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自宅からヘルスケアアクセスを可能にする: Electronic Caregiver の AWS 搭載の仮想介護者
Electronic Caregiver の創設者兼 CEO である Anthony Dohrmann 氏は 10 年前に会社を設立したとき、1 億人のアメリカ人と世界中の数え切れない人々が直面していた困難な状況 (慢性疾患の健康管理を管理するという難題) に取り組んでいました。「患者はしばしば受けた治療の指示をよく理解していません。治療の失敗の半数は治療計画と投薬スケジュールを順守していないことに原因があると推定されています」と Dohrmann 氏は説明します。
そのため、Electronic Caregiver は「患者の経験を向上させ、患者を自身のパーソナル治療計画に積極的に参加させられるように」設計されました。「当社は医療従事者、家族、介護者の間のコミュニケーションを改善し、高齢化や病気の必要性に対して情報に基づいた対応をより一層行えるようにしています。当社は、費用のかかる合併症を減らし、健康への影響を改善し、そして寿命を延ばせるようにするつもりです」。
今日、Electronic Caregiver のソリューションは、最先端の 3D アニメーションの仮想介護者である Addison を中心に展開されています。Addison は双方向の会話をすることができ、ユーザーの個人的なニーズに合わせてプログラムされています。人間の在宅介護者と同じ様に、Addison は患者の活動を監視し、薬を服用するように思い出させ、重要な情報を収集し、そしてリアルタイムの健康診断を実施します。それをすべて患者の自宅において行うことで、安全かつ快適に実施します。Addison がいないと患者は病院をいくつも訪問し、在宅介護者への支払いが必要になりますが、Addison のおかげでユーザーはどこにいても健康上のソリューションを享受できます。
その人生を変えるような魔法の力を高めるために、Electronic Caregiver はさまざまな点で AWS に頼っています。HIPPA に準拠した方法で患者データを保存するための生データの計算能力を得るために、Electronic Caregiver のチームは AWS Lambda 関数などのサービスを利用しています。患者向けの経験を高めるために、Electronic Caregiver は Amazon Sumerian を使用して Addison という拡張現実 (AR) キャラクターを開発しました。そして、データの収集と分析などの Addison の背後にあるインテリジェンスにとっては、AWS IoT Core、AWS IoT Greengrass、および Amazon SageMaker がソリューションのカギを握ります。以下の図に、Electronic Caregiver チームが開発したアーキテクチャを示します。
Electronic Caregiver の CTO、Bryan Chasko 氏は、次のようにコメントしています。「従来のアラートデバイスよりも充実した機能を備えたソリューションにより、最新のセンシング、人工知能、およびその他のクラウドベースのテクノロジーを使用して、充足されていない顧客のニーズに対処する機会を見出しました」。
具体的には、Electronic Caregiver は、クラウドに接続されたウェアラブル機器 (リストペンダントなど) と監視デバイス (非接触式体温計や血糖値計など) を患者に提供します。
デバイスフリートを接続するために、AWS IoT Core は、MQTT 軽量通信プロトコルを介してデバイスをクラウドに簡単かつ安全に接続します。同プロトコルは、断続的な接続を許容し、デバイス上のコードフットプリントを最小限に抑え、ネットワーク帯域幅要件を減らすように特別に設計されたものです。
体温の確認や理学療法の処方など、ユーザーが健康状態の測定を完了するたびに、その活動によってデバイスが取得するデータが生成されます。次に、そのデータをクエリして、測定値が予想範囲内にあるかどうかを確認できます。測定値の確認結果が良ければ、患者は Addison からコンテキスト上適切な肯定的な反応を受けます。
たとえば、患者が怪我から回復するための理学療法を受けている場合、Electronic Caregiver は怪我をした部位の可動域の改善状況を監視します。内蔵のゲーミフィケーションにより、患者はポイントをもらえ、さらに改善したことをお祝いするために自宅に贈り物を送ることさえします。この個別化されたサポートは、患者の継続的な治療計画へのコミットメントを強化し、患者が適切に治療を実行するのを助けます。それは患者の長期的な回復にとって極めて重要です。
測定値に異常がある場合は、Electronic Caregiver は患者の経過を軌道修正させるために動き出します。技術的な観点からは、AWS IoT Greengrass の機械学習推論が、Amazon SageMaker で構築された機械学習モデルをユーザーの自宅のエッジデバイスに直接プッシュします。患者は、異常の原因を査定するのに役立つ特定の質問を受け、そしてそのデバイスからこの結果の原因の予測と推奨されるソリューションを受け取ります。これらの質問とソリューションは Amazon Lex と Amazon Polly で患者に伝えられるだけでなく、患者が選択した利害関係者 (家族や医師など) とも共有されます。そうすることで、患者個人のケアチームがすぐに気付けるようになります。
この状況は、あたかも患者には常に気を配っている介護者がいるようなものなので、介護施設のようなフルタイム施設で受けられるような質の介護を、自宅から受けることができます。さらなる利点として、患者と同じ場所にいない個人 (外国にいる家族など) も、世界中からリアルタイムの最新情報を入手できます。
接続されたウェアラブルに加えて、Electronic Caregiver は患者の活動を追跡し、意識的に移動できることを保証するためのプラットフォームを開発しました。活動が検出されない場合、Electronic Caregiver は緊急連絡を行い、転倒や意識を失っている場合はすぐに救助にかけつけられるようにします。
パーソナライズされた監視下の投薬リマインダも可能にする視覚分析監視システムも備えています。動きは視覚分析システムによって追跡され、薬は Amazon SageMaker によって訓練された機械学習モデルで識別します。つまり、Addison は、ユーザーが自分の薬を服用した時期を特定し、遅れた場合はそれを思い出させることができます。
Amazon Lex はユーザーによる口頭入力も受けつけるので、患者は自分が薬を服用していることをシステムに語りかけてシステムに記録することもできます。この機能により、Addison がまるで人間であるように感じさせるでしょう。投薬ルーチンを完了したと同居人に伝えるのと同じように、Addison に知らせることができるのです。
「米国の人口のわずか 3%しか自宅介護を受けられていません」と Dohrmann 氏は言います。「当社は、Addison を通じて、現実的で効果的な代替医療を世界に提供しています」。
著者について
Marisa Messina は、AWS ML マーケティングチームに所属しています。仕事では AWS を使用している最も革新的なお客様を見定めたり、示唆に富んだストーリーを紹介したりしています。AWS に入社する前は、Microsoft で消費者向けハードウェア、次に大学向けクラウド製品を担当していました。仕事以外では、太平洋岸北西部のハイキングコースを探索したり、レシピなしで料理をしたり、雨の中で踊ったりして楽しんでいます。