社の人材育成の取り組みについて改めて考えてみてはいかがでしょうか。また、まだパートナーになっていない場合は、これを機会に APN への登録を是非ご検討ください。
Works Human Intelligence – AWS パートナースポットライト
Works Human Intelligence は、大手企業向け統合人事システム「COMPANY®」の開発・販売・サポート、HR 関連サービスの提供を行っています。「COMPANY®」は、人事管理、給与計算、勤怠管理、タレントマネジメントなど人的資本マネジメントにまつわる業務領域を広くカバーしており、国内約 1,200 法人グループに活用されています。