Amazon Web Services ブログ

「クラウドによる経済成長の実現」に関するホワイトペーパーの公表

2022年4月8日、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社は、ホワイトペーパー「クラウドによる経済成長の実現」を発表しました。このホワイトペーパーの執筆に関し、AWSも協力しています。

今回のブログでは、AWSジャパン公共政策部より、このホワイトペーパーの概要及び今後予定されている関連イベントについて、ご紹介します。

ホワイトペーパーの概要

このホワイトペーパーでは、クラウド利用者である企業(金融機関やスタートアップを含む)、地方自治体、非営利団体からのインタビューをもとに、クラウドが日本の経済成長や地域社会の発展にもたらす効果について検証しています。

また、クラウドの潜在能力を最大限に活用する方策として、アプリケーションの構成を疎結合(システムを構成するコンポーネント同士が互いに依存しあわない状態)とすること、ワークロードの移行を確保するためにオープンスタンダード仕様として相互接続性を高めることを提唱するとともに、セキュリティの設定ミスや“ベンダーロックイン”といった、ITソリューションを実装する上で生じうるリスクへの対応策を提示しています。

≪クラウドがもたらす経済効果≫

ホワイトペーパーでは、大企業、スタートアップ、公共機関、市民団体などの多様なユーザーの声をもとに、クラウドのもたらす様々な利点が紹介されています。

  • アジリティとスケーラビリティ:クラウド活用により、ユーザーはITインフラの構築・運用をすることなしに、分析ツール、データストレージといった様々なリソースにアクセスできます。また、クラウドはITインフラを柔軟に拡張させることもできます。このクラウドの優れたスケーラビリティはいかなる規模の企業にも恩恵をもたらしますが、特に資金面・人材面で限りがあるスタートアップ企業はクラウドの利点を多く受けることができます。
  • グローバルアウトリーチ:グローバルに展開しているクラウドサービスプロバイダ(CSP)のサービスを利用することにより、利用者は世界標準のセキュリティ機能、国外市場での慣行やより質の高いエンジニア人材へアクセスすることができます。機械学習、ネットワーク技術、データ分析、データセキュリティ、サーバレスコンピューティング、DevOpsなど、クラウドに関連する様々なトレーニングを受けることもできます。
  • IT人材リソースの最適配置:クラウド導入を通じて、企業のIT部門は、サーバやアプリケーション、インフラのバックアップ作業といったルーティーンタスクから解放され、ビジネス上の価値を生み出す戦略的なオペレーションに専念することができます。
  • 高度なセキュリティ:グローバルに展開しているCSPは、世界的なセキュリティ認証を数多く満たしています。このため、クラウド利用者はCSPのセキュリティに関する経験と投資を活用することができます。実際、クラウドが提供するサイバーセキュリティのセキュリティ上のメリットは、オンプレのソリューションよりも優れていると言えます。また、CSPが提供するセキュリティ・アクセス・暗号化およびログ取得等の高度な機能を利用することで、ユーザーはデータの完全な制御と保護を実現できます。ユーザーは、データが保存されている地域を選択し複数地域でコンテンツを複製およびバックアップすることができ、ユーザーの同意なしに選択された地域の外にはデータを移動または複製しないという合意を交わすこともできます。これらの方策に加えて、利用者はCSPの提供するツールを活用して、コンフィデンシャルコンピューティング、ゼロトラストといったより高い水準のセキュリティ・データ保護を実現できます。

≪クラウド活用のベストプラクティス≫

クラウドはITソリューションの一つ

クラウドは数多あるITソリューションの一つに過ぎません。企業や公共機関等のユーザーにとっては、①オンプレを含むレガシーシステム、②マネージドサービス、③クラウドとオンプレの双方を利用するハイブリッドクラウド、④クラウドへの完全移行、といった多くの選択肢があります。

マルチクラウド利用の留意点

ホワイトペーパーでは、複数のCSPの異なるサービスを取り入れるマルチクラウド利用について、ユーザーとして留意すべき点があるとしています。

マルチクラウド環境の実践にはユーザーとして相応のリソースを割く必要があります。例えば、どのクラウド上でも同じコードを実行するためのアーキテクチャと運用ツールとプロセスを構築しようとすることで、ワークロードの構築と実行の複雑さが増してしまいます。また、開発者には複数のCSP上のサービスで稼働する基盤技術の構築が求められるため、その労力は単一のプロバイダを利用する場合と比べて相対的に大きくなります。CSPによって、認証、許可、コンポーネントの強化・監視・更改およびパッチ適用に用いる標準、方法論、構成、閾値、ポリシーが異なるため、総合的なユーザーのセキュリティ機能が損なわれてしまう可能性があります。

さらに、多くのCSPでは価格表にボリュームディスカウントが組み込まれているため、ワークロードを複数のクラウドプラットフォームに分散させることは大量購入の機会を失ってしまいます。

データポータビリティの実践

マルチクラウド利用に関連する課題として、データポータビリティがあります。ユーザーがマルチクラウドを選択する場合、連携するアプリケーションとの結びつきは疎結合とすることが求められます。さらにアプリケーションは、オープンスタンダード(特定のプラットフォームに依存しない仕様)で構築することでプロバイダの乗り換えが容易になります。グローバルに展開するCSPは、ユーザーの迅速かつ安全なデータの抽出および移行を可能にするべく、様々なデータポータビリティツールを提供しています。

≪クラウドの日本社会への貢献≫

CSPは、企業・公共機関等へのクラウドサービス提供に加えて、日本の地域コミュニティの発展のために投資し、特に、教育・雇用創出・脱炭素化といった分野で日本社会の成長に貢献しています。クラウドインフラストラクチャであるデータセンターの設置による雇用創出に加えて、クラウドに関する技術習得をサポートする教育プログラムの提供、若年世代向けのSTEAM教育の実施などの人材育成にも積極的に取り組んでいます。

また、クラウドデータセンターでは、高い稼働率、より精度の高いエネルギー管理機能、エネルギー消費を最小限に抑える高性能な冷却システムによって、社会のデジタル基盤ともいえるクラウドを高いエネルギー効率で運用しています。2021年に発表された451 Researchの調査では、日本のユーザーはオンプレのインフラからクラウドにワークロードを移行することで、エネルギー消費とそれに伴う二酸化炭素排出を77%削減できることが示されています。さらに、クラウドデータセンターを100%再エネで運用することで、ユーザーはサプライチェーン上の酸化炭素排出をさらに削減することができます。

以上が、ホワイトペーパー「クラウドによる経済成長の実現」の概要となります。こちらから是非ダウンロードいただき、ご覧いただければ幸いです。

オンラインイベント「日本をDXする〜クラウド時代の価値作り〜」

4月27日から、このホワイトペーパーの紹介を含め、クラウド時代の日本のビジネス・政策の将来展望を様々な観点から議論するイベント「日本をDXする〜クラウド時代の価値作り〜」が行われます。カーネギー国際平和財団のJapan – Silicon Valley Innovation Initiative @ Carnegieが主催する本イベントでは、公共・民間企業におけるデジタルトランスフォーメーションや競争政策上の最新の論点、シリコンバレーからの視点も交えた日本の進むべき道について議論が行われます。4月27日から5月31日まで無料で視聴できますので、ぜひふるってご参加ください。


このブログは、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 公共政策部の吉田朗、矢野敏樹が執筆しました。