Amazon Web Services ブログ

週刊AWS – 2023/9/4週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの杉山です。
今週も 週刊AWS をお届けします。

週刊AWSをご利用頂いているお客様より、次のような声をお伺いしました。チームで定期的に時間を取り、週刊AWSの記事を読む会を実施されているとのことです。とても嬉しく思うとともに、素敵なご利用方法だと思いました。
引き続きわかりやすい記事をお届け出来るように心がけていきます。ありがとうございます。

それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2023年9月4日週の主要なアップデート

  • 9/4(月)
    • 大きなアップデートはありませんでした。
  • 9/5(火)
    • Amazon Personalize simplifies implementation by extending column limits
      Amazon Personalize で、モデルをトレーニングする際のデータセットの列数上限を増やしました。Personalize では、独自のデータスキーマを利用してパーソナライゼーションモデルをトレーニングできます。独自のデータには、「アイテムデータセット」と「ユーザーデータセット」が含まれています。今回のアップデートで、アイテムデータセットの列数上限が、50 列から 100 列と 2 倍になりました。ユーザーデータセットでは、列数上限が 5 列から 25 列と 5 倍になりました。これにより、お客様はより多くのデータを Personalize に渡すことが出来、実験をより高速に実施しやすくなりました。
    • AWS SAM CLI announces local testing and debugging support on Terraform projects
      AWS SAM CLI を利用して、HashiCorp Terraform で定義された Lambda 関数と API Gateway を、ローカルでテスト、およびデバッグが出来るようになりました。これまでは、Terraform で実際に deploy して AWS 上で確認する方法がありました。今回のアップデートでローカルで作成したテンプレートファイル (.tf ファイル) を、ローカルのまま動作確認ができるようになり、より高速に確認と修正のサイクルを推進できるようになりました。Terraform のバージョン 1.1 以上でサポートされています。詳細は AWS Blog をご確認ください。
    • Amazon CloudWatch adds Amazon EKS control plane logs as Vended Logs
      Amazon EKS のコントロールプレーンログが、Amazon CloudWatch Logs における Vended Logs に分類されました。Vended Logs は、お客様に代わって AWS のサービスがネイティブに発行するログです。Vended Logs は利用料に応じて段階的に料金が割引になる仕組みがあります。例をあげると、CloudWatch Logs に格納する場合、初めの 10 TB は 1 GB あたり $0.76 です。10 TB を超えて、次の 20 TB を格納する場合、1 GB あたり $0.38 と安価になる仕組みがあります。詳細は料金ページをご確認ください。
  • 9/6(水)
    • Amazon CloudWatch Logs announces regular expression filter pattern syntax support
      Amazon CloudWatch Logs のフィルターパターン構文で正規表現がサポートされ、ログの検索やマッチングがより簡単になりました。ユースケースを一つ挙げると、ログ監視を行う際に、特定の文字列 (例 : statusCode=404) が出てきたとき、アラートとしてメールや Slack 通知などを行いたいことがあります。アップデート以前では、アラートの条件に正規表現が利用できなかったので、statusCode=404 や statusCode=405 といった複数の条件を指定しにくい場合がありました。今回のアップデートで正規表現を新たに利用できるようになったため { $.statusCode=%4[0-9]{2}% } といった柔軟な指定ができるようになりました。
    • Amazon SageMaker Inference now supports Multi Model Endpoints for PyTorch
      SageMaker Multi-Model Endpoint で、新たに PyTorch をサポートしました。SageMaker Multi-Model Endpoint は、1 つの SageMaker エンドポイントに複数モデルをデプロイすることで、コスト最適化のメリットがあるフルマネージド機能です。例えば、1000 個のPyTorch モデルを 1 つのエンドポイントにデプロイすることで、推論エンドポイントを共有でき、コストの最適化が図れます。
    • AWS Backup launches resource exclusion for AWS CloudFormation stack
      AWS Backup で AWS CloudFormation をバックアップする際に除外する機能が追加されました。AWS Backup に AWS CloudFormation で作成したスタックをバックアップ対象として指定できる機能があります。スタック単位でバックアップが出来るため、サポートしているコンポーネントを一括でバックアップする使い方が可能です。今回のアップデートで、スタックの中で特定のリソースをバックアップ対象から除外出来るようになりました。バックアップ対象をより柔軟に指定できるようになった形です。
  • 9/7(木)
    • Amazon Kendra releases Web Crawler for dynamic content support
      Amazon Kendra のウェブクローラーコネクタ v2.0 で動的なウェブサイトをサポートしました。ウェブクローラーコネクタでは、Web サイトの URL を指定しクローリングすることで、Kendra の検索対象に含めることができます。今回のアップデートにより、Angular、React、JavaScript などで動的にレンダリングされる Web サイトを、データ収集の対象としてサポートしました。
    • AWS Step Functions launches enhanced error handling
      AWS Step Functions でエラーハンドリングを行う際に、「動的なエラーメッセージの出力」や「リトライ間隔の調整」をしやすくなりました。「動的なエラーメッセージの出力」は、Step Functions で実行するなんらかの処理中にエラーが発生した際に、そのエラーメッセージを Fail アクションで動的に認識し、Step Functions 上のエラーメッセージとして出力できるようになりました。「リトライ間隔の調整」は 2 種類あります。1 種類目は、リトライを繰り返すエラーの際に最大遅延時間を指定できるようになりました。これにより、指数関数的なリトライを行う際に望ましい時間枠を指定できるようになりました。2 種類目は、リトライ間隔にジッタ―を追加できるようになりました。リトライを行う際にランダムな遅延を導入することで、同時リトライによる負荷の集中を回避しやすくなりました。
    • Amazon Detective adds Amazon EKS security investigations to AWS Workshop Studio
      新機能のお知らせとは少々異なるのですが、過去リリースされた新機能を学習しやすくなったお知らせです。Amazon EKS で検出された脅威とセキュリティ調査結果に対して、Amazon Detective で効果的に調査する方法を Amazon Detective Workshop で学習しやすくなりました。Amazon Detective では EKS 監査ログを基に、操作履歴の可視化や、詳細な調査を支援する機能があります。例えば「セキュリティ侵害の兆候を示す Kubernetes ユーザーアカウントが呼び出した Kubernetes API メソッドは何か」といった内容を素早く確認できます。この機能の効果的な利用方法を学習するためのトピックが Workshop に追加されました。
  • 9/8(金)
    • Amazon SES email receiving service expands to 7 new regions
      Amazon SES でメールを受信する機能が、東京リージョンを含めた 7 つのリージョンで新たに利用できるようになりました。Amazon SES のメール受信機能は、Microsoft Outlook のような E メールクライアントを使って受信する方法とは異なります。ユースケース例をあげると、Amazon SES が受信したメールを自動的に保存したり、AWS Lambda や Amazon SNS を使ってなんらかの自動処理を行うことができます。例えば、お客様からの問い合わせのメールを Amazon SES で受信し、Lambda 関数を起動します。起動した Lambda 関数経由で問い合わせ内容を Slack 上に表示する、といったことが可能になります。
    • Amazon Route 53 now supports AWS-managed prefix lists for health checks
      Managed prefix lists で、新たに Route 53 のヘルスチェックをサポートしました。Managed prefix lists は、AWS で提供しているサービスに関連する IPv4 または IPv6 のアドレス範囲を定義したものです。ネットワークセキュリティを管理する上で便利な使い方が出来ます。使い方の例を挙げると、EC2 インスタンス上で Web サーバーを構成しているときに、Route 53 のヘルスチェックに限定してネットワーク通信を許可したい時があります。いままでは、セキュリティグループのインバウンドルールに、手動で Route 53 ヘルスチェックに関連する IP アドレスを設定することで実現できました。ただ、IP アドレス範囲が変更される可能性があり追従する手間がありました。今回のアップデートで Managed prefix lists で提供されているものを指定することで、Route 53 ヘルスチェックの最新の IP アドレス範囲を利用でき、通信許可を設定しやすくなりました。
    • AWS Backup announces support for Amazon Aurora continuous backup
      AWS Backup は、Amazon Aurora の継続的バックアップを新たにサポートしました。継続的バックアップを利用することで、1 秒以内の精度で選択した時間まで巻き戻してリストアができます。最大 35 日まで遡ることができます。継続的なバックアップは、最初にフルバックアップを作成し、トランザクションログを継続的にバックアップすることで実現しています。Amazon Aurora 側で、同様な機能のポイントインタイムリカバリがありましたが、AWS Backup 経由では管理ができませんでした。今回のアップデートで、AWS Backup を利用して Amazon Aurora の柔軟なバックアップリストアを管理しやすくなりました。

9 月 22 日 18:30 より、AWS 秋の Observability 祭りが開催されます。Amazon CloudWatch を初めとした Observability 関連サービスの活用方法のご紹介や、NTTドコモ様、中外製薬株式会社様、株式会社デイトナ・インターナショナル様の事例発表があります。目黒オフィスで開催するリアルイベントとなっており、席に限りがある事前登録制です。この機会にぜひご登録ください。

それでは、また来週お会いしましょう!

ソリューションアーキテクト 杉山 卓 (twitter – @sugimount)