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週刊AWS – 2019/11/18週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの下佐粉です。

この週刊AWSは、一週間のAWSでの新発表や新サービスについて厳選してコンパクトにまとめる…というのがコンセプトなのですが、先週は厳選してもコンパクトならない量の発表がありました。AWS Storage Dayと銘打ってストレージサービス周りの発表が一度に行われたりもしましたね。

そういうわけで、今回は”特大号”でお届けします。早速先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2019年11月18日週の主要なアップデート

  • 11/18(月)
    • AWS launches FireLens, a log router for Amazon ECS and AWS Fargate
      AWSのコンテナ環境であるECS(Fargate含む)からログを外部に出力するために使える便利なツールであるFireLensが発表されました。追加コーディング不要でS3やCloudWatch等にコンテナからログを転送することが可能です。詳しくはこちらのBlogをご覧ください。
    • Amazon EKS adds support for provisioning and managing Kubernetes worker nodes
      AWSのマネージドKubernetes(k8s)サービスであるEKSで、管理コンソールやAPI,CLIからk8sのワーカーノードを管理できるようになりました。別途ワーカーノード用にEC2をたてて管理する必要がなくなります。
    • Now extend AWS CloudFormation to model, provision, and manage third party resources
      Cloud Formationは、AWSサービスのリソースをJSONやYAML定義にそって自動的に構築するための仕組みですが、これが拡張され、AWS外のリソースも自動構築の対象にすることが可能になりました。これを実現するために新たにCLI、レジストリが追加されています。DatadogやNew Relic等すでにサードパーティベンダーのサービスがCloudFormationで構築可能になっています。詳細はこちらのBlogを確認してください。
    • AWS Lambda ランタイムにJava 11, Python 3.8, Node.js 12が追加
      Serverless 環境である AWS Lambda のランタイムとして、Java 11(what’s new, Blog), Python 3.8 (What’s new, Blog), Node.js 12 (What’s new, Blog)が追加されました。詳細は各What’s newもしくはBlog記事を参照してください。
    • Announcing EMR Runtime for Apache Spark
      Amazon EMR runtime for Apache Sparkという、Sparkに最適化されたランタイムが発表されました。これはOSSのApache Spark 2.4と100%の互換性を保ったまま色々な性能改善を追加したもので、EMR 5.28からデフォルトで利用されるようになっています。互換性があるため、既存のアプリケーションを変更せずに最大32倍の性能向上が得られます。性能向上の詳細はこちらのBlogで解説されています。
  • 11/19(火)
    • Application Load Balancer simplifies deployments with support for weighted target groups
      AWSのロードバランサーサービスの1つであるALBで複数のターゲットグループに対して重み付けを行う事ができるようになりました。Blue/Greenデプロイメント等への適用が想定されています。詳細はこちらのBlogを参照してください。
    • Announcing Updates to Amazon EC2 Instance Metadata Service
      EC2のメタデータサービス(IMDS)へのアクセスの際に、追加の認証を必要とするIMDSv2が利用可能になりました。一旦APIトークンを取得してからでないとIMDSの情報にアクセスできないようにするセキュリティ機能の向上です。引き続きIMDSv1も利用可能ですが、今後IMDSを利用する場合はv1をOFFにv2のみ利用することが推奨されます(もしくは不要であれば両方ともOFFにする)。詳しくはこちらのBlogをご覧ください。
    • Introducing AWS Systems Manager Explorer
      Systems Managerの1機能としてSystems Manager Explorerというダッシュボードが利用可能になりました。複数のリージョン、複数のAWSアカウントにまたがったリソースを一つのダッシュボードで管理することが可能になります。詳細はこちらのBlogをご覧ください。
  • 11/20(水)
    • Amazon FSx for Windows ファイルサーバに多くの機能が追加
      FSx for WindowsはネイティブのMicrosoft Windowsファイルシステムを提供するマネージドサービスです。この日実施されたAWS Storage Dayで最も多くの新機能追加が発表されたのが、このFSx for Windowsでした。特にマルチAZ対応(What’s new)は多くの方が望まれていた機能ではないでしょうか。重複排除(What’s new)やクオータ設定(What’s new)も大容量での利用時にメリットが大きそうです。またWSFCでSQL ServerをHA(高可用性)構成にする場合に必要になる共有CAファイル置き場としても利用可能(What’s new)になっています。新機能の詳細はこちらのBlogを参照してください。
    • Amazon EBS Fast Snapshot Restore (FSR) eliminates the need for pre-warming data into volumes created from snapshots
      EBSを以前から利用されている方は、EBSは作成直後に本来の性能を出すには「プレウォーミング」という作業が必要だった事を覚えているかと思います。その後の改善で新規作成時にはプレウォーミングが不要になりましたが、Snapshotからリストア後には必要でした。今回発表されたFast Snapshot Restore (FSR) を利用することでSnapshotからのリストア時でもプレウォーミングが不要になります。ただし事前の設定が必要で、別途費用が発生します。詳細はこちらのBlogを確認してください。
    • AWS DataSyncの値下げ、スケジューリング機能
      AWS DAtaSyncはオンプレミスからAmazon S3やAmazon EFSへのデータ転送を自動化するサービスです。今回68%の転送費用値下げ(What’s new)に加え、スケジューリング機能の追加が発表されました(Whats’ new)。機能詳細はこちらのBlogを確認してください。
  • 11/21(木)
    • Amazon Transcribeの日本語対応と、東京リージョンでのサービス提供開始
      Amazon Transcribeは音声を認識してテキストに変換するサービスです。今回これが日本語にも対応し、合計で31の言語に対応しました(What’s new)。また同時に東京リージョンで利用可能になっています(What’s new)。
    • Amazon Connect Launches Web & Mobile Chat for a True Omnichannel Contact Center Experience
      クラウドコンタクトセンターサービスであるAmazon Connectにチャットの機能が追加されました。音声通話とチャットを行き来しながらコンタクトセンターのエージェントとコミュニケーションを実現する、オムニチャネルを実現可能になります。詳しくはこちらのBlogを確認してください。
    • Amazon Redshift announces support for spatial data
      クラウドDWHサービスであるAmazon Redshiftに地理空間(GEO Spatial)データを扱うための機能が追加されました。データ型としてGEOMETORY型が追加され、Sptialの演算に必要な関数(例えば、ある地点からある地点までの距離を算出する)が多数追加されています。詳細はこちらのBlogもしくはドキュメントを参照してください。
    • You now can enhance availability of your existing Amazon DynamoDB tables by adding global replicas
      Amazon DynamoDBのGlobal Tableは、複数のリージョン間で自動的にレプリケーションされるテーブルを作成する機能です。つまりあるリージョンのDynamoDBで更新されたデータが他のリージョンにも自動的に伝搬されます。今回の発表で、通常の(1リージョンに閉じた)テーブルをGlobal Tableにダウンタイム無しで変換することが可能になりました。同時にGlobal Tableのレプリケーションの仕組みが改善され、以前はDynamoDB Streamsベースだったものがネイティブな実装に置き換わっています。これによりWriteキャパシティ消費も抑えられます。詳細はこちらのBlogを参照してください。
    • ECR events now published to EventBridge
      EventBridgeは、AWSのサーバレスなイベントバスサービスです。アプリケーションやサービスから発生したイベントを適切なターゲットにルーティングをするサービスです。このEventBridgeがECR(AWSのコンテナレジストリサービス)のイベントに対応しました。例えば「イメージがDeleteされた」イベントをトリガーにLambdaを起動し、チャットアプリに通知を流すといった事が可能になります。詳細はこちらのBlogを参照してください。
  • 11/22(金)
    • Amazon EC2 makes it easier for customers to discover and compare EC2 instance types
      Amazon EC2には用途に合わせた多彩なインスタンスファミリー、サイズが用意されていますが、種類が多いために最適なインスタンスタイプを選ぶのはなかなか大変です。そこで適切なEC2インスタンスファミリーを支援するための機能が追加されました。例えば最低限必要なvCPU数やメモリサイズを指定してフィットするインスタンスファミリーを絞り込むといった事が可能になります。すでにEC2管理コンソール上で”Instance Type”というメニューから利用可能になっていますし、APIも用意されています。
    • Amazon Aurora MySQL 5.7 Expands List of Supported Features to Improve Performance and Manageability
      Amazon Aurota MySQL Compatibilityで利用できるMySQL 5.7に複数の新機能が追加されました。同一ページ上にある行を多くのクライアントがロックする際の性能を改善する”hot row contention”のサポートや、Hash Joinのサポート、迅速に以前の状態にデータを巻き戻す”Backtrack”のサポート、およびAWS Lambdaの同期的呼び出しが利用可能になっています。詳細はリンク先からドキュメントを参照してください。
    • Amazon QuickSightにデータ操作APIや、テーマが追加
      AWSのBIサービスである、QuickSigtに複数の機能が追加されました。データセットやテンプレートをベースにしたダッシュボードの作成をAPI経由で行う機能(What’s new)は、BI環境準備の自動化に役立つものです。また、画面の配色やパディング(隙間)、バックグラウンドをカスタマイズして”テーマ”として保存する機能や、値に応じて表示を変える”Conditional Format”機能も追加されています(What’s new)。APIの使い方や、どのような感じに画面が変わるかはこちらのBlogで解説されていますので、確認してみてください。

今回紹介しきれなかった部分についても知りたいという方は、re:invent 2019前の発表を全部まとめたBlogエントリが用意されていますので、以下を参照してください。(今のところ第二弾まで出ていますが、引き続きアップデートのまとめが出る予定です)

次回の内容もre:invent直前週ということで多くの発表がある週になりそうですね。それでは、また来週!

ソリューションアーキテクト 下佐粉 昭 (twitter – @simosako)