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Amazon OpenSearch Service が次世代 OpenSearch UI を発表

本記事は、2024/11/7 に公開された Amazon OpenSearch Service launches the next-generation OpenSearch UI を翻訳したものです。翻訳は Solutions Architect の山下が担当しました。

Amazon OpenSearch Service は、複数のデータソースにわたる包括的な可観測性を実現する、最新の運用分析機能をリリースしました。これにより、OpenSearch や他の統合されたデータソースから一括でインサイトを得ることができます。このリリースでは、メジャーなユースケースに合わせた体験を提供し、アクセス制御をサポートする OpenSearch Workspaces も導入されました。これにより、ユースケースに応じたプライベートスペースを作成し、コラボレーターだけと共有することが可能です。次世代のユーザーインターフェース(UI)では、Discover 機能が改善され、インタラクティブな分析が簡素化されました。自然言語クエリ生成などの機能を利用して、簡単にデータからインサイトを得ることができます。

Multiple Data Source:みなさんはすでに OpenSearch Dashboards を使用して、OpenSearch クラスターの運用や分析をしているかもしれません。OpenSearch Dashboards はクラスターと同じ場所に配置されているため、各 OpenSearch Dashboards は 1 つのクラスターでしか動作できません。そして、複数のクラスターにワークロードをスケールアップすると、一箇所でデータを統一的に分析することはできません。それに対して、次世代 OpenSearch UI は複数の OpenSearch クラスターで動作するよう設計されており、一箇所で包括的なインサイトを集約できます。OpenSearch アプリケーションは、次世代 OpenSearch UI のインスタンスです。現在、OpenSearch アプリケーションは、複数の OpenSearch クラスター(バージョン 1.3 以降)、Amazon OpenSearch Service Serverless コレクション、および Amazon S3 などの統合データソースと関連付けることができます。各 OpenSearch クラスターは、クラスター内で動作する従来の OpenSearch Dashboards に加えて、複数の OpenSearch アプリケーションと関連付けることが可能です。

Workspace:Workspaces では、ユースケースに特化したコンテンツをプライベートスペースで簡単に作成でき、チームコラボレーション時には権限管理も行えます。Workspaces は、「Observability」「Security Analytics」「Search」などの人気ユースケース向けにキュレーションされた体験を提供し、それぞれに適したコンテンツ作成が容易になります。また、Workspaces ではコラボレーター管理もサポートしており、意図したコラボレーターだけと共有でき、それぞれのコラボレーターごとの権限管理も可能です。

Discover:改善された Discover 機能は、既存の DQL および Lucene のサポートに加えて、SQL や Piped Processing Language(PPL)のサポートを追加し、統一されたログ探索体験を提供します。Discover には、複数のデータソースをサポートする新しいデータセレクター、新しいビジュアルデザイン、クエリの自動補完機能、および自然言語によるクエリ生成が搭載されており、使いやすさが向上しています。強化された Discover インターフェースにより、ツールを切り替えることなく複数のソースからデータを分析できるため、複雑さが軽減され、効率が向上します。

ソリューション概要

以下は、OpenSearch Dashboards のアーキテクチャを示す図です。

以下は、次世代 OpenSearch UI のアーキテクチャを示す図です。

以下のセクションでは、次のトピックについて説明します。

  1. アプリケーション作成のプロセス
  2. 新しい Workspaces 機能の設定と使用方法
  3. 強化された Discover 体験

これらの改善が、データ分析を効率化し、コラボレーションを促進し、さまざまなユースケースでインサイトをより効率的に引き出す方法を紹介します。

アプリケーションを作成する

次世代 OpenSearch UI を使用するには、まずアプリケーションを作成します。アプリケーションは OpenSearch UI(Dashboards)のインスタンスであり、1 つのアカウント内で複数のアプリケーションを作成する柔軟性があります。新しいアプリケーションを作成するには、以下の手順を完了してください。

  1. Amazon OpenSearch Service コンソールで、ナビゲーションパネル内の「Central management」から「OpenSearch UI (Dashboards)」を選択します。
  2. Create application」を選択します。
  3. アプリケーション名を入力します。
  4. AWS Identity and Access Management(IAM)がデフォルトの認証メカニズムです。オプションとして「Authentication with IAM Identity Center(IDC)」を選択し、既存の ID プロバイダーのクレデンシャルとアクセス管理を使用してユーザーアクセスを管理できます。
  5. OpenSearch アプリケーション管理者には、このアプリケーション設定を更新または削除する権限を持つ IAM プリンシパルまたは IDC ユーザーを指定します。このユーザーは管理者として自動的に設定されます。

このページには、現在の AWS リージョン内でアカウントに関連付けられているすべての既存アプリケーションが一覧表示されます。このページから新しいアプリケーションを作成できます。

このページはアプリケーション作成のワークフローです。ここでアプリケーション名を指定し、IDC の有効/無効化を設定し、アプリケーション管理者を定義してアプリケーションを作成できます。

設定を完了してアプリケーションを作成すると、新しい OpenSearch アプリケーションをデータソースと関連付け、強化された UI 機能を使用する準備が整います。

データソースの関連付け

OpenSearch アプリケーションを作成した後、次に行うステップはデータソースを関連付けることです。これにより、アプリケーションを必要な OpenSearch ドメイン、コレクション、その他のデータソースに接続できます。

  1. アプリケーションの詳細ページで「Manage data sources」を選択します。

ドメインやサーバーレスコレクションを含む、アクセス可能なすべての OpenSearch データソースのリストが表示されます。

  1. このアプリケーションに関連づけたいデータソースを選択します。

バージョン 1.3 未満の OpenSearch ドメインは次世代 UI と互換性がないため、リスト内でグレーアウトされます。さらに、仮想プライベートクラウド(VPC)内のドメインに接続する必要がある場合は、セキュリティ設定で OpenSearch アプリケーションを新しいプリンシパルとして承認する必要があります。VPC 内のコレクションに接続する必要がある場合は、そのネットワークポリシーをプライベートに設定し、OpenSearch アプリケーションとの AWS サービスプライベートアクセスを有効にする必要があります。

  1. Save」を選択して、データソースの関連付けを完了します。

これで、OpenSearch アプリケーションは接続されたデータへのアクセスが可能になり、準備が整いました。

OpenSearch アプリケーションの操作

OpenSearch アプリケーションにアクセスするには、アプリケーション URL を選択するか、アプリケーション詳細ページで「Launch application」を選択してください。IAM または IDC で正常にログインすると、アプリケーションのホームページに移動します。ここから、新しいワークスペースを作成するか、アクセス権限のある既存のワークスペースに移動できます。

新しいワークスペースを作成する

ワークスペースは、ユースケースやチームコラボレーションに合わせた体験を提供します。ワークスペースには 5 つの種類(Observability、Security Analytics、Search、Essentials、Analytics)があります。それぞれのワークスペースタイプについて詳しく知りたい場合は、インフォメーションボタンをクリックしてください。既存のワークスペースはホームページに一覧表示されます。新しいワークスペースを作成するには、以下の手順を完了してください。

  1. Create workspace」を選択します。
  2. ワークスペースの名前を入力します。
  3. オプションとして、識別しやすいようにワークスペースアイコンの色を変更できます。
  4. 作成したいワークスペースの種類(Observability、Security Analytics、Search、Essentials、Analytics)を選択します。
  5. このワークスペースに少なくとも 1 つのデータソースを追加します(事前にアプリケーションに関連付けたデータソースから選択します)。

以下の画像は、「MyWorkspace」という名前の Observability ワークスペースを作成し、Amazon OpenSearch Serverless コレクション 1 つと Amazon OpenSearch Service マネージドクラスター 1 つを関連付けた例です。ワークスペースが作成された後でも、関連付けられたデータソースを常に管理できます。

コラボレーターを招待する

新しいワークスペースを作成した後、一緒に作業したいユーザーやグループをコラボレーターとして追加することができます。コラボレーターには、管理者(admin)読み取り/書き込み(read/write)読み取り専用(read-only)の 3 つの権限レベルがあります。読み取り/書き込み権限を持つコラボレーターは、ワークスペース内のダッシュボード、ビジュアライゼーション、および保存されたクエリを作成、編集、および削除できます。一方、読み取り専用のコラボレーターは結果を閲覧するだけです。管理者レベルでは、読み取り/書き込み権限に加え、ワークスペースの設定を更新したり削除したりすることも可能です。

ワークスペースにコラボレーターを追加するには、以下の手順を完了してください。

  1. ナビゲーションパネルで「Collaborators」を選択します。
  2. Add collaborators」を選択します。
  3. コラボレーターとして追加したいユーザーの種類を選択します。IAM Amazon Resource Name (ARN) または IDC ユーザー名でコラボレーターを追加できます。
  4. コラボレーターに付与する権限レベルを、読み取り専用(Read only)読み取り/書き込み(Read and write)管理者(Admin)の 3 つのオプションから選択します。

追加したいコラボレーターの ARN がわからない場合は、ARN を確認するための指示に従ってください。

改善されたナビゲーション

Workspaces の改善されたナビゲーションは、よりコンテキストに沿った目的別のインターフェースを提供し、各 Workspace にはそのユースケースに関連するツールや機能のみが含まれるようになっています。明確さが向上し、より整理された新しいナビゲーションシステムにより、必要な機能を素早く見つけることができるため、生産性が向上し、メニューを探し回る時間が最小限に抑えられます。

改良された Discover 体験

Discover は、使いやすさと効率性を向上させるために刷新されました。複数のデータソースへのアクセス、自然言語によるクエリ生成、新しいデータセレクター、最適化されたデータ密度を備えた洗練されたデザインにより、データのナビゲートと分析が簡単に行えます。

  • 統一された言語セレクター:Discover では統一された言語セレクターが提供されており、SQL、PPL、Dashboards Query Language(DQL)、または Lucene から選択できるようになりました。これにより、お好みのクエリ言語を 1 つの場所で便利に使用できます。

  • 自然言語によるクエリ生成:Discover では PPL 向けの自然言語によるクエリ作成がサポートされています。質問をプレーンテキストで入力すると、Discover がそれを PPL 構文に変換し、データ探索がより簡単でアクセスしやすくなります。この新機能により、異なるスキルレベルのユーザーがインサイトを得られるようになります。

  • 強力なクエリ自動補完機能:強化されたクエリバーには自動補完機能と自然言語によるクエリ生成サポートが含まれており、入力中に関連する提案を提供することでクエリ作成を簡素化します。これにより、複雑なクエリを書く時間が短縮され、効率が向上します。

  • 新しいデータセレクター:新しいデータセレクターは複数のデータソースへの接続を簡単にし、Amazon OpenSearch Service ドメインやサーバーレスコレクション、および Amazon S3 からのデータを統一ビューで表示できるようにします。

結論

この投稿では、次世代 OpenSearch UI の機能について説明しました。これらの改善により、データ分析が効率化され、コラボレーションが促進され、多様なユースケースにおいてインサイトをより効率的に引き出せるようになります。

現在、米国東部(北部バージニア)、米国西部(北カリフォルニア、オレゴン)、アジアパシフィック(ムンバイ、シンガポール、シドニー、東京)、南米(サンパウロ)、ヨーロッパ(フランクフルト、アイルランド、ロンドン、パリ)、およびカナダ(中央)リージョンで OpenSearch UI アプリケーションを作成することができます。


著者について

Hang (Arthur) Zuo は、Amazon OpenSearch Service のシニアプロダクトマネージャーです。Arthur は、次世代 OpenSearch UI のコアエクスペリエンスと Amazon OpenSearch Service へのデータマイグレーションを担当しています。彼はクラウド技術に情熱を持ち、ユーザーやビジネスが実用的なインサイトを得て、運用の卓越性を達成できるようなデータ製品の構築に取り組んでいます。

Rushabh Vora は、Amazon Web Services の OpenSearch プロジェクトにおけるプリンシパルプロダクトマネージャーです。Rushabh は、データ探索、ダッシュボード、可視化、レポート、およびデータ管理におけるコアエクスペリエンスをリードし、組織が大規模にインサイトを引き出せるよう支援しています。彼はクラウド技術に情熱を持ち、ビジネスがデータ駆動型の意思決定を行い、運用の卓越性を達成できる製品の構築に取り組んでいます。

Sohaib Katariwala は、シカゴ(イリノイ州)を拠点とする Amazon OpenSearch Service 担当の AWS シニアスペシャリストソリューションアーキテクトです。彼はデータと分析全般に興味があり、特にお客様が AI をデータ戦略に活用して現代の課題を解決する手助けをすることが大好きです。


Arun Lakshmanan
は、シカゴ(イリノイ州)を拠点とする Amazon OpenSearch Service の検索に関するスペシャリストです。彼はベクター検索、可観測性、セキュリティ分析などさまざまなユースケースで、お客様の OpenSearch 導入をサポートしています。

Xenia Tupitsyna は、OpenSearch の UX デザイナーです。彼女はセキュリティ分析ソリューション、不正検出、アラート、およびコアダッシュボード全般にわたるユーザー体験向上に取り組んでいます。