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「クラウドへの移行によるCO2削減効果」に関するレポートが公表されました

2021年8月19日、Amazon Web Services の委託により451 Researchが行った、クラウドのエネルギー効率性や二酸化炭素の削減効果に関する調査結果(日本語版)が公表されました(レポート全文の日本語版はこちら、英語版はこちら)。

日本、韓国、シンガポール、オーストラリア、インドの500社以上の企業及び公共機関を対象としたこの調査によると、業務アプリケーションを従来型の各組織が所有するオンプレミスデータセンターからクラウドに移行することにより、エネルギー消費量を平均で約80%削減できることが明らかになりました。日本に限って見ると、平均的な企業・公共機関では、オンプレミスからクラウドへの移行により約77%エネルギー消費量を削減できることが示されました。

今回のブログでは、Amazon Web Services Japanの公共政策部より、この調査の概要をご紹介します。

 

調査の概要

この調査の目的は、日本、韓国、シンガポール、オーストラリア、インドのそれぞれの国の企業及び公共機関で利用されているITインフラについて理解を深め、エネルギー消費という観点でクラウドと比較することです。調査対象となった5つの国からそれぞれ100社以上(計500社以上)を選び、調査対象となった組織の年間売上高は1,000万ドルから10億ドル、業種は製造業、通信業、金融サービス、石油・ガス、教育、医療、公共機関など多岐にわたっています。各組織が自ら運用するオンプレミスのデータセンターについて、設備面及びサーバー稼働率等についてアンケート調査を行いました。このアンケート調査結果と、クラウドのエネルギー効率性に関するデータとを比較しています。

調査結果によると、日本、韓国、シンガポール、オーストラリア、インドの調査対象企業・公共機関のオンプレミスデータセンターと比べて、クラウドのエネルギー効率性は約5倍となっています。このため、オンプレミスのデータセンターからクラウドへの移行により、平均で約80%のエネルギー消費量を削減することができます(図1参照)。同様の手法で米国企業を対象に2019年に行った調査では、クラウドへの移行により約72%のエネルギー消費量の削減ができると推定されていますので、日本を含めたアジア太平洋地域でのクラウド移行による環境面でのポテンシャルは、米国に比べてより高いと言えます。

さらに、今回の調査では、クラウド事業者が再生可能エネルギーを100%利用して運用できた場合、オンプレミスと比べて二酸化炭素排出量を最大93%削減できることが分かっています。

 

図1 クラウドインフラストラクチャと調査対象企業・公共機関を比較した二酸化炭素削減の可能性

クラウドインフラストラクチャと調査対象企業・公共機関を比較した二酸化炭素削減の可能性

 

日本でのクラウド活用によるエネルギー削減効果

今回の調査によると、日本の平均的な企業・公共機関では、オンプレミスからクラウドへの移行により約77%エネルギー消費量を削減することができます。これは、1メガワット分(2,000〜4,000台のサーバーに相当)をオンプレミスからクラウドに移行するごとに、年間1,885トンの二酸化炭素の排出を削減できることを意味します(図2参照)。仮にクラウド事業者が100%再生可能エネルギーで運用できた場合、クラウドサービスによって置き換えられる企業のデータセンター1メガワットあたりの平均排出削減量は、最大で年間2,378トンとなります。日本には従業員数250名以上の企業が11,000社あると推定されていますので、もしこれらのうち4分の1の企業が1メガワット分のITワークロードをクラウドに移行した場合、日本の一般家庭のおよそ32万8,000世帯の1年間の二酸化炭素排出量に相当する分を削減することができます。

 

図2 クラウドへの移行による日本での二酸化炭素排出削減の可能性

クラウドへの移行による日本での二酸化炭素排出削減の可能性

クラウドの環境優位性

なぜ、オンプレミスからクラウドへの移行によって、これほどのエネルギー消費量を削減することができるのでしょうか?ハイパースケールクラウドでは、サーバーと設備の両方の面で、企業・公共機関が自ら保有しているITインフラよりも大幅な効率化が実現されています。このため、同じワークロードを行うために必要となるエネルギー量が大幅に削減されます。

クラウド事業者のデータセンターでは、最新のコンポーネントを使用し、電力の最適化に細心の注意を払ってサーバーシステムが設計されています。また、クラウドでは、リソースを共有したり配分したりしながら多くのお客様のワークロードを処理しており、サーバーをより高いレベルで無駄なく利用しています。また、クラウド事業者のデータセンターは、効率性を高めるため、冷却や配電に使用するエネルギー量が少なくなるよう設計されています。今回の調査では、このようなクラウドのデータセンターの設計面・運用面での効率面でのメリットのため、クラウドへの移行によって大幅なエネルギー削減ができることが示されています。

ITオペレーションをクラウドに移行することで、技術革新の迅速性、スケールメリット、安全性の向上といったメリットを実現することができます。加えて、今回の調査結果が示すように、クラウドの利用によって、企業・公共機関のエネルギー効率が向上し、二酸化炭素排出量を削減することができます。これによって、環境に優しい社会を実現することができるのです。

 

AWSのサステナビリティに関する取り組み

AWSでは、持続可能な未来に向けて、地球環境を守るためにさまざまな取り組みを行っています。Amazonグループの一員として、2040年までに二酸化炭素排出を実質ゼロにする目標や、2025年までの再生可能エネルギー100%利用の実現に向けて取り組んでいます。

  • Amazonのサステナビリティへの取り組み:こちら
  • サステナビリティに関する最新のニュース:こちら
  • 「クラウド活用による脱炭素社会の実現」に関するホワイトペーパー:こちら
  • Reducing carbon by moving to AWS(英文):こちら

 

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このブログは、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社 公共政策マネージャーの吉田朗が執筆しました。