Amazon Web Services ブログ

週刊AWS – 2024/1/8週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの杉山です。
今週も 週刊AWS をお届けします。

JAWS DAYS 2024 が 3 月 2 日 (土) に開催されます。これは東京で 5 年ぶりに開催されるリアルイベントで、オフラインで実施されます。多様なテーマのイベントが計画されており、「新しいビジネスアイディアを持つ人が、JAWS DAYS 2024 に参加しているエンジニアと一緒に即席でアーキテクチャを検討する」というような興味深い内容が予定されています。申し込みはまだ開始されていませんが、3 月 2 日 (土) 10:00 から池袋サンシャインシティで開催されますので、興味のある方は事前に日程を確保すると良いと思います。

それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2024年1月8日週の主要なアップデート

  • 1/8(月)
    • Amazon ECS improves deployment monitoring responsiveness for Amazon ECS services
      Amazon ECS でデプロイメントサーキットブレーカーを利用した際に、デプロイを「失敗」と判断するまでの時間が短縮され、迅速にロールバックできるようになりました。デプロイメントサーキットブレーカーは、ECS サービスのデプロイ後にタスクが RUNNING に遷移しない状況や、ヘルスチェックに失敗し続けるような状況を検知して、ロールバックを実行できる機能です。本アップデートにより、20 個未満のタスクを動かすサービスについて、「失敗」と判断するための最小閾値を 10 個から 3 個に下げました。
    • AWS Mainframe Modernization AWS Blu Insights is now available in additional regions
      AWS Blu Age サービスの AWS Blu Insights 機能が、東京を含む 14 リージョンで新しく利用できるようになりました。AWS Blu Age は、メインフレームで動作するアプリケーションを Java ベースのアプリケーションに自動変換し、モダナイゼーションを支援するサービスです。AWS Blu Insights は、コードベースの分析及び変換機能を提供します。アップデート以前は海外のリージョンで利用する事が出来ましたが、組織のセキュリティポリシー上、国外のリージョンを利用するハードルがある場合もあります。今回のアップデートで、国内の東京リージョンで利用ができるようになりました。
    • Amazon OpenSearch Service expands Graviton2 support to six additional regions
      Amazon OpenSearch Service の Graviton2 サポートが、大阪を含む 6 リージョンで新たに利用可能になりました。Graviton は Amazon が設計した 64 ビットの Arm Neoverse コアとカスタムシリコンを利用して構成されています。x86 ベースのインスタンスと比べて、最大 30 % 優れたコストパフォーマンスを提供できます。
  • 1/9(火)
    • Amazon EC2 C7i instances are now available in 8 additional AWS Regions
      Amazon EC2 で新たに C7i インスタンスが利用可能になりました。カスタムされた第 4 世代の Intel Xeon プロセッサー (Sapphire Rapids) を搭載しています。C6i インスタンスと比較して、最大 15 % 優れたコストパフォーマンスを提供し、バッチ処理、データ分析、広告配信、動画エンコードなど、コンピューティングリソースを消費する使い方に向いています。
    • AWS CodeBuild now supports a X-Large Linux compute type
      AWS CodeBuild の LINUX_CONTAINER ビルド環境で、新たに BUILD_GENERAL1_XLARGE (36 vCPU、70 GB メモリ、256 GB ディスク) をサポートしました。アップデート以前は、2 vCPU、4 vCPU、8 vCPU、72 vCPU の 4 パターンから選択できました。今回新たに 36 vCPU が追加され、ビルド対象とコストを見ながら、最適な環境を選択しやすくなりました。
    • AWS CloudShell now supports Docker in 13 Regions
      AWS CloudShell で新たに Docker をサポートしました。CloudShell 環境に Docker が事前インストールされるようになり、コンテナの起動、作成などを通じてコンテナベースの開発を素早く行えるようになりました。東京リージョンを含めた 13 リージョンで利用可能です。
  • 1/10(水)
    • Amazon EC2 M7i-flex and M7i instances now available in additional AWS regions
      Amazon EC2 で M7i と M7i-Flex インスタンスが、東京を含めた 2 つのリージョンで新たに利用可能となりました。カスタムされた第4世代の Intel Xeon プロセッサー (Sapphire Rapids) が搭載されています。M7i は、M6i と比較して最大 15 % 優れたコストパフォーマンスを実現します。新たな概念 の M7i-Flex は、 M7i をより安価に利用出来る汎用的なインスタンスタイプです。CPU の性能の 40 % 分は常時利用出来るベースラインが提供されています。40 % を超えた場合、95 % の確率で CPU パフォーマンスの 100 % を利用できます。残りの 5 % は、数ミリ秒 ~ 数十ミリ秒待機することで CPU が提供されます。M7i-Flex は、このような仕組みに基づき安価に利用できるタイプとなっており、選択肢のひとつに入れていただけると良いと思います。
    • Amazon Location Service now supports additional places content in Maps
      Amazon Location Service で、新たにカスタムレイヤーの概念が追加されました。カスタムレイヤーを有効化することで、地図上に要素を追加できます。現在のところ、カスタムレイヤーとして Point of Interest (POI) が選択可能です。これは、地図上にショップ、レストラン、サービス施設、アトラクション、その他興味を持つ場所の情報を追加できます。人の目で地図を見たときに、場所情報も一緒に確認することで、視覚的によりわかりやすく利用できるようになりました。現在、カスタムレイヤーは Esri Navigation のマップスタイルのみ利用可能です。
  • 1/11(木)
    • Amazon CloudWatch Logs now supports account level subscription filter
      Amazon CloudWatch Logs でアカウント単位のサブスクリプションフィルター機能を追加しました。取り込まれたログをリアルタイムに、Kinesis Data Streams、Kinesis Data Firehose、AWS Lambda を経由して、データ処理や他のサービスへ転送などができます。今までは、ロググループ単位でサブスクリプションフィルターを設定するものだったため、複数のロググループにまたがった設定を行いたいときに、一つずつ設定が必要でした。今回のアップデートで、アカウント単位のサブスクリプションフィルターが利用できるようになり、アカウント全体に 1 つのサブスクリプションフィルターポリシーを設定することで、複数のロググループに取り込まれたログを出力できるようになりました。また、設定のシンプル化に加えて、ロググループあたりのサブスクリプションフィルターを設定する Service Quota の上限が 2 となっており、これを節約できるメリットもあります。
    • Amazon EC2 R7i instances are now available in more AWS regions
      Amazon EC2 で、R7i インスタンスが、東京を含む 9 つのリージョンで新たに利用可能となりました。R7i インスタンスは、R6i インスタンスと比較して最大 15% 優れたコストパフォーマンスを提供します。これらのインスタンスは SAP 認定を受けており、SAP、SQL、NoSQL データベース、分散型 Web スケールのインメモリキャッシュ、SAP HANA などのインメモリデータベース、Hadoop や Spark などのリアルタイムビッグデータ分析など、メモリを大量に消費するワークロードに最適です。
    • Amazon ECS and AWS Fargate now integrate with Amazon EBS
      Amazon ECS と AWS Fargate が Amazon EBS と統合され、EBS ボリュームを簡単にプロビジョニングし、ECS タスクにアタッチができるようになりました。この機能により、ECS Task で、ETL ジョブ、メディアトランスコーディング、ML 推論ワークロードなど、ストレージやデータ集約型のアプリケーションを簡単にデプロイるようになりました。元々、ECS on Fargate で統合されているストレージは、「一時ストレージ」と「EFS」がありました。「一時ストレージ」は、簡単に利用できる一時的なストレージ領域ですが、最大 200 GB の制限があります。「EFS」はより大容量のストレージを利用出来ますが、パフォーマンス管理などが必要となっていました。今回のアップデートで、Task に 専用の EBS ボリュームをアタッチできるようになり、低レイテンシーと高パフォーマンスを両立するブロックストレージを利用できるようになりました。新規に EBS ボリュームをプロビジョニングするパターンと、Snapshot を利用して事前にデータを格納しておくパターンが選択できます。詳細はこちらの Blog をご参照ください。
  • 1/12(金)
    • ROSA with hosted control planes (HCP) is generally available
      Red Hat OpenShift Service on AWS (ROSA) で、Hosted Control Plane (HCP) の一般提供が開始されました。これにより、ROSA の実行コストの削減、クラスターの作成時間の短縮、アップグレードの柔軟性が向上しました。従来の構成は、ROSA のコントロールプレーン (Master Node、Infrastructure Node) をお客様の AWS アカウント上にデプロイする必要がありました。その際、最小構成でも 7 台の EC2 インスタンスが必要で、コスト増加やインスタンス管理の手間が発生していました。しかし、今回のアップデートにより、コントロールプレーンを ROSA サービス側で提供する HCP 構成を選択できるようになり、最低 2 台の EC2 インスタンスから利用可能になりました。HCP を利用する場合、コントロールプレーンの料金として 1 時間あたり $0.25 が追加されますが、インスタンスの台数が減少することで全体のコスト削減が期待できます。
    • Private Access to the AWS Management Console is available in 7 additional AWS Regions
      AWS マネジメントコンソールにおける Private Access 機能が、東京を含む 7 つのリージョンで提供を開始しました。この機能の主なユースケースは、組織内の操作端末からAWS マネジメントコンソールにアクセスする際に、未管理の AWS アカウントへのアクセスを制限することが挙げられます。例えば、セキュリティ上の理由から、組織内の端末を使って個人所有の AWS アカウントへのアクセスを禁止する場面がこれに当たります。誤解されやすい点ですが、Private Access 機能を使用しても、Web Proxy の利用など、インターネット経由のアクセスは依然として必要です。画像や JavaScript、CSS はインターネット経由で取得されます。また、Private Access で利用できないサービスも存在します。詳細については、こちらのドキュメントを参照してください。

それでは、また来週お会いしましょう!

ソリューションアーキテクト 杉山 卓 (twitter – @sugimount)