AWS Startup ブログ

高精度な違反画像検出の仕組みをエンジニア 1 人が 1 週間で構築。Meetscom 社の Amazon Rekognition 導入事例

Meetscom株式会社は、豊富な開発実績と独創的な発想によって、他社にないユニークなスマートフォンアプリ・インターネットサービスを開発・提供する 2013 年設立のスタートアップ企業です。2016 年にサービスインし累積ユーザー登録数 300 万人を誇るバーチャルボイスコミュニティ「KoeTomo」の開発・運営を中心として、既成概念を超える新しいサービスを生み出し続けています。

同社は「KoeTomo」において、機械学習を利用して簡単に画像や動画を分析できる AWS のマネージドサービス Amazon Rekognition を活用しています。ユーザーの投稿のなかから問題のあるコンテンツを検出するために、Amazon Rekognition によって画像データを解析しているのです。

今回はアマゾン ウェブ サービス ジャパン スタートアップ事業本部 スタートアップアカウントマネージャーの植本 宰壮とソリューションアーキテクトの岸田 晃季が、Meetscom 社 取締役 CTO 正 健太朗 氏にお話を伺いました。

国内最大級のバーチャルボイスコミュニティ「KoeTomo」

植本:Meetscom 社の事業やサービスの概要を教えてください。

正:自社サービスである「KoeTomo」の運営と請負のシステム開発の 2 種類が事業の大きな柱になります。「KoeTomo」は世界中の誰とでも話すことができる国内最大級のバーチャルボイスコミュニティです。ユーザー同士の 1 対 1 の通話や、複数人でのグループ通話を楽しむのがメインの機能です。補助的な機能として、タイムラインやチャットへの投稿があります。

他にも、ネイティブアプリの開発からサーバーサイドの開発まで、幅広くシステム開発を請け負っています。扱うプログラミング言語も、Ruby や Python などプロジェクトによって使い分けています。今回のインタビューでは「KoeTomo」における AWS 活用事例をメインで話しますが、請負のプロジェクトでも AWS を扱うことが多いです。

Meetscom株式会社 取締役 CTO 正 健太朗 氏

植本:どのような点を評価して「KoeTomo」のインフラ環境に AWS を採用されたのでしょうか。

正:「KoeTomo」は 2016 年にサービスインしましたが、当時は他社のクラウドが発展途上であり、クラウドの選択肢としてほぼ AWS 一択という状況でした。オンプレミスにするかクラウドにするかを考慮し、インフラの初期投資を抑えたかったことから、クラウドを用いる方針を選びました。また、スタートアップ企業向けの支援プログラムである AWS Activate* を受けられたため、なおのこと AWS を使おうという方針になりました。

*…AWS Activate は、AWS 上でシステムを構築、拡張するのに必要なリソース(最大 100,000 USD の AWS Activate クレジット、24 時間年中無休の技術サポート、トレーニング特典など)をスタートアップ企業に提供するプログラムです。

専門知識なしで導入できるのが Amazon Rekognition の長所

岸田:Amazon Rekognition の導入前、御社はどのような課題を抱えていたのでしょうか。

正:先ほどご説明した「KoeTomo」に補助的な機能としてタイムラインやチャットへの投稿があり、その投稿には画像や音声を添付できます。補助的な機能とはいえ利用率は高く、全ユーザーが 1 日あたりにアップする画像の合計は 15,000 枚ほどにもなります。そして、なかには性的な画像や暴力的な画像をアップするユーザーがいるため、そうした問題のあるコンテンツを検出してアプリ内に表示されないようにしたいと考えました。

アーキテクチャ検討の段階ではまず、Amazon Rekognition ではなく機械学習プラットフォームの Amazon SageMaker を試してみました。画像に写っている要素の判別やテキストのカテゴライズを Amazon SageMaker で実現しようと試みたのです。

しかし、Amazon SageMaker を取り扱うには一定以上の機械学習のスキルが必要になります。弊社には機械学習エンジニアがおらず、画像の判定が実現できるまでにかなりの時間がかかりそうだとわかりました。

そうしている間にも「KoeTomo」のユーザー数や投稿される画像数は着実に増えていきますから、早急に手を打つ必要がありました。そこで、「Amazon Rekognition を使うのはどうだろう」と思い、試験的に使用してみたのです。

Amazon Rekognition では、AWS マネジメントコンソールのサービスページ上にデモが公開されているため、それにアクセスするだけですぐに使用イメージがつきました。専門知識がなくても簡単に使えるうえに、かなり高い精度で問題のあるコンテンツを検出できることがわかりました。

検証から本番環境へのリリースまで、1 人のエンジニアが 1 週間で対応

アマゾン ウェブ サービス ジャパン スタートアップ事業本部 ソリューションアーキテクト 岸田 晃季

岸田:もし仮に Amazon Rekognition を使用せずに同等のシステムを開発していたら、どれくらいの工数がかかっていたと思われますか。

正:おそらく、そもそも完成しなかっただろうと思います。先ほど述べたように弊社に所属しているメンバーは機械学習の知見がないですし、かといってこの仕組みを実現するために機械学習スキルを持った方を中途で採用することも難しいです。

また、システムを構築するのではなく人力によるチェックの体制を構築していたら、コストが跳ね上がっていたはずです。現在の Amazon Rekognitoin の利用金額が月$800-900程度ですから、実際にチェックする監視員を雇ったときの人件費と比べると大幅にコストを節約できたと言えます。そういう観点でも Amazon Rekognitionは、特にスタートアップにとっては非常に有用なサービスなのではないでしょうか。

岸田:そう考えると、Amazon Rekognition によってかなりのコスト削減につながりましたね。Amazon Rekognition の導入後、どのような成果が出ているでしょうか。

正:判定結果を自社の管理画面でサンプリングして見る限りでは、95% 以上は思い通りの振り分けができています。また、投稿された画像に対するユーザーの方々からのクレームなども届いておらず、おそらくご満足いただけているのではないかと思います。

健全性の高いサービスを実現していく

植本:今後、事業やシステムのアーキテクチャをどのように発展させたいですか。

正:今後も引き続き「KoeTomo」のユーザー数を増やし、より多くの方々に楽しんでいただけるサービスへと成長させていきます。それから、こうしたコミュニケーションサービスは出会いの場になってしまいトラブルが発生する可能性もあるため、守りの施策としてさらにサービスの健全性を高めたいと考えています。

今回の事例のような Amazon Rekognition もそうですし、先日に AWS の社員の方からご紹介いただいた Amazon Comprehend による自然言語処理を用いたテキスト解析なども試したいです。こういったマネージドな AWS のサービスを活用することで、なるべく工数や人手をかけずに、不適切なコンテンツを排除するシステムを充実させていきます。

岸田:AWS 側からの提案が、システムの開発・運営において役立っているようで良かったです。

正:Amazon Comprehend などは自分たちで見つけられていなかったサービスですので、そういった情報をご紹介いただけると選択肢が広がります。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン スタートアップ事業本部 スタートアップアカウントマネージャー 植本 宰壮

植本:今後、AWS 関連で他に実現したいことはありますか。

正:昨今の円安の影響などにより、インフラにかかるコストが増加しているため、それを抑えたいです。Amazon EC2 や Amazon RDS は Savings Plans を活用しているものの、他のコンポーネントのコストをもっと抑えられるのではないかと感じています。

一例を挙げると、Amazon S3 にかかるコストを下げられないかと構想しています。また、AI・機械学習の知見を持つメンバーが社内にいないため、AWS 側からそういった施策のご支援もしていただけるとうれしいです。

植本:もちろんです。AWS の強みのひとつとして、特定の会社で実施した施策のノウハウを他社に横展開できることが挙げられます。コスト削減の事例などは他社の実績が豊富にありますので、そうした知見をベースにサポートさせてください。

岸田:私も普段の業務のなかで、コスト削減に関する話は本当に多くのお客さまからご相談いただいています。たとえば Amazon S3 に保存しているほとんど参照されないログファイルなどを、一定期間経過後に別のストレージタイプに移すようにするとそれだけでコスト削減につながるケースもあります。ぜひ、アーキテクチャについて議論させていただけるとありがたいです。

植本:今後、Meetscom 社が開発組織を拡大していくにあたってどのようなスキルやマインドのエンジニアを採用したいですか。

正:もちろん経験者に来ていただけるのが一番助かりますが、たとえ未経験者でも構わないので、集中して作業をするのが好きな方に来ていただきたいです。今回お話ししたような AWS 関連のインフラ構築やネイティブアプリ・サーバーサイドの開発など、お願いしたい仕事はたくさんあります。

植本:御社の事業が発展していくことが楽しみです。どうもありがとうございました。


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