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【開催報告】ライフサイエンス・化学・素材関連業界のスマートファクトリー最新動向ウェビナー

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 インダストリー事業開発部 片岡です。

ライフサイエンス・化学・素材関連領域のスマートファクトリーでのクラウド活用にご興味をお持ちのエンドユーザーの皆様を主な対象として2020年12月10日に「ライフサイエンス・化学・素材関連業界のスマートファクトリー最新動向」をウェビナーで開催しました。

本記事ではAWSパートナーネットワーク(APN)パートナーである三井情報様の登壇内容を含む当日の資料・動画と、参加者の方々とのQ&Aを皆様にご紹介します。

本ウェビナー開催の背景

政府の報告によれば、コロナウイルス等の影響で、製造業を取り巻く環境の不確実性が増す中で、設計から生産、販売にまで至るバリューチェーンの再構築や強靭化など、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進がより重要になると言われています。しかし、従来日本の強みとされてきた製造の現場では、人手不足や属人的改善による部分最適、データ未収集・未活用など、様々な問題を抱えており、製造業のデジタル化やデータ活用は十分に進んでいないと問題提起されています。

本ウェビナーでは、各企業がデジタルトランスフォーメーションを推進するにあたり、課題となっているデータ管理や利活用について、クラウド利用のメリットを踏まえながら、AWSとパートナー、それぞれの観点で発表頂きました。

1. 事例で解説!スマートファクトリーの始め方~生産データ利活用のご紹介~ [Slide]

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
エンタープライズソリューション本部 シニアソリューションアーキテクト
益子 直樹

益子からは、セッションの前半で、誰もが生産データを自由に分析・予測・可視化等できるように、あらゆる生データを生データのまま蓄積する「データレイク」という考え方の重要性を確認した上で、お客様のニーズに合わせて、機械学習やIoTなど、175を超えるサービスをブロックのように組み合わせてご使用頂けるクラウドの利点についてご説明しました。セッションの後半では、様々なAWSサービスの組み合わせがある中で、代表的な組み合わせパターンを3つに分け、1.データ収集/前処理/見える化、2.予知/予測、3.エッジでの推論、について、各パターンを実現するAWSサービスとお客様事例をご紹介しました。

Q&Aセッション内容

Q. 工場とクラウドはどのようなネットワークで接続できますか?

A. いくつかの方法がありますが、現状のお客様の環境によって分かれます。既にAWSをご使用のお客様で、AWS Direct Connectという閉域網サービスで社内と工場が繋がっている場合は、AWS Direct Connectをご使用頂くのが第一選択となります。まだ繋がっていない場合は、暫定策として、LTEやソラコム様のSIM等でまずはProof of Conceptをお試しいただく方法をお勧めします。

Q. ご発表の中に自社の課題解決に役立つソリューションがいくつかありましたが、それらを実装するための知見が必要と感じました。どのように進めていけばいいでしょうか?

A. 大きく二つのアプローチがあります。一つ目は内製化です。その場合は、お客様の人材育成から始める必要があるため、お客様での時間や工数がかかりますが、内製化の環境が整えば、スピーディーにお客様のアイデアを実現することが可能となる点がメリットだと思います。二つ目はAPNパートナーとの連携です。お客様の業界にも詳しいAPNパートナー企業が多くいるため、すぐに内製化できるリソースは無いが、開発を始めたいというお客様は、パートナーの皆様と連携されるケースが多いです。

2. DXをリードする責任者が知っておきたい3つのポイント ~時系列データを扱う場合に直面する課題とその対応策~

三井情報株式会社
デジタルトランスフォーメーションセンター マネージャー
久利生 大輔 様

久利生様からは、まず他のデータに比べて「より丁寧な取り扱いが求められる」時系列データの分析について、留意すべき3つのポイントや、時系列データの取り扱いプロセスをご説明頂きました。次に「データ分析の高度化」を実現するために、時系列データ分析用ソフトウェアSEEQの活用方法をご紹介頂き、デモンストレーションでは、1.データの統合と前処理、2.メンテナンス時期の予測、3.バッチプロセスの可視化、を実演頂きました。最後に、DXを成功させる3つのポイントとして、組織横断的に構成されるデータ分析推進体制の構築、社内のDX人材育成、データ分析におけるペインポイントの解決(データ参照権限がないなど)、について具体例を踏まえて解説頂きました。

メンテナンス時期予測のデモ画像

Q&Aセッション内容

Q. SEEQを活用している人は、どういう役割の人が多いでしょうか?

A.海外の事例ではOperational Analytics Teamのような名称で、工場側のオペレーションのマネージメント層をサポートする役割のデータサイエンティストチームがSEEQを活用されています。国内のお客様では、既に複数社でご使用頂いており、DXチームに在籍するIT推進部/企画部出身の方、もしくは新たにデータサイエンティストとして育成を受けている若手の方を中心に、分析チームを作られてSEEQを活用されるケースが増えております。

Q. SEEQ用のサーバーを立てる場合、どれくらいのスペックが必要になるでしょうか?

A. ユーザー数によってスペックは異なりますが、例えば、10名程度の分析チームであれば8コアのCPU/32ギガメモリのAWS環境をご用意頂いて、SEEQサーバとしてご使用頂くと問題なく動作します。

まとめ

本ウェビナーに関して、ご質問やご要望がございましたら、お問い合わせページ、もしくは担当営業までご連絡をお願いします。また、AWSでは、製造領域のお客様に最新のサービスや事例を学んで頂くために、様々なイベントを企画しております。直近では、世界最大級のグローバルカンファレンスである「AWS re:Invent 2020」の中で発表されたアップデートを、日本のお客様にいち早くお伝えする「2020年 AWS re:Invent Recap」 が以下の日程で開催予定です。

・2021年1月27日(水)AM-PM / 製造業~設計・製造・出荷後といった製品ライフサイクル全般のデータ活用を下支えするAWS活用事例のご紹介~
・2021年1月28日(木)AM / ヘルスケア・ライフサイエンス

どのセッションも無料でご参加いただけますので、登録サイトよりご希望のセッションにチェック頂き、必要事項を記入の上、ご登録をお願いします。

 

参考コンテンツ

AWS
・製薬業界向けGxP関連コンテンツ:https://aws.amazon.com/jp/compliance/gxp-part-11-annex-11/
・ヘルスケア・ライフサイエンス関連コンテンツ:https://aws.amazon.com/jp/health/
・製造関連コンテンツ:https://aws.amazon.com/jp/manufacturing/

経済産業省
・ 第8回 産業構造審議会 製造産業分科会 [2020年6月9日開催] :https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/008.html
→分科会開催資料:資料2 製造業をめぐる動向と今度の課題

 

このブログの著者

片岡 勇人 (Yuto Kataoka)
インダストリー事業開発部 事業開発マネージャー (ヘルスケア・ライフサイエンス)