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消費財業界におけるデータおよびアナリティクス機能の勢いを加速させる
この記事は、”Accelerating Momentum in CPG Data and Analytics Capabilities” を翻訳したものです。
消費財(CPG)業界の最新のトレンドの多くは、サプライチェーン、製造、顧客施策の観点でのソリューションが中心となっています。これらのソリューションの基礎となるのは、イノベーション、進歩、スピードを加速するデータとアナリティクスの機能です。CPG 企業にとってデータとアナリティクスはどのように進化してきたのか、どこで新しいパターンと発展が起こったのか、そして今後何が期待できるのかを探ってみましょう。
将来に向けた振り返り
CPG 企業とデータ分析に関するほぼすべての会話の中で、最新の統合ソリューションの実装に関する課題を耳にするはずです。実際、消費者と買い物客からの洞察、コネクテッドファクトリーと製造のデジタル化、仕入れと調達、小売の実行と売上成長の管理など、私たちのチームが今日取り組んでいるあらゆる課題と機会の中心にデータがあります。
15年前、私がコカ・コーラに勤務していた頃、多くの大手 CPG メーカーと同じように、データ分析に苦労していました。そこで私たちは、業務データを収集、分析、活用するための強力なプラットフォームを開発しました。私たちは、北米で72の異なるコカ・コーラボトラーを運営しており、いくつかのボトラーは製品を製造し、すべてのボトラーは小売店、卸売業者、その他の店舗に製品を卸していました。それぞれバックオフィスの「ERP」を持っていました。小規模なボトラーでは、Access と Excel が使われていました。大規模なボトラーでは、さまざまなバージョンの SAP やオペレーティングシステムがビジネスを支えていました。当時最大のボトラーであったコカ・コーラ・エンタプライズが北米事業の80%以上を占め、上位7社のボトラーが北米の約90%以上を占め、残りは他の60社以上のボトラーが受け持っていました。
コカ・コーラは、データと情報をコカ・コーラシステムの競争力強化につなげるという戦略的決断を下しました。私たちはテクノロジー、ツール、データ、人材、そしてプロセスに投資し、オペレーショナル・データから得られる洞察を収集、統一、活用するための2年から3年にわたる取り組みを推進しました。その大きな目的は、コカ・コーラのすべての事業部門をまたいで、「お客様に向き合う一つの顔」を作ることでした。私たちは、お客様チームが小売のお客様により良いサービスを提供し、お届けし、そして成功できるようにしたいと考えました。この戦略は、オペレーショナルパフォーマンス(SKU パフォーマンス、店舗パフォーマンス、On-Time In-Full(訳注:時間通りの完全な配送)順守、数量と価格のパフォーマンスなど)を明確に把握できないままお客様と関わることが多い、従来のようにサイロ化された「システム」へのアプローチとは対照的でした。
当初は、各ボトラーや他の事業会社(フードサービスなど)から、毎日ケース販売に関する数量と財務情報を取得することに焦点を当てました。これにより、お客様(小売業者)のアカウントチームは、オペレーショナル・パフォーマンスをより明確に把握することができ、顧客対応能力や取引計画を改善しやすくなります。このソリューションを導入する前は、顧客計画や取引実行の議論の際に、しばしば緊張がありました。小売業者が持っている数値は、私たちの数値と一致していなかったのです。
時間をかけて、私たちは一連のマスターデータ管理の階層化作業と、それを管理するチームを確立しました。このチームは、顧客構造の変更、店舗の開店や閉店、現場のアカウントチームとお客様との連携などの変更に対応しました。そして、各バックオフィスの「ERP」からデータストアへの日次取り込みの仕組みを構築しました。データの異常値は例外として手動で管理し、同じ階層のチームが毎日正しい場所にマッピングしていきました。販売促進のための計算は、毎日更新される販売データを基に夜間に実行されました。2つのビジネスインテリジェンスソリューション(ビジネスフレンドリーな行/列タイプのソリューションと、戦術的な店舗レベルのレポートソリューション)がその上に載っています。
最終的に、北米において顧客別・製品別に業務とパフォーマンスの洞察を記録した単一の帳簿が完成しました。しかし、セキュリティ、データの検証、企業連携、設備投資/運用コストなどの課題を合わせると、この話にはもっと多くのことが含まれています(一冊の本になるくらいです!)。
このソリューションにより、北米の販売量と価格が日々把握できるようになり、フィールドセールスによるお客様との関係強化や、取引促進プロセスの効率的な運用が可能になりました。
次に、売上高上位5~7社の小売店の POS データを同じデータプラットフォームに統合し、整合させました。店舗の SKU のパフォーマンスや販売促進の実行パフォーマンス、商品のレコメンデーションなどのデータから、在庫切れを減らしたり、予測発注できるようししたり、ルートドライバーや小売業者、フィールドセールスへ洞察を提供したりするユースケースを検証することが必要でした。出荷データの環境構築から多くの教訓を得たため、データ統合と整合化のプロセスを早めるためにデータ COE を活用することができました。その結果、インサイトに基づく大幅な量的削減を早期に実現し、当社では販売実績の向上、小売企業では売上の増加を実現しました。さらに、数年前にはなかった新しい洞察と分析に基づき、顧客計画プロセスを変革しました。
2022年まで話を進めます。多くの大手 CPG メーカーが、依然として同様のデータに関する課題に悩まされています。特に、メーカーが買収によって成長し、前述のようなタイプの洞察や分析ができる環境に統合、シフト、移行していない場合に、この傾向が顕著になります。出荷や POS の課題に加え、階層やデータのタイミングが一致しないため、これらのデータセットをNielsen、IRI、Spinsのシンジケートデータと統合することは困難です。多くのテック企業がこの課題の解決を試みていますが、現在の市場では明確なリーダーは現れていません。人工知能(AI)や機械学習(ML)が進歩することで、データ分析における非手動の作業が迅速に行われ、より早い意思決定で新しい洞察を収集できるようになれば、この状況は変化する可能性があります。しかし、デジタルネイティブな CPG ブランドは、クラウド技術を起点とし、規模や地理的なニーズに合わせて進化を続けているため、このようなデータ上の課題は抱えていません。
消費者のファーストパーティデータ
CPG 業界では、「消費者」のデータを管理するために、自社または代理店の協力を得て、さまざまなアプローチが展開されています。しかし、消費者データ、サプライチェーンや製造データ、店舗の実行データを考慮すると、今日のデータに関する課題はより複雑になるばかりです。CPG ブランドは、製品販売用のブランドサイトやロイヤルティプログラム(私がコカ・コーラにいた時代の MyCokeRewards など)がない限り、通常ファーストパーティデータにアクセスすることはありません。過去2年間、CPG ブランドがより多くの Direct-to-Consumer (DTC) プラットフォームを立ち上げるにつれ、従来のデータセットとは違って、消費者データを理解し、それをどう利用するかを決めるといった新しい課題に直面しました。
製造とサプライチェーンのデータ
製造とサプライチェーンの革新は、2021年初頭から、ソリューションを求めるお客様の「ニーズ」の主要な領域となっています。CPG メーカーは、特にサプライヤーのリスクをより適切に評価し、原材料を追跡しようとしているため、仕入れ・調達におけるデータとアナリティクスの管理に役立つものを探し求めています。製造業では、CPG ブランドが IoT センサーとデジタルツイン機能を使用して、パフォーマンスのモデル化、ダウンタイムや停止の予測、資産の有効活用、品質向上などの新しい方法を調査しています。サプライチェーン側では、「サプライチェーン・コントロールタワー」と「コネクテッド・ファクトリー」にまつわる話題が大きくなっており、メーカーは施設を「見る」、施設全体のベンチマークを行い、拠点全体でパフォーマンスのベストプラクティスを活用し、人的資産をより有効に活用するための優れた方法を模索しています。最後に、サプライチェーン側では、異種データをまとめて配送計画を立てるAI/MLを使った新しい経路計画の方法が検討されています。これらの活動に共通するのは何でしょうか。データです。これらはすべて、膨大な量のデータに依存し、活用しています。
小売の実行
メーカーが買い物客に関する洞察に基づき、適切な商品を適切な店舗、適切な地域に配置するために、買い物客と消費者の洞察を得るための革新的な機能が、チャネルにおける価格とパッケージの計画プロセスを強化しています。例えば、店内での画像認識は、相変わらず人気があります。新しいテクノロジープロバイダーは、店内での写真撮影を可能にし、それらの画像をデータに変換して、店頭表示価格、在庫状況、競合製品の配置などを AI に基づいて表示します。いくつかのメーカーは、フィールドセールス、店舗担当者、または小売業者にリアルタイムでデータを提供し、店舗レベルで顧客と関わるための「コネクテッド・フロントオフィス」ソリューションを開発・展開しています。
最先端のデータおよびアナリティクス機能を持つテクノロジー
テクノロジーは、データとアナリティクスの革新と密接に関係しています。かつては、オンプレミスで高価、かつ柔軟性に欠けるハードウェアやソフトウェアが主流でしたが、調達、インストール、サポート、テスト、そして最終的に使用するまでに数週間から数カ月を要しました。また、一度稼働させると、ストレージや処理の要求を満たすには十分でないことがよくありました。
現在では、クラウド機能により、ストレージやコンピュート・リソースを数分で起動(および停止)することができます。メーカーは、オンデマンドで容量にアクセスできるため、迅速にテストと学習を行うことができます。また、新しいソリューションを数分でグローバルに展開することができ、同時に設備投資コストを削減することができます(オンプレミスの設備が不要)。最も重要なことは、イノベーションを迅速化し、「オンプレミスのリソース時間」を解放して、AI、ML、ブロックチェーンなどの分野での新しい進歩に集中することができるということです。
もっと詳しく知りたいですか?「The Consumer Goods Forum」で提供しているポッドキャスト「Part 1 – Data and Analytics for CPGs」と「Part 2 – Data and Analytics for CPGs」で、CPG業界におけるアナリティクスの最新動向をご確認ください。
翻訳はソリューションアーキテクト千代田が担当しました。原文はこちらです。