AWS Startup ブログ

「何かあればすぐ AWS が対応してくれる安心感」Schoo 社の AWS 移行事例とエンタープライズサポート活用

株式会社Schoo は「世の中から卒業をなくす」をミッションに、インターネットでの学びや教育を起点とした社会変革を目指している企業です。主な事業は社会人向けオンライン学習サービスや法人向けオンライン研修、大学・専門学校の DX 支援、地方創生など。“学び”を起点に、社会の課題解決に取り組んでいるのです。

同社はインフラ基盤の大部分で AWS を活用しています。また、他社のサービスを利用してインフラ構築している箇所も、利便性・安定性を向上させるために段階的に AWS へと移行しているのです。さらに、24 時間年中無休の技術サポートとあわせて、担当のテクニカルアカウントマネージャーによる運用支援とコスト最適化を受けられるエンタープライズサポートにも加入しています。

今回はアマゾン ウェブ サービス ジャパン スタートアップ事業本部 シニア スタートアップ ML ソリューションアーキテクトの針原 佳貴とエンタープライズサポート テクニカルアカウントマネージャーの芳賀 健佑、スタートアップアカウントマネージャーの植本 宰壮が、Schoo 社の AWS 利用について移行事例やエンタープライズサポート活用の観点からインタビューしました。

<株式会社Schoo インタビュー参加者>

開発ユニット マネージャー 吉川 利幸 氏

開発ユニット Dx開発チーム Thanh Chung Bui 氏

開発ユニット 基盤開発チームリーダー 田中 一樹 氏

「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと事業推進

植本:まずは Schoo 社の事業概要や提供されているサービスの概要をご説明ください。

吉川:弊社は「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと、2012 年より社会人向けオンライン学習コミュニティ「Schoo」を運営しています。これはオンラインでの受講体験を提供するサービスで、「一生学べる学校」をテーマに、デジタルスキルやビジネス力、デザイン、テクノロジー、リベラルアーツなどの授業を受講できます。講師と受講生のリアルタイムのコミュニケーションや、複数の人々が一緒に学ぶことを重視しているため、生放送にこだわっています。

それとは別に、2021 年から「Schoo Swing」という新規事業を始めており、こちらは高等教育機関向けの DX プラットフォームと銘打っています。大学や専門学校の先生や学生の方々が利用するサービスであり、コロナ禍の影響でオンライン授業のニーズが高まったことから、プラットフォームが必要だと考えて立ち上げた事業です。

学生が主体的に学ぶことや、学習履歴のデータを活用することをポイントにしているプラットフォームで、多くの高等教育機関に導入されています。こうした事業を通じて「インターネット学習で人類を変革する」というビジョンの実現を目指しています。

株式会社Schoo 開発ユニット マネージャー 吉川 利幸 氏(写真右)

事例1 : 動画配信のワークロードを他社のプラットフォームから AWS へと移行

針原:今回のインタビューでは、AWS への移行やエンタープライズサポートの利用についてお伺いします。まずは前者の事例からお話しいただけますか。

田中:1 つ目は、動画配信のワークロードを他社のプラットフォームから AWS へと移行した事例です。もともと私たちは動画配信を行ううえで、MP4 形式の動画を HTTP Live Streaming (HLS) 形式へと変換してくれる他社のプラットフォームを使っていました。しかし、それが End Of Life (EOL) になってしまったのです。私が入社したくらいのタイミングで移行のプロジェクトが始まり、担当を任されました。

それまでも動画配信のワークロード以外の部分は、すべて AWS でインフラを構築していました。そのため、AWS で統一することで運用が楽になることがわかっていたので、動画の変換処理ができる AWS Elemental MediaConvert の採用を決めました。生放送の動画データを AWS Elemental MediaConvert で変換し、変換後のファイルを Amazon S3 に配置して Amazon CloudFront で配信する構造です。

動画配信ワークロードのアーキテクチャ

EOL を迎えるまでの期限が 7 カ月ほどしかなかったため、AWS の方々から支援してもらおうと思い、まずは 1 AWS アカウントだけビジネスサポートに加入しました。これにより、リアルタイムでチャットのやりとりなどができるようになったため、移行についての相談がかなりやりやすくなりました。AWS マネジメントコンソールの画面を共有しつつ、各種の設定を具体的にどのような値にするべきか質問して細かいところまでサポートを受けましたね。また、トラブルが発生した際にはその調査も AWS にお願いし、解決策を提案してもらえました。

動画配信のワークロードの移行後は、他のサービスも支援してもらおうと考え、全 AWS アカウント対象のエンタープライズサポートに加入しました。現在、ライブ配信放送のワークロードも他社プラットフォームから AWS への移行を予定しています。AWS Elemental MediaLive を利用する予定なのですが、初めて触れるサービスであるため利用方法について芳賀さんにたくさん質問をしてサポートしてもらっています。

株式会社Schoo 開発ユニット 基盤開発チームリーダー 田中 一樹 氏

針原:AWS 社内には、各領域のスペシャリストが所属しています。今回の例では AWS Media Services 担当のメンバーが支援チームに入っていました。このように、お客さまのニーズや状況に応じてその分野のスペシャリストが対応できることは、体制としての強みです。

芳賀:エンタープライズサポートに加入していただくことで、ビジネスサポートよりもさらに AWS 側が密にお客さまの業務を支援できます。Schoo 社は、その利点をかなり効果的に活用されていると感じますね。

事例2 : 高等教育機関向けに提供しているオンライン授業の基盤を Amazon Chime SDK へと移行

植本:他の事例についてもお話しください。

Bui:「Schoo Swing」において、高等教育機関向けに提供しているオンライン授業の基盤を Amazon Chime SDK へと移行しました。もともと採用していた他社のオンライン配信用の SDK では、セキュリティ面に難があったり、プロキシを有効にすると画質が低下してしまったりという課題がありました。また、何かシステムの調査をしなければならない際にも、SDK の提供会社に依頼をしてからしばらく経たないとログ情報をもらえないような状況でした。

そのため、Amazon Chime SDK への移行を決めました。移行にかけられる時間が少なく、かつ弊社のエンジニアも Amazon Chime SDK についての知識が薄かったことから、かなり詳細なことまで AWS 側に質問しました。そして移行の結果、抱えていた課題を無事に解決できました。

株式会社Schoo 開発ユニット Dx開発チーム Thanh Chung Bui 氏

植本:この移行プロジェクトでは、Amazon Chime SDK のスペシャリストがご協力させていただきました。密に情報連携できたことが、移行プロジェクトの成功に結びついたと考えています。

Bui:AWS に問い合わせをすれば直ちに対応してくれるため、何かトラブルが発生しても短期間で解決できるので助かっています。

植本:Schoo 社はエンタープライズサポートをかなりうまく活用されている企業だと思います。田中さんが主な窓口になって開発組織の状況や今後のマイルストーンなどを AWS にも共有してくださっているため、私たちアカウントチームでもそうした情報を前提に、対応方針を決めることができています。現在は AWS と Schoo 社との定例会を開催しており、芳賀がインフラコストのレビューを実施していますが、システム運用のお役に立てているでしょうか。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン スタートアップ事業本部 スタートアップアカウントマネージャー 植本 宰壮

田中:かなり助かっています。以前は前月とのコスト比較などの情報をまとめる作業を、すべて自分たちでやっていました。そのタスクを移譲できたことで作業工数を抑えられています。また、AWS 活用のスペシャリストからのアドバイスが入るため、インフラ改善の参考になっています。

AWS はスタートアップ企業の良きビジネスパートナーでありたい

針原:今後のビジネスの展望や、AWS をどのように活用されたいかをお聞かせください。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン スタートアップ事業本部 シニア スタートアップ ML ソリューションアーキテクト 針原 佳貴

吉川:冒頭でお話ししたミッションとビジョンを達成するために、私たちは今後もさらに事業を拡大していきます。日本だけではなく世界にもサービスを展開する予定です。そのためにも、AWS のように利便性が高いプラットフォームを積極的に活用したいです。

また、事業成長においてはデータ活用が重要になってくると考えています。これまでもデータ蓄積には注力してきましたが、これからはそのデータをどのように分析していくか、いかにしてサービス改善に活かしていくかを積極的に検討し、施策を推進します。

田中:データ蓄積に関連した話をすると、現在はデータを貯めてはいるものの、それらが各所に点在しているという課題があります。Amazon CloudWatch Logs に格納しているデータもあれば、Amazon S3 に保存しているデータもある。データベース内にのみ存在しているデータもあります。各種のデータを統合的に扱うためのデータレイクを構築して、それを起点としてさまざまなデータ分析施策につなげたいと考えています。

その目的を実現するために、現在はデータ分析で他社のプラットフォームも使用しているのですが、今後はその箇所を AWS に集約してデータ分析プラットフォームを構築することも積極的に検討していきたいです。

Bui:「Schoo Swing」は今後、リアルタイム配信関連の機能に注力したいと考えています。まずは今回オンライン授業の基盤を Amazon Chime SDK へと移行したことを足掛かりとして、将来的にはインフラ基盤を完全に AWS へと移行し、運用の利便性やサービスの安定性を高めたいです。

針原:私たち AWS のアカウントチームとしては、技術面のアドバイスをして御社のお役に立ちたいのはもちろん、さらに言えば良きビジネスパートナーでありたいと考えています。スタートアップのビジネスを成長させる上でのデータ活用など、引き続き議論していきましょう。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン 技術支援本部 エンタープライズサポート テクニカルアカウントマネージャー 芳賀 健佑

芳賀:テクニカルアカウントマネージャーとして、ぜひ今後も Schoo 社の事業を支援させてください。今回はありがとうございました。


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