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構築作業を効率化する新機能による Workflow Studio の強化

AWS Step Functions は、ワークフローを通じてスケーラブルで分散型のサーバーレスアプリケーションを構築するための基礎ツールとして台頭しています。Step Functions チームは 2021 年に、AWS マネジメントコンソールで Step Functions ワークフローを作成するためのローコードのビジュアルツールである Workflow Studio を立ち上げました。これにより、コーディングの経験が少ない人でもワークフローを構築できるようになりました。

お客様からのフィードバックに応えて、本日、Step Functions チームは包括的な新機能を導入しました。最も一般的なリクエストの一部に対応することで、構築体験がさらに直感的で汎用性が高まり、特定の開発アプローチに沿ったものになります。

What’s new?

最新リリースには、次の 3 つの新しいコンポーネントが含まれています。

  1. スターターテンプレートエクスペリエンスの強化: このアップデートは、開発者とビジネスユーザーに高度な基盤を提供し、ワークフローの作成とプロトタイプ作成を迅速に行うプロセスを効率化します。
  2. Workflow Studio のコードモード: 本日、Workflow Studio には新しいコードモードが導入されました。これにより、ビルダーはデザインビューとコード構築ビューを切り替えることができます。この機能により、コンテキストを切り替える必要が減り、ワークフローの構築が迅速になります。たとえば、Amazon States Language (ASL) のワークフロー定義を Step Functions Workflows Collection から直接 Workflow Studio にシームレスに貼り付けることができます。その後、デザインビューに移行してワークフロー開発を続行できます。または、新しい構築体験のスターターテンプレートを選択することもできます。必要に応じて、新しいコードモードに切り替えてきめ細かく調整できます。
  3. ワークフローの実行と設定の強化: このバージョンの Workflow Studio には、Workflow Studio 内の構築ビューから直接ワークフローを実行する機能も組み込まれています。さらに、権限、ロギング、トレースなどの補足的なワークフロー設定を構成して、ワークフロー管理を強化できます。

スターターテンプレートエクスペリエンスの導入

特筆すべき機能は、改善されたスターターテンプレートエクスペリエンスの導入です。これはワークフロー作成プロセスを迅速化するために設計された新しいインターフェースです。

ユースケースやサービスごとにテンプレートを絞り込むことができるため、プロジェクトのニーズに合った厳選されたテンプレートを選択できます。スターターテンプレートエクスペリエンスは強力な足がかりとなり、構築するための強固な基盤を築くことができます。

テンプレートからワークフローを作成する流れは下記のプロセスです。

  1. AWS マネジメントコンソールStep Functions ステートマシンページに移動します。
  2. [ステートマシンの作成] を選択します。
  3. これにより、新しいテンプレート選択が表示されます。キーワードで検索するか、ユースケースとサービスでフィルタリングします。
  4. [S3 で CSV ファイルを処理するための分散マップ] を選択し、[次へ] を選択します。
  5. 次のビューには、ワークフローが視覚的に表示され、詳細な説明も表示されます。

    各テンプレートには次の 2 つの使用オプションがあります。

    • デモの実行: Step Functions は、ステートマシンとすべての関連リソースを備えた AWS CloudFormation スタックをアカウントに自動的にデプロイします。すぐに実行できるこのデモワークフローは、選択したテンプレートの機能を紹介するだけでなく、独自の構築を開始するきっかけにもなります。この基盤を土台に、お客様の仕様に適するようにワークフローをカスタマイズ、微調整、調整できます。
    • その上に構築する: これにより、ワークフローの ASL が新しい Workflow Studio コードビューに表示されます。重要なのは、この移行では関連するリソースは一切デプロイされないということです。目標は、ベストプラクティステンプレートを使用するワークフロー構築プロセスを迅速に行えるようにすると同時に、ゼロから構築しなくても特定のニーズに合わせてカスタマイズしたり調整したりできるようにすることです。
  6. [デモの実行] を選択し、[Use template] を選択します。これにより、ワークフローテンプレートは読み取り専用モードで Workflow Studio に配置されます。デモリソースをデプロイする前に、ワークフロー定義を詳しく調べることができます。
  7. デモをデプロイするには、[デプロイと実行] を選択します。
    しばらくすると、デモアプリケーションがアカウントにデプロイされます。

ドラッグアンドドロップデザインとコードモード間のシームレスな移行

Workflow Studio のもう 1 つの強化点は、ドラッグアンドドロップのデザインビューと新しいコードモードをシームレスに切り替えられることです。この汎用性により、さまざまな好みやスキルセットに合わせて、ビジュアルデザインとコードベースの構築を切り替えることができます。デザインビューではワークフローを直感的に作成できますが、コードモードでは使い慣れたコーディング環境のような動的な空間が得られます。

以前にデプロイしたワークフローのデモを開くには、ステートマシンのコンソールから選択して [編集] を選択します。

[Code] ボタンを選択して、コード構築ビューに切り替えます。

ここでは、Visual Studio Code などの業界標準のコーディング環境を連想させるインターフェイスが表示されます。この変革により、経験豊富な開発者は ASL の可能性を最大限に活用して、複雑なカスタマイズや微調整が可能になります。また、右側のグラフビジュアライゼーションを使用して、簡単かつ迅速に順序を変更したり、ステップを複製、削除したりできるようになります。

[デザイン] ボタンを選択すると、ローコードエディターに戻ります。

これは、ASL の経験が少ないビルダーや、ワークフローのモックを迅速に構築する必要がある開発者、さらに編集するためのテンプレート、またはワークフローのプロトタイプを作成する必要がある開発者にとって理想的です。

Workflow Studio からワークフローを直接実行

Workflow Studio では、インターフェイス内からワークフローを開始できるようになりました。この機能は設計と実行の間のギャップを埋め、開発者は Workflow Studio の構築環境からワークフローを開始できます。

Workflow Studio 内からワークフローを開始するには、[実行] ボタンを選択します。

これにより、Step Functions 実行インターフェースに直接移動し、入力ペイロードを入力してワークフローの実行を検査できます。この機能によりインターフェースを切り替える必要が減り、開発者はより迅速かつ効率的にイテレーションを行うことができます。[ステートマシンの編集] を選択すると Workflow Studio に直接戻り、ワークフローを繰り返し調整できます。

Workflow Studio では、実行ロール権限の表示と編集、ロギングの設定、その他のパラメーターの調整もできるようになりました。このビューにアクセスするには、Workflow Studio から [設定] ボタンを選択します。

既存のワークフローの可用性

新機能は、追加費用なしで、既存のすべてのワークフローで自動的に利用できるようになります。これにより、追加の手順や設定を行わずに Workflow Studio の強化された機能を使用できるようになります。

Workflow Studio の新機能により、開発者は活動を強化できます。ワークフローの作成と実行を簡素化することで、開発者はより多くの時間とエネルギーをアプリケーション開発のクリエイティブな側面に注ぎ込むことができます。Workflow Studio の機能強化は、生産性を高めるだけでなく、クリエイティブなデザインを具体的でインパクトのあるアプリケーションに変えるためのプラットフォームも提供します。

結論

Workflow Studio は、Step Functions ワークフローを構築するプロセスを簡素化および強化するという継続的な目標のもと、進化を続けています。構築モードへのシームレスな遷移、直接実行する機能、改善されたスターターテンプレートエクスペリエンスの導入は、構築の効率と柔軟性の向上に向けた実用的な一歩であり、Workflow Studio を Step Functions のデフォルトの構築体験として確立しています。

その他のスターターテンプレート、パターン、ベストプラクティスについては、Serverless LandServerless Workflows Collection をご覧ください。

翻訳はソリューションアーキテクトの松岡勝也が担当しました。原文はこちらです。