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【JAWS DAYS 2018】Technical Evangelist パネルセッション書き起こし

みなさん、こんにちわ。プロダクトマーケティング エバンジェリストの亀田です。

3月10日に五反田で開催されたJAWS DAYS 2018において、Keynoteの「AWS Technical Evangelists Special talk session -スペシャルトークセッション AWSとユーザーコミュニティが生み出すNo borderな未来-」について、非常に含蓄の多い話が多かったため、当日の流れを以下に記載します。

JAWS DAYS 2018ではコミュニティメンバーを中心にAWSでも、海外から多くのゲストが訪れていました。

パネルセッションはAWSエバンジェリストの以下4名とモデレーターの私で行いました。

– Jeff Bar

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

– Randall Hunt

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

– Julio Faerman

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

– Channy Yun

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずパネルセッションに前もって、JAWSメンバーから4人に聞きたい質問をあらかじめ取り寄せていましたが、質問に入る前に、4人からそれぞれ自己紹介をしてもらいました。

Jeffは2010年に初めてのJAWS DAYSに参加した時の思い出を語ってくれました。その当時はなんと40人だったそうです。2018年が1300名を超えたことを考えると大きな成長ですね。

続いてRandallです。彼は一度AWSを退職し、また再就職しています。Pythonが大好きとのことです。2017年に来日してServerless Meetupにも参加しています。天ぷら、餃子、枝豆、が大好きといっていました。

そしてJulio、彼は生まれて初めて日本に来たとのことです。ブラジル出身でインフラエンジニアとアプリケーションエンジニア両方の経験を持つと言っていました。

最後にChannyです。Channyはお隣韓国出身で、私やJAWSメンバーが韓国で開催された APAC Community Dayに参加した際にも色々気を使ってくれるナイスガイです。2015年から4回連続でJAWS DAYSに参加しています。

さて、一番目の質問です。

2017年にAWSは1430回の機能アップデートを行いました。テクニカルエバンジェリストはどのようにそれらをキャッチアップしていますか?

Jeff ; 一人の人間では限界があるため、まずは自分が好きな領域から。そして同僚とシャーディングを行い手分けをする。(シャーディングというキーワードが出てくるあたりクールですね)

Randall; AWSの学び方を学ぶことも大事。慣れてくると、目を通すべきものや触っておくべきものなどの判別が行えるようになる。またマイナーなサービスについても、取り合えず一度学んでおく。

Julio; JeffのBlog等一日の業務の最初に自分が巡回するサイトをあらかじめ決めてブックマークとして整備しておき、効率を上げている。自分が気に入ったテクノロジーについては深堀する。

Channy; 知識の土台が大事。興味のあるものを学ぶというプロセスを定常的に回す中で、学ぶ能力や効率が向上する。好奇心があれば、学びは楽しくなる。

ここで追加して質問をJulioとChannyに投げました。(実は私自身が知りたかった質問です)

非英語圏では、翻訳という情報のタイムラグが発生するがどのように解決しているか?

Julio; 確かに言語は障害となるケースがあるが、AWSは他のベンダーと比べても多くの翻訳リソースを投入している。コストとスピードのバランスが重要

Channy; JeffのBlogを自身で翻訳している。年間300本は自分で翻訳している

2点目の質問です。

初心者がAWSを学ぼうとした場合、お勧めの学習方法は? – 本、動画、ハンズオン等

しかし会場に聞いたところ、初心者として手を挙げた方がいませんでしたので、質問はスキップしました。

そして3点目です。

AWSの認定資格試験を取るためにお勧めの勉強方法は?

Randall; すべての認定を取得している。そして試験問題もいくつか作成している。(とても簡単です、ということで笑いを取っていました)Associateであれば非常に簡単なので合格しやすいが、Professional、特にNetworkについては難しい。AWSのドキュメントを読むことが重要。そして全体像を把握した後に、事例やユースケースを知ることがより理解を深めるために重要。

Julio; 認定のために学ぶこと、プロジェクトのために学ぶことは大きな違いがある。認定の学びは一部知識は死蔵するが、プロジェクトの学びはそのほとんどが生きた知識となる。AWSのウェブサイトでは模擬試験が多くあるので、まず試験を受け自分のレベルを知ることが大切。

Channy; 大事なのはハンズオン。それが第一Step。そして模擬試験等や本等で知識を蓄えていく。専門用語に慣れ親しむ。

Jeff; 全く認定を取得していない。今度挑戦してみよう。過去認定試験を作ってきた。

ここで流れに紛れてお願いを出してみました。日本ではまだ2つのSpecialty試験が日本語化されておらず、多くの人が待っているので早く日本語化してほしい、と依頼をしました。期待してまちましょう!


試験問題の勉強方法についていろんな話がありました。5個取得したときの私の体験談からするとやはり、ハンズオン、 本、ドキュメント、模擬試験等です。勉強の初期フェーズにおいては、各サービスのイメージをつかむための ハンズオンが有効ですが、ある程度知識を深めるレベルになるとAWSの各サービスドキュメントが一番有効でした。 例えばAmazonEC2のLinuxだけでもPDFで900ページ強あります。ちゃんと日本語化もされています。 Randallは2年かかったと言っていましたね。経験上、Professionalの範囲に限定すると約4か月で読破できました。 Professional試験の場合は、ぜひおすすめの勉強方法ですので試してみてください。


次の質問です。

ネットワークやサーバが得意なインフラエンジニアが初めてプログラミング言語を学ぶ場合、何をお勧めしますか?

Channyから、使用するテキストエディタの方が大事というジョークがあると笑いが起きていました。

Jeff; 組織に属しているのであれば、当然その組織で必要となる言語。AWSは主要言語を一式サポートしているので、一番好きなものを学べばよい。

Randall; Python。(私がC++は?と聞いたところ)昔宇宙開発の会社にいたときはC++を使用していたが、Pythonを使用していればロケットは落ちなかった。

#これについては補足が必要です。彼なりのアメリカンジョークなんですね。Randallは昔SpaceXという

#宇宙開発の会社にいたのですが、開発したロケットが墜落したことを経験しています。

#その時にC++を使っていたからだ・・・という話です。

Julio; JavaScript。(これを聞いたRandallは退出しようとしていました)JavaScriptは非常に汎用性が高くどこでも使える。そして、一度JavaScriptを体験すると、あとはその後何を学んでも物事は上向きにしか行かない

Channy; 昔はCをお勧めしたけど、今はPerl。言語は単なるツールなので縛られる必要はない。重要なのは問題解決能力。コンパイル・ビルド言語とスクリプト言語両方を知っておくことが大事。

#この点については事前打ち合わせなしで、ちゃんと言いたいことを伝えてくれたChannyはさすがでした。

その流れで「おすすめのフレームワークやツール」についても聞いてみました。

この辺りからRandallのPython愛が止まらなくなってきています。Pythonが動けば、環境はなんでもいいといい始め笑いを取っていました。

Jeff; AWSのドキュメントは定期的に進化するので、3か月や6か月というスパンで読み直す必要がある。その中で、求められる知識は昔より早く非常に変動する。このため、積極的に新しいツールに挑んでいくことが大事。個別フレームワークやツールの知識はもはや差別化要因にはならない。

Julio; 「テクノロジーの民主化」クラウドにより素晴らしいテクノロジーを誰でも使えるようになっている。AWSのWell – Architected Frameworkはとても重要。

そして質問は少し将来の話になります。

AWSに限定せず、IT業界におけるエキスパートが5年後、10年後もエキスパートの場合どうすべきか?

Randall; Python。(もはや愛が止まらない状態になっています)

Jeff; 特定のテクノロジーに愛着を持ちすぎてはいけない。次に、出てくるテクノロジーは最初はまだ粗く、古いテクノロジーと比べると欠点も存在する。しかしそれにより古いテクノロジーにとどまってはいけない。エバンジェリストは、少しだけ未来に住んでいる。ある程度問題を抱えているテクノロジーでも、必要になるという確信があればその時点でBlogを書く。自分が定義する未来を仮定し、そこに対して自分の成長ベクトルを描く。

Randall; Lambdaは発表当初あまり注目を浴びなかった。Workspcaesの方が目立っていた。ただし、Lambdaが世界を変えると信じた人もいた。予想は外れることもある。5年前から機械学習の今のブレークスルーを予測するした人は少なかった。今をまず正しく流れで理解する。それが将来につながる。

ここで質問に対して少しシチュエーションを付け加えてみました。

Kubernetesを勉強したエンジニアが、EC2上でKubernetes環境を構築しました。2か月後にre:Invent2017でAmazon EKSAWS Fargateが発表され、知識が陳腐化したことを懸念し、同じことが今後起きないか悩んでいます」というものです。

Channy; (いきなり振ったので少し戸惑っていました。ごめんなさい)60%以上のk8sがEKSとFargate発表前からEC2上で稼働している。ユーザーは選択肢を常に持っている。

Randall; 同じことが実現可能なマネージドサービスがリリースされたのであれば、そちらの利用が時には推奨される。構築工数、運用工数が削減されそれはお客様のためにつながる。

Julio & Jeff; 学習したことは無駄にはならない。学習した領域がラップされた上位レイヤのサービスが出たとしても、その低レイヤの知識は必ず役に立つ。それが皆さんの付加価値につながる。

次の質問はコミュニティです。

それぞれの国毎にコミュニティ活動の違いやAWS利用状況の違いはありますか?

Channy; Mozillaコミュニティを韓国で運営していた。韓国ではインフラエンジニアのコミュニティは暗く男性中心。日本のJAWS DAYSは明るく全く違う。JAWS DAYSのカルチャーをどのようにグローバルに広げていくか?を考えている。

亀田; 日本ではJAWS DAYSをはじめとする複数の活発なコミュニティがあり、Serverlessやコンテナ等の日々話し合われている。一方利用状況を見るとEC2がとても高い。それは他の国でも同じ状況か?

Jeff; ほとんどの国において状況は同じ。

そして次の質問です

コミュニティイベントの中で最も記憶に残っている、または印象的なイベントはなんですか?

Randall; 韓国はとても多く酒を飲む。AWSのサービスロゴを用いたカルタがあった。Alexaと連携させると面白そうだ。

実はそれは日本が作成し2017年韓国チームとの余興のために韓国にもっていったものであり、JAWS DAYS 2018でもAlexaと連携するバージョンを、AWS Samuraiの岡本さんが作成し展示していました。この時点で時間を少し超過気味であり、突っ込むことができませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Julio; ブラジルではDeveloper ConferenceがJAWSのようなものとして存在している。ポップコーンやくじ引きなど結構派手で面白い、ブラジル人は派手なことが好き。

Channy; LT大会がすき。 JAWS DAYSで5分を過ぎた時点でパイを投げられるイベントがあったが、それは印象に残っている。

最後の質問です。

機械学習、IoT、エッジコンピューティング、サーバレスなどの次に来るかもしれないと注目をしているITトレンドは?

Channy; SOA, Microservices, DevOps等多くのはやりがあった。その中でそのすべてをハンズオンとしてまず試すことが一番重要だが、歳をとるとともにコードを書くことがなくなっていく。Jeffのようにハンズオンをまずやってもらうことが必要。そうすると次のトレンドが見えやすく、次のトレンドを捕まえやすくなる。AWSはグローバルリージョン展開を行っているので、一つのシステムのグローバル展開が容易となっている。Dynamo DB Global Tables, Inter Region VPC Peering等も整備され、よりシステムのグローバル展開がしやすい。このAWS機能拡張に注目している。

Randall;【ビットコイン】(と笑いを取っていました)仮想通貨を支えるブロックチェーンテクノロジーは確かにはやりだけども、宇宙開発等にも注目していく。

Jeff; データベースに関して。ユーザーインターフェースの進化に合わせて、データベースのアーキテクチャも大きく変化していく。サーバレスデータベースなどのように、従来より瞬発的に大量のコンピュートリソースを割り当てることが可能となっている。それに加えてS3 Select等拡張するデータレイク系ツールに注目している。

最後にJeff Barからひとこと

最初に参加したときは、40人ぐらいだった。今は1300を超える。そして多くの人が仕事ではなく個人のパッションとして参加している。そこがJAWSの素晴らしいところで、JAWSが世界中にあることを願っています。

エバンジェリストとして最も大切なこと

最後にコミュニティの皆さんに何を伝えるか、を事前で5人で打ち合わせをしたときに、実は30秒ぐらいで以下の言葉にきまりました。アマゾンが持っているリーダーシッププリンシパル。14存在している社員が意識すべき指標になります。そのなかでエバンジェリストとして最も大切にしているもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大事なのはこの順番ですまず「Learn」=「学ぶ」という意思がありき。そしていろいろなことに興味を持つ。興味を持ったことはすぐ学ぶ。このサイクルを短く回すことが、エバンジェリストであるために大事なことである。是非自分の時間を皆さんが面白いと思うことに費やす工夫をしてほしい。という話でセッションを締めました。

(おや、なぜかもう一人。。。。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

– プロダクトマーケティング エバンジェリスト 亀田