Amazon Web Services ブログ

AWS コスト最適化フレームワーク– AWSへ移行前後のコスト最適化を通してイノベーションを加速させる

みなさん、こんにちは。AWS事業開発マネージャーの門畑です。本日はAWSへの移行前後のコスト最適化支援として「AWSコスト最適化フレームワーク」を紹介します。

これまで、AWSでは、クラウドエコノミクスというオンプレミス環境とAWS へ移行した場合のTotal Cost of Ownership(TCO:総所有コスト)の比較分析を支援するプログラムを提供してきました。営業部門とは独立したTCO分析専門チームが、オンプレミスにおけるハードウェア、Windowsサーバーやデータベースのソフトウェア、ネットワーク、電気代、データセンタ費用など、AWSへ移行した場合との経済的合理性評価をお手伝いします。具体的には、インフラコストの削減、ライセンス最適化、スタッフの生産性向上、予期せぬダウンタイムが削減されることによるシステム運用や可用性向上、新たな機能・アプリケーションをより早く少ないエラーで投入、すなわちビジネスの俊敏性向上を評価します。

このようなクラウドエコノミクスによる支援や、お客様のクラウド移行全体をサポートするAWS ITトランスフォーメーションパッケージに含まれているプログラムによる支援を通して、AWSへ移行したお客様において、AWSコストの観点で主に二つの課題があることがわかってきました。

1つ目は、AWSを使い始めやAWS利用の経験が浅いお客さまにおいて、オンプレミスのやり方を踏襲しクラウドの特性を活かしきれていないケースが存在していることです。例えば、クラウドのメリットとして高い伸縮性があげられます。オンプレミスのように需要のピークにインフラストラクチャーをプロビジョニングする必要はありません。需要に応じてインフラストラクチャーを追随することが可能です。また、購入オプションも適切に組み合わせることが必要です。1年もしくは3年の利用をコミットすることによる最大72%の割引を得られるSavings Plansリザーブドインスタンス、利用量に応じて料金が発生するオンデマンド、AWSのハードウェアリソースの空きを有効活用し最大90%の割引を得られるスポットインスタンス、これらの購入オプションをワークロードの特性や環境(本番/開発/検証等)に応じて適切に組み合わせることが必要です。他にもArm Neoversコアを使用してカスタム構成されたプロセッサで構成された最新世代のGraviton2ベースのインスタンスへ変更、プログラムの実行環境構築やメンテナンスをAWSが実施することで、お客さまにとって戦略的に重要な領域に注力を可能とするサーバレスやマネージドサービスを利用することによるTCO削減等、様々なコスト最適化のためのアプローチが存在しています。

2つ目は、AWSの利用年数が長く、知見が蓄積された成熟度が高いお客さまにおいて、部分的にしかAWSコストの最適化を実践できていないケースが存在していることです。最適化を進めるためには、以下をクラウド向けに適合していくことが必要となります。

  1. クラウドの知見を蓄積しスキルを向上させるための人材育成
  2. コスト最適化を推進していくための組織体制の構築
  3. AWSコストの可視化を推進していくためのタグ付け等のガバナンス
  4. 持続的な最適化の仕組みを作るための運用プロセス
  5. 手作業を排除した自動化のためのソリューション
  6. アーキテクチャのクラウドネイティブ化

上記2つのお客さまの課題に対応するため、AWS移行前のクラウドエコノミクスによる総所有コストの試算支援に加えて、移行後のコスト最適化支援としてCloud Financial Management(CFM)プログラム、組織横断的なワークショップ支援としてFinancial Hackathon(FinHack)ワークショップをAWSコスト最適化フレームワークとして無償でご提供いたします。

AWSコスト最適化フレームワークとは?

AWSコスト最適化フレームワークは従来のクラウドエコノミクスによるAWSの経済効果試算に加えて、CFMで移行の初期フェーズにおいて、クラウドの特性を活かせられるように支援を行うことで、その後のクラウド利用促進・最適化推進します。加えて、FinHackで様々な組織のAWSスキルレベルの底上げを行い、組織横断的なコスト最適化推進の支援をいたします。

(1) CFM

CFMの支援プロセスは、CFM分析専門チームが、お客さまのAWS Cost Explorerのデータ分析を行い、実行計画を提示します。その後、お客さまがコスト削減の実行をいただき、コスト削減結果と今後のAWSによる支援計画をご報告します。コスト削減の実行は、CFM分析専門チームや技術部門チームも支援を行い、数か月を経て完了いたします。

(2) FinHack

FinHackの支援プロセスは、CFM分析専門チームが企画・全体取りまとめを行います。まず、お客さまへヒアリングを実施し課題点を明確化します。課題点にそってAWS内の様々な専門家を招集し、お客さま内においては関連する様々な組織に対してワークショップのアナウンスを実施していただきます。

ワークショップは半日で完結する場合もあれば数日に分けて実施する場合もあり、お客さまのニーズに合わせてアジェンダと共に日数も変更していきます。例えば、AWSコスト管理に係るサービスのハンズオントレーニング、スポットインスタンスやサーバレスの事例紹介・導入の勘所等の紹介を行います。参加者は、どのくらいコスト削減ができるかを評価・分析し、ワークショップで学んだことから現状の課題と今後の取組計画を検討します。最後に参加者による検討結果を発表してワークショップは完了となります。

AWSコスト最適化フレームワークの始め方

AWSコスト最適化フレームワークは、AWSへのさらなる移行や利用を検討されているお客さまを対象としております。特に、移行済みワークロードの現行のAWSコストに課題がある場合、プロジェクトやチーム毎のAWSのスキルレベルが様々であり、標準化されたコスト最適化アプローチを習得していない場合が該当します。ご利用する場合は、担当営業へ直接ご連絡をお願いいたします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

事業開発本部 事業開発マネージャー 門畑顕博