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Amazon QuickSight でピボットテーブルが大幅に強化されました

この記事は Super-charged pivot tables in Amazon QuickSight を翻訳したものです。


Amazon QuickSight は、高速なクラウド型のビジネスインテリジェンス(BI)サービスであり、サーバーやインフラを使わずに簡単にインサイトを作成し、組織内の全員に提供することができます。QuickSight ダッシュボードをアプリケーションやポータルに埋め込むことで、外部のステークホルダーに洞察を提供することも可能です。さらに Amazon QuickSight Q を使えば、エンドユーザーは自然言語で質問をするだけで、機械学習(ML)を活用したビジュアルの回答が得ることができます。

最近 Amazon FinTech は、全ての財務報告を QuickSight に移行しました。これには、複雑なテーブルやピボットテーブルの移行が含まれ、大規模なデータセットをスライスして切り出し、関係者にデータのピクセルパーフェクトなビューを提供できるようにしました。Amazon FinTech は他の QuickSight のお客様と同様に、ダッシュボードの普及を促進するため、非常に大きなピボットテーブルで高速なパフォーマンスを必要としています。そこで、ピボットテーブルのスケーリングに特化した2つの新機能を発表し、以下の改善を行いました。

  • 展開時および折りたたみ操作時のピボットテーブルのロードが高速化
  • 行、列、および値のフィールド上限の向上

このブログでは QuickSight のピボットテーブルに関する、これらの改善点について説明します。

展開時および折りたたみ操作時の高速ピボットテーブル

現在、QuickSight のピボットテーブルは継続的なロードとして動作しています。ユーザーがビジュアル上で縦または横にスクロールすると新しいクエリが実行され、クエリ要求ごとに固定の行と列の構成で追加のデータを取得します。

例えば、次のテーブルでは次の日付のクエリを続行する前に、2014 年 12 月 7 日の下にネストされた全ての航空会社 / 都市の組み合わせをロードします。特定の日付に対して 500 以上の航空会社 / 都市の行があるとします。この場合、次の日付に到達するまでの間に、複数回のクエリを実行します。実行されるクエリの回数は、ピボットテーブルで使用されるディメンジョンのカーディナリティによって決まります。

次の折りたたまれたピボットテーブルの例では、読者にはフライトの日付以外何も表示されないため、全ての航空会社 / 都市の行があっても、ピボットテーブルにアクティブに表示される内容は変わりません。個々の SQL クエリが高速であっても、 (折りたたまれて) 非表示のデータをロードするために実行されるクエリの数が非常に多いため、ユーザはこのテーブルのロードが遅いと感じることがあります。したがって、ピボットテーブルが折りたたまれた状態のときに、目的地(Destination City)フィールドまでの全ての行をロードしても、あまり意味はありません。

そのため、ピボットテーブルの読み込みを高速化するために、現在は見えているフィールド(展開済のフィールド)のデータのみを取得し、折りたたみ済フィールドの下の値の小さなサブセットも取得しています。これにより、新しいクエリの度に取得されるデータは、すぐに表示できる新しい値のレンダリングに使用されるようになります。データセットの複雑さにもよりますが、ロード時間が 2 倍から 10 倍も改善されたお客様を確認しています。

この新しい動作は自動的に有効となっており、ユーザー側で何かする必要はありません。この最適化はあらゆる種類のピボットテーブルをサポートする予定ですが、現在のリリースではメトリックでソートされていない、行または列フィールドのみのピボットテーブルを対象としていることに注意してください。

ピボットテーブルのフィールド制限を拡大

収集されるデータの深さと粒度がますます大きくなる中、お客様から、ビジュアルに表示できるフィールドとデータポイントの数を増やして欲しいというご要望をいただきました。私達はお客様の声に積極的に耳を傾け、折れ線グラフのデータポイントの増加に対応するのと同時に、ピボットテーブルのフィールドの上限を増やしました。

フィールドウェルの上限は 20 から 40 に、行と列の上限はそれぞれ 20 から合計 40 になりました。例えば行に 34 のフィールドがある場合、列のフィールドウェルに最大 6 つのフィールドを追加することができます。

これにより、以下のような制限の増やす必要のあるユースケースのブロックを解除することができます。

  • メトリクスレポート – 月次および週次ビジネスレポートでは多くの場合、数十のメトリクスを表形式で表示させる必要があります。更新された制限を使用すると、詳細で堅牢な財務レポートを複数のピボットテーブルに分割して表示する必要がなくなり、1 つのピボットテーブルで表示できるようになります

  • レガシー BI ツールやレポートツールからの移行 – レガシーシステムの既存のレポートは、コストセンターの経費分析など、多数の行階層にわたって表示したり、スライスしたりする必要があります
  • カスタムユースケース – これは特定の業界や組織のユースケースで、何十もの値や行フィールドを追加して、追加の属性を表示することができます。例えば、地域別にスライスした Customer 360 のレポートなどです

制限に達するとすぐに、そのフィールドウェルで制限に達したことを示す、エラーメッセージが表示されます。詳しくはこちらをご参照ください。

QuickSight の利用を開始して、常に最新の情報を入手しましょう

QuickSight コミュニティの「お知らせ」セクションで新機能について学び、QuickSight の最新機能であなたのダッシュボードを強化しましょう。


記事の翻訳は Solutions Architect 森   啓が担当しました。