Amazon Web Services ブログ
株式会社 朝日新聞社 コンテンツ制作支援サービスにおけるAmazon Bedrock の活用
本ブログは、株式会社 朝日新聞社 と Amazon Web Services Japan が共同で執筆しました。
株式会社 朝日新聞社は 140 年以上と国内有数の歴史を持つメディア企業であり、紙からデジタルまで幅広い媒体で情報を提供しています。本ブログでは朝日新聞社が開発したコンテンツ制作支援サービス 「ALOFA」 の概要とそのなかでどのように Amazon Bedrock が活用されているかを紹介します。
コンテンツ制作における課題
コンテンツ制作の現場では、取材の音声データの文字起こしに膨大な時間と手間がかかる、使いたい音声・動画ファイル、シーンを見つけるのが大変、大量の取材データが PC のストレージを圧迫してしまう、大量のデータをうまく活用できないなどの課題に直面する場合があります。朝日新聞社ではそのような課題を解決するために、コンテンツ制作支援サービスを開発しました。現在このツールは朝日新聞社の記者に提供され、記者の記事制作における効率化に貢献しています。このコンテンツ制作支援サービスは現在社内向けに公開されていますが、社外への展開も検討しています。
ソリューションの概要
本コンテンツ制作支援サービス ALOFA では独自の音声認識モデルを活用し高品質な文字起こし体験を提供します(業務効率化の取り組みにご興味がある方は「株式会社朝日新聞社での文字起こしシステムにおけるサーバーレスの活用 – 処理時間を短縮し業務貢献しながらクラウド費用も削減した話」をご覧ください)。以下の図 1 は ALOFA の画面イメージになります。
図 1 ALOFAの画面イメージ
ALOFA のエディタを使って音声を聴きながら書き起こし文を細かく修正することができます。独自の話者分離モデルによる話者の識別に加え、話し言葉特有の冗長表現を検知・削除できる機能を搭載しています。また、ハイライト機能や要約、チャプター生成機能によってファイルの内容や重要な部分がすぐに把握できます。
ALOFA は AWS 上で稼働しておりサーバーレスのサービスを活用して実現しています。生成 AI は要約やチャプターの生成などに利用しており、生成 AI のプラットフォームとして Amazon Bedrock を利用しています。 Amazon Bedrock は 単一の API を介して 複数のモデルを選択することができるため、特定のタスクの解決するためにどのモデルが最適なのかを容易に検証することができます。朝日新聞社では用途に応じて最新の複数のモデルを検証し、それぞれの用途に最も適したモデルを採用しました。また Amazon Bedrock は AWS の他のサービスから容易に呼び出せるため、既存のワークロードに生成 AI を容易に導入できます。以下の図 2 がアーキテクチャーの概要になります。
図 2 コンテンツ制作支援サービスのシステム構成
本システムでは並列処理の中で Amazon Bedrock を呼び出すユースケースがあり、 Amazon Bedrock へのリクエストが多くなってしまう場合があります。急激なリクエストの増加に対応するため以下の図 3 の様に AWS Lambda から複数リージョンのエンドポイントを呼び出すアーキテクチャーを採用しています。推論処理を複数のリージョンに分散することにより安定的に生成 AI を活用することができています。
図 3 Amazon Bedrock のマルチリージョンアーキテクチャーイメージ
まとめ
本ブログでは 朝日新聞社で開発されたコンテンツ制作支援サービスの紹介とその中で Amazon Bedrock がどのように活用されているかを紹介しました。 Amazon Bedrock を利用することによってみなさまの AWS 上のワークロードに生成 AI を活用した機能を容易に組み込めます。本ブログが生成 AI を活用されている皆様の参考になりましたら幸いです。
本ブログは、株式会社朝日新聞社メディア事業本部メディア研究開発センター 山野氏、嘉田氏、杉野氏とソリューションアーキテクトの紙谷が共同で執筆いたしました。