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X2iedn インスタンスで Amazon RDS for SQL Server を 2 倍高速に実行する
Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) for SQL Serverは、AWS Nitro System 上に構築された第3世代のIntel Xeon Scalable (Ice Lake) プロセッサを搭載する X2iedn をサポートするようになりました。SQL Serverのワークロードはメモリに大きく依存します。そのため、メモリに最適化された Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンスが最も一般的に利用されています。
x2iedn インスタンスタイプは、最大 4096 GiB の RAMと 128 個の vCPU を提供し、お客様の最も難易度の高いニーズを満たします。x2iedn を使用することで、お客様のワークロードは同等の X1 インスタンスよりも最大 50 %高いコストパフォーマンスを得ることができます。
Amazon RDS for SQL Serverは、x2iedn インスタンスタイプとして、4, 8, 16, 32, 64, 96, 128 vCPUの 7 つのサイズを提供しています。このブログでは、x2iedn を使用する主な利点について説明し、x2iedn インスタンスタイプと x1e インスタンスタイプで測定したパフォーマンスを比較します。詳細については、Amazon EC2 X2idn および X2iedn インスタンスの紹介を参照してください。
特徴
新しいインスタンスタイプは、以下の機能を提供します。
- 最大 3.5 GHz の第 3 世代 Intel Xeon Scalable プロセッサ(Ice Lake 8375C)
- すべてのサイズで vCPU に対するメモリの比率は 32 : 1
- X1 インスタンスより最大 50 %優れた価格性能
- 最大 100 Gbpsのネットワーク速度
- Amazon Elastic Block Store(Amazon EBS)への帯域幅は最大 80 Gbps
- 専用ハードウェアと軽量ハイパーバイザーを組み合わせた Nitro System を搭載
次の表は、インスタンスタイプのそれぞれの仕様をまとめたものです。
Instance Name | vCPUs | Memory (GiB) |
Storage Memory (GB) |
Network Bandwidth (Gbps) | EBS Bandwidth (Gbps) |
x2iedn.xlarge | 4 | 128 | 1 x 118 NVMe SSD | Up to 25 | Up to 20 |
x2iedn.2xlarge | 8 | 256 | 1 x 237 NVMe SSD | Up to 25 | Up to 20 |
x2iedn.4xlarge | 16 | 512 | 1 x 475 NVMe SSD | Up to 25 | Up to 20 |
x2iedn.8xlarge | 32 | 1,024 | 1 x 950 NVMe SSD | 25 | 20 |
x2iedn.16xlarge | 64 | 2,048 | 1 x 1900 NVMe SSD | 50 | 40 |
x2iedn.24xlarge | 96 | 3,072 | 2 x 1425 NVMe SSD | 75 | 60 |
x2iedn.32xlarge | 128 | 4,096 | 2 x 1900 NVMe SSD | 100 | 80 |
利点
x2iedn RDS DB インスタンスタイプには以下のメリットがあります。
- Nitro System 上に構築 – Nitro System は EC2 インスタンスに最新のハードウェアとソフトウェアコンポーネントを提供し、全体的なパフォーマンスを向上させます。さらに、Nitro System 上に構築された RDS DB インスタンスは、高速ネットワーキング、高速 EBS 帯域幅、 I/O アクセラレーションを可能にする専用の Nitro Cards を利用できます。これらの改善により、X1 インスタンスと比較して SQL Server データベースのパフォーマンスが最大 50 %向上します。
- vCPU あたりの高いメモリ比率 – X2 インスタンスファミリーは、サポートされているすべての RDS DB インスタンスタイプと比較して、 vCPU あたりのメモリ比率が最も高くなっています。これは、 SQL Server Enterprise Edition や Standard Edition など、コア単位のライセンスに依存する SQL Server ワークロードに最適です。お客様のワークロードは、 X2iedn が提供する vCPU あたりのより大きいメモリ( 32 GB : 1 vCPU )によって、 vCPU のプロビジョニング数を減らすことができます。サポートされる RDS インスタンスタイプの詳細については、Amazon RDS インスタンスタイプを参照してください。
- 高いネットワークと EBS スループット – X2iedn では、最大 100 Gbps のネットワーク帯域幅と 80 Gbps の EBS 帯域幅を実現できます。 x1e の最大ネットワーク帯域幅が 25 Gbps、EBS 帯域幅が 14 Gbps であることと比較すると、その差は歴然です。スループット要件を満たすために、より大きなインスタンスサイズをプロビジョニングする必要がなくなります。これにより、抽出、変換、ロード( ETL )処理や SQL Server のネイティブバックアップなど、スループット負荷の高いタスクをパフォーマンスに影響を与えることなく実行できます。
- ローカル NVMe(インスタンスストア) – tempdb がローカルインスタンスストレージを使用するように構成された状態で X2iedn を起動できます。 tempdb のデータファイルとログファイルをローカルに配置することで、標準的な Amazon EBS ベースのサービスと比較して、読み取りと書き込みのレイテンシを低く抑えることができます。 X2iedn RDS DB インスタンスは、最大 3,600 GB の NVMe( Non-Volatile Memory Express )SSD ベースのインスタンスストレージを提供し、低レイテンシ、非常に高いランダム I/O パフォーマンス、および高いシーケンシャルリードスループットを実現するように最適化されています。 X2iedn インスタンスタイプでインスタンスをプロビジョニングする際、 Amazon RDS for SQL Server は自動的にローカルに接続された NVMe ディスクに tempdb ファイルを配置し、ストレージレイテンシーを低減し、特定のワークロードのパフォーマンスを最大 30 %向上させます。AWSのドキュメントを参照して、 マルチ AZ 配置に関する考慮事項とファイルの場所とサイズの考慮事項についてもご確認ください。
x1e インスタンスと x2iedn インスタンスの性能比較
パフォーマンスベンチマークツールである HammerDB を実行し、パフォーマンスを比較検証しました。 HammerDB を使用してテストをベンチマークする方法の詳細については、 HammerDB を使用して Amazon RDS SQL Server のパフォーマンスをベンチマークするを参照してください。
SQL Server 2019 Enterprise Edition 環境に、10,000 warehouses (データベースサイズ 約1TB) のTPC-C データベースを作成しました。プロビジョニングされたストレージは io1 ボリュームタイプで約 2 TB、32 k PIOPSでした。オートパイロット機能のサンプリングを 3 回使用し、各実行では仮想ユーザー( VU )の数を設定しました(64、128、256、324、512、724に設定)。
次の表は、各インスタンスの特徴をまとめたものです。
Instance Size | vCPUs | RAM (GiB) | Local NVMe SSD Storage (GB) | Network Bandwidth (Gbps) | EBS-Optimized Bandwidth (Gbps) |
db.x1e.4xlarge | 16 | 488 | 1 x 475 | Up to 10 | 1.75 |
db.x2iedn.4xlarge | 16 | 512 | 1 x 475 | Up to 25 | Up to 20 |
以下の画像はパフォーマンス結果を示しています。
このパフォーマンス結果から、同じような構成の x1e インスタンスタイプと比較して、85 %高いパフォーマンスを達成することができました。
結論
Amazon RDS for SQL Server データベースを X1e インスタンスで運用している場合は、インスタンスタイプを X2iedn に変更してパフォーマンスを向上させることを検討してください。本番インスタンスを変更する前に、別の環境でインスタンスクラスの変更をテストすることをお勧めします。インスタンスタイプの変更にはダウンタイムが必要です。メンテナンウィンドウを設定して、変更を実施することができます。
本ブログはSolution Architect 塚本によって翻訳されました。原文はこちら
著者について
Sudhir Amin
Amazon Web Services のデータベーススペシャリスト・ソリューションアーキテクト。ニューヨークを拠点に、さまざまな業種の企業顧客にアーキテクチャのガイダンスと技術支援を提供し、クラウド導入を加速させている。スヌーカー、ボクシングやUFC などの格闘技の大ファンで、野生動物保護区のある国を旅行し、世界で最も雄大な動物を間近で見るのが趣味。
Vikas Babu Gali
Amazon Web Services でマイクロソフトのワークロードを担当するシニアスペシャリスト・ソリューションアーキテクト。インド出身で、趣味はクリケットや、家族や友人とアウトドアをすること。
Julio Oliveira Leme
Amazon Web Services データベースエンジニア。2018年に AWS に入社し、RDS SQL Server チームのプロジェクトで新機能やエンジンバージョンのリリースに携わる。趣味は読書と友人や家族と過ごすこと。