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「クラウド活用による脱炭素化社会の実現」に関するホワイトペーパーが発表されました

2021年4月19日、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社は、ホワイトペーパー「クラウド活用による脱炭素化社会の実現を発表しました。このホワイトペーパーの執筆に関し、AWSも全面的に協力しています。

今回のブログでは、AWSジャパン公共政策部より、このホワイトペーパーの概要と、AWSを含めたAmazonでのサステイナビリティに関する取組をご紹介いたします。

ホワイトペーパーの概要

クラウドがお客様に選ばれている理由としては、俊敏性、コストメリット、幅広いネットワークアクセスの利便性、高速なスケーラビリティ、セキュリティなどが挙げられます。

しかし、クラウドへの移行による環境面での利点については、これまで大きな注目を集めていないのが現状です。

≪クラウドによるエネルギー効率の向上≫

これまでの数々の研究により、従来型のオンプレミスコンピューティングからクラウドへの移行には、エネルギー効率面で大きなメリットがあることが明らかとなっています。これには、以下の三つの要因があります。

  • 稼働効率:クラウドデータセンターにおいては、サーバーがより高い稼働率で最大の生産性を発揮するように設定されています。
  • 構造効率:クラウドデータセンター(特にハイパースケール施設)は、高度な冷却システムを用いることが通例であるため、最小限のエネルギー消費で機能を保つことができます。
  • グリッド全体でのエネルギー管理能力の強化:クラウドソリューションに支えられたスマートな仕組み(スマートグリッドやスマート交通システムなど)により、エネルギー供給事業者やエンドユーザーは、リアルタイムでの制御やエネルギー消費の合理化を実現し、二酸化炭素排出量を削減することができます。

≪再生可能エネルギー利用によるクラウドの環境優位性の拡大≫

クラウド活用の環境面での利点を最大限発揮するためには、再生可能エネルギーの利用が不可欠です。クラウドサービスプロバイダーが使用する電力に、発電時に二酸化炭素を出さない再生可能エネルギーを用いることにより、クラウドを利用するお客様が自らの事業でも脱炭素化を進めることができます。

≪政策提言の骨子≫

クラウド利用を通じて脱炭素社会を実現していくためには、現行の政策の見直しが必要です。大きく分けて、①エネルギー効率改善のためのクラウド導入の拡大、②再生可能エネルギーへのアクセス向上の二点が必要です。

  • エネルギー効率改善のためのクラウド導入の拡大:民間・公共セクターを通じてクラウド利用を進めることで、社会全体としてエネルギー効率を改善し、脱炭素化を進めていくことができます。この観点から、以下に例示するように、ハードウェア導入とオンプレのメインフレームソリューションを優先する現行の省エネ政策の見直しが必要です。
    • 省エネ法の下では、ハードウェアをエネルギー効率の高い最新の機器に置き換えることを省エネ対策として奨励してきました。脱炭素化を推進するため、クラウドの導入を省エネ法の下での省エネ対策として位置付けることが重要です。
    • 国・地方自治体に対し環境に配慮した製品やサービスの購入を促進するグリーン購入法で、クラウド技術そのものを環境負荷の軽減策として位置付けるべきです。
  • 再生可能エネルギーへのアクセスの改善:再エネを利用したクリーンなエネルギーでクラウドサービスを提供していくためには、再エネの調達手段を多様化・簡素化し、迅速かつ手頃な価格での再エネ供給を拡大していく必要があります。再エネ導入の先進諸国の事例も参考に、公的支援に頼らず、民間投資を呼び込んでいくための以下のような取組が重要です。
    • 発電事業者と需要家との間での再エネ電力購入契約 (PPA)の推進
    • 現行の固定価格買取制度の下での再エネとのイコールフッティングの観点から、PPAに対する再エネ賦課金の免除
    • 再エネ利用の証明に用いられている非化石証書について、発電事業者と需要家との相対での取引の実現
    • 電力から分離された非化石証書取引の実現

以上が、ホワイトペーパー「クラウド活用による脱炭素化社会の実現の概要となります。こちらから是非ダウンロードいただき、ご覧いただければ幸いです。

Amazonのサステナビリティに関する取り組み

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  • Reducing carbon by moving to AWS(英文のみ):こちら

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このブログは、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社 公共政策マネージャーの吉田朗が執筆しました。