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システム運用の際にご活用いただける2つのハンズオンを公開しました!- Monthly AWS Hands-on for Beginners 2020年7月号

こんにちは、テクニカルソリューションアーキテクトの金澤 (@ketancho) です。7月も最終週ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?この記事を書いている時点で関東はまだ梅雨が明けておらず、毎日じめじめした日が続いています。こんなときこそ新しいことを勉強しようと、私は “ゲーミフィケーション” について勉強しています。この AWS Hands-on for Beginners でも、皆さまに楽しく学習を継続していただけるような仕組みを作りたいなーと考える日々です。何かいい案が降りてくることをお待ちいただければと思います。

さて、今月も下記の2つの新ハンズオンを追加しております。

どちらも AWS 上でシステムを運用する際に知っておきたいサービス、考え方が学べるハンズオンとなっています。この記事では2つの新ハンズオンのおすすめポイントを紹介していきます。

また、記事の後半では、「社内の研修でオンデマンドハンズオンを活用したい!」「連休や、長期休みを活用して AWS の学習をしたい!」という方向けに、私が独断と偏見で考えた AWS Hands-on for Beginners を使った AWS 学習プランについて紹介したいと思います。

 

AWS Hands-on for Beginners とは?

AWS Hands-on for Beginners は、動画にそって実際に手を動かしながら AWS サービスについて学んでいただく無償のコンテンツです。名前の通り、初めて AWS サービスをご利用される方向けの内容ですので、学習の最初のステップとしてご活用いただけます。オンデマンド形式での配信となるので、移動時間などのスキマ時間での学習もできますし、分かりにくい部分を巻き戻して何度でもご覧いただくことができます。

 

[New] “AWS CloudFormation” 編 & “AWS における監視入門” 編を公開しました

7/15(水) に “AWS CloudFormation” 編、および、“AWS における監視入門” 編 を公開しました。CloudFormation 編はテクニカルソリューションアーキテクトの木村が、監視入門編についてはソリューションアーキテクトの内田が担当しています。

 

“AWS CloudFormation” 編 のご紹介

まず1つ目の新作ハンズオンは “AWS CloudFormation” 編です。CloudFormation テンプレートから AWS リソースを作成し、Infrastructure as Code の世界を体験していただきます。

これまでのハンズオンでは、EC2 や RDS といったリソースを主に手作業で、マネージメントコンソール上で作ってきました。しかし、手作業ではどうしてもミスが発生してしまいます。テスト環境、デモ環境、本番環境といったように同じ環境を複数作る場合、ミスから生まれる環境差異がシステム障害に繋がってしまうことがあります。ですので、なるべく手作業が入らない形で構築したいところです。

そんなときにご活用いただけるのがこの AWS CloudFormation です。CloudFormation では、テンプレートに AWS リソースの定義を記述し、そこから AWS リソースを作成、変更、削除することができます。

こちらが今回のハンズオンで使うテンプレートを一部抜粋したものです。ここだけ見ると難しそうと思われる方もいるかもしれませんが、ハンズオンの中ではドキュメントを参照しながらステップバイステップでテンプレートを作成していきますのでご安心ください。

AWSTemplateFormatVersion: 2010-09-09
Description: Hands-on template for EC2

Parameters:
  VPCStack:
    Type: String
    Default: handson-cfn
  EC2AMI:
    Type: AWS::SSM::Parameter::Value
    Default: /aws/service/ami-amazon-linux-latest/amzn2-ami-hvm-x86_64-gp2

Resources:
  EC2WebServer01:
    Type: AWS::EC2::Instance
    Properties:
      ImageId: !Ref EC2AMI
      InstanceType: t2.micro
#(以下略)

もし、構成に何かしらの変更を加えたい場合は、この CloudFormation テンプレートを修正していく形になります。テンプレート化しておくと、それを Git 管理することができます。すると、構成に加える変更がテンプレートの差分として確認できるので、チーム内でのレビューも行いやすくなります。このハンズオンを通して、ぜひ CloudFormation の基本を学んでいただければと思います。

AWS CloudFormation 編は下記の URL からお申し込みいただけます。ぜひご視聴ください!

“AWS 環境のコード管理 AWS CloudFormationで Web システムを構築する” ハンズオン申し込みページ

 

“AWS における監視入門” 編 のご紹介

続いて、2つ目の新作ハンズオンは “AWS における監視入門” 編です。AWS 上でシステムを運用する上で、この “監視” は必要不可欠なものです。しかし、業務で経験していないと監視の考え方が分からない、という方もいらっしゃるかと思います。このハンズオンを通して、AWS における監視の基本のキを学んでいただければと考えています。

このシリーズは Amazon CloudWatch を使ったハンズオンです。CloudWatch は多種多様な機能があり、このシリーズだけでも、

  • メトリクス情報の確認とアラートの設定
  • CloudWatch Logs を使ったログの集約と、CloudWatch Logs Insights の活用
  • CloudWatch Dashboards 機能の利用
  • CloudWatch Events を設定し、リソースのステータス変更を検知

といったハンズオンをご体験できます。

個人的に特におすすめなのが、CloudWatch Logs を利用したハンズオンです。前段の知識として、なぜログを集約する必要があるのか、というところから解説しています。そして、集約のハンズオンを行った上で、CloudWatch Logs Insights を用いてログデータをインタラクティブに分析します。

私もこのハンズオンのリハーサルに参加しているのですが、この部分は実際のシステム運用でもすぐにお使いいただける内容になっていると感じました。ぜひハンズオンで流れを抑えていただき、皆さまの普段の運用作業の中で活用いただだきたいと考えています。

AWS における監視入門編は下記の URL からお申し込みいただけます。ぜひご視聴ください!

“サーバーのモニタリングの基本を学ぼう” ハンズオン申し込みページ

 

AWS Hands-on for Beginners を活用した AWS 学習プランのご提案

最近、視聴者の方から「社内研修をオンラインで行うにあたり、オンデマンドハンズオンを活用させてもらいました!」というご連絡をいただきました。大変ありがたい限りです。また、今月2つのコンテンツを追加したことでコンテンツ数が10になり、今後もコンテンツの拡充を継続していきたいのですが、コンテンツ数が増えるにつれ「何から学習すればよいだろうか?」という方も増えてくるのではないかなと思います。

今回この記事では、初学者の方を対象にした具体的な学習スケジュールを提案させていただきます。こちらは実際に2日間のイベントを企画している、というわけではなく、皆さまの社内研修のプランニングのたたき台として使っていただきたい、というものになります。個人で「この休みで AWS の勉強をするぞ!」という方のマイルストンとしてもお役立ていただけるかと思います。

もちろん、バックグラウンドや前提知識によってコンテンツを入れ替えたり、順番を変更してもよいと思います。あくまでたたき台ですので、受講者の方のニーズやレベルに応じてチューニングしていただければと考えています。

実は、2日間プログラムと4日間プログラムを用意したのですが、文章量がとても多くなってしまったので、この記事では2日間プログラムのみ詳細の説明を行います。来月の記事で4日間プログラムについて説明いたします。

 

“クイックに学ぶ” 2日間プログラム

2日間プログラムでは、“初学者の方に実践を通してクイックに AWS をキャッチアップしていただく” ことを考えてプランニングしています。1日7.5時間としていますので、社内研修の導入編としてご利用いただける内容になっているかと思います。また、個人で「土日でキャッチアップするぞ!」という方にも、時間的にはマッチしていますので、ぜひお試しいただければと思います。

 

初日:AWS を学ぶ準備をする

9:00-11:00 はじめの一歩ハンズオンをご実施いただく

AWS Hands-on for Beginners “ハンズオンはじめの一歩: AWS アカウントの作り方 & IAM 基本のキ” 申し込みページ

過去の記事でも書いたのですが、私は “手を動かしながら” 学んでいただくことが学習効率を高めると考えており、このプログラムでもハンズオンを中心に学んでいただきます。その第一歩として、「はじめの一歩」ハンズオンを活用していただき、アカウントのご用意と、AWS IAM の基本を学んでいただきます。ハンズオンをしながら進めていただいても、2時間前後で完了できる内容だと思います。

 

11:00-12:00 ハンズオンの振り返りや実験

午前中の残った時間で、ハンズオンで学んだことを振り返っていただきます。今回スケジュールを考えるときに意識したポイントのひとつが、この振り返り時間を設けることで、ハンズオンをやりっぱなしにしないということです。AWS Hands-on for Beginners では、各サービスの解説から、実際の画面を見ながら手を動かすところまでご実施いただきます。情報量も多いので、この時間で各サービスの機能やハンズオンの流れをおさらいしていただき、学びを腹落ちさせてもらいたいと考えています。

腹落ちに繋げるという意味で、“実験” をしていただくこともおすすめです。例えば、ハンズオンで行った設定をあえて変更することで、これまで動いていたものが動かなくなることを確認し、各設定項目の意味合いををより深くご理解いただけると思います。あるいは、ハンズオンでは取り上げなかった機能を有効化することで、振る舞いがどう変わるかを見ていただくのもおすすめです。“はじめの一歩” 編では IAM を取り扱っていますので、この時間で IAM ポリシーを変更することでどのように権限が変わるかを見ていただきたいです。

 

13:00-16:00 セキュリティ編ハンズオンをご実施いただく

16:00-17:30 ハンズオンの振り返りや実験

AWS Hands-on for Beginners “アカウント作成後すぐやるセキュリティ対策” 申し込みページ

初日の午後は、アカウントを作成してすぐにやっていただきたいセキュリティハンズオンを進めていただきます。AWS では、セキュリティが最優先事項です。このハンズオンを通して、AWS におけるセキュリティをご理解いただきたく、初日にご実施いただくことを提案しています。

そして、午前中と同じように、振り返りや実験の時間を設けてください。セキュリティ編では多くの AWS サービス/機能が登場するので、公式ドキュメントを読みながら、気になるサービスを深ぼっていただきたいです。

 

2日目:AWS 上でシステムを動かすイメージを掴む

9:00-12:00 スケーラブルハンズオン編

13:00-14:00 ハンズオンの振り返りや実験

AWS Hands-on for Beginners “スケーラブルウェブサイト構築編” 申し込みページ

2日目は具体的に AWS 上でシステムを動かすイメージを掴んでもらいたいと考え、スケーラブルハンズオン編をチョイスしました。EC2, ELB, RDS と、様々な構成で登場するサービスになりますので、振り返りの時間も含めて理解を深めていただきたいです。

また、このハンズオンはシステム全体の可用性を高くするための設計や構築を学ぶものになります。ですので、実験時間の中で「このインスタンスを停止したらどうなるだろう」というような、あえて環境を壊す実験をしていただくのが楽しいと思います。この実験を通して、構成の中で単一障害点がないかをチェックすることを習慣づけていただきたいです。

 

14:00-17:30 自由開発時間

そして、今回の2日間プログラムでは、最後の半日を “自由開発時間” としました。この時間を設けた意図について、少し説明しようと思います。

AWS に限った話ではないかもしれませんが、私は「広く」学ぶことと「深く」学ぶことをバランスよく組み合わせることが、学習効率を高めることに繋がると考えています。AWS Hands-on for Beginners は、どちらかというと「広く」学ぶ際にご活用いただけるコンテンツだと考えています。ハンズオンを通してなるべく多くの AWS サービス群に触れていただき、それらを組み合わせることで、よりよいアーキテクチャを目指していただければと思っています。

ただし、時間が限られていることもあり、動画の中で各サービスの全ての機能を紹介することはできておりません。ですので、皆さまのご興味に合わせて、ハンズオンで取り上げられなかった機能についても「深く」学んでいただきたいと考えています。そこで、設けたのがこの「自由開発時間」です。この時間では、これまで学んだ内容を活用して、何かしら動くものを作っていただきたいです。

例えば、普段アプリケーションを開発している方でしたら、“スケーラブルハンズオンで作る ELB + EC2 + RDS 構成をベースにし、この構成の上で動く簡単なアプリケーションをデプロイしてみる” といった内容はいかがでしょうか。ハンズオンでは取り上げられなかった機能が必要になるシーンもあるかと思いますが、必要な情報を Web で調べながら構築を進めるのはとてもいい経験になると思います。

あるいは、インフラ面を更に深堀りたい、という方でしたら、“サーバーの数を、システムの負荷に応じて増減できる構成にする” ことにチャレンジしていただくこともよいと思います。「AWS サーバー台数 増減」といったキーワードで検索し、トライアンドエラーを繰り返していただきたいです。もし、何を深ぼるか迷った際には、クラウド活用資料集 で各サービスの Webinar 資料が公開されておりますので、こちらを参考にしていただくことをおすすめします。

社内研修としてご実施いただく場合は、この時間の最後に何を開発したかを共有する時間を設けてもいいかもしれません。同僚の共有から刺激をもらうことで、次の Action に繋がりやすくなると考えています。また、自身が試したことを言語化して共有する中で、次に試したいことが見つかることもよくあります。リモートで研修をする場合は、5人ずつの部屋を用意するなどして、発表後のディスカッションを少人数で行う形にしてもいいかもしれません。

長くなりましたが、以上が2日間プログラムの説明になります。ぜひ参考にしてみていただければと思います。また次回、4日間プログラムについても紹介しようと思います。実は、4日間プログラムについても既に作っているので、その画像だけ共有し、今回の記事を終わりたいと思います。

 

まとめ

今月の AWS Hands-on for Beginners シリーズのアップデートとして、2つのハンズオンを紹介しました。どちらも実践的な内容になっているので、ぜひご視聴いただきたいです。そして、AWS Hands-on for Beginners を活用した、学習プランを紹介しました。ご紹介したプランは、オンライン研修でもそのままご利用いただけると思いますので、ぜひご活用いただければ幸いです。それではハンズオンをお楽しみください!

 

コンテンツ作成者について


木村 友則 (Tomonori Kimura) @tkimurz

テクニカルソリューションアーキテクトとして、業種業態を問わず様々なお客様を支援させて頂いています。好きなサービスは、AWS CLI と AWS SDKです。システムを構成する様々なリソースを、コードで管理できることに喜びを感じています。休日は家庭菜園で野菜を育てたり、日曜大工で自宅をカスタムしたり、料理をしてみたりと何かを作っていることが多いです。

 

内田 大樹 (Hiroki Uchida) @nikuyoshi

ソリューションアーキテクトという立場で、お客様の技術支援を行っています。
好きなサービスは AWS Command Line Interface、AWS Cloud Development Kit です。
趣味は写真撮影です。

 

著者について

金澤 圭 (Kei Kanazawa) @ketancho

サーバーレスが好きなテクニカルソリューションアーキテクト。業種業界問わず、お客様のプロダクト開発をサポートさせていただいています。好きなサービスは AWS Lambda と AWS Amplify で、好きな休日の過ごし方は娘ふたりと川の字になって昼寝です。